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改稿版 New Life  作者: basi
15/26

第十五話

年内の工事は終了で残りは年越しです

大工とか専門職ってすげーですね


年内にアップを、と急いだので色々抜けてるかもです


 朝、起きるとベランダに健次が立っていた。玄関から来い。

 俺が起きたのに気づくと窓に張り付いてきたので部屋に入れてやったが。

「優、飯くれ!」

「帰れ」

 すぐに窓から蹴りだしてやった。

 

 蹴りだしてすぐ、今度はちゃんと玄関からきた。どうやら午前中は講義がないから今からインするらしい。なので飯をくれと。

 自分の朝分しかお米炊いてないしなー、と悩んでいると食材の補充はしとくからそれをくれと言ってきた。結構魅力的な提案だったので了承して、簡単だが卵かけご飯というリッチな食事を提供した。俺は途中でコンビニサンドだな。


 朝飯がサンドイッチでお腹が空いたお昼。午後は講義がなくてバイトなのでバイト先で賄いのタイミングならそれをもらうことにしよう。『ニャンどころ』へ着いたら更衣室に行く前にキッチンによった。

「おはようございます。すいません、今日は賄いってまだですか?」

「おはようございます。もう十分くらいで作りますけどどうしたんですか?」

 今日のキッチンはマスさんとベルさんだった。マスさんは本名増田努。どこかのバーでマスターとかやってそうだからって理由と増田だからと店長からマスターと呼ばれているナイスミドルだ。

 俺を含めて数人は一応名字を取ってマスさんと呼んでいる。俺もあんな年の取り方がしたい。ベルさんはベルーナ・ラ、ライ? ……その下は忘れた。両親がカナダの人で日本大好きらしく、日本に住んでいる。そのため日本生まれの日本育ちの二十三歳。日本語ペラペラです。返事をくれたのはそのベルさんだ。

「なら今日、お昼がまだなんで俺の分もお願いします」

「マジですか! マスター、ユルさんも賄いお願いします」

「今日はユルちゃんもか。任せておけ。出は何時だ?」

 マスさんは俺のことをユルちゃんと呼ぶ。もちろん男と知ったうえでだ。今は十二時半。俺の出は二時からの出勤予定だ。

「今日は十四時から出ます」

「なら十三時十五分には作っておこう」

「お願いします」

 これでお昼は確保できた。更衣室に行って着替えておこうかな。

 今日の服は何ぞや? とロッカーを開けるとそこにあったのはチャイナ服。チャイナ服自体は何度か着たけど、いつもパンツタイプだった。でも今日はスカートって言うのか? ひらひらスリットですよ。別に女装趣味とかじゃなけど、このお店のおかげでスカートにも抵抗なくなってきたな。しかしすごいのは、こういった服ってコスプレ用のとか安っぽいのが多いけど、店長さんはしっかりした生地できっちり作ったものを用意している。一体いくらかけているのか、聞くのも恐ろしい。

 着てみると袖なし、膝上十センチまでスリットが入っていた。ストッキングも穿くようにメモ書きと一緒に置いてあった。当然だけど胸無いから色気もくそもない。ただ、猫に爪立てられないといいな。


 賄いもいただいて充電完了。今日はピラフとシチューだったよ。美味でした。ってシチューって普通に商品じゃん。いいのかね?

 今日も今日とて猫まみれ。爪出しやすい子は抱え上げてあげよう。痛いし。

 本日は服装もあってか男性客が多い。足にみんな目が行ってるけど男の足ですよ? 時々肩とか腋の方に視線が行く人も居ますな。まあ、慣れてますけど。普段だと気色悪いけど、仕事だと思うと割り切れる不思議。

 こういった服装になることがあるときは表に張り紙がしてある。

『お触り厳禁! 通報の後出入り禁止! 触るのは猫だけに』

 店長さんが俺の出勤時に張るらしい。正確には俺の前のシフトの人が張るのだけど。よく来る常連さんは男性女性問わず俺が男だと知っている。俺が教えたし。基本的に張り紙の対象は男でたまにちょっと危なそうな女性も対象。判断基準は俺。ちなみに俺が許可した場合は接触可能。

「ぅわあ! ユル君超似合ってる。写真撮っていい?」

 こんな感じで時々写真を頼まれる。一緒に撮るときにはどうしても接触するからね。と言っても男性で写真を頼む人は稀だけど。今のところ処分対象者はいない。

 今奥から出てきた彼女は結構な常連さんで、俺の服装がちょっと変わっているとよく写真を撮る。個人事務所を持つ女社長さんらしく、うちの店長ともお友達。いつものことなので許可をだす。

「じゃあ、そのまま猫と一枚、立った状態で一枚。後、一緒に一枚よろしく」

 と、注文の通り座ったまま猫とパシャリ、立った状態で軽く腕を組んで首をちょっと傾げてニコっとしてパシャリ。で、一緒に並んで肩組んで、顔をひっ付けてパシャ。最後の一緒に取るとき女性と、特に美人さんとだと役得です。肩を組んだり、こっそり腰に手をまわしても怒られない。初めての時に

「もっとくっ付いてよ」

 と言われてから、やってみたらにっこりされたので、それ以降は結構密着してます。

「なんか、香水とか付けてる? ユル君いい匂いがする」

 写真を撮った体制のまま首筋に顔を寄せてくる。もうすぐ三十も後半だそうですが、美容に気を使っているのかかなり若く見える。女性にされるとちょっと困ります。お姉さんこそいい匂いですよ。

 お姉さんの服に着いた毛をコロコロとローラーで取って別れ際に

「もう一回、ね?」

 と言われ抱き着かれた。

「ん~、やっぱりいい匂い。……よし、ありがとね、また来るわ」

 そう言って出て行った。俺に抱き着いたからまた猫の毛着いたんだけど……。

 俺ってなんか匂うのかな? っと思って腕や腋を嗅いでみたけど自分の匂いってよくわからん。汗の匂いかと思ったけど、俺は昔から汗の匂いが薄いらしいし。高校の時、体育で着た汗まみれの体操服をそのまま二日間放置してしまって、思い出したときに取り出したのだけど、臭いもなく不思議に思ったものだ。友達にも『優は汗かいても臭くないからいいな』と言われたし。

「む、もしやお前らの匂いか?」

 ふと思いつき、クロ助を抱えて匂いを嗅いでみる。ふむふむ。

「うむ、にゃんこ臭がするな。いい匂いだ。」

 でも流石にこの匂いじゃないか。と、猫をくんかくんかしていると、もう一人知り合いが奥から出てきた。

「こんにちわ、先輩。お久しぶりですね」

 出てきたのは男性で、歳は俺より四つ上。蒼井先輩とみんなに呼ばれている。下の名前は聞いたことないな。俺の高校のOBだったらしく初めてバイトした頃からの常連さんだ。ここしばらく見なかった。二か月ぶりか? 

「おう、久しぶりだな。今日も猫まみれか? せっかくの服が毛だらけだな」

 蒼井先輩は猫好きなのだが家族がアレルギー持ちで飼えなかったらしい。大学の寮もペット禁止で就職先の近くのマンションも軒並みペットはダメ。なのでここにはよく来るのだ。

「まあ、支給の制服ですし。いつもの通り店長が準備とクリーニングに出すだけですから」

 最初は俺も気にしていたけど、店長に言われたのと流石に慣れたので今は気にしない。元々、店長もこの店自体は趣味らしく、他に本業があるそうだ。しかもかなり儲かってるとのこと。この店が赤字で経営難になったくらいなら鼻歌交じりに穴埋めできるらしい。


「で、猫に顔をうずめて何やってたんだ」

 と聞いてきたので、先ほどのやり取りと匂いの話をした。

「なるほどね。ちょっといいか?」

 蒼井先輩は俺に断ると俺の匂いを嗅いだ。

「ふむ。前までこんな匂いしてたか? えらく甘いと言うか……そうだな、女を抱いた時――よりいい匂いかもしれん」

「…………確かに女性はいい匂いがしますが、抱いた経験があまりないのでその匂いは良くわかりません」

 そういうと蒼井先輩は笑った。このイケメンめ、羨ましいことを。

「香水も何もつけてないのなら……フェロモンとかか? 異性が惹かれる匂いらしぞ」

「フェロモンって……。異性だけならいいですけど、先輩もいい匂いって感じるんじゃ男にも効いてるじゃないですか。それより毛を取りましょうよ」

 コロコロと毛を取って帰る前に先輩が気色の悪いことを行ってきた。

「もし本当にフェロモンだとしたら、優なら男も女も関係ないかもしれない。いや、男の方がよく聞くかもな」

 うげぇ……。でも、フェロモンか。まさかね。


 バイトも終わって帰ったのが十九時四十七分。ご飯もお客として『ニャンどころ』で食べて来た。

 今からログインすると向こうではそろそろ夕方だ。それならいっそ夜の狩りも経験しよう。明日の朝ご飯の準備をして二十時半くらいに行こうかな。

 冷蔵庫を開けると結構な食材が入っていた。何日分かと思ったけど、もしかして毎朝健次が食いに来ることを考えて買ってあるのかと思うと納得の量だった。簡単に下ごしらえをして、明日は火を通すだけのものを幾つか準備しておく。

 おそらく来るであろう健次の分も準備してログインをする。量が増えたので予定時間を十分ばかりオーバーしてしまった。健次め。


 ログインしてまずは装備の確認だ。昨日は効果を碌に確認せずに次々と装飾していったからな。

 

【直刀 焔:品質+3 耐久C+3% 斬力C+3% 貫通力C+3% 出血補正C+3% 筋力値+2%】

【直刀 焔:品質+4 耐久C+4% 斬力C+4% 貫通力C+4% 出血補正C+4% 筋力値+3%】

【タリスメンラインコート:品質+4 耐久C+4% 耐斬性C+4% 耐貫性D+4% 衝撃吸収率C+4% 敏捷値+3% 知力値+1% 筋力値+1%】

【シャドウジャケット:品質+5 耐久C+5% 耐斬性D+5% 耐貫性C+5% 衝撃吸収率D+5% 体力値+2%】

【シャドウパンツ:品質+4 耐久C+4% 耐斬性C+4% 耐貫性D+4% 衝撃吸収率D+4% 体力値+1% 敏捷値+2%】

【ミラジェンブーツ:品質+5 耐久C+5% 走破性C+5% 衝撃吸収率C+5% 摩耗率C+5% 筋力値+2%】

【ウェイクカフス:品質+5 知能成長率1%+5%】

【アーティザンリスト:品質+4 筋力成長率1%+4% 器用成長率2%+4%】

【エフォートチェーン:品質+5 敏捷成長率1%+5% 精神成長率2%+5%】


 これは、いいのか悪いのかよくわからん。コートとパンツは複数属性に気に入られたようだから結構うまくいったのかもしれない。上昇値が低いのは付与素材のランクがCだったからだろうか。腕の問題もあるけど。アクセサリーは後からの付与は無理らしい。最初から付与金属を素材に取り入れて作らないと無理だそうだ。

 耐斬性と耐貫性はそのまま斬撃と貫通系の攻撃への耐性だ。武器の斬力や貫通力が防具の耐性を上回ると装備の耐久力が一気に落ちる。耐性が上回れば耐久力は長持ちする。各種耐性と耐久性によっては即座に致命傷になる。衝撃吸収率は着ている人への衝撃をどの程度和らげるかってことで装備の耐久力とかにはさほど関係ない。

 それを踏まえてみると……うん。結構普通の装備品だ。初期支給の初心者装備よりは格段にいい。ちなみに初期装備はオールDランクだ。まあこのランクもランク内で数値があるらしい。詳しくは知らんけど。

とりあえず装備の確認も終わったし、それでは夜の狩りをしに行こうかな。


 夜の狩り、と思ったけど東の森は昼も夜もあまり変わらなかった。大体、暗いので見難かったが、視覚の強化と感覚の強化で意外と問題なかった。

 ならば、他のところにとも思ったが一人で行くのも寂しい。昼間の出現モンスターも分からないのに夜特攻しに行くとかありえんしな。それに成長ブースト期間が半分を切った。死に戻りとかで時間をロスするのももったいない。

 一人での狩りで経験を積むのもいいかもしれないけど、エルファ達との旅でのほうが得る物も多いかもしれない。それまで普段はログインを控えるのも一つの手段ではないだろうか。

 そう考えた結果、一つ決めた。短時間ログインで濃い修行をしよう。メインは気功術。実は気功術のレベルがやたらと上がりにくい。

 最初に気功術がLv4になって内気功と外気功を覚えたのだけど、そこから気功術は未だにLv4のままで内気功と外気功もLv3になったが、そのまま成長しない。最初に簡単にレベルが上がったから早いなと思ったけど、Lv3から上がりづらくなった気がする。

 ロウ達も気功術は時間がかかると言っていたしな。スキル的にもLv3までが入門編なのかも知れない。まあ、そんなこともあって、エルファ達との合流までは一日八時間以内のログインで修行をすることにした。

 修行の内容は無手でウルフの群れに入って感覚のみの強化で攻撃をかわしながら、軽く触れて発經だけで倒すということをする。

 これは発經のスキル系統は気を十分練っていないと発動しないので強化中の発動は結構難しいからだ。しかも発動後は気が減るので強化が解けやすい。というより今の俺だとほぼ確実に解ける。なので解けないように集中して気を練り続けないといけない。これならかなりの負荷がかけられるのではないかと思う。集中力もいるだろうから長時間は無理だと思われることからも最適の修行ではなかろうか。

 筋トレも負荷が高いほうが効果はあるし、気功術も同じかも知れない。思いついた俺ってすごいな。と思ったけどそんなにすごい思い付きでもないか。


良いお年を

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