第2話 女神からの贈り物(ギフト)
何度も言いますが特に深く考えていません。
お気楽に読んでもらえれば。
「世界を救うって聞こえましたが?」
「救いたくない?」
「いや、救えるなら救いたいよ?」
「なら、救えばいんじゃないかな?」
「救いたければ救えるもんじゃないよね!、世界って!」
割り箸の女神は『デスヨネー』という顔をした。
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突然だが、神様には、それぞれ司るものがある。
太陽神や月の女神などは分かりやすいだろう。
かつて、この異世界にいた『アースフリア』という女性神は『創世』を司っていた。
しかし、この神は非常に気まぐれで、気が向いた時に世界を作り、ある程度経過は見守るが作りたい世界ができるとまた次の世界を作り、を繰り返した。
結果、多様な世界が星の数ほど作られ、勝手に隆盛し、そして衰退し、消え去っていった。
いくつもの世界が消え去り、残った世界が僅かとなった時、アースフリアは自身の気まぐれさを反省し、自らの力を分割して、残った世界を管理する神とした。
とはいえ、いくら元が創世神でも、分割された以上その神の力は弱く、創世の力はすでに失われている。
残っているのは、ある程度の物事を司る程度の能力だ。
各々の管理神は残った世界を管理していたが、能力不足か、はたまた運が悪いだけなのか、数千年後には、いくつかの世界が消え去ろうとしていた。
すでに創世の力が無い以上、残った世界は可能な限り消したくない。
そこで管理神達は考えた。
『自分達の能力が足りないのなら………』
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「異世界から持ってくればいいじゃない、と」
「それでいいのか、異世界神」
なんて安易な…
途中から職務怠慢な管理職にしか聞こえなかったわ。
ちなみにルーが管理している世界では、俺のような普通の『人類』、
エルフやドワーフ等の『亜人類』、獣耳や尻尾を持った『獣人類』の
3種族が暮らしており、スライムとかのモンスターも普通に存在する世界のようだ。
ただし、ある時からだんだんモンスターが凶暴化し、最終的に『魔王』と呼ばれる存在が現れたという。
「そもそも、人間1人の力で世界を救うなんて、無理だからね」
それが出来るのは、せいぜいゲームか小説ぐらいだ。
「大丈夫、1人じゃない」
「ほう?、詳しく聞こうか」
「すでに100人は送り込んだ」
「多いな、おい!」
ちなみに送り込んだ人間の事を『勇者(笑)』と呼んでいるらしい。
一見酷い話だが、人間達からは『女神(笑)』と呼ばれてるらしいから、どっこいどっこいか。
「ちなみに断った場合どうなるんだ?」
「どうもならない。現実の体へ戻る。」
「なんだ、あっさり戻れるんだな」
「勿論、漏らした直後」
「のおおおおぉぉぉ!」
そういえばこっち来る直前はそんな状態だったな。
それだけは絶対に回避しなければ………
「…受けた場合どうなるんだ?」
「勇者(笑)達と協力して魔王を倒して。倒せたら戻れる。」
「倒せず、死んだら?」
「ヒント:m9(^Д^)」
「おいこらきさま」
「冗談。ここに戻ってくる。」
成る程な。コンティニューか、リタイアか選べと。
現実に戻る時は任意の時間に戻してもらえるそうだ。
任意とは言っても、ここに来た時の前後2時間くらいらしい。
後、ここの太陽なんだが、常に頂点にあるようだ。
勿論、こいつがそう望んでるからだ。
といっても、擬似太陽らしいが。
「まぁ、とりあえず世界を救う事に関しては、デメリット無いかな。」
断れない理由もあるしなぁ。
正直、この歳になって、変なあだ名が付きそうな事は避けたいのだ。
誰が付けるのかって? 姉だ、姉。
容赦無いからね、あの人。
「それで、助けに行くとして、どうやって行くの?」
そう聞くと、洗濯板は『何言ってんだ、こいつ』という顔をした後、『○村、後ろ後ろ』という顔をした。
俺は、『お前、一見無表情だけど、見かけによらず器用なんだなぁ』と目で語り返してみた。
「いいから、後ろ見る!」
うん、通じる訳ないわな。
「後ろ?後ろって……」
ああ…、あったね、立派な門が。
正直何の為に出てきたのか分からなかったが、こいつが入り口なんだな。
「なるほどなぁ、もう行けるのか?」
「ん、いつでも行ける。でもちょっと待って。」
「ん?まだ何かある?」
「そんな装備で大丈夫か?」
まるでどっかの大天使のようだが、お前神だよな?
まぁいい、自分の服装を見下ろして見る。
うん、そりゃあ学校から帰ってきて着替えすらしてないんだから、学生服に決まってるよなぁ。
「何か装備とか貰えるのか?」
「ん、行ってくれる勇者(笑)の人には、1人に1つだけ特別な贈り物をしてる。」
「贈り物?って例えばどんな?」
そう聞くとボクっ娘女神は、花が開くような笑顔を見せた。
そんなに贈り物に自信があるのかな?
「えっとね、役に立ちそうなものから、ただのゴミまでそれはもうすごいラインナップで」
「やかましいわ!」
種類が多ければいいってもんじゃないんだぞ。
しかも、役に立つって断言しないあたりが…こいつ、ひょっとして腹黒い?
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さて、女神からの贈り物だが、これはそのまんま『ギフト』と呼ばれるものらしい。
俺より先に送られた勇者(笑)達も各々1個ギフトを受け取り、送り出されている。
俺もこれから1個貰えるらしいんだが、この『ギフト』と呼ばれるもの、
与えられるものがある程度決まってて、そっから選ぶ、とかでは無いらしい。
自らの希望を伝え、ルーが『ある程度』叶えたものを渡す。
……らしいんだが、『ある程度』の部分に不安を憶えるのは俺だけだろうか……
「なぁ、参考までに今までどんなの有ったか聞いていい?」
「んっとね…、確か、どんな物でも切れる剣・絶対必中の弓・絶対に壊れない盾、あらゆる攻撃を弾く鎧……」
「お~、いいね。これぞ正にチートって装備じゃないか。」
「オーガにも負けない腕力・馬よりも早く走れる能力・人間の限界を超えたスタミナ……」
「あ~、なるほどな、装備品じゃなくてスキルでも良いって事か。」
これは思ったより悩ましいかもしれない。
どんなにすごい武器でも、素人が扱えるかわからんしな。
いくら俺が弓道やってたからって、弓だけじゃ近寄られたら終わりだし。
それぐらいならいっその事、身体能力を底上げする様なスキルを貰った方がいいかもしれない。
俺がそんな事を考えてる間もルーの説明は続いてたようだ。
「……どんな食材でも切れる包丁・絶対必中の虫叩き・絶対に壊れないまな板・あらゆる焦げ付きを弾く鍋……」
「待て待て待て待て!!」
「…何?」
「何?、じゃねーだろ!今一個もおかしくない物なかっただろ!」
「でもでも、実際すごく好評だったし」
そう言ってルーは『でもでも』のポーズを取った。
どこからそういう知識を仕入れてくるんだろうか。
いや、そこじゃない。
真に突っ込むべきは、『魔王を倒して』と言われて『焦げ付かない鍋』を持ってった奴がいるって所だ!
すげえな、ある意味勇者だわ。
「なぁ、ルー……」
「ん?」
「さっき言った、包丁とか鍋とか………冗談だよな?」
「神様、嘘つかない」
「嘘だ!」
「セーイチ、ネタが古い」
「余計なお世話だ!」
その後、どっちのネタが古いか?という実にくだらない言い争いで、小一時間程消費してしまうのだった。
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さて、色々考えてみたんだが、こいつの用意する装備品に『なぜか』不安を感じるので、
思い切って装備品では無く、スキル系で考えてみようと思う。
しかし、スキル系と一言で言ってもその内容は多岐に渡るだろう。
例えば攻撃力を上げる、若しくは防御力を上げる。
或いは素早さを上げるという手もある。
攻撃は最大の防御とも言えるが、当たらなければどうということも無い、とも言える。
当たらない攻撃は、防御とも言えないだろうし、ここは素早さ重視とかどうかな?
「ん~…、実に悩ましい…、なぁ、ルー」
「ん?」
「例えば、の話なんだが、全ての能力をある程度上げるスキルとか…無いよな?」
「有るよ?」
「え、有るの?」
「全ての行動に補正が付く『加護』というスキルが有る。」
「へぇ、便利そうなスキルじゃないか。」
攻撃にも、防御にも、素早さにも補正が付くなんて、なんて便利なスキルだろう。
多分攻撃のみ上昇、みたいなスキル程補正は付かないだろうが、その分他の部分で補えそうだ。
器用貧乏になりそうなのが懸念事項だが…
「一応確認するが、全ての行動に補正が付くんだな?」
「うん、『全ての行動』に補正が付く。」
「よしよし、ちなみにどれくらい補正が付く?」
「その時の気分しだいかな?」
「?ランダムって事か?」
「そう取ってもらっていい。」
なんだろう、この溢れ出す不信感は…
「…ただし、この『加護』にはデメリットが1つ有る」
ほらきた。こんだけ便利なスキルなんだ。デメリットの1つくらい有るよな、やっぱ。
「そのデメリットは……」
びっくりする程、話が進みません…
会社の繁忙期越えたので、ぼちぼち書いていきます。