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第1話 女神の導き(という名のトラップ)

異世界物を書きたくなりました。

初書きです。特に深く考えてません。

それでも良ければ、宜しくお願い致します。

「黒谷先輩!お疲れ様でした!」

「はいよ、お疲れさん」


ここは私立桜ヶ丘高校にある、弓道場だ。

なだらかな丘の上にあるこの高校は、野球やサッカーではパッとしないが、卓球やバドミントン、そしてここ、弓道が強く盛んなどこにでもありそうな普通の高校だ。


今日の部活動を終え、皆慌しく帰っていく。

俺と一緒に最後まで残っていた後輩も一足先に帰り支度を終え、帰っていった。

仮にもキャプテンなどという大層な役目を仰せつかった俺は、一番最後に部室に鍵を掛け、のんびり帰る事にする。


別にキャプテンだから部室の鍵をかける、と決まっている訳でもないが、なんとなく自分の仕事としていつの間にか定着してしまった。


まぁ、急いで帰って何かやりたい事や、やらなきゃいけない事が有る訳でもなく。

いつも通りのんびりと歩いて帰る事にする。


家は高校から歩いて15分程の住宅街にあり、自慢できる程に大きい訳でも卑屈になる程小さい訳でもない、ごくごく普通の一軒家に住んでいる。

家族は両親と姉に俺の4人家族だ。


幼い頃はよく姉と喧嘩したもんだが、さすがにこの歳にもなれば分別も付く。

あの姉には勝てん、と諦めた部分もあるっちゃあるが。


両親は仲が良く、40超えてるってのに玉にいちゃついてたりする。

まぁ、それはそれで微笑ましく、ある意味勝ち組だと思う。

俺も将来はああいう夫婦を目指したいもんだ。


「あ~、腹減った…」


今日の晩飯なんだろ、などとぼんやり考えながら歩いていると、突然体の一部に激痛が走った。


「!?…ぐうぅ……」


脂汗が顔面をしたたり、地面に落ちていく。

俺は前屈みになり、痛みに耐える。


「は……腹いてぇ…」


そう、突然の腹痛という奴である。

まるで便秘と下痢が一緒に来た様な地獄の様な腹痛だ。

ここから家までは後5分前後かかる。

ぎりぎり間に合うかどうか、くらいの絶妙な距離だ。


(大丈夫、俺はできる子だ!こんな所でやらかしたら姉に何言われるかわからねぇ!)


俺はがんばった、正直弓道の試合よりがんばった。

そして…勝利の女神は俺に微笑んだ。


「よ、よし、限界だがかろうじて間に合った!」


俺は玄関を開け、人生最速で靴を脱ぎ、トイレのドアを力一杯開けた!

すると、そこには…


「……あ~、…なんだこれ?」


……そこには、1本のロープが天井から垂れていた。

勿論、今までそんな邪魔なロープなど無かったし、家族にこんな事しそうな人間はいない。


(あえて言えば姉貴か…?あの人読めないからなぁ…)


俺はどこから垂れてるのかを確認する為に上を見上げてみた。

するとそのロープは天井から10センチ程下の空間から突然生えていた。

まるでそこで空間が切れているような、異様な光景だった。


次にロープの先を確認する為、下を見てみると、ロープの先に小さい紙片が糸で繋がれていた。

いかにも何か書いてありそうなその紙片を確認するべく、手にとって見るとそこにはこう書かれていた。


”引くなよ? 絶対引くなよ?”


「引かねぇよ!」


と、叫びつつ思いっきり引っ張ると、次の瞬間頭に衝撃が走り、俺の意識は遠のいていった……


***********************************************


思えば俺は昔からそうだった。

前振りに弱いのだ、押すなよと言われるとつい押してしまう。

これを突っ込み体質というのだろうか…


ふと気が付くと草原のど真ん中に俺は倒れていた。

どっちを向いても地平線だった。どんだけ広いんだここ。

人もいなければ木さえ生えてなく、踝が隠れる程度の草原がどこまでも広がっている。


「あれ?ここどこだ?」


少なくとも日本ではないだろう。地平線しか見えない草原など、北海道にも無さそうだ。

空を見上げると太陽が丁度真上あたりに有り、今が正午前後なのがわかる。

ちなみにトイレに入った時間が18時過ぎくらいだったので、半日以上過ぎている事になる。


とりあえず体に痛い所が無いか確認し、何も異常が無い事を確認するとふと気付く。


「…そいや、腹痛くないな……」


嫌な予感がし、お尻を確認してみたが、漏らした訳でも無いようだ。

とりあえず一安心し、周囲を確認していると、ふと後ろから視線を感じた。


「誰だ!?」


振り向いたその先には目を見張る程美しい少女が佇んでいた。


太陽の光を反射する絹糸の様に細く滑らかな銀の髪。

染みや皺が全く見当たらない白く柔らかそうな肌。

出るべき部分は『出ず』、引っ込む部分はより引っ込む潔いスタイル。

そして、宝石のように光り輝く紅の瞳は何の感情も込めず、ただこちらを見ている。


っと、突然少女が口を開いた。


「今、失礼な事考えた?」

「いっ、いえ!誤解です!違うんです!」

「まだ何も言ってない」

「えっ、あ、すいません」

「やっぱり失礼な事を考えた?」

「あっ、い、いえ、考えていません、すいません……」


口調は平坦であり、その瞳にも特に感情は込められていない。

なのに怖い。何となくすごく怖い。

あまりの怖さに顔を見る事ができず、しかたなく目を下に向けると、ある事に気付く。


(あれ?なんでこの子ジャージ着てんだ?)


そう、色こそその瞳の様に美しい紅だが、どっからどうみてもそれはジャージだった。


(せっかくかわいいのに、勿体無い…っと、そうじゃない、ここがどこか聞かないとな)


「えっと、すいません、ここってどこなんでしょうか?」

「ここ? ここは門の前」

「門?門なんて、どこにも……」


きょろきょろと辺りを見回すといつの間にか後ろに門が出来ていた。


「え? さっきまで確かに何もなかったのに……」


確かにさっきまでは門なんて無かった。いや、門どころか柱ひとつ無かったのだ。

だが、今は確かに門が立っている。不思議に思い、門をしげしげと見てみた。


立派な門ではあるが、煌びやかではない。無骨で堅固な門だった。

門の向こうに回ってみたが、相変わらず草原が続くのみで、特に何も無かった。

ただ門だけが、草原に突っ立っている。


「そうだ、名前をお聞きしても?あ、俺は黒谷誠一って言います」

「ルールリア・ルヒャルト・ルンメルクス」

「ルが多いわ!」


いかん、つい突っ込んじまった。

怒ってるかな?と少女を見ると、”イーコトイッター”という顔でこちらを見ている。

なんだその顔は。


「おほん! 失礼、ルンメクスさん」

「ルンメルクス」


(ああもう!)


話が進まないのでこいつの事は”ジャージ”と呼ぶ事にする。

勿論、心の中で、だ。


「それで、ジャージさん」

「ジャージ?」

「あっと、失礼。じゃあ、”ルー”と呼んでも?」

「好きに呼べばいい」

「俺の事は誠一と呼んでくれ」

「わかった、セーイチ」


(やっと一歩進んだな。やれやれだ)


「それで、何の話をしてたっけ」

「ボクが女神という話」

「そんな話してたっけ?、ってかルーって女神なん女神だとお!?」


自称女神は”ナニコイツオモシレー”という顔でこちらを見ている。

ちょっとむかつくんでやめて欲しい。


「女神なの?」

「女神」


(女神ごっこかな、まぁ見た目幼いし、そんな子もいるだろう)

誠一はスルースキルが上がった気がした。


「おっけー、わかった、じゃあルーは女神って事で」

「その可哀想な子を見る顔やめる」

「そ、そんな顔してないよ?」

「わかった、証拠を見せる」


そう言ってルーは、「しょーがねーなー」という顔をした。

帰っていいっすかね?

帰り方わかんないけど。


「証拠って?」

「これを見る」


ルーは懐から棒状のものを取り出し、こちらに掲げて見せた。


「……割り箸?」


どっからどう見ても普通の割り箸だった。

包み紙から箸を引き抜くと箸をそのまま左手に持ち、包み紙を振り下ろすしぐさをした。

これはあれだ、紙で箸をへし折るという隠し芸だな。

それのどこが女神の証明になるってんだ?


黙って見ているとルーはそのまま紙を振り下ろした。

すると…… 箸は折れるどころか、切れ飛び、紙はそのまま地面に切れ込みを作り、少女は飛んできた箸が頭に当たって涙目でしゃがみ込み、同じく頭を強打した俺が仰向けに倒れ込んだ。

この間、実に1秒未満である。


「………で?」

「………………ごめん…」


***********************************************


色々言いたい事はあったが、割り箸を割るどころか地面まで割ったのは、確かに常人じゃできないってのは認めてもいいかもしれない。

現に俺できないし。


「ボクが女神とわかった所で、そろそろ本題に入る」

「…もういいです、入っちゃって下さい」


何を言っても恐らく無駄だろうし。


「セーイチ、聞きたい事一杯あると思う」

「まあな、ただでさえ一杯あったのに、増える一方だ」

「何でも聞く、ボク答える」


ルーは『女神だけど質問ある?』という顔をした。

質問したく無くなるから不思議だな。


「最初に聞いたけど、ここどこ?」

「わかりやすく言うと、ボクの部屋…かな?」

「…お前の部屋…なんも無いな…」


俺は見渡す限りの草原を見回した。

門以外全く何も無い殺風景な景色だった。


「何も無い様に見えるだけ。必要な時に、必要な場所に、必要な物が有る」

「ごめん、何言ってるかわかんない」

「ん~、ボクの思い通りにできる場所って事」

「なんだそれ、すげーな、神様みたいだ」

「女神!ボク女神だから!」

「はいはい、女神女神」


むっとしたルーが懐から新しい割り箸を取り出した。


「わ!わかった!ルーは女神!ほんと女神様だから!ね!」

「わかればいい」


なんとか割り箸回避できたらしい。


「ふぅ~、じゃ次、俺はなんでここに?」

「すごく簡単に言うと…」

「ふむふむ」

「…引いちゃいけない紐を引いたから?」

「あれかああああ!」


引いたよ、確かに引いた。

ってか、あれってこいつが仕掛けたのか。


「あの紐はこの部屋の呼び鈴の様なもの」

「なんでトイレなんかに?」

「ヒント:無作為」

「答えじゃねえか!」


ルーは懐に手を…


「待て!待ってくれ!沸点低すぎないか?! 後、割り箸何本持ってるんですか?」

「で、紐を引いたセーイチは落ちてきたタライに頭を強打されて気を失った」

「スルーですか。そしてやっぱりタライだったか。何でタライ?」

「ヒント:m9(^Д^)」

「やっろう…」


つまり、こいつはプギャーしたいが為に特に必要も無くタライを落としたって事だ。


「…いつかやり返してやる…」


割り箸全部割っとく、とかな。


「ん?気を失ったって事は…」

「そう、セーイチは意識体としてここに来てる。体は現実にある。」

「ああ、そうなのか」

「う○こ漏らしたままで」

「ちょっと待て」


ぎゃー、やばい!姉に見られる!

お婿に行けなくなっちゃう!


「…なんとかなりませんか?」

「なんとかとは?」

「いやその…、神様の力でう○こ消すとか…」

「神にもできない事はある」

「いやでも、元はと言えばルーのせいだし…」

「ちゃんと引くなって書いた」

「それが悪いんだよ!」


だから引いたんじゃないか。


「…なんとかしてもいい」

「なんだ、やっぱりできるんじゃないか」

「ただし、条件がある」

「条件?」

「ある世界を救って欲しい」


なんか、急に話がおっきくなったな、おい。


次がいつになるかは、仕事の都合によります。

申し訳ありません。

なるべく早くあげます。

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