『ロード しますか?』
言いたい事はわかります。だからこそこの言葉を送らせてください。
すいまっせんでしたぁああああああ!!!
目の前の死体を見る。その体は私の放った『居合い』よって切り刻まれていた。
別に罪悪感も後悔も無い。それこそいまさらだ。
迷宮の魔物を殺し、迷宮に現れる盗賊を殺し、幾人もの死体に刀傷を刻みつけてきた。それが一人増えただけだ。
そう、そのはずだ。
だが、私はこいつとすでに一度、戦ったことがあるような気がする。
根拠も自信も常識も無いが、何故かそんな気がするのだ。そのせいで少し変な気分だ。
まぁ、所詮気のせい、というか迷宮のトラップか何かが発動したのだろう。私がこんな奴を夢などで見ることは無い。しかしそうだとしたら、どんな意味があったのだろうか。もしかしたらまだトラップにかかっていて、幻覚か何かをかけられているのかもしれない。そう、たとえばこいつを永遠に殺し続けるとか、そういうのかもしれない。だとしたらまずい。このままずっとこれだと精神が壊されてしまうかもしれない。そう、殺される瞬間に笑う人間を殺し続けるなど、ただの拷問だ。
そこまで考えたところで、前にある階段から足音が聞こえた。死体から顔を上げ、油断してた自分を恥じる。
顔を上げた先にいたのは、祖国の服を着た褐色の女性だった。祖国の服は久しく見たが、それを着た女性の顔はつい最近に見たばかりだ。
死体と一緒にいた者だ。その端麗な顔は驚愕に歪み───その後すぐに呆れ顔となった。
……なんだその「ああ、またか」みたいな顔は。仲間が死んだんだぞ。殺した私が言うのもなんだが、もう少し労わってやっても───。
轟音。
暴力的な風に思考を中断され、背筋が凍る。
自分の真横にあるのは巨大な斧。正面にいるのは無表情の女性。
石の破片すら飛ばさず、地面を両断するその腕前は、ただの力自慢では無いということを見せつけられた───いや、というより見えなかった。いつ近づいたのか、いつ斧を振り下ろしたのか。全く、全然察知できなかった。
居合いの技術の奥義と言っていいスキル、『鷹の目』。
視界が広くなるわけでは無いが、自分を中心に展開する円の中にいる生物との間合い、簡単な動きをほぼ完全に把握できるスキル。
近づいてくるものはもちろん、後ろから斬りかかられてもその動きがわかる。だが、そのスキルでもわからなかった。
───化け物か、この女は。そう思わずにはいられなかった。
確かに油断はしていた。それは恥ずべきものである。だがそれでも、理不尽だと感じずにはいられなかった。
目の前の女は私が刀を構えた事すら気にせずに、ゆっくりと斧を引き抜いた。
さもどうでもいいように、この世全てがどうでもいいように、女は無表情のまま、斧を肩に担ぎ、こちらを見据えてくる。
視線とともに送られてきたのは純然たる殺意。それと『威圧』。
というか、この女は何者なんだ? 死体が迷宮に潜った時にはいなかった。つまり迷宮の中で出会ったということか。きっと名のある冒険者なのだろうか。だからこそ、死体はこの規格外の迷宮でここまで来れたということか。
女はいつのまにか悲しげな表情となり、その唇は小さく言葉を刻んだ。
───時間切れ。
その言葉に視界が歪み、激しい頭痛に襲われる。
なんだ、なんなんだコレは。おかしい。先ほどから理解不可能な現象が起こりすぎだ。
本当にこの死体に関わるとろくな事がない。
そう思い死体を見ると、横たわるその体の上に、一つのウィンドウが開かれていた。
目を疑う。死体ならウィンドウを開けるわけが無く、ごく一部のスキル以外は死後発動しない。さらにいえば、許可無く他の人間のウィンドウを見れるはずが無い。
そのあり得るべくもないウィンドウに表示されるのはたった一文の質問と、YesかNoかの選択肢。
『セーブデータを ロードしますか?』
斧を持った女がさも嬉しそうに、笑った気がした。
この小説一の謎回と言ってもいいかもしれない。これじゃあシリアスがシリアス(笑)どころかシリアス(爆笑)だよ……短いし。
え?投稿遅れた理由?リアルに忙しかったのと少ない暇時間をゲームにつぎ込んだからです。
ポ○モンなんてやるもんじゃ(ry




