第4話 剣
-----「姫様,目立たぬようこちらの服にお召し換え下さい。下女から借りて参りました。さぁお早く!」
-----「わかったわ。お礼も伝えてもらえる?」
-----「必ず。」
-----「姫様,そのままお聞き下さい。姫様はこの烙夜と共に我が国の最北端にあります村に行って頂きます。そこから西へ向かわれれば,先程の使者が剣士の話を聞いた街がございます。検問は全ての街や村で厳しくなるでしょう。出来るだけお早く向かって下さいませ。」
-----「わかったわ。烙夜,お願いね。」
-----「はい!」
下町の少女に化けた姫とその使いは朝が明ける前に城を後にした。二人がまだ街の入り口に差し掛かった頃,城内では下女達が走り回りかん高い声をあげて姫を探していた。
-----「露樹!誰か露樹を呼んできなさい!!」
女王は怒りで顔を真っ赤にして使用人にあたりちらしていた。その中の下女が慌てて露樹を連れてきた。
-----「露樹,私が呼びつけた理由は分かっているわね?」
-----「はい。」
-----「どおゆう事なの,これはっ!?」
-----「………。」
-----「説明しなさい!」
-----「できません。」
-----「私が命令してるのよ。」
露樹は決して口を開かずにいた。彼女はきっとこの城にはいられなくだろう,と誰もが感じていた。
一方,城を脱け出した二人組はやっと街を抜け深い森に入ろうとしていた。