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黎明の適合者 -Colors of Dawn-  作者: 雨野 天
第二部 第三章

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小話 ナギニとノクス

リヒトがアズランと一緒に寝るようになってから、ノクスは彼のそばについて回るのをやめた。――というより、アズランに強制的に排除されている。

リヒトも特別な感情があるらしく、アズランの独占を止めようとはしない。


ノクスが生まれて初めて「自分の居場所」だと思えた場所は、あっけなくノクスのものではなくなってしまった。


小さな姿のまま、ノクスはハッチの陰からブリッジを眺めていた。

その丸い背中が、どこかひどく寂しげに見える。


それに気づいたナギニは、深いため息をひとつ吐いた。


ナギニにとってノクスは、ほとんど仇敵だ。

勝手に体内に棲みつき、彼を暴走させ、尊い命を奪わせた――その中には、大切な幼馴染もいる。


それでも。


あの背中を見せられてしまったら、話は別だ。


ナギニは決意を固め、ブリッジへ歩き出した。

引き返そうと思えばいつでも引き返せる。

「やめておけ」と心は叫んでいるのに、足だけは止まらなかった。


「おい」


声をかけると、ノクスが振り返った。

きょとん、とした顔には、ナギニへの敵意も警戒もない。


――子どもだ。


ナギニは、ひどく馬鹿らしくなった。

力を持て余して、寂しくて、暴走しただけのガキじゃないか。


「眠れないのか?」


隣にしゃがんで視線を合わせると、ノクスはぽつりとつぶやいた。


「リヒト、いつになったら俺と一緒に寝てくれるかな?」


(あの様子じゃ、当分ないな…)


ナギニは内心で肩をすくめた。


「じゃあ…お前、しばらく俺と一緒にいるか?」


「……いいのか?」


ノクスは目を丸くした。

その言葉の意味を飲み込むのに、少し時間がかかったようだ。


ナギニは小さな黒髪をぽんと撫で、短く答えた。


「いいよ」


その日を境に、ノクスはぴったりとナギニの後ろをついて回るようになった。

ただし、ナギニは影に入ることだけは断固拒否したため、アスリオン内では――


『完全に背後霊じゃん』


と、ちょっとした話題になった。


そして数日後、リヒトが呑気に笑顔で言った。


「お前ら、めっちゃ仲良くなったなぁ!」


その瞬間、

ナギニの胸にはほんのり殺意が芽生えた。


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