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おじさん道  作者: 西山春登


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26/30

第26話 入浴はリアルタイムで進行している



【午前8時30分〜正午までの出来事。

この話は、この介護施設のあるユニットでリアルタイムに進行する…】


前回までのおじさん道……


(現在、あるご家族様が、午前の入浴介助という最重要ミッション時間に面会されようとしている…)


(俺のタイムスケジュールが。。)

(そして、他のご利用者様の男性拒否という、予測不能な事態も絡んでいる可能性がある…)


(俺は介護士、鈴本。今日はこのユニットで最悪の、長い午前になる…)

おじさんがいかに少しでも嫌われないように生きるのかを問う道。


これぞ『おじさん道』


8:30 am…


通称「中番勤務」……


鈴本さん「おはようございまーす!」(さて、今日は午後から研修。なんとか午前中に入浴介助をせねば!)


(よし…今日の入浴予定は……中之橋さん…千堂さん…原さんに斎藤さんか……)


このメンバーなら、うん。なんとか午前中に!


田中さん「鈴本さん、おはようございます。」


鈴本さん「あっ、田中さんおはようございます!」


田中さん「今日、千堂さんお風呂なんですけど、昨日ギリギリで娘さんから面会のご予約が入って、10時ですって。ただいつものことなんですけど、時間通りにきていただければ…なんですが。」


鈴本さん「でも、今週石田さんリフレッシュ休暇だから、他の日も入浴スケジュール厳しいよねー」


鈴本さん(くそぉぉぉぉっ!)


(こちら鈴本!メンバーを入れ替えたプランはないか検討してくれ!)


(鈴本!男性拒否の利用者さんもいるから入れ替えは無理よ。他の利用者さんも昨日入ったばかりなのに!ってなってしまうわ。なんとか今日で終わらせるしかないのよ。)


(入浴は一人だいたい30分ちょい。ならば1時間の面会を終えた千堂さんを最後の11時過ぎ。最悪11時30分までに……)


(了解!こちらでなんとかするっ!)


ピッ…ピッ…ピッ…


8:46 am…


「あっ…あと肉じゃがとか持ってくかな……


施設の食事だとお父さんの好きなものとかあんまり出ないだろうし、たまには手料理で食べてほしいもんね。


材料あったっけ……今から作れば間に合うよねー。あっ、やっぱり肉じゃがならじゃがいもはやっぱりメークインよね。買い物行ってくるか……」



ピッ…ピッ…ピッ…


鈴本さん「斎藤さーん、ちょっとお散歩いきましょうかー」


斎藤さん「お散歩?どこまでいくの?」


鈴本さん「うん、ちょっとねー。

歩いてうろうろしようかと思って。

斎藤さんも一緒に来ないですかー?」

(斎藤さんは入浴を極度に嫌がる……ちょっと騙すような形になることを………本当に……すまないと思っている……)


ピッ…ピッ…ピッ…


10:14 am…


鈴本さん(ふぅ…中之橋さんに斎藤さん終わり……次は原さんだけど……)

「あの……千堂さんの面会って……」

(くそっ……田中さんがあんな悲しい顔で首を横に振るとは……)




11:02 am…


鈴本さん(くそぉぉっ!何をしてるんだ千堂さんの娘さんはっ!!)


娘さん「ごめんなさーい!ちょっと、肉じゃが用のメークイン買い足してて!お父さん、これ差し入れの肉じゃがよー」 


田中さん「ありがとうございます。お昼ごはんと一緒に提供しますねー」


鈴本さん(まずい。田中さんの笑顔があんなに引きつっている。)


娘さん「あら、お父さん、まだお風呂入ってなかったの?じゃあ、ご飯の前に、お願いできるかしら?」


鈴本さん(待て…!『ご飯の前』とはどういう意味だ!?)


(考えろ……考えるんだ……鈴本っ!彼女の要求を分析しろ!)


(パターンA。面会をせず『今すぐ』入浴。 娘さん。。あなたは今、肉じゃがを持って面会に来たばかりじゃないのか!? ろくに会話もせずに風呂へ連行してもいいと言うのか!?)


(パターンBの場合。面会をした『後』に入浴する。 千堂さんの面会はいつもの流れなら最低でも30分ほど。そこから入浴介助30分…。 完全に昼食の時間は過ぎている!俺の研修はどうなる!?)


鈴本さん(無理だ!どちらに転んでも……ミッション失敗だ!!

くっ・・・申し訳ございません・・・大統領。。)


飯塚さん「こんにちはー。ご面会もあるし、もうお昼も近いんで。お風呂は午後からにしましょうか?

ねー?千堂さん?私と一緒に入りましょうね」


千堂さんもニコニコと頷いている。


鈴本さん(あぁ……飯塚さん、ありがたい。。なんて助け舟だ……)


ピッ…ピッ…ピッ…


スタッフルームにて……


飯塚さん「いやー鈴本さん、入浴介助お疲れ様!まるで大統領でも守るくらいの勢いだったね!」


鈴本さん「は…はい…飯塚さん、入浴介助ありがとうございます……それじゃあ研修、行ってきます…」


飯塚さん「あの時間に来られたら、もう無理だって。ケアマネから言ってもらおうかな……とりあえず研修、いってらっしゃい。」


鈴本さん「はい、ありがとうございます。行ってきます。」



(おれは介護士の鈴本。遅ればせながら只今、24 -TWENTY FOUR-にハマっている……)


ピッ…ピッ…ピッ……

あけましておめでとうございます。


最後までお読みいただきありがとうございます。

おじさん道 第26話「入浴はリアルタイムで進行している 」でした。


なんだかんだで始めたおじさん道の執筆も

年を越しても続きました。


今年も書き続けられるようがんばっていきます。


更新は毎週金曜日の23時です。

今後ともよろしくお願いします。

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