第18話 ジムでの出会い
おじさん道。
これはただ存在するだけで嫌われる存在のおじさん。
そのおじさんをいかに少しでも嫌われないように生きるのかを問う道。
剣道、柔道、茶道に華道。武士道、騎士道。
それぞれの道はあれど、この令和の世に心密かに新たな道を切り開く!
これぞ、『おじさん道』
鈴本さん「タオル、落ちましたよ」
「あっ、ありがとうございます。助かります。」
鈴本さん(うわっ…なんかすごいいい声!
それになんだろう…?今のどこかで聞いたことあるような。。
不思議な感覚だな。これがあやかが前に言ってた『イケボ』ってやつ?!)
しばらく経って……サウナにて。
イケボさん「あっ、先ほどはどうも」
鈴本さん「いえいえ。」
(あっ、さっきのイケボの人。初対面の人に話しかけられるのちょっと苦手。。
てか、黙っとくのもあれだし…どうしよう…)
鈴本さん「あの…よく……来られるんですか?」
イケボさん「えぇ、たまーに。月3、4回ってところですけど、
時々お風呂とサウナだけ入りにも来ますけどね。」
鈴本さん「あー、私もそうなんです!やっぱり足伸ばして入るのってなんか違うんですよね。」
(やっぱりなんかいい声してるーイケボだ。イケボ。)
イケボさん「わかります!ちょっとの違いなんですけどね。
あとサウナ。ほら、人によりますけど今ってスマホばかり触るじゃないですか。
ここだと触れないから、考え事とかするのに実にちょうどいい。」
鈴本さん「あっ、そこもわかるかもー私もポイ活とかで。
こないだなんか娘に『必死だね』って言われちゃって。」
(なんか妙に共通点多いな。よかった。怖い人じゃなくて。)
イケボさん「娘さんからしたら必死に見えたんでしょうねぇ。
あっ、申し遅れました。私、戸田っていいます。
ジム仲間でサウナ仲間ということで、よろしくお願いします。」
鈴本さん「いえ、こちらこそ。申し遅れました私、鈴本って言います。」
戸田さん「鈴本さん……いやぁ、何度かお見かけはしてたんですが、
こうやってお話するのは初めてですね。
こないだヨガのレッスン受けてらっしゃいましたよね……?
私もあの日、参加してて。」
鈴本さん「あっ…見られてましたか。恥ずかしいな。。
(えー、ヨガあの時しかやってないから、絶対転んだ日じゃん。話題変えたい……どうしよう……そうだ!)
戸田さん、すごい柔らかい話し方をされますね。
自分の滑舌が悪過ぎて、利用者さんに伝わってるのかな…なんて思う事があって。」
戸田さん「利用者さん…?」
鈴本さん「あっ…私、介護の仕事してて。
といっても、この年でまだ新人なんですが……
それで普段からいろんな人の声のかけ方とか話し方を参考にさせてもらう癖がついてしまって……」
戸田さん「あぁ…なるほど…」
鈴本さん「ごめんなさい。すごいイケボだななんて。
あっ、イケボって言葉も娘から最近教わりまして。」
戸田さん「イケボですか…なんだかうれしいですね。ありがとうございます。
話し方でしたら、自分が思ってるよりゆっくり話す。
ってのは少し意識してるかも……やっぱり話すってわりと急いで話してる事が多いので、
ゆっくりな方が伝わりやすいってのはありますね」
鈴本さん「あー、そうなんですね!確かに自分の話すスピードって考えた事ないかも。」
戸田さん「鈴本さんのお仕事の参考になるかわかりませんが。」
鈴本さん「いえいえ、ありがとうございます!意識してやってみます」
戸田さん「ははっ、それではお先に。」
鈴本さん「はい、また今度。」(話してみたら気さくな人でよかったー。)
とあるスタジオ。
ディレクター「じゃあ、戸田さん。セリフちょっと長いけど、一度録るから、その後何パターンかお願いね」
戸田さん「はい!よろしくお願いしますっ!」
ディレクター「はいっ!スタートっ!」
戸田さん「(かなりイケボで)秋はおいしいものがたっぷり。ついつい食べ過ぎちゃうあなたに。
このお薬、助かります。胃痛•胸やけ、食べ過ぎに……江戸製薬のパンシオン」
ディレクター「はい、オッケー!」
帰り道
鈴本さん(あっ、かおりさんからLINE。
『ひろき、食べ過ぎたみたいだからパンシオン買ってきて』って。
またおつかいか。。ひろきのやつ、大丈夫かな。。
パンシオン、こないだも広告動画に出てたな。)
(なるべくイケボで)「このお薬、助かりますっ!胃痛、胸やけに江戸製薬のパンシオン」
(やっぱりイケボの戸田さんやCMの人みたいにはいかないなー)
最後までお読みいただきありがとうございました。
おじさん道 第18話「ジムでの出会い」でした。
年取ると知り合いは増えますが、友人ってのはなかなかできないもんですね。
あっ、おれ、そもそも友達いなかった・・・
更新は金曜23時です。
今後ともよろしくお願いします。




