10.黒の同胞団_後
『数時間後』
トンテンカン トンテンカン
ローグ「あらららら?姉さんじゃないすか?何やってるんすか?」
女海賊「剣士と未来探してんの?」
ローグ「え?どう見ても安い武器屋にしか見えやせんが?」
女海賊「うっさいなぁ…あんた仕事は?」
ローグ「これから輸送船の取引っすね」
女海賊「あっそ…」
魔女「これ歩くのが早いぞ…もうちっとゆっくり…ん?女海賊では無いか」
女海賊「あ!!魔女!!千里眼で剣士の居場所分かんない?」
魔女「千里眼!!ダメじゃ見えぬ」
女海賊「そっか」
魔女「狭間の中に居ったら見えんでなぁ」
女海賊「あーそういう事ね…まぁ良いやもうちょい待つ」
ローグ「姉さん…取引が終わったら又寄りますんんでちぃと失礼しやす」
女海賊「剣士見つけたら探してるって伝えて」
ローグ「分かりやした…魔女さん行きやすぜ?」
魔女「ゆっくり歩け…わらわは子供じゃぞ?」ノソノソ
ローグ「へいへい…」
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女海賊「お!?どう白いマントの親子は居ない?」
村人「済まんですわ…皆知らん言うもんで」
女海賊「まぁしゃーないね…ほんでこれ作った武器」
村人「これ全部もろうて良いんじゃろうか?」
女海賊「どうせ要らない道具から作ったんだし皆に配ったら?」
村人「これだけありゃぁ志願兵に行けるかも分からん」
女海賊「志願兵?」
村人「なんや村の中央でエライ高給で志願兵募っとるんですわ」
女海賊「なんだそういう事か…じゃ防具も居るね」
村人「防具も作れるのじゃろうか?」
女海賊「軍隊ガニの甲羅で出来るよ…革ひもあればすぐ作れる」
村人「作って貰えるなら村の秘伝のニンニクを持ってくるで?」
女海賊「ニンニク…」
村人「このニンニクは高く売れるんじゃ」
女海賊「まぁ良いや…作ったげるから材料持って来て」
村人「防具とニンニクじゃ釣り合わんかも知らんがそれぐらいしか無いのじゃ」
女海賊「早いとこ探し人見つけてくれりゃそれで良いよ」
村人「お姉さん良い人じゃなぁ?婿は要らんか?」
女海賊「あのね…探し人は私の旦那と子供なの」
村人「なんと逃げられたんかいな…」
女海賊「いやそうじゃない…」
村人「済まんのぅ…口が滑ってしもうた…わしは口が軽るーてイカン」
女海賊「もう良いから早く材料持って来て」
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ちょっと待て…あそこに居るの
ヤバイ!道変えるぞ…アレはお頭の…
女海賊「おいおい…聞こえてんだよ」
海賊1「へ…へい」
海賊2「ぁぁぁ…」
女海賊「なんかさぁ…皆して私避けてくんだけどイライラすんだよね」
海賊1「ここで何をされて居るのですか?」
女海賊「見りゃ分かんじゃん?」
海賊1「安物の武器を高く売りつけているのですね…ハハハさすが」
女海賊「ちょい待ち…これの何所が安いっての?」シャキーン
海賊2「ひぇぇぇ…」
女海賊「ちゃんと研いだらあんたのパンツくらい簡単に切れるんだよ」スパ
海賊1「そ…それはどのような材料で?」タジ
女海賊「鉄に決まってんじゃん」
海賊1「ハハハ…」
タッタッタ
村人「ニンニクを持って来たんじゃがどうすりゃえーかのぅ?」
海賊1「ニンニク?」
女海賊「うわ…一杯あんね…どーすっかな」ジロリ
海賊1「は…運んでおきましょうか?」タジ
女海賊「助かる!!お姉ぇの船に積んどいて」
村人「お知り合いじゃろか?」
女海賊「まぁ通りすがりだよ」
村人「ニンニクの秘密も教えとかんとイカンなぁ」
海賊2「ニンニクの秘密…」
女海賊「あんたらさぁ…早くそれ運んどいてよ」
海賊1「へ…へい!!」スタコラ
海賊2「よっし!!」スタコラ
村人「そのニンニクには退魔の効果があるんじゃ…魔物が寄り付かん…えーじゃろう?」
女海賊「そうなんだ?」
村人「第3皇子が大好物でな?いつも買い入れに来て居ったんじゃ」
女海賊「誰それ?」
村人「あああああイカンイカン秘密じゃった…」
女海賊「あんた口軽いんだね?…ほんで誰?」
村人「ここだけの秘密にしといてくれや?実はセントラルの第3皇子は生きて居るんじゃ…秘密やで?」
女海賊「知らない人だなぁ…」
---確か10年くらい前に死んだ筈の皇子だ---
---エルフゾンビの弟に当たる---
---ハーフエルフの可能性が高い---
---そういえばエルフゾンビの生みの母は何処行った?---
---思い出して来たぞ---
---第3皇子が戦士した後に第1皇子と第2皇子が動いた---
---歴史をこの3人の皇子が動かしている---
『貨物船』
ザブン ザブン
女海賊「はぁはぁ…」ドドドド
女戦士「む?見つけたのか?どうしたのだ?慌てて…」
女海賊「お姉ぇ…ちょっと気になる情報聞いてきた」
女戦士「言って見ろ」
女海賊「商人は?」
女戦士「飛空艇の中を掃除している」
女海賊「人に聞かれるとマズいかも…飛空艇の中で」
女戦士「分かった」
『飛空艇』
ドタドタ
商人「ああああソコ踏まないで」
女海賊「商人!あんたのノートに昔の事記録してたよね?貸して」
商人「君に分かる事なんて書いて無いよ」
女海賊「まぁ良いや…質問に答えてね」
商人「なんだよ急に…」
女海賊「さっきちょっと気になる話を聞いてさ…」
女戦士「早く言え」
女海賊「セントラルの第3皇子が生きてる」
女戦士「んん?流れ矢に当たって戦死したと聞いたが生きて居ると?」
女海賊「そん時の記録とか第3皇子の特徴とか何か情報無い?」
商人「うーん…」パラパラ
女戦士「3人の皇子の中で一番有能だったらしいな」
女海賊「それから母エルフは何処に行ったとかなんか情報無い?」
商人「またローカルな話だね…そんなのある訳無いじゃないか」
女戦士「しかし第3皇子が生きていたとして何を想定しているのだ?」
女海賊「私らとんでもないミスしてるかも」
商人「え?…続けて」
女海賊「結論から言うよ?エルフゾンビは敵…そして第一皇子も敵の可能性」
女戦士「なんだと?」
良く思い出して
エルフゾンビは魔女と婚約していた
第一皇子は結果的にフィン・イッシュ女王と結婚しそう
これは北の大陸の覇権の全部を握る事になる
全部10年以上前から計画されてんじゃない?
そして第3皇子は戦死ではなくて身を隠すために戦死した事にした
女戦士「まぁスムーズな繋がりでは無いが可能性は有りそうだな」
女海賊「エルフゾンビはいつも単独行動で数日行方不明になるのは理由があると思う」
商人「んー」
女海賊「エルフゾンビだけシャ・バクダの精霊樹んとこ行くのもなんかあやしい」
商人「そういえば黒の同胞団関連とは関わろうとしないね」
女海賊「前の100日の闇の時だって始めに戦死したのは第3皇子でそのあと第1第2皇子が報復戦争を始めたのがきっかけだよ」
女戦士「…」
女海賊「私ら3人の皇子の行いに振り回されてるって訳」
商人「もしかして3人は協力関係かな?権力抗争だと言うのは嘘?」
女戦士「もし第1皇子が敵だとするとマズイな…フィン・イッシュの軍隊は全権握られている」
商人「第3皇子が生きて居るとしてその情報がこの辺りで出て来るという事は森の中の軍隊は第3皇子が動かしてるのか」
女戦士「私達の行動に直接の影響は無いと見るがどう思う?」
女海賊「情報が全部筒抜けになってるとしたら?」
商人「女海賊…一つ大事な事を忘れて居るよ…エルフゾンビは夢幻の記憶に導かれている」
女海賊「う…そうか…敵と決めつけるのはダメか」
商人「ただ僕たちが思っていたよりも因果関係が複雑なんだよ」
女戦士「私もそう思うな…第1皇子とは少し話をしたが正義感の強い熱血バカだ…頭が回るとは思えん」
女海賊「思い過ごしなら良いんだけどさ…エルフゾンビがダークエルフ連れまわしてたのもあるし…」
女戦士「確かに奴は用心しておいた方が良いな…今も行方不明だ…しかし大局を左右する様な器ではない」
女海賊「器…気になるキーワード」
商人「勘かい?」
女海賊「分かんない…でも結構当たる」
女戦士「まぁ第3皇子の事は調べておく…お前はまず剣士と未来を探せ」
女海賊「分かった…これ以上私は頭回んないから任せた」
女戦士「それはそうと海賊達が噂しているぞ?お前がニンニクを買い占めているとな?どういう事だ?」
商人「ニンニク?」
女海賊「あいつ等…ダンゴムシの刑にしてやる」
商人「ダンゴムシの刑って何?」
女海賊「ちっと行って来る」バタン ドタドタ
『夕方』
ザブン ギシギシ
ローグ「頭ぁぁぁ帰ったでやんす!!」
女戦士「ご苦労だった…海賊船から荷の移送が始まった…上手く輸送船を取り付けた様だな?」
ローグ「へい…あっしは取引してただけなんでやんすがすんなり行きやした」
女戦士「魔女のお陰か…」
魔女「ハテ?何の事かのぅ?」シラジラ
ローグ「ところで姉さんは何処に行ったんでやんすかねぇ?見なくなったもんで…」
女戦士「さぁな?」
犬「グルル…わん!」
ローグ「危ねぇでやんす…どっかから野良犬が紛れて来たでやんすね?」
剣士「リリース!」スゥ
子供「リリース!」スゥ
女戦士「おぉ!!良く戻った…随分汚れたな」
剣士「ふぅ…エリクサーあるかな?」
女戦士「あいにくだが切らしている…どうしても必要なら手配しても良いが」
剣士「毒に侵されて居てね…未来も同じだ」
子供「げふっげふっ…」
ローグ「あっしの気球に少し乗ってやすね…持ってきやしょうか?」
剣士「頼むよ…げふっ」ゼェゼェ
魔女「これ待て…毒消しの魔法はあるぞよ?消毒魔法!」ボワー
剣士「知らなかった…未来とそこの子ウルフにもお願い」
魔女「消毒魔法!消毒魔法!」ボワー
女戦士「この子ウルフは拾って来たのか?」
子供「迷子のウルフだよ」
剣士「未来の友達になった様だ」
子供「えへへ…」
剣士「魔女?消毒魔法に必要な触媒は?」
魔女「水とミネラル…そして塩じゃ」
剣士「回復魔法の応用か」
魔女「初歩魔法じゃぞ?主もちぃと勉強せい」
剣士「今覚えた」
魔女「未来や…主はきちんと勉強せい」
子供「うん!!今覚えたよ」
魔女「…」
女戦士「ところで何故毒に侵されている?そのような魔物が居るという事だな?」
剣士「異形の魔物が居るんだ…多分あれは…」
子供「スライムだよ」
魔女「なんと!?絶滅した筈じゃ…病が流行るぞい」
剣士「他にも見た事の無い魔物が居る」
子供「大きな目のぐにゅぐにゅした魔物だよ…」
魔女「ビホルダーじゃな…ちぃと待て…魔術書に記されて居る」パラパラ
魔女「これじゃ…劣化メデューサじゃ」
子供「ん-ーなんかちょっと違うけどそんな感じ」
女戦士「対処は出来るのだな?」
剣士「弱い…ただ毒を撒き散らかす」
女戦士「毒消しを準備する必要が有るのか…」ジロリ
ローグ「ちょ…あっしが調達っすかねぇ?」
魔女「それには及ばぬ…商人が賢者の石を持って居ったじゃろう」
女戦士「海賊に一人づつ持たせておきたいのだ」
魔女「うむ…簡単じゃ…樽に入れた水の中にミネラルと塩を入れ一晩賢者の石を入れておけば良い」
女戦士「毒消しのポーションになるのか?」
魔女「そうじゃ簡単な毒消しじゃ」
女戦士「それで済むのであれば問題無い」
ローグ「せ…せーふ」
女戦士「剣士…もう少し話が聞きたいのだが良いか?」
剣士「構わないよ…未来は少し休ませて」
子供「ねぇ?ママは?」
ローグ「あー未来くん…姉さんはちっと迷子でしてね」
子供「分かる…ママ目と数字で方角追ってるから方向音痴なんだよね」
ローグ「しぃぃぃぃでやんす」
子供「うん…秘密にしとく」
『船長室』
…これがアルラウネ
こっちがスプリガンじゃ
昆虫の事はようわからん
ウルフはどちら側じゃ?
女戦士「ふむ…ひとまずそれらの魔物は中立的な立ち位置なのだな?」
剣士「そうだね…多分敵も味方も関係なしで襲って来る」
女戦士「ではやはり明らかに知性を持って争って居るのがエルフ達とキマイラ勢か…」
魔女「人間はどうなって居る?」
剣士「動物達が言うには数日程前に北の方へ移動したらしい…理由は分からない」
商人「今の話で系統図作ったよ…見て」
魔女「三つ巴に見えるのぅ」
商人「エルフ側にトロールとドラゴン…それからウルフもこっち側な気がするな」
魔女「キマイラがよーわからんな…ケンタウロスもエルフ側では無いのか?」
商人「うーん…現場に行かないと分からないかぁ」
女戦士「スライムとビホルダーは中立と見て良いのか?」
剣士「守備的に動くからキマイラ勢だと思う」
女戦士「守備?守っているという事か?」
剣士「多分…追いかけては来ない…命令されているのか目的を持って居そうだ」
女戦士「この地図で位置は分かるか?」
剣士「うーん…頭の中では分かるけど地図だと何処なのか…」
女戦士「仕方あるまい…しかし予測より随分と敵が多いな」
剣士「争いに加わらないように動けば厄介なのは毒だけに思う」
魔女「ドラゴンの骸を見つけた様じゃが何にやられたのじゃ?」
剣士「見て居たのか…ドラゴンは捻りつぶされていた…多分ゴーレムという魔物かと」
魔女「ゴーレムは見て居らんのじゃな?」
剣士「見ていない」
女戦士「察するに北へ向かったと考えて良さそうだな」
剣士「うん…倒木の跡が北の方へ続いてた…きっと北に向かった筈」
魔女「やはり事が済んだ後じゃろうな…黒の同胞団の隠れ家はもぬけの空やも知れんぞ?」
女戦士「北への追撃は海賊では無理だ…その後の動きは考え直す必要がある」
剣士「ところでホムンクルスは?ドラゴンの事で気付いた事があるんだ…」
商人「ホムンクルスは…」
魔女「眠りについた様じゃ…今はエリクサーに浸かっておる」
商人「…」
剣士「そうだったのか…」
魔女「ドラゴンで気付いた事とは何じゃ?」
剣士「ドラゴンの血はホムンクルスと同じ匂いがする…何か知って居るんじゃないかと」
魔女「はるか昔に精霊が創造したらしいがドラゴンもホムンクルスと同じ人工生命体とな?」
剣士「ドラゴンの牙だけ採取してきた…中に血も入って居るよホラ?」
サラサラサラ
剣士「あれ!?血が入って居た筈なのに…砂になってる」
魔女「むむ!!それはホムンクルスと同体の証拠やもしれん」
商人「砂と言うか灰だね…集めて保存しておく…きっと貴重品だよ」
魔女「ホムンクルスは居らん故鑑定するのであれば女海賊じゃろうな」
女戦士「私に見せてみろ…」
剣士「はい…」ポイ
女戦士「軽いな…何の金属なのか…」
商人「ん?牙だから骨の類でしょ?」
女戦士「うーむ骨にしては熱の伝わりが早い…金属に近いから研磨してみたくなる」
剣士「僕には不要な物だから女海賊と女戦士で分けて…はいもう一本」ポイ
女戦士「よし…早速研磨する」
『飛空艇』
剣士「ホムンクルスが浸かっているエリクサーってこれだね?」
商人「…そうだよ」
剣士「どうして眠りに?」
商人「…」
剣士「まだ聞きたい事が合ったんだよ…森の声がおかしいんだ」
魔女「それは他の者には答えられそうに無いのぅ?エルフに聞けば良いのかもしれんが…」
剣士「魔法が急に弱くなったのも理由が分からない」
魔女「む?森の中でまだ魔法が使えるのか?」
剣士「魔女は何か知ってる?」
魔女「電磁パルスじゃったか?とにかく魔結界の様な物に覆われてしもうたのじゃ」
剣士「魔法が何かと干渉して散らばってしまうんだ」
魔女「ではやはり使えぬと思った方が良いな?」
剣士「うん…解決方法は無いのかな?回復魔法が使えないのがね…」
魔女「わらわも模索して居るが有効な魔法は物理系だけじゃと思うておる」
剣士「隕石とか?」
魔女「そうじゃ…しかし手間がかかる上に特殊な触媒も必要じゃ…今回の作戦での運用は厳しかろう」
剣士「うーん戦い方考えておかないとなぁ…」
魔女「主の口ぶりからして森の上空で爆発があったのは察して居らん様じゃが気付かんかったんか?」
剣士「爆発?」
商人「夜が一瞬で昼間みたいに変わるぐらいの爆発」
剣士「え!?爆発だったのかな?あちこちでトロールが暴れていると思ってた…その後から森の声が止んだ」
商人「アレに気が付かないという事は森の下は相当深いんだね」
剣士「ホムンクルスはいつ目覚める?」
商人「あぁ…実は…」
魔女「いつ起きるか分かると思うんか?」
剣士「ハハそうだね…まぁ良いか今度で」
魔女「疲れて居るのじゃろう…ゆっくりさせよ」
商人「…」
剣士「じゃぁ少し休むかな」
魔女「剣士や…ちと遊ばぬか?」
剣士「魔女と?何しようって言うの?」
魔女「外に出てわらわの杖を避けてみよ…来い」
剣士「魔女の攻撃は避けられない…受け止めるじゃダメかな?」
魔女「イカン…全部避けるゲームじゃ」
剣士「僕は避けるだけで良い?」
魔女「うむ…行くぞよ?」ノソーリ
スカ スカ ポカ
剣士「あたた…見えないんだよ」
魔女「全部避けよと言うたじゃろう…もう一度じゃ」ノソー
スカ スカ スカ
剣士「ふぅ…」
魔女「さすがじゃな…ラグスイッチを3度使うとは」
剣士「うん…コツが分かって来たんだ」
魔女「遊びは終わりじゃ…休んで良い」
剣士「ん?何かの修行だった?」
魔女「気にせんで良いぞ?あ…そうじゃ主の嫁が何処かへ彷徨っとるで探して参れ」
剣士「あ!!マズイな…先に声掛けとかなきゃいけなかった」
魔女「うむ…」
剣士「行って来る!!」タッタッタ
魔女「ヤレヤレ…」
商人「魔女…今のは」
魔女「ほう?主が気付くつとはのぅ…」
商人「次元の入れ替え…」
魔女「否定してはならん…剣士の次元に乗れば良い…直に調和するで」
商人「それが勇者…」
魔女「そうじゃ」
『漁村』
ホジホジ グリグリ
子ウルフ「ガウルル…わん!」
子供「あ!!居たぁぁ!!」
女海賊「はっ!!」キョロ
子供「ママーーー!!探してたんだよ」
女海賊「未来!!良かったぁぁぁ…剣士は?」
子供「船にママが居ないから探しに行ったよ」
女海賊「私を探してんの?剣士が?」
子供「今度パパ探さないと」
女海賊「千里眼使えばすぐじゃん…なんでこんな遅いの?」
子供「ママは何してたの?」
女海賊「お!!良い事聞くね…ここにさぁアリの巣があんだよ」
子供「うん…」
女海賊「こっちにダンゴムシ居るじゃん?どうやって通ると思う?」
子供「ねぇママ…もしかしてずっとこれ見てたの?」
女海賊「なんでさ?」
子供「それじゃ千里眼でも見つけられないって…」
女海賊「…」
子供「パパ探しにいこ」
女海賊「あんた賢くなったね?」
子供「どっちに行けば良いかなぁ…」
子ウルフ「わんっ!!」
女海賊「この子ウルフは?」
子供「友達さ」
女海賊「乗れる?」
子供「ママが乗ったらダメだよ」
女海賊「ほんなん分かってるって!!あんたが乗るの?」
子供「普通は友達に乗らないよ」
女海賊「ほーん…」
子供「ほーんってさ…ママはパパ探さないの?」
女海賊「探し疲れたんだよ」
子供「パパも帰って来て休まないでママ探してるんだよ」
女海賊「千里眼でさっさとさぁ…」
村人「あそこじゃ…あそこで穴掘っとる」
剣士「どうも案内ありがとう」
村人「いやいやお世話になったで良いんじゃ」
子供「パパだぁ!!」
剣士「やっと見つけた…ニンニクの匂いで分からなかったよ」
女海賊「おっそい!!」
剣士「ニンニクの匂いは君の匂いじゃないと思ってここには来なかったんだ」
子供「ママどうしてこんなにニンニク臭いの?」
女海賊「魔物除けになるって聞いたから持ち歩いてんだけど…あんた魔物?」
剣士「ハハ半分魔物かな…帰ろうか」
女海賊「腰にニンニクぶら下げるのやっぱマズイかな?」
剣士「ま…まぁ良いんじゃない?」
女海賊「臭う?」
剣士「君の匂いが消えるくらいにはね…」
ところでさ…ドラゴンの牙を持って帰ったんだ
え!!マジ?今ある?
女戦士に渡した
なんでお姉ぇに先に渡すのさ!!
2つあるから心配しないで
よし!ダッシュで帰るよ
ママ疲れてるんじゃないの?
うっさいな!ちゃんと付いて来て
『貨物船』
ワイワイ ガヤガヤ
見ろ!お頭の妹分が帰って来たぞ
普通にしてろ普通に
ワイワイ ガヤガヤ
魔女「おぉやっと帰って来たか」
女海賊「何この騒ぎ?」
魔女「海鮮バーベキューじゃ…主らも食え」
女海賊「おぉ!!お腹減ってたのさ…お姉ぇは?」
魔女「ローグと一緒に飲みに出ておる」
女海賊「え!?又お酒飲みに行ったの?」
魔女「止めたんじゃがローグが言う事聞かんくてな…まぁやらせておけ」
女海賊「ぬぁぁドラゴンの牙を見たかったのにさぁ…」
魔女「船長室を探してみよ…そこで眺めて居ったでな」
女海賊「おけおけ!!取って来る」スタコラ
子供「ウルフは貝とか食べるのかなぁ?」
魔女「腹を壊すやも知れんぞよ?飛空艇にシーサーの肉が有ったじゃろう…それで良いのでは無いか?」
子供「おいで!!」
子ウルフ「がう!!」
魔女「剣士は何が良いじゃろうのぅ…」
剣士「適当に済ませるから気にしないで」
魔女「女海賊がニンニクを仕入れて居ったな…食ってみんか?」
剣士「ハハ程ほどに…」
魔女「明日の朝に森の方へ出立するから今日は休めと言うて居った…自由で良い」
剣士「あの海賊達は?」
魔女「森へ行く者は今日この船に集まって居るのじゃ…指揮伝達じゃろう」
剣士「じゃぁ横になるのは飛空艇が良さそうだね」
魔女「うむ…船長室と飛空艇には誰も来んで安心して休め」
タッタッタ
女海賊「取って来た!!これ片方磨いてあるけど…お姉ぇがやったの?」
魔女「そうじゃろう…研磨する言うておった…何か分かるか?」
女海賊「主成分が銀だね…重さ的にミスリル銀に近い…ほら?」カチン
コーーーーーン
魔女「ほぅ…良い音が鳴るのぅ?」
女海賊「ドラゴンって金属で出来てんの?どゆ事?」
剣士「だから気になって持って帰って来たんだよ」
女海賊「これ叩いて引き延ばすのはなんかもったいないなぁ…何に使おう」
剣士「そのままアクセサリーにするのは?」
女海賊「でかすぎ」
魔女「無理に使わんでも良いじゃろう…そのまま置物でも良いと思う」
女海賊「まぁ思いつくまで置いとく」
『飛空艇』
女海賊「こっちに居たんだ…バーベキューは食べた?」
商人「もうお腹いっぱいだよ」
女海賊「あんたなんで引きこもってんの?」
商人「向こうは僕よりずっと大きな人が一杯だからさ…なんか仲間に入りにくい」
女海賊「海賊共か…そっか体が小さいと肩身狭いのか」
商人「まぁそんな所だよ…いつもは盗賊が幅を利かせてくれてたんだけどね」
女海賊「盗賊の極意はこうだ!!とか言って?」
商人「そうだね…僕には真似が出来ない」
女海賊「未来は何処に行ったか知らない?」
商人「奥で子ウルフと一緒に寝てるよ」
女海賊「私もちっと寝るかな」
商人「明日は早いから寝て置いた方が良いね」
女海賊「あんたはまだ寝ないの?」
商人「僕はいろいろ調べ事さ…君が言ってた第3皇子の事とかね」
女海賊「新事実なんかある?」
商人「んー不思議なのが母エルフの事が一切触れられていない事ぐらいかな」
女海賊「ハーフエルフって事を隠したんかな?」
商人「どうしてだろうね?王室がその辺りを隠してるんだよね」
女海賊「セントラルはなんかそんなんばっかだね」
商人「うん…こういう情報は多分アサシンが詳しいと思う」
女海賊「ふぁ~あ…政治関係の話は苦手…寝る」
商人「あ!女海賊…」
女海賊「ん?」
商人「想像妊娠ありがとう」
女海賊「え?」
商人「君のお陰で希望が持てた」
女海賊「何の話?」
商人「いや…想像妊娠って本当にあるんだなってさ」
女海賊「あんた馬鹿?」
商人「ハハ…まぁ良いや…おやすみ」
女海賊「むにゃ…」
『早朝』
ガレー船は先行して目標の位置までの安全を確保
続く輸送船は到着後にキャンプ設営に入れ
キャベラル船は本日待機…明日の朝出発する事
では各自船に乗り込み作戦を開始しろ
ドタドタ ドタドタ
商人「女海賊…起きて!!剣士も!!」
女海賊「う~ん…むにゃ…まだ暗いじゃん」
商人「もう作戦始まった…女戦士とローグは動いてるよ」
女海賊「私ら飛空艇で先行すんだっけ?滝まで30分掛かんないよ」
商人「先に行って桟橋を作るらしい」
女海賊「木材は輸送船に乗ってんじゃん」
商人「それはキャンプ設営用だよ…桟橋の木材は現地調達だ」
女海賊「もしかして私らだけで桟橋作るん?」
商人「そうだよ…昼までに完成しないとキャンプ設営が遅れる」
女海賊「マジかよ…何で先に教えてくんないの」
商人「あー君は外に出てたのか…作戦の概要は昨日展開されたんだ」
女海賊「まぁ良いや…ほんで今出発する感じ?」
商人「うん…女戦士とローグが来たら即出発」
女海賊「おけおけ…炉を暖めるからどいて」シュゴーー
ローグ「頭ぁ…歩けやすか?」
女戦士「あぁ済まんな…」ヨロ
女海賊「お姉ぇ…もう行く?」
女戦士「出せ…ふぅ」
女海賊「又お酒飲んだん?」
女戦士「少しのつもりだったのだがな…」
女海賊「30分で到着だけど横になってて」
女戦士「済まん」
女海賊「商人!?ロープほどいてもらって良い?」
商人「これだね?」
女海賊「緩んだら外にぶん投げておっけ」
商人「…」シュルシュル ポイ
フワフワ シュゴーーーー
『河口の上空』
ヒュゥゥゥ バサバサ
ローグ「いやぁぁ飛空艇はやっぱ良いっすねぇぇ…早いわ広いわ暖かいわ」
女海賊「ローグ!剣士も起こしてよ」
ローグ「剣士さんは寝てるんじゃなくて瞑想っすね…あっしが何やっても起きんでやんす」
女海賊「私らだけで桟橋作るって出来るん?」
ローグ「ずっと使う桟橋じゃないもんすから真っ直ぐな木を流れて行かん様にすれば良いんすよ」
女海賊「重たい物運ぶの嫌なんだけど」
ローグ「少し上流で木を倒して川に入れれば良いでやんす」
女海賊「なる…ロープは?」
ローグ「ロープの代わりになりそうなツタなんかいくらでも有ると思いやす」
商人「全部現地調達するんだね」
ローグ「そーっすね…場所の選定が一番重要っすかね」
商人「川は割と深さがありそうだったから自由度高いとは思う」
ローグ「流れっすね…あんまり流れが複雑だと船が乗り上げちまいやすんで…」
商人「その選定は分かる人が決めた方が良い…ローグ分かる?」
ローグ「いいえ…わかりやせん」
女海賊「ぶっ…あんたさぁ!!知った口聞いてて分かりませんてどういう事よ?」
ローグ「聞いた話なもんで…盗賊さんなら分かると思うんすけどねぇ」
魔女「騒がしいのぅ…話を聞いて居ったら阿呆過ぎて呆れるわ」
商人「ハハまぁ僕が決めるよ…水の流れ方は後で変えるという手もある」
魔女「うむ…それで正解じゃ…何か有っても応用で何とかするもんじゃしの」
女海賊「ほんで…冷たい川ん中に誰が入んの?」ジロリ
ローグ「もしかして…あっしでやんすかね?」タラリ
魔女「ゆうべはさぞ楽しかったろうのぅ…?」ジロリ
ローグ「いやいやいや…そーっすね!あっしが入りやす」
商人「こうしようか…クロスボウのボルトにロープ付けて置いて流れて来た木を手繰り寄せよう」
女海賊「お!?面白そう…それ私やる」
商人「木を切って来るのは剣士が良さそうなんだけど…起きないかな?」
女戦士「キコリは任せろ…私が斧を持って居るからな」
商人「じゃぁ残りの人でツタの確保かな」
魔女「罠魔法でツタを成長させられるかも分からん…試してみたい」
商人「それが出来るなら桟橋は一瞬で組み立てられる…期待だよ」
女海賊「役割決まったね?もう到着するから準備して」
『滝の周辺』
フワフワ ドッスン
ローグ「明るくなってきやしたね?」
女戦士「ふむ…良い場所だ」フラ
女海賊「お姉ぇ大丈夫?フラフラしてんよ?」
女戦士「毎度の事だから気にするな…私は早速少し上流を見回って木を倒してくる」
女海賊「なんか一人で行くの大丈夫かなぁ…」
子供「ふぁ~あ…ここ何処?」ノビー
女戦士「お?丁度良い…未来を連れて行く」
子供「ん?」
女海賊「おけおけ…それなら安心」
女戦士「未来…少し散歩だ…付いて来い」
子供「え…あ…うん…ちょっと待って」
女戦士「早く支度しろ…置いて行くぞ」
子供「おいで!!散歩だってさ…行くよ」
子ウルフ「がうがう…」
女戦士「ウルフか…魔物除けに丁度良いな」
子供「おっけ!行けるよ」スタタ
女戦士「では行って来る…」スタスタ
女海賊「おっし!!ほんじゃクロスボウゲームの準備する」
魔女「罠魔法を試してみるかの…」
ローグ「あっしはどうしやすかね?」
女海賊「あんたは服脱いで川に入る準備!手繰り寄せた木を上手い事運んで」
ローグ「やっぱそーっすよねぇ…トホホ」
商人「マズイなぁ…木が滝の上に引っかかったらどうしようかなぁ…」
女海賊「あんま細かい事気にしなくて良いんじゃね?きっとうまく落ちて来るって」
魔女「罠魔法!」ザワザワ シュルリ
女海賊「お!?魔法行ける?」
魔女「フムフム…直接触って居れば行けるのぅ…空間に魔法を分散させる何かが有るのじゃな…」ブツブツ
商人「魔法は工夫してなんとかなりそうだね」
魔女「ツタで木を結ぶのはわらわがやるで商人は火を起こすのじゃ…寒うてたまらん」
商人「あぁそうする…燃えそうな物が沢山あって良かった」
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『1時間後』
コーン コーン コーン
女海賊「お?キコリの音…お姉ぇミスリルの斧使ってんのか」
魔女「ここに居ますよと言って居る様なもんじゃな?」
商人「魚が焼けたよ…要る?」
魔女「おぉ旨そうじゃ…」ハフハフ
商人「ここは食べ物にも困らない」
魔女「クマが出んと良いな?」
商人「クマ…」
魔女「ウルフが居れば襲っては来んじゃろうが」
ローグ「気を付けて置いた方が良いでやんす…クロスボウじゃクマは中々倒せんでやんす」
女海賊「あ!!来た来た来た…でっかい木が落ちて来るよ」
ザブーン
商人「アハハ迫力満点じゃないか…」
女海賊「手繰り寄せるよ!!」バシュン シュルシュル
ローグ「姉さんで引っ張れやすか?」
女海賊「重い…ぐぬぬ」
魔女「初めに流れ止めを作った方が良さそうじゃな…」
女海賊「もう一個のクロスボウで川の対岸までロープ渡して」
商人「あぁ僕やるよ…」バシュン シュルシュル
魔女「ロープを水面に垂らして張っておくのじゃ…ローグは対岸まで行ってロープを縛りなおして来い」
ローグ「へ…へい…」
商人「次の木が落ちて来る…」
女海賊「ヤバ…これ超重労働かも」
ザブーン
女海賊「ちょい間に合わない…商人!次の木を手繰り寄せて」
商人「ボルトは?」アタフタ
女海賊「そこそこ!!ソレ!!」
商人「当たれ!!」バシュン シュルシュル
魔女「近くまで寄せたらわらわがツタで固定するで次の準備をせい」
女海賊「わーってるよ…ふんがぁぁぁ!!」
魔女「罠魔法!」ザワザワ シュルリ
女海賊「ひぃひぃ…」
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ローグ「ぅぅぅ」ガチガチ
ローグ「そそそ…そろそろ…上がって良いでやんすかねぇ…ぅぅぅ」ガチガチ
女海賊「おけおけ…飛空艇の中で暖まんな!!ウラン結晶に水垂らして良いよ」
ローグ「姉さんが女神の様っす…ぅぅぅ」ガチガチ
魔女「商人!木はこの位置で良いか?」
商人「もう少し向こうに伸ばしたいけどなぁ…」
魔女「これ以上は流れて行ってしまうぞよ?」
商人「2隻分かぁ…まぁ仕方ないか」
魔女「固定するぞえ?罠魔法!」ザワザワ シュルリ
女海賊「あと邪魔な枝落とす!」タッタッタ スパン スパン
魔女「杖になりそうな良い枝は回収してくれるか?」
女海賊「ん?杖欲しいの?ちゃんとしたやつ作ろうか?」
魔女「只の枝で構わん」
女海賊「ふーん」スパン スパン
魔女「手が届かぬ所に罠魔法を掛けたいだけじゃ」
女海賊「なる…そっちに投げるよ?」ポイ
魔女「ふむ…良い杖じゃ…罠魔法!」ザワザワ シュルリ
商人「まぁまぁの桟橋になったね…そろそろ海賊船入って来ると思うんだけどな」
女海賊「お姉ぇ帰って来てないんだけど…言う事聞いてくれっかな?」
魔女「何もせんでも良い様じゃぞ?昨日ちゃんと指示しておったで」
商人「ちょっと飛空艇が邪魔になるかもね…ど真ん中に陣取っちゃってる」
女海賊「寄せるわ…うわ!!熱っつ!!」モクモク
ローグ「生き返りやした…はぁぁぁ気持ち良いっす」
女海賊「ちょい飛空艇動かすからどいて!!熱いなもう!!」
ローグ「へーい…」グター
『昼』
女海賊「あ!!お姉ぇ!!」
女戦士「ローグは何処だ?」
女海賊「シカ担いで降りて来たんだ…どうやって狩ったの?」
女戦士「未来とウルフだ…ローグ!!来い!!シカの解体をやれ」
ローグ「へ~い!!」ドタバタ
女戦士「ほう?良い桟橋になったでは無いか…しかし海賊船の到着が遅いな」
女海賊「迷ってんのかな?」
商人「お~い!!ガレー船が少し下で待機してる」
女戦士「そうか予定通りだな…輸送船が思ったより遅い訳か」
女海賊「迎えに行く?」
女戦士「小舟が無いとどうにもならん…待機だ」
商人「キャンプをどういう風に作るのか分かれば準備くらいは出来るんだけど」
女戦士「それは私にも分からん…海賊達の好きにやらせるのだ…あちらには職人が居る」
商人「建築の職人?」
女戦士「海賊は拠点を次々移しながら生活していてな…キャンプを作る専門が居るのだ」
商人「僕達だけ休んでるのはなんか悪いなぁ」
女戦士「フフ気にし過ぎだぞ…よく考えてみろ…たった数時間で桟橋を用意して家の様な飛空艇まで準備しているのだ」
女海賊「私らこういうのに慣れちゃってるから普通がどうなのか分かんないかもね」
女戦士「その通りだ…普通のスピードではありえない速さで陣地構築したのだぞ?」
商人「胸を張って座ってて良い?」
女戦士「そうだな…海賊の下っ端から見ればこんな豪華な飛空艇に出入りしているお前は特別に見えている筈だ」
ローグ「頭の言う通りっすね…多分参謀に見えてるでやんす」
女海賊「私は!?ムフフ」
ローグ「姉さんはカリスマっすねぇ…あっしらの象徴になっていやす」
女海賊「はぁぁぁ癒される」
ローグ「なんで商人さんにも逆らう海賊なんていやせんぜ?」
女海賊「手配書に極悪人ズラで書かれてたりしてw」
商人「皆僕より体が大きいからさ…何かしてないといけない様に思っちゃうんだよ」
女戦士「気にし過ぎだ…むしろ海賊の馬鹿どもに教育して欲しいくらいだ…金の勘定も出来ん馬鹿の集まりだからな」
ローグ「頭ぁ…子ウルフがこっち見てるんすが骨と内臓は子ウルフにあげやすぜ?」ガシガシ
女戦士「当たり前だ…それは子ウルフの食料だ」
ローグ「そうでやんすか…」
女戦士「食べられない角と硬い骨だけ私達の取り分だな」
ローグ「未来君…切り取った肉を持って行ってくだせぇ」
子供「うん!ありがとう…」
女戦士「さて…私は海賊達が来る前に水浴びをしてくるが…お前も来るか?」
女海賊「え?私?ムリムリこんな冷たい水を浴びるなんて考えらんない」
魔女「わらわも行こうかのぅ…」
女戦士「未来も来い!良い水浴び場を見つけたのだ」
子供「僕も?」
魔女「ウルフも連れて来るのじゃ…クマに襲われたく無いでな」
子供「冷たい水かぁぁ…苦手なんだよなぁ…」
女戦士「良いから来るんだ…お前は臭すぎる」
子供「えええええ…」トボトボ
女戦士「ローグ!!飛空艇の中を温めておいてくれ」
ローグ「へい!わかりやした」
女戦士「では行くぞ…」スタスタ
『1時間後』
ガヤガヤ ゾロゾロ
商人「続々降りて来るね…何人居るんだろう?」
女海賊「ざっと50人かな」
商人「ガレー船からも小舟が出て来てる…あっという間にキャンプ出来そうだ」
女海賊「あんたここで見てる?」
商人「まぁ手伝える雰囲気でも無いしなぁ…見てるくらいしか無い」
女海賊「あのさぁ…なんかあんた恰好が地味なんだよ…だからナメられるんじゃね?」
商人「君みたいに謎のアクセサリーをジャラジャラ付けるのは嫌だよ」
女海賊「んんん…何が足りないのかなぁ…あ!!ドラゴンの牙だ…あれで鍵爪作ったげる」
商人「そんな物どうするんだよ」
女海賊「持ってるだけで良い…謎の鍵爪持ってるだけでハクが出る」
商人「ハクねぇ…」
女海賊「ちょい待ってて」スタタ
トンテンカン トンテンカン
ギコギコ ギコギコ
女海賊「お待ち!!ほい!!」ポイ
商人「はや…」
女海賊「牙の先っぽに鍵爪付けた…ほんでグリップが此処」
商人「これ何に使うの?」
女海賊「なんか引っかける」
商人「なんかって何を想定してるの?」
女海賊「肉とか何でも良いよ」
商人「あのね…ドラゴンの牙をこんな無駄な物の為に使ったの?」
女海賊「もう作っちゃったんだからどうでも良いじゃん!早く持って?」
商人「…」シャキーン
女海賊「イイ!!分かったぞ…それ左手に持って盾の代わりにすれば良い!!」
商人「ヘンテコな形の盾だ…」
女海賊「重たく無いし硬いし…絶対使える!!」
商人「まぁ良いや…ありがたく貰っておくよ」コトン
女海賊「おい!!ちゃんと持ってろって」
商人「…」ジロリ
女海賊「良いから…うん!!様になってる」
商人「ふ~ん」シラー
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女戦士「さすがに冷水は寒い…中は温まっているか?」
ローグ「へい…入って良いでやんす」
女戦士「未来と魔女も中へ」
魔女「うぅぅ寒かったのぉ…」ノソーリ
子供「…」ガチガチガチ
女戦士「入る…」モクモクモク
子供「熱っつ!!」
女戦士「これは良い…ふぅぅぅ」
女海賊「お姉ぇ帰ったね?中に剣士居るんだけどまだ瞑想してる?」
女戦士「居ないぞ?起きたのではないか?」
女海賊「え?マジ?」
ローグ「あっしが入った時も誰も居やせんでしたぜ?」
女海賊「えええええ…どこ行ったのさ」
商人「女海賊!!剣士がクマ引きずって来る」
女海賊「なんだ…狩りに行ってたのか…全然気づかなかった」
剣士「近くにクマが居たから倒しておいたよ」ズリズリ
女海賊「あんたいつの間に起きてたん?なんで声掛けないのさ」
剣士「桟橋作るのに忙しそうだったからね…それよりクマの匂いが気になったんだ」
女海賊「それどうすんの?クマなんか食えないし」
剣士「熊油を採取して薬に使う…回復魔法の代わりだよ」
ローグ「良いっすね…あっしが解体しやすぜ?」
剣士「未来にも教えておきたい」
ローグ「そーっすね…未来くん出て来てくだせぇ」
子供「今行くー飛空艇の中熱すぎる」
ローグ「熊油はこうやって採取するんす…」ザクザク ジョキジョキ
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女戦士「輸送船は予定通り帰った様だな?」
女海賊「そだね…明日又来るん?」
女戦士「うむ…キャベラル船と一緒にここまで来る予定だ」
女海賊「帆船でここまで来れるんかいな…」
女戦士「まぁ来れなくても良いのだ…ここから下流までの安全確保が役割なのだから」
女海賊「ほんじゃあのガレー船4隻が主力か」
女戦士「1隻当たり50人乗っている十分だろう」
女海賊「ガレー船はキャンプに降りないの?」
女戦士「キャンプが整ったら降りて来るぞ…今晩はしっかり休んでもらわんとな」
ローグ「ガレー船に乗ってるのは皆獣みたいな体してるっす…手漕ぎ船はそんな感じっす」
女戦士「ただな…装備がほぼ裸なのだ」
ローグ「北方の海賊っすね…斧盾の裸戦士でやんす」
女海賊「あーあいつ等か見た見た…昨日昼間から漁村で酒飲んで騒いでた」
ローグ「酒と女があれば言う事聞くんすよ」
女海賊「ほーん…それでキャンプに女の人が多いんだ」
ローグ「元は男なんすがね」
女戦士「女に変わりたい者を募ったら沢山居てな…魔女に変身させてもらったのだ」
女海賊「まじか!!」
ローグ「ガレー船の海賊は何も知らんでやんす」
女海賊「こりゃ事件が起きるな」
女戦士「女に変わった海賊も満更では無い様だから放っておけ」
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キーン キーン
剣士「その鍵爪で武器をからめ取れるかもしれないね」
商人「どうやる?」
剣士「ゆっくり行くよ?…ほら鍵爪で剣を受けたらソコで引っ張る」
商人「こう?」グイ
剣士「そうそう…テコの力で丁度引っかかる」
商人「おー偶然とは言え使い物になるか…」
剣士「武器落としたら後は右手の剣で突けば防ぎようが無いね」
商人「そんなに上手く行くかなぁ?」
剣士「見て…この状態で武器を引っかけられると落とさない様に踏ん張る…その間心臓ががら空きだよ」
商人「僕に出来るだろうか…」
剣士「使い方によっては剣を折る事も出来るんじゃないかな?」
商人「よし!練習してみる!!」
剣士「もう一回行くよ…あれ?ちょっと待って…反対方向から切ってもそれで防がれたら引っかかりそうだ」
商人「こうかな?」グイ
剣士「良いね!!じゃぁこの角度は?…これも同じか」
商人「へぇ…なんか分かってきたよ」
剣士「突きでも結局鍵爪に引っかかる…それ片手剣相手にすごい有利だよ」
商人「受けの練習しなきゃ」
剣士「手で受けるのは反射的に体が動くから多分直ぐに上達する…剣で受けるのよりずっと簡単」
剣士「持ち手が牙の中に隠れてるのも良く考えられてるな…ちゃんと返しになってる」
剣士「ちょっと見せて?」
商人「はい」ポイ
剣士「牙の空洞を上手く使ってるんだ…手首で保持出来るからテコが上手く働くのもスゴイ…」
商人「女海賊はそれちゃんと考えて作ったのかな?」
女海賊「んあぁぁ?…」ドテ パチ
商人「起こしちゃったか」
女海賊「呼んだ?つつつ」
剣士「この鍵爪は君が計算して作ったのかって話だよ」
女海賊「あーソレ?アサシンが使ってた暗器を真似たんだよ」
剣士「暗器?」
女海賊「ソレ鍵爪ん所をダガーに差し替えたら暗器になんの…アサシン使ってたじゃん」
商人「へぇ…」
女海賊「あんたにゃ鍵爪で良いよ…暗器なんかどうせ使えないっしょ?」
商人「ハハまぁね…」
女海賊「目ぇ覚めちゃった…ちっと海賊からかって来る」
商人「あまり揉め事起こさない様にね」
---------------
ガヤガヤ ガヤガヤ
俺ぁこないだの村で金どっかやっちまってよ…又振り出しよ
まぁここに居りゃ旨い山に有りつけんだ…今度こそガッポリ稼いで上手く逃げるぞ
しかし良い女が居無ぇのがなぁ…俺ぁ女のエルフ一人当てがってもらえりゃそれで良い
ここだけの話だがな?あそこにある気球ん中にガッポリ宝が有るらしいぜ?
宝より女だ…おい見ろ…アレは海賊王の娘じゃ無ぇか?アレを物に出来りゃ金も女も手に入る
止めて置けアイツはヤバイ…大人しく従っておきゃ報酬はデカいんだ…今は我慢だ
おぅそういや船貰った奴も居たな?俺らよりも働けねぇクセに許せねぇ
だから今は我慢しろ…今度こそガッポリ頂く
ガヤガヤ ガヤガヤ
魔女「これ!!法衣の中を覗くでない!!」ポカ
海賊1「嬢ちゃん下着は履いて無いのかい?にひひひひ…」
海賊2「俺達の寝床はどこだ?」
海賊3「向こうのテントに酒と食い物用意してんだとよ」
海賊4「くぁぁあ…どいつもこいつも薄汚ぇ女ばっかだな」
海賊5「居ないよりマシだろ!早く行くぞ」
女海賊「あっちでもこっちでも女の話ばっか…魔女!!ここ危なくない?」
魔女「海賊はこんなもんじゃろう」
女海賊「まぁそうなんだけどさ…特にこいつら飢えてるっぽい」
魔女「狭い船でオールを何日も漕いでおるから仕方ないのぅ…わらわはこの様な阿呆は割と好きじゃ」
女海賊「マジか…」
魔女「ドツけば言う事聞くでのぅ」
女海賊「馬鹿ばっかりなのは同意…でもなんか裏切られる心配がねぇ」
魔女「報酬次第なのじゃろう?」
女海賊「まぁね…いやぁぁしっかし…どうしてこんなに樽ばっかりのキャンプになっちゃうんだろ」
魔女「うむ…ぐちゃぐちゃじゃな」
女戦士「見回っているのか?」スタスタ
女海賊「あ…お姉ぇも来たか」
女戦士「今日のキャンプ設営は終わった様だな」
女海賊「そだね…皆食事を始めてる」
女戦士「親睦は計らんで良いのか?」
女海賊「色目で見られるから気持ち悪いんだよ」
女戦士「フフまぁそうだな」
女海賊「なんかさぁ…あちこちで悪い話してんだけど大丈夫?」
女戦士「ハハお前がそんな事を気にするとはな…アイツらは底なしの馬鹿だ…酒と女が居れば纏まる」
女海賊「女少ないじゃん」
女戦士「そうか?丁度良いと思うぞ?」
--------------
海賊「姉ちゃんこっちコイや…飲もうぜ」
女1「あーん?誰に口聞いてんだバーロ!!」
海賊「まぁ良いじゃ無ぇか…ここで会ったのも何かの縁よ」グビ
女1「舐めた口聞いてんじゃ無ぇぞ!?俺は男にゃ興味無ぇんだ!!」
海賊「なぬ!?どういうこった?」
女2「ここに居たのか…どうする?もう場所が無いぞ?」
女1「うーーん困ったな」
海賊「おぉ!!そっちの姉ちゃんでも良い!一緒に飲まねぇか?」
女2「んん?お前の知り合いか?」
女1「いや…どうも俺らとヤリたい様だ」
海賊「おぉ!!話が早ぇぇじゃ無ぇか…まぁ2人纏めてでも良いぞ?」
女1「どうする?何処に行っても見られるぐらいなら此処でも良いか?」
女2「まぁそうだな…俺が先に舐める」
海賊「おいおい…何始めようってんだ?待て待て…俺は抜きなのか?」
女1「男に興味は無いと言ってるだろ…黙って見てろ」ハァハァ
海賊「ぬぁぁぁぁ何だこいつら!!おい混ぜろって!!」
ガヤガヤ ガヤガヤ
何かあっちで揉めてんぞ?
女2人がおっ始めたらしい…見に行くぞ
何のショーだ?
金持って来い金!!
ガヤガヤ ガヤガヤ
-----------------
女海賊「ありゃりゃ…事件が始まった…」
魔女「本真に阿呆じゃのぅ…見て居れん」
女戦士「やらせておけば良い…私達は戻るぞ」
女海賊「アレ本当は全員海賊の男達だよね?」
女戦士「そうだ」
女海賊「変身はどのくらい継続すんの?」
魔女「さぁのぅ?個人差があるで分からぬ1年の者も居れば1日の者も居るじゃろうな…どうでも良い話じゃ」
女海賊「あぁぁぁ嫌な物見ちゃった…帰ろ」
魔女「そうじゃな…明日に備えよ」
ガヤガヤ ガヤガヤ
おい見えないだろ!!
ちょちょ…なんでそこで止める!!最後までヤレよ
酒持ってこい酒ぇぇぇ!!
どけ!!代わりに俺がヤル
ガヤガヤ ガヤガヤ
『飛空艇』
商人「目標を修正する…輸送船の速度から考えて隠れ家の推定場所はこっちだ」
女戦士「2日で行ける範囲が狭くなったのか」
商人「ガレー船だと明日の朝出発したとして夕方には現着する筈だよ」
女戦士「では予想を外した場合は更に翌日に持ち越すのだな?」
商人「そうなるね」
女戦士「夜間移動するよりは良い」
商人「もし隠れ家を発見したとして夕方から戦闘となると被害が出そうだけどどうしよう?」
女戦士「避けるべきだ…隠れ家の場所の確定後落ち着いて翌日に上陸させるが無難」
商人「じゃぁ間が空いちゃうな」
女戦士「状況にもよるが私達が先行して上陸経路を確保するだな」
商人「3人かぁ…」
魔女「わらわも行けるぞよ」
商人「魔法無しで?」
魔女「遠距離魔法は使えんのじゃが回復や罠魔法でのサポートは出来る」
女戦士「回復役が居るのはありがたい」
剣士「回復魔法はどうやって?」
魔女「直接触って掛ければ分散が最小限に収まる」
剣士「そうだったのか…」
商人「相手の抵抗次第だけど4人でやるしか無いか」
女海賊「ほんじゃ私は飛空艇から援護射撃って感じ?」
商人「そうだね…僕とローグはクロスボウを撃つ」
女戦士「例の爆弾は十分あるな?」
女海賊「大丈夫大丈夫!1発あたり100メートルくらい吹っ飛ぶから森を裸にすんのは心配しなくて良い」
女戦士「では明日の朝に出発して私達は予定通り空爆を昼までに終わらせよう」
商人「一発で発見できれば良いね」
女戦士「恐らくなのだが…どこかに船が停泊していると思うのだ」
商人「そうだろうね」
女戦士「それが見つかるかどうかだな」
女海賊「船あったら奪っちゃいたいね」
女戦士「うむ…海賊達の士気が一気に上がる」
『翌朝』
…本日は目標までの移動のみだ!上陸は禁止する
現地に到着後船上からの射かけの準備をする事
特に夜間はトロールの出現が懸念される
場合によっては撤退の指示を出す…その場合は速やかにキャンプへ戻るのだ
では作戦を開始する…各自船に乗れ!!
ゾロゾロ ゾロゾロ
女海賊「あ~あ…こりゃ疲れ取れて無さそう…」
女戦士「毎度の事だ」
ローグ「大丈夫でやんす…もう占領後の略奪しか頭に無いっすよ…がっつり働くでやんす」
女海賊「ほんじゃ私達も出発しよっか…乗って!!」
ローグ「あいさー」
『飛空艇』
ビョーーーウ バサバサ
商人「少し高度落として…ホムンクルスが居ないと正確な座標が分からない…」
女海賊「目印は何か無いの?」
商人「滝なんだ…見えないかい?」
女海賊「うーーーん…」
商人「マズイな…時間掛かり過ぎてる」
女海賊「剣士!!匂いとか音で分かんない?」
剣士「高度下げたら速度も落としてほしい…風の音が邪魔だよ」
女海賊「おけおけ…」
女戦士「…しかし森の傷みがひどいな」
ローグ「あちこちで煙がくすぶっていやすね?」
女戦士「霧だと思って居たのだが…すべて煙か」
剣士「西の方角で滝の音!!」
女海賊「お!?転進」グイ
剣士「そのまま2キロくらい先」
商人「分かった!!今ココだ」
女海賊「木しか見えないなぁ…」
剣士「滝の有る場所に何か目印を落とそうか?」
女海賊「何かある?」
魔女「矢に照明魔法を掛けよ…光の矢にするのじゃ」
女海賊「お?イイね」
剣士「照明魔法!」ピカー
剣士「触って居ればちゃんと掛かる…」
女海賊「商人!爆弾の準備して」
商人「この樽だったね?」
剣士「撃つよ…」ギリリ シュン
女海賊「あそこか…全然滝なんか見えない」
商人「どうする?」
女海賊「お姉ぇ!爆撃始めるよ?」
女戦士「まず川を露出させてくれ…目視したい」
女海賊「おっけ!!ほんじゃカウント…3…2…1…落として」
商人「…」チリチリ ポイ
ピカーーーー チュドーーーーン
ローグ「うほほー久しぶりっすねぇ…」
女海賊「あんたも見て無いで手伝って…次!!3…2…1…今!!」
商人「…」チリチリ ポイ
ピカーーーー チュドーーーーン
剣士「川が見えた!!」
女戦士「続けるのだ…もし船が見えたらその周辺を重点的に爆撃するのだ」
女海賊「おけおけ…どんどん行くよ!!3…2…1…今!!」
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------------------
『昼過ぎ』
ピカーーーー チュドーーーーン
女戦士「これほど爆撃されて何も動きが無い…」
商人「予測外しちゃったかな…」
ローグ「船もありやせんねぇ…」
剣士「川の水面ギリギリで飛んでくれるかな?」
女海賊「行って見る」グイ
シュゴーーーー バサバサ
ローグ「姉さん火柱の上昇気流に撒かれないでくだせぇよ?」
女海賊「わかってんよ!!」
剣士「…」
女海賊「何か分かる?」
剣士「滝の方へ!!」
女戦士「見えた!!アレだ…」
女海賊「もう限界!!上昇!!」グイ バサバサ
ドドドドドド
ローグ「うひゃぁ…姉さん!!頼んます…危ねぇのは勘弁して下せぇ」
女海賊「ふぅぅ…滝に突っ込んじゃう所だったね」
女戦士「滝の奥が大きな洞穴になっている…どうやら船はその中だ」
商人「良かった…予測が当たった」
女戦士「これでは上陸し難いな…」
女海賊「滝の裏って事は横から回って入るんだよね?」
女戦士「滝の周りは水流が不安定だ…少し間違うと滝に飲まれる」
女海賊「あーー直接乗り込むのは時間が掛かるって事か」
女戦士「うむ…さてどうする?」
魔女「その洞穴に入るのには船だけなのじゃろうか?」
女戦士「私ならそのように構えるな…守備するには完璧な構造だ」
魔女「徒歩で行けぬ訳か…厄介じゃのう」
商人「滝を塞き止められないかい?」
女戦士「む…」
商人「今滝が落ちている場所を爆弾で変えるんだ…横に少し低い傾斜が出来れば全部そっちに流れる」
魔女「おぉ主は賢いのぅ」
商人「その水は結果的に元の川に戻るから下流に影響は無い」
女戦士「よしそれで行こう」
『滝の上流』
ピカーーーー チュドーーーーン
商人「よしよし…あと2発くらいで川の流れが横に逸れる」
女海賊「これ滝の落ちる場所変えたとして私達がどうやって行く?」
女戦士「先行で行くと船が来るまで帰れなくなる可能性もあるな…」
商人「中の状況知らないで海賊を突入させる訳にも行かないよね」
女戦士「その通りだ…」
女海賊「んんん洞穴ん中を飛空艇で行くとどっかぶつけるだろうなぁ…」
女戦士「それは無理だ…風も無い」
剣士「クロスボウ使ってロープを向こうに渡せば伝って行ける」
女海賊「超危ないじゃん…切れたらドボンだよ」
剣士「下は水だよ…死ぬことは無い」
女海賊「又一人で行くつもり?中に何あんのか分かんないんだからさ…」
剣士「僕と未来はハイディングが出来るよ」
女戦士「ロープを伝うのは海賊の基本だ…私も一緒に行こう」
魔女「わらわはどうしようかのぅ?」
女戦士「私が背負ってやる…帰りのルート確保は魔女の罠魔法が必要になりそうだ」
魔女「ふむ…ツタを出すのは良い案じゃな」
商人「じゃぁ僕らはクロスボウで援護する感じか」
女戦士「ここからキャンプまではハイディングすれば30分かからんな?」
女海賊「ん?どうすんの?」
女戦士「輸送船に私の気球を乗せて来ている筈なのだ…飛空艇と合わせて2台体制にしておきたい」
女海賊「ダッシュで戻ってもう一基気球取って来りゃ良いんだね?…援護射撃無しになっちゃうけど」
女戦士「出来るだけ早く戻って来い…それまでは凌いでやる」
女海賊「おっけ!!」
女戦士「射手は適当に海賊を乗せて手伝わせろ」
女海賊「キャンプで暇してる奴連れてくるわ」
商人「よし…決まったね?」
女海賊「ほんじゃさっさと爆弾落として川の流れ変えよう…いくよ!!3…2…1…落として!!」
商人「…」チリチリ ポイ
ピカーーーー チュドーーーーン
『隠れ家の入り口』
ヒュゥゥ バサバサ
商人「中の船までロープ渡す!撃つよ?」バシュン シュルシュル
商人「よし!!掛かった」
剣士「敵が見える!!」
女戦士「何が居る?」
剣士「多分ダークエルフ…2人!!」
女海賊「ああああ!!撃って来る!!」
シュンシュン スト スト
剣士「僕が先行する!!未来!!背中に乗って」
子供「うん!!」ピョン
子ウルフ「ガウ…」ピョン
剣士「いくぞ…いつも通り合図でハイディングする」
子供「おっけ!!」
シュン バスン!
女海賊「ヤバ…球皮に当たった…早くして!回避出来ない!!」
剣士「行って来る!!」ピョン シュルシュル
女戦士「魔女!!剣士に続くぞ…乗れ」
魔女「怖いのぅ…」ノソノソ
女戦士「私が向こうに付いたらロープを切れ!しっかり掴まれ魔女!!」ピョン シュルシュル
シュンシュン スト スト
女海賊「何やってんのさ応射してよ!!」
ローグ「あいさーー」バシュン バシュン
商人「女戦士が船に乗った!!ロープ切るよ!!」スパ
女海賊「ヤバイなぁ…高度上がんないかも」グイ
ローグ「あっしが上行って応急してきやす…姉さんは早くキャンプ向かって下せぇ」
女海賊「頼む!!商人!!射撃続けて!!」
商人「分かってる…」モタモタ
女海賊「やっぱ人出が足んない…」
ローグ「姉さ~ん!!近くまでガレー船が来てやすね」
女海賊「バッチタイミング!!上手い事援護してくれるの祈る」
商人「ふぅ…良かった」
女海賊「ハイディングするよ?」スゥ
『キャンプ』
フワフワ ドッスン
女海賊「ローグ!!お姉ぇの気球お願い」
ローグ「任せるでやんす」
商人「僕もローグと一緒かな…予定だとガレー船の援護しながら指揮だ」
ローグ「あっしに付いて来て下せぇ…海賊見繕いながら直ぐに出発するでやんす」
女海賊「あのさ…こっちの球皮はもう大丈夫?」
ローグ「処置はしときやした…多分大丈夫と思いやすが無理はせんでくだせぇ」
女海賊「おけ!!ほんじゃ私も適当に海賊乗せて隠れ家の方に戻る」
ローグ「姉さんは一人なんで気を付けて下せぇ…姉さんに逆らう海賊は居ないとは思いやすが…」
女海賊「大丈夫大丈夫!!それよりお姉達心配だから早く戻ろ」
ローグ「あいさー!!商人!!行きやすぜ?」タッタッタ
商人「待って!!」タッタッタ
----------------
メラメラ パチ
お前と居るといつも貧乏クジ引いちまう…折角良い山に有りつけたと思ったんだがな
何だと?お前が女にかまけて居る間に置いて行かれたんだ!ガッポリ稼ぐ筈がこの座間だ
しかしどうする?ここじゃ逃げるに逃げられねぇ…ぁぁぁツイて無ぇ!!
武器もガレー船に乗せたままだ…丸腰じゃどうにもならねぇ
おい!!お前等!!少し黙れ…見ろ…ヤバイ奴が来た…頭の妹分だ
おぉぅ…あんな良い女抱けたら俺は足洗って真面目に働くんだが
黙れ!聞こえる…頭ぶち抜かれるぞ
スタスタスタ
女海賊「おい!あんたら…こんな所で何やってんだよ」
海賊1「へ…へい」---マズイ---
女海賊「何やってんのか聞いてんだ!!耳付いてんだろ?答えろ」
海賊1「いや…キャンプの守備を」
女海賊「丸腰で?舐めてんの?」ジロリ
海賊2「いや違うんだ…今は非番で休憩中なんだ」
女海賊「ほーん…4人共付いて来い」
海賊3「何をするつもり…ですか?」---やべぇバレてる---
女海賊「前線に行く…手伝え」
海賊4「前線?」
女海賊「私の飛空艇で前線に行くんだ…射手が居ないから手伝えっての!!」
海賊4「おぉ!!やっとツキが回って来た」
女海賊「どうせ暇してんだろ?クロスボウを撃たせてやる」
海賊1「あの気球に乗せて貰えるんで?」
女海賊「今言ったじゃん…あんたら頭悪い?」
海賊2「おぉぉぉ!!こりゃスゲェ事だ…俺らエリート候補だぞ?」
女海賊「何でも良いから早く行くよ!!付いて来い」
海賊1「おい!!行くぞ!!あの気球に乗れる」
女海賊「モタモタしないで!!早く前線の援護に行きたいの」
海賊3「行くぞ行くぞ!!遅れた分取り返すぞ!!」ドタドタ
『飛空艇』
フワフワ
女海賊「乗ったね?」
海賊1「スゲェ…中はこうなって居たのか」
女海賊「あんた達の仕事はそこのクロスボウでの援護射撃…撃ち方分かる?」
海賊2「任せろ…」
女海賊「よし!ほんじゃ私の指示に従って撃つ…良いね?」
海賊2「分かった分かった…」
女海賊「じゃ出発する」グイ
シュゴーーーーー バサバサ
うはぁぁぁスゲェ…メチャクチャ早えぇ
これどうなってんだ?
おい俺らこの気球に乗ってるって事はよ?幹部なんだよな?
女海賊「あんたらが私らの仲間になるかどうかは働き方次第だね」
海賊1「働き方…」
女海賊「私の奴隷になる?」
海賊2「奴隷は何をすれば?」
女海賊「足を舐めたり飯作ったり…言う事聞いたらたまにアソコも舐めさせてやる」
海賊3「何だとう!!俺は奴隷で良い!!」
女海賊「だったらしっかり働きな!!」
海賊4「お前のそういう所がツキを落とすんだ…今度は俺の番だ」
女海賊「あぁぁぁうっさいなぁ!!兎に角いう事聞きゃ良いんだよ!!黙ってろ!!」
へい!!
---------------
じゃぁ説明する…前線に4人先行して敵の隠れ家に潜入してるから
敵の行動を制限するようにクロスボウで援護射撃…当たんなくても威嚇になる
ほんで予備のボルトはそこの箱の中
2連射出来るクロスボウだから1発目は距離を測って2発目で修正
その他煙玉とか閃光玉を使う場合はその都度指示出すから従って
海賊1「へい!!」
海賊2「あい!!」
海賊3(ちぃあの二人上手く取り入ろうとしてんな?気に入らねぇ…)ヒソ
海賊4(ここは従ってとにかく戦果出しゃ奴隷にしてもらえる…あいつらより上手くやるぞ)ヒソ
海賊3(やっと回って来たツキだ…絶対モノにすんぞ…あの足を舐めれるのを想像しただけで…ぐふふ)ヒソ
海賊4(またそれか…しかしこれで見染められたらめでたく幹部だ…ぐっふっふっふ)ヒソ
『隠れ家の前』
シュゴーーーー バサバサ
海賊1「俺達の船はどれだ?」
海賊2「先頭だな…こっから見ると小せぇな」
海賊1「船上で弓構えてる…敵は何処だ?」
海賊2「洞穴の中だ…なんだありゃ?でかいネズミか?」
女海賊「あぁぁマズイなあ…ラットマンリーダーじゃん」
女海賊「ガレー船から弓が届いて無い」
女海賊「あのネズミ何匹居るか見える!?」
海賊1「ここから見えるのは4匹だ」
海賊2「奥の方にエルフが見えるぞ?」
女海賊「ええ!?エルフ?ダークエルフじゃないの?」
海賊2「あれは戦化粧をしたエルフだな…ダークエルフじゃ無い様だ」
女海賊「なんでエルフが敵になっちゃってんのよ…弓持ってるからあんま近付け無いなぁ」
海賊1「どうしやしょう?」
女海賊「もうちょいだけ近づくからエルフを狙って出て来れない様にして」
海賊1「へい!!」
女海賊「行くよ…撃って!!」
海賊1「…」バシュン バシュン
海賊2「…」バシュン バシュン
女海賊「もっともっと!!」
『隠れ家の入り江』
魔女「回復魔法!」ボワー
女戦士「済まない…つつつ」
魔女「攻め切らんな」
剣士「ハイディングが奥のダークエルフに見破られる」
女戦士「もう一度私が囮になる…まず手前のラットマンリーダーを1匹で良いから処理してくれ」
剣士「危険だよ…ダークエルフの弓が精度良すぎる…君も頭を狙われたら危ない」
魔女「わらわが囮になる…変性魔法で鉄になるで放り投げてくれ」
剣士「ダメだよそれじゃラットマンリーダーに掴まる」
女戦士「くそう…爆弾が欲しい所か…未来!!持って居ないか?」
子供「さっき水被って濡れちゃった…どうしよう?」
シュン シュン シュン シュン
スト スト スト カラン
剣士「後ろ!!」
女戦士「飛空艇か!!よし…援護射撃が来る」
剣士「未来!!ハイディングからラットマンリーダの首を狙え…一匹で良い」
子供「うん…パパは?」
剣士「ダークエルフの射線を塞ぐ…女戦士!!囮を頼む」
女戦士「分かった!!未来!!オーガの首を落としたのを思い出せ!!行くぞ」ダダダ
『飛空艇』
ヒュゥゥゥ バサバサ
女海賊「撃って撃って!!」
海賊1「…」バシュン バシュン
海賊2「…」バシュン バシュン
女海賊「おい!!あんたら何やってんだよ…ボケっとしてないで撃てって!!」
海賊3(俺は右だ…お前は左行け)ヒソ
海賊4(おい!やめておけ…あ)ヒソ
女海賊「もっかい回るよ…合図したら撃って」グイ
海賊3「…」ゴスン!
海賊1「はぅぅ…」ドタリ
海賊4「やっちまった…くそう…」ダダ ゴスン
海賊2「!!?うぐぅ…」ドタリ
女海賊「え!!?」
海賊3「ふぅぅぅ…この気球は俺らが頂く」
女海賊「ちぃぃあんたらぁぁ!!」スチャ
海賊3「うおぉっと!!危ねぇ危ねぇ…」グイ
海賊4「そいっつぁ海賊王の娘だぞ?ヤバく無ぇか?」
海賊3「ヤバイも何もこの状況をもうひっくり返せないだろ…ボケっとしてないで縄で縛るぞ」
女海賊「離せよこのバカ!!」ジタバタ
海賊3「だははは俺ぁ海賊だ…お宝ガッポリ稼いで良い女を抱く…意味分かるな?」
海賊4「ここまで来たら行く所まで行くしか無ぇか…この気球は俺が貰う…お前は女…それでどうよ?」グイグイ ギュゥゥゥ
海賊3「おいおい待てよ…そりゃどんなお宝が有るか見た後だ…兎に角2人で山分けって訳よ」
女海賊「このスカポンタン!!あんたらなんか…」
バチーン!!
女海賊「痛った!!」ギロ
海賊3「ぐははは…さて海賊王の娘のアソコはどうなってるんだ?うひひひひ」モゾモゾ
海賊4「待て待て…まずはここから逃げるが先だ…掴まっちまったら又振り出しに戻るぞ」
海賊3「お楽しみには後でゆっくりか…しゃー無ぇ逃げるぞ…お前気球の動かし方分かるか?」
海賊4「分かる訳無いだろう…兎に角触ってみろ…俺はどんなお宝積んでるか見て来る」
海賊3「おい!!持ち逃げなんざすんなよ?ここまで来たからには最後まで2人だ」
女海賊「ぐぬぬぬ…」ジタバタ
海賊3「暴れても無駄よ…たぁぁっぷり俺の奴隷になってもらうからな?」
女海賊「ぺっ」
海賊3「さぁて…どう動かすんだ?このロープか?」グイ
海賊4「うお!!樽ん中に女が入ってる…裸だ」
海賊3「何ぃ!!」ドタドタ
海賊4「出すぞ?」ザバァァァ
海賊3「こりゃメチャクチャ上玉じゃ無ぇか…」
海賊4「この女は俺が頂く…これで平等だな?」
海賊3「何かおかしいな…死んでんじゃ無ぇか?」
海賊4「死んでたらこんなにぐにゃぐにゃな訳無ぇだろ…ん?息して無ぇ」
海賊3「ははーん…硬直しない様に液体に漬けていたのか…確かに勿体無ぇよな?こんな上玉を埋めるのはよぅ」
海賊4「後で回すか?」
海賊3「そうだな?捨てる前に使い切るのは名案だ…他の樽にも入って無いか?」
海賊4「おう!!見てみる…お前は気球を何とか動かしてくれぃ」
女海賊「…」---くっそヤバいなコレ---
---どうする?---
---どうする?---
-----------------
海賊4「まだ動かし方分かん無ぇのか?」
海賊3「しょうが無ぇだろ…どれが何なのかさっぱりだ」
海賊3「おい!!海賊王の娘さんよぅ…どうやって動かすんだ?」
女海賊「…」ギロリ
海賊3「しょうが無ぇちぃぃっと悪戯するか」
海賊4「お前そんな事してる場合じゃ無いのは分かってるだろ」
海賊3「指入れるぐらいは良いだろ」グニュグニュ
女海賊「ぐぬぬ…」ジタバタ
海賊3「暴れると痛いぜぇ?ぐはは…どうやって動かすかしゃべったら止めてやる」
女海賊「くっそ!あんたら…」ハァハァ
海賊4「下で俺らの船が止まってるんだけどよ…アホだなあいつら…なんで上陸しないんだ?」
女海賊「…」---ピーンと来た!!---
海賊3「おい!いい加減喋ろよ…こっちも必死なんだ」
女海賊「そこのほら貝で突撃させてみな?上陸すっから」
海賊3「うほほそりゃ面白れぇ…だが知りたいのはそれじゃ無い…気球の動かし方だ」グニュグニュ
女海賊「痛いんだって!!くそがぁぁ!!」
バチーーーーン
海賊3「舐めた口利くんじゃ無ぇ…お前は俺の奴隷だ…な?」
女海賊「くぅぅぅぅ…」
海賊4「兎に角逃げるぞ…いつバレるか分かったもんじゃ無ぇ…適当に動かせ」
海賊3「分かったよ…んあぁぁ…これか?」グイ
海賊4「おぉ旋回し始めた…そこら辺の奴だ」
海賊3「どっちに行きゃ良いんだ?」
海賊4「とりあえずセントラルなら西だな」
海賊3「あっちはダメだ…逆だな…シン・リーンの港町に向かうぞ」
海賊4「方角分かるか?」
海賊3「ここじゃ分からん…まず海に出るか…どっちの方角だ?」
海賊4「もう良い!!俺がやる」
海賊3「最初からそうしておけば良いんだ…さて俺は」
海賊4「おい!女は後だ…下でも見張ってろ」
海賊3「続きは後でたぁぁっぷりしてやるからな?ぐふふふふ…このほら貝を吹きゃ良いのか?」
女海賊「…」---吹け吹け---
海賊4「突撃させるんだな?面白れぇ」
ボエーーーーー ボエーーーーー
『隠れ家の入り江』
ドン ズザザ
女戦士「未来!!引け!!」
子供「いたたた…」ヨロ
女戦士「後は私が首を落とす!!」
ラットマンリーダー「ガオォォォォ」ドスドス
女戦士「このデカブツめ!!」ブン ザクリ
剣士「女戦士!!引いて!!」
シュン シュン カキン カキーン
剣士「だめだ…ダークエルフの射線に入ってる」
女戦士「そのラットマンリーダーに止めを!!」
剣士「くぅ…」スパ スパ
女戦士「盾の中に…」バッ
カン カン カン カン
女戦士「そのまま下がれ…」ズリズリ
剣士「やっと1匹…」
女戦士「矢を抜いてやる」グイ ズボォ
剣士「うぐ…回復魔法!」ボワー
女戦士「たった2人の弓がこれほど脅威になるか…」
剣士「あっちは僕より射程が長くて正確だ」
女戦士「接近せん事には勝てんか」
剣士「うん…」
ボエーーーーー ボエーーーーー
女戦士「何ぃ!!突撃だと?」
剣士「後方で何か有ったな?」
女戦士「しまった…ほら貝を置いて来てしまった…」
剣士「海賊達が入って来るとタゲが分散する…一気に行こう」
女戦士「くそう…被害が出てバラバラになってしまうと言うのに」
剣士「仕方ないよ…後ろで何かに攻め立てられているのかもしれない」
女戦士「…魔女!!千里眼で見えんか!!」
魔女「無理じゃ…ここでは千里眼が通じぬ」
女戦士「まぁ良い…この船の船尾で負傷者が出た場合の一時避難ベースを構えよう」
魔女「ふむ…」
女戦士「海賊達が乗り込んで来たら私が誘導する…剣士と未来は兎に角敵の殲滅を優先してくれ」
剣士「分かった」
女戦士「なんとかダークエルフの弓を凌ぎたいが…」
魔女「この船には使えそうな物は何か積んで居らんのかのぅ?」
女戦士「見た所大砲は積んで居ない様だ…輸送専用のガレー船だな」
女戦士「いやまてよ…油があれば火責めが出来る…そうだ火矢だ!!それならある筈だ」
剣士「未来!下に行って探して来れるか?」
子供「うん!頑張る!!」
女戦士「海賊が突入してくる前に目煙で弓の射線を封じたい…出来るだけ早く探してくるのだ」
子供「行って来る!!付いて来て子ウルフ!!」シュタタ
子ウルフ「がう!!」シュタタ
『貨物用気球』
ビョーーーウ バサバサ
ローグ「やっと追い付いたでやんすね」
商人「アレ?何か様子が変だな…ガレー船が動いてる」
ローグ「そーっすね?今日は待機の筈っすよね?」
商人「状況が変わったのかな?」
ローグ「姉さんの飛空艇もなーんか変な所を飛んでるでやんす…あんな低空で何処に行くんすかね?」
商人「何か追ってるのかな?」
ローグ「あっしは操舵で忙しいんで望遠鏡で見てもらえやせんか?」
商人「どこにある?」
ローグ「荷室のどっかに置いといたんすがねぇ…」
船乗り「ここにあるでがんす」
商人「あぁありがとう」
ローグ「船乗りさんと航海士さんはクロスボウの準備しといてくだせぇ」
船乗り「がってん!!」
航海士「あいよー!!」
商人「んんん…飛空艇は何を追ってるのかなぁ…何も居ないけどなぁ」
ローグ「あっしらはガレー船の援護っすよね?ガレー船の方に向かいますぜ?」
商人「うん…飛空艇の高度がどんどん下がってる…どうしたんだろう?あのままじゃ木に引っかかる」
ローグ「あ!!球皮の穴が広がったかもしれやせん…こりゃ姉さんに怒られるパターンっす」
商人「でもさ?速度上げたら揚力で上昇するよね…あ!!!何か落とした」
ローグ「落とす?…そんな事姉さんは今まで一度もやった事無いっす」
商人「やっぱりおかしい…飛空艇で何か起きてる…まさかハーピーか?」
ローグ「そらヤバイでやんす…ちっと飛空艇を追いかけやしょう」
商人「東側に回って!!何を落としてるのか確認する」
ローグ「あいさー」グイ
ビョーーーーウ バサバサ
『飛空艇』
ドス ドス ガス
海賊3「くそう…喋らねぇ」
女海賊「ぐふ…くぅぅぅ」
海賊4「ようし!!高度上がり始めた…ふぅ」
海賊3「こっちの伸びてる奴も捨てるぞ…そっち持て」グイ
海賊4「こいつ重いな」グイ
海賊3「これでもう少し高度上がるだろ…このままトンズラよ!だはははは」
海賊4「せーの!!」ポイ
海賊3「海賊王の娘はいくらで売れると思う?売らずにずっと俺の奴隷にするか?…いや売ってもっと良い女を買う手もある」
海賊4「この気球がどれぐらいの価値があるのかも分からん…謎の道具も全部売ればいくらになる?どう山分けする?」
海賊3「ぐふふ笑いが収まらねぇ…」
海賊4「なんつーか…今までの苦労がやっと報われたな」
海賊3「さぁて!!お楽しみにの時間だ…まずはじっくりと舐めてだな」ヌフフ
海賊4「今日はツイてる…俺は腐る前にこいつを楽しむぞ?」ジュルリ
海賊3「おうよ…その後交代だ」
女海賊「ぅぅぅぅ」グター
海賊3「縛ったままじゃ脱がしにくいな…足だけ緩めてやる…暴れんな?」グイ グイ
女海賊「このぉ!!」バタバタ
海賊3「だはははは…大事な所が丸見えだ…あんまり動くな」ベロベロ
女海賊「やめっ!!ろ!!」ドン
海賊3「やっぱり生きが良いのはうめぇ!!このねっとりとした汁が最高にうめぇ…うはは暴れろ暴れろ…」
女海賊「ぁ…くぅぅぅ」ビクビク
海賊4「こっちゃ無反応…まぁ楽しむだけ楽しむか…」ベロベロ
ホムンクルス「…」クター
『貨物用気球』
ビョーーーーウ バサバサ
ローグ「今落ちて行ったのは海賊の誰かっすね…商人さん!操舵変わってくだせぇ…あっしが向こうに飛び乗りやす」
商人「見えた!!女海賊が縛られて2人に襲われてる!!」
ローグ「マズイっす…かなりマズイっす」
商人「行かなきゃ…僕がやらなきゃ…僕が…そうだ僕の命が一番安い」グイ グイ ギュゥ
ローグ「あっしが行きやす…商人さんには無理っす!!」
商人「ダメだ…あの中にはホムンクルスが居る!!奪われる訳に行かない」
ローグ「こっから飛び移るのは商人さんじゃ無理でやんす…操舵変わって下せぇ」
商人「僕が失敗したら次ローグお願い」バシュン シュルシュル ストン
ローグ「何をする気でやんすか?ロープ伝って行くんすか?」
商人「この鍵爪に引っかけて向こうに行く!援護頼む!」ピョン
ローグ「そら無茶ってもんす…商人さんじゃ海賊を相手にできやせ…ああああっ!!」
シュルシュル スタッ
ローグ「あわわわ…えーい!!船乗りさんと航海士さんはクロスボウで援護したって下せぇ」
船乗り「がってん!!」
航海士「あいよー!!」
『飛空艇』
ヒュゥゥゥ バサバサ
商人「…」---煙玉一発---
商人「…」---行けるか?---
チリチリ ポイ
海賊3「ぐへへへ…入れちまうぞ?」
女海賊「汚ねぇ物…押しつけんな!!」ググググ
コロコロ コロコロ
海賊3「なんだ?」
海賊4「ん?爆弾?」
モクモクモク モクモクモク
海賊3「どわぁぁ!!畜生!!誰か来やがったな!!上だ!!げふっげふっ」
海賊4「何処だ?何処から上に上がる?」
海賊3「そこのタラップだ!!上がれ!!」
海賊4「これだな?この野郎!!」ダダ
商人「これでも食らえ!!」ダダダ ピョン ドシ!!
海賊4「ぐぁ‥‥」ヨロ
商人「落ちろ!!」ドン
海賊4「あぁぁぁぁぁぁぁ…」ヒュゥゥゥゥ
海賊3「げほっ…げほっ…ちぃぃぃこのチビ!ゆるさねぇからな」
商人「来い!」タジ
海賊3「あの気球から飛び乗って来たのか…その手には引っかから無ぇぞ?クロスボウで狙ってるのはお見通しだ」
商人「抵抗しても無駄だよ…降参しろ」
海賊3「チビが生意気言ってんじゃ無ぇ…中で勝負つけようじゃ無ぇか…来いよ」
商人「僕には武器がある…君は丸腰だ」スラーン
海賊3「笑わすなよ…そんな細腕で振った剣なんざ俺の筋肉で跳ね返してやる…そしてなんだその鍵爪は」
商人「チビチビ言うなぁ!!」ダダダ ブン
海賊3「見え見えなんだよ!」ブン ドカ
商人「うぁぁ…」ズザザ
海賊3「かかってこいや弱虫!!げほっ…ぬぁぁぁ煙がうっとおしい!!」
商人「むぅ…」---危なかった落ちる所だった---
シュンシュンシュン ストストスト
海賊3「ぐぁーっはっは…その位置じゃ狙え無ぇ…こっちまで来てみろ」
商人「…」---まずいな飛空艇に籠られたら倒せない…どうする?---
海賊3「こっちに来ねぇならこっちもクロスボウを撃つまでだ…この距離で回避できっか?」ガチャリ
商人「ええい!!」スパ
グラリ
海賊3「どわぁぁ…」ゴロゴロ
商人「もう一本!!」スパ
グラリ
海賊3「んの野郎!!お前も落ちっぞ!!」ガシ ブラーン
商人「さて?このロープを切ったらどうなると思う?」
海賊3「切ってみろよ…お前も落ちる」
商人「この鍵爪はこうやって使うのさ」ブラーン
海賊3「何ぃぃ!!」
商人「僕の勝ちだ…さよなら」スパ
海賊3「だぁぁぁぁぁ…」ヒュゥゥゥゥ
『貨物用気球』
ビョーーーウ バサバサ
ローグ「あわわわ…危ねぇでやんす!あわわわ…」
船乗り「よっしゃぁぁ!!もう一人が落ちて行ったでがんす」
航海士「商人さん上手くぶら下がりましたね」
ローグ「まだ向こうにロープ掛かってるっすね?船乗りさんこっちのロープ外れない様に上手く引っかけてくだせえ」
船乗り「がってん!!」グイグイ ギュゥ
ローグ「この気球で持ち上げて飛空艇の姿勢を安定させるでやんす」グイ
航海士「商人さん一人で処置出来ますかね?」
ローグ「船乗りさん操舵を変わって下せぇ…あっしが飛び乗って処置して来やす」
船乗り「操舵は船の帆と一緒でがんすか?」
ローグ「ほとんど同じでやんす…飛空艇の船体を出来るだけ平行に保つ様にお願いしやす」
船乗り「任せるでがんす…」
ローグ「あっしは飛空艇のロープ結んだらこっちに戻って来るんで後でロープ引き上げて下せぇ」
航海士「ロープの扱いに慣れている人が乗ってて良かったですね」
ローグ「頼りにしてるっす…ほんじゃ行って来るんで頼んます」ピョン シュルシュル
航海士「あいさー!!」
『飛空艇』
ヒュゥゥゥゥ バサバサ
ローグ「商人さん立てやすか?」
商人「ありがとうローグ…ぶら下がりっ放しになる所だったよ」
ローグ「切ったロープの処置はあっしがやりやすんで姉さんをお願いしやす」
商人「分かった!!」タッタッタ
女海賊「あたたたた…」グダー
商人「女海賊!!平気?」
女海賊「ギリギリ平気…縄ほどいて」モゾモゾ
商人「ズボンは?」スパ シュルシュル
女海賊「そんなん後で良い!!あんたが見なけりゃ済む」
商人「アザだらけじゃないか…」
女海賊「それよりホムちゃんの樽ひっくり返されて悪戯されてた」
商人「ええ!!?」
女海賊「ローグの声してたけど切ったロープの処置やってんの?」
商人「うん…切ったの3本だけだから直ぐに治せると思う…あああああああ!!!エリクサーがもう無い!!」
女海賊「そうなんだよ…あの馬鹿共水か何かだと思って全部ひっくり返した」
商人「ちょっとしか残って無いじゃ無いか…どうしよう」
ローグ「姉さん!!無事でやんすね?ロープは応急で繋いで置いたでやんす」
女海賊「おけおけ!!ちょいお姉ぇ達ヤバイ状況だから直ぐに移動する」
ローグ「姉さんズボン履いて下せぇ…目のやりどころが無いっす」
女海賊「分かったから早くあんたもお姉ぇの気球で援護やって」
ローグ「分かったでやんす」ダダダ
女海賊「商人!あんた飛空艇の操作わかってんね?」
商人「僕が操舵する?」
女海賊「もう射手が居ないから私がインドラの銃で狙撃する」
商人「ちょっと待って…ホムンクルスを樽に…」ヨッコラ
女海賊「傷つけられてない?」
商人「大丈夫…無事だった」
女海賊「早くして…今やんないとあの馬鹿海賊達はバラバラになる」
商人「君…おしりに青あざあるんだね…」
女海賊「んあ?これお姉にぶっ叩かれた跡!!見てんじゃ無ぇ!!」
商人「早くズボン履いてよ」
女海賊「あんたが飛空艇の操舵しないから履く暇無いんだけど!!早くしてって!!」
商人「代わる!!」
『隠れ家の入り口_上空』
フワフワ
女海賊「おけおけ…そのまま高度下げて」シュン
女海賊「よし!ラットマンリーダー破裂」
女海賊「もう一匹…」シュン
商人「日が落ちてる…」
女海賊「なんかガレー船がバラバラに動いてんな…」
商人「これトロールが出てきたらマズくないかい?」
女海賊「マズいよ…森が燃えてるから絶対怒り狂うと思う」
商人「あの入り江にガレー船4隻は入りきらない…」
女海賊「だからゴタ付いてんだね?」
商人「君の望遠鏡で奥に居るダークエルフ見える?」
女海賊「あー…どうもダークエルフじゃないらしいよ」
商人「どういう事?」
女海賊「戦化粧したエルフだって海賊の一人が言ってた」
商人「エルフを敵にしちゃってる?」
女海賊「そうなる」
商人「どういう事だ?もしかして女戦士達は気付いて居ない?」
女海賊「分かんないけどかなりマズイよね?トロールと挟まれる格好になっちゃう…ドラゴンが来る可能性もある」
商人「…そうか…分かったぞ…この隠れ家は何日か前に既にエルフに占拠されてるんだ」
商人「その後戦線は北に移動している…僕らは何も知らずにエルフを攻めちゃってるんだよ」
女海賊「こっちはもう突撃しちゃってるからもう海賊は収まんないと思うな」
商人「分かった…北の方に在った砦から出てた狼煙…あれはトロールを引き付けて退路を確保する為だ」
女海賊「ここはもう派手に燃やしちゃってるからヤバイね」
ドドドド ドーン
商人「!!?」
女海賊「どっち?」
商人「暗い…これじゃ何処から来るか分からない」
女海賊「やっぱ一回お姉達と話した方が良いね…あの入り江で守り切らないと全滅するかも…」
商人「こうしよう…僕がロープ伝って状況を伝えに行く…戻るときは小舟で戻るから拾って」
女海賊「おけおけ…あと一匹ラットマンリーダー倒したら行って」
商人「分かった…準備する」
『入り江の船上』
シュン パーン!!
女戦士「よし!!これでダークエルフに接近できる」
シュン ストン!!
剣士「待って…飛空艇からロープが降りた…誰か降りて来るよ」
女戦士「緊急事態か…誰が来る?」
魔女「商人じゃ…あやつは体の具合が悪いのでは無かったか?」
女戦士「良くやる…まぁ丁度突撃の件も問いたかった所だ」
シュタ ゴロンゴロン
商人「あたたた…」
女戦士「無茶をする…状況の連絡に来たのだな?どうなって居るのだ?」
商人「今戦っている相手がダークエルフじゃない事を伝えに来た」
女戦士「何だと?どういう事だ?」
商人「あれは戦化粧をしたエルフらしい…僕達は今エルフと戦ってる!だから後方からトロールが来る可能性があるんだ」
女戦士「それで突撃命令を出したのか?」
商人「え!?僕たちはそんな事して居ない」
女戦士「隊全体が混乱しているという事か…」
商人「もう地響きが何処からか聞こえてる…エルフとトロールに挟まれる格好になるかもしれない」
女戦士「剣士!お前は気付かなかったのか?」
剣士「ダークエルフの…いやエルフか…弓の精度が良すぎて周りに注意出来なかった」
商人「今エルフは何処に?」
剣士「奥の方に気配はあったけど下がった様だよ」
女戦士「そちらに注意しつつ川から上がって来るトロールにも気を配らねばならんのだな?」
魔女「トロールが相手では海賊では何も出来んじゃろう」
女戦士「散り散りになる可能性が高い…ううむ撤退は機を逸している…ここで耐え抜くしか無いと言う事か」
魔女「相手がエルフならわらわが話しても良いが?」
女戦士「ダメだ…捕らえられるぞ?」
商人「この入り江にガレー船4隻は入りきらないよね?上から見てゴタゴタしているんだ」
女戦士「オールを畳めばなんとか入るだろう…しかし整列に少し時間が居る」
商人「対トロール用に大砲は無い?」
女戦士「ガレー船は強襲揚陸用で大砲は艦載していないのだ…火薬も砲弾もなにもかもが無い」
商人「兎に角…今エルフと戦うのはマズイよ…ドラゴンが来てしまったらもうアウトだ…全滅する」
剣士「トロールは川を潜ってここまで来れるのかな?」
女戦士「分からん」
魔女「袋のネズミになってしもうたな…トロールも下手に刺激せん方がよかろう」
女戦士「うむ…一先ず奥に攻め入るのは一旦止めて見張るだけに止める…後方は…」
商人「もしトロールが襲い掛かって来るならどうにかして足止めする方法は無いのかな?」
剣士「魔女の罠魔法は?」
魔女「無駄じゃ…トロールはツタなぞで足が止まる程弱い魔物では無い」
剣士「氷結魔法は?水は触れるから凍らせる事も出来るよね?」
魔女「少しは足止め出来るやもしれんが簡単に割られるじゃろうのぅ」
女戦士「手が無い…」
魔女「トロールを止めるには照明魔法なのじゃが今はかき消されてしまうでなぁ…」
商人「あああああああ!!!それだ!!光の石だ!!僕は飛空艇に戻って光の石の準備をする」ダダ
女戦士「慌てるな…どうやって戻る?」
商人「小舟で戻ってロープをよじ登る!!この小舟に乗って帰るよ」バチャーン ザブザブ
女戦士「私なら元来たロープを走って戻るがな?…まぁ良い…こちらは一旦海賊を集めて体制を整えておく」
商人「何かあったら又ロープ伝って来る!!上手くやって!!」
----------------
魔女「あやつは心臓が悪いのじゃろう?走り回らせて良いのか?」
女戦士「覚悟が違うのだ…やらせておけ」
魔女「覚悟のぅ…体のしんどさはそういう問題では無いと思うのじゃが…」
子供「ママ?船の中に油と硫黄があったよ…僕じゃ運べない…どうしよう?」
女戦士「剣士!場所を確認しておいてくれ…運搬で海賊数人を回すから案内してやってほしい」
剣士「分かったよ…未来…その場所へ案内して」
子供「こっちだよ」スタタ
女戦士「ようし…油が有るなら奥に通じる通路を遮断出来る」
魔女「ふむ…燃やして魔物が来ん様にするのか」
女戦士「暖を取る意味もある…今晩は戦闘を避けたい」
魔女「洞穴になっとるで寒さはマシと言えばマシじゃな?」
女戦士「うむ…厳しい環境が続いて居るから海賊達が逃げ出すリスクも高いのだ…兎に角ヘタレが多い」
魔女「士気の維持も大変じゃな?」
女戦士「ここまで連れまわしてお宝が無かった場合…想像つくか?」
魔女「想像しとうない」
女戦士「そういう輩の集まりなのだよ…海賊と言うのはな」
『2時間後』
メラメラ ゴゥ
ほらよ!配給だとよ
又練った芋と干し肉か
今日はこの洞穴で待機らしい
お頭は慎重すぎなんだよサッサと占領すりゃ良いのによ
この通路の奥だよな?
何か見えるか?
真っ暗だ
本当にこの奥に貴族のお宝があんのか?
おい聞けよ…あの船ん中にどっさり宝石積んでたらしいぜ?
マジか!!どっさりってどんくらいよ?
てことはこの通路の奥も期待出来るって事だな?
しかし何で警備がこんなに手薄なんだ?
ヒソヒソ ヒソヒソ
子供「とう!!」ピョン クルクル ドテ
魔女「おおぅ…身軽じゃのぅ?ロープを伝うのは平気か?」
子供「あたたた…なんで着地失敗したんだろう」
魔女「怪我はしとらんか?」
子供「全然大丈夫!!ママからの伝言だよ」
女戦士「状況に変化があったのだな?」
子供「トロールが10体…それからケンタウロスが6体うろついてるってさ」
魔女「ケンタウロスにまで包囲されておるんか」
子供「トロールは焼けた森をうろついてるだけだって…川に近付かないみたい」
女戦士「それは朗報だ」
子供「ケンタウロスは川辺からこの洞窟を観察してるんだってさ」
魔女「ふむ…どちらも川に入るのを嫌がっておる様に聞こえるな」
女戦士「それは…気になるな…川に入れない何かがあると?」
剣士「未来…こっちへ…体を見せるんだ」
子供「え?どこもおかしくないよ?」
剣士「…」グイ
魔女「これはイカンのぅ…黒死病の斑点が出とる」
剣士「未来…もう一度飛空艇に戻って商人から賢者の石を借りて来るんだ」
子供「うん…」
剣士「ロープから落ちない様にベルトを掛けてあげる…おいで」ギュゥ
子供「大丈夫だよ…行って来る」ピョン シュタタ
女戦士「毒に加えて黒死病もか…水が汚れているのだな?」
魔女「その様じゃが…」チラリ
剣士「…」コクリ
女戦士「まさか…」
魔女「はぁ…溜息が出るのぅ」
女戦士「リリスの子宮か…」
魔女「黒の同胞団が持って行った可能性が最も高い…そして黒死病…壺の封を開けたと考えるな」
剣士「エルフ達が戦い始めた動機にもなる」
魔女「北に戦線を移した…つまりそれが移動しておる…溜息しか出ん」
女戦士「…」---いつまで続くんだこの戦いは---
-------------
ツカツカツカ
女戦士「今の所黒死病の症状が出ている者は居ないな?」
魔女「そうじゃな…一応全員にこの賢者の石をかざして置く」
女戦士「海賊達から不満が出始めている…このままでは進軍と同時にバラけてしまうな」
剣士「通路の向こうの具合が分からないと危険だよ…見てこようか?」
女戦士「相手を刺激するのは止して欲しいが…気付かれないように行けるか?」
剣士「僕一人なら行ける」
女戦士「よし…様子を見るのだけ頼む」
剣士「行って来る…」タッタッタ
魔女「士気の維持のぅ…」
女戦士「あいつらには金か女なのだが…」
魔女「積み荷の宝石を見せてはどうじゃ?」
女戦士「今見せると逆効果になりかねん…女が居ないのがな…」
魔女「わらわが変身して賢者の石をかざしてくるのはどうじゃ?」
女戦士「大人の姿に?それは良い案だが魔女は良いのか?」
魔女「ちぃと法衣の丈が短いのじゃが少しの間であればよかろう」
女戦士「よし…それで頼む」
魔女「変性魔法!」グングン
女戦士「気を付けるのだぞ?奴らは飢えて居るからな」
魔女「たまにはわらわの美貌を見せつけておきたいと思って居った」
女戦士「フフ…そうか」
魔女「では行くぞよ?」ノソノソ
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おい!見ろ!…誰だあの女…三角帽子の女だ
うひょぉぉ生足だぞ生足!!
え!?何だって?アレで娼婦なのか?赤目だって?
合図は何なのか知ってるか?
今金持って無ぇぞ!!おいお前金持ってるか?
俺も持って無ぇ…くっそこんな事なら…
一人づつハグしに来るらしい
パフパフすんだな!?
何!?触れるのか!!
ちゃんと並んでろ!!
クンクン…クンクン!よし鼻の調子は良い…
女戦士「…」---呆れるな---
---たった一人女が居るだけでこれほど気が逸れるか---
---魔女にはしばらくあの恰好で居て貰った方が良さそうだ---
---あのような真似を私にも出来るか?---
-------------------
タッタッタ
女戦士「早かったな?奥はどうだ?」
剣士「激しい戦闘跡があった…そこら中に魔物の死体があるよ…この入り江は多分裏口だ」
女戦士「エルフが占拠していそうか?」
剣士「エルフは何処に行ったか分からない」
女戦士「その他の魔物は?」
剣士「スライムとビホルダーが沢山死体を漁ってる…後はスプリガンの様な木の根っこだ」
女戦士「それだけなら海賊達で殲滅できそうだな」
剣士「行ける…ただそのもっと奥までは分からないよ」
女戦士「やはり事が済んでしまった後なのか?」
剣士「あと沢山の器具が破壊されている」
女戦士「破壊?」
剣士「宝石も放置されてるよ」
女戦士「剣士…お前はその状況を見てどう思う?」
剣士「エルフは何処かで見ているかもしれないけど…この場所は放棄したと思う」
女戦士「分かった…夜明けと同時に海賊で占拠に動く」
剣士「一つ…スプリガンの様な根っこが気になる」
女戦士「それは私達で処理しよう…やれそうか?」
剣士「いやそう言うのじゃない…木と融合した何かだよ…意思がありそうだ」
女戦士「話せるかも知れないと?」
剣士「そう感じる」
女戦士「では海賊達にはその根っこに近付けさせない方が良いな」
剣士「あ!!それから奥は毒霧がひどい…マスクがあれば着用した方が良い」
女戦士「布しか用意出来んな」
剣士「それでも無いよりはマシだよ」
女戦士「明け方までに用意させて作戦を開始する…これで良いな?」
剣士「うん」
『早朝』
日の出と同時にこの先にある黒の同胞団の隠れ家を占拠する
それぞれ隊に分かれて各自行動だ
略奪品は各自分配!しっかり稼げ
但し!!逃走が発覚した場合は捕らえて即処刑だ!分かったな?
ヒソヒソ
うへへへやっと俺達の出番だ
各自分配たぁ気前が良い
これが前線に出た甲斐ってもんよ
見ろよこの北方の海賊の出で立ちを…俺らに勝てる敵なんざ居無ぇってもんよ
魔女「斧盾の裸戦士か…野蛮な輩じゃのぅ」
女戦士「こういう占領戦はめっぽう強い…雑魚魔物は奴らに任せて良い」
魔女「さて…わらわ達も準備するかのぅ?」
女戦士「魔女…布のマントを用意させた…足が出て居ては寒かろう?」ファサ
魔女「おぉ気が利くのぅ…寒うてたまらん」
剣士「熊油を塗っておくと寒さが緩和するよ…塗ってあげようか?」
魔女「他人に足を触られるのは気持ちが悪いのじゃが…」
剣士「すこし我慢して…」ヌリヌリ
魔女「これ!!気持ちが悪い!!自分でやるで貸せい!!」
シュタタ クルクル スタ
女戦士「未来…戻ったか…夜明けに出発するから準備しろ」
子供「いつでも良いよ」
女戦士「飛空艇の方は異常なしだな?」
子供「うん!!ケンタウロスと撃ち合いやってるけど任せろだってさ」
女戦士「撃ちあい?」
子供「射程で勝ってるから余裕らしいよ」
女戦士「高さの利か…まぁ女海賊が良いと言うなら良いのだろう」
子供「貨物用気球も居るからね」
剣士「そろそろ夜が明ける…行こうか」
女戦士「うむ…剣士が先頭で案内しろ」
剣士「こっちだ」スタ
『黒の同胞団基地』
ワーワー
女戦士「雑魚の殲滅は海賊に任せておけ…私達は剣士が言う木の根っことやらに向かう」
魔女「なんちゅー広い洞窟じゃ」
子供「上の方から光が少し漏れてる」
女戦士「こでは洞窟ではなく渓谷だな…森が覆いかぶさってこの様になっている
剣士「そうだよ…だから上の方も注意する必要がある」
女戦士「あそこだな?破壊された器具というのは…」
魔女「天秤じゃ…アレは錬金術の為の天秤じゃ…どこかにわらわの父上は居らぬか?」
剣士「椅子に掛けた死体があった…こっちだ」
タッタッタ
魔女「おぉぉ…何と痛ましい姿じゃ…父上に間違いない」
女戦士「…時すでに遅しか」
子供「貝殻がいっぱい落ちてる」
魔女「話をしてみたかったのじゃが…ぅぅぅ」
剣士「死因は弓矢だ…頭を貫いてる」
魔女「しかし黒の同胞団に身を置いて居たのじゃから仕方ないのぅ…目を覚ましてやりたかった」
女戦士「こっちの器具も破壊されているな…何の容器なのだ?」
魔女「宝石が散らばって居るからそれが魔石を作る器具なのじゃろう」
女戦士「魔石が見当たらんのだが…」
剣士「向こうの方にも謎の器具があるよ…木の根っこはそこにある」
魔女「ちと待て…アレは転移門じゃな」
女戦士「転移門?」
魔女「まだ入り口が開いて居るという事は術者が生きて居るという事じゃ」
女戦士「過去に戻ると言う例の門か?」
魔女「行先は行って見んと分からん…危険じゃで近付くでない」
女戦士「これですべての辻褄が合ったな…これで過去の書き換えはもう起きんという事だ」
魔女「リッチが隠れておるかもしれんで気を付けい」
子供「パパ?エリクサーの匂いがする」クンクン
剣士「分かってる」
女戦士「エリクサー…そこに精霊の伴侶が居たという事か?」
剣士「行こうか…木の根っこの所だよ」
『巨木の根』
女戦士「…これは一体」
魔女「根に同化しかけて居るのか?」
剣士「…」クンクン
子供「パパ…ホム姉ちゃんと同じ匂い」クンクン
女戦士「これが精霊の伴侶だと?頭部は何処にある?」
魔女「いや…この部分じゃ…脳が無かったんじゃな」
女戦士「異形のホムンクルスの訳か…しかしどうして木と同化してる?」
巨木の声「又来たか…」
女戦士「誰だ!!」ズザザ
巨木の声「それは役目を終え…直に尽きる…」
魔女「又来たとはどういう事じゃ?」
巨木の声「我らは宿命を終えたと何度言わせる…犬神よ…何故舞い戻った?」
剣士「犬神?」
魔女「どういう事じゃ?」
剣士「僕を犬神と呼ぶという事は…ダークエルフ…か?」
巨木の声「ハッハッハ…意識を失う前に最後の戯れが犬神との会話か…ハッハッハ」
子供「パパ?良く見て?あそこの幹に何か埋もれてる」
魔女「黒いエルフじゃ…主らはドリアード化しておるのじゃな?」
巨木の声「いかにも…だがそれも終わりだ」
女戦士「話が良く分からない…どういう事なのだ」
巨木の声「最後ににすべてを語るのも一興か…教えてやろうエルフと我が同胞達の争いの歴史を」
そこに同化しているのは精霊の片割れ
それは精霊のオーブを唯一すべて覗ける道具なのだ
我らは魔王の手からオーブを守る為
精霊の片割れを今まで守り通して来た…ハイエルフからもな
そしてもう一つ
魔王復活の温床となる人間を減らし
我ら同胞となるハーフエルフを増やす為に与えられた古代の技術
これらを駆使し精霊の計画通りに人間達の補完計画を数百年も続けて来たのだ
だがそれも終わった
精霊の計画は遥か3000年昔にドリアード化された神…アダムの復活だ
その復活に必要なエネルギーに魔王の魂を使う
我らは偶然にもそれを手に入れたのだ…まもなくアダムは復活し次なる精霊に置き換わり世界は再生する
魔王がエネルギーとして利用され新たな時代が始まるのだ
我らの役目はこれで終わり…ドリアード化して次なる神に従う
魔女「主らは忠実な精霊の使途じゃと言うのじゃな?」
巨木の声「笑止…他に何と例えよう?」
魔女「これが黒の同胞団の正体か…」
巨木の声「さて犬神よ…もう一度言う…お前たちは我らに従うか?それとも抗するか?」
剣士「…黒の同胞達がが魔王に侵されて居ないと言い切れるのか?」
巨木の声「それはもうどうでも良い…我らが正義か悪かは小さい話だ」
剣士「もしもそのアダムという神が…魔王に支配されてしまったらこの世界はどうなる?」
巨木の声「精霊の計画に異を唱えるのか?」
魔女「まて…それは真実なのか?どこかですり替わって居らぬか?」
巨木の声「ハッハッハ…ハイエルフと同じ事を言うか…だがもう遅い…精霊の片割れもお前たちのせいで息絶えた」
魔女「わらわ達は何もして居らぬのじゃが…」
巨木の声「お前たちの予言通り天の光の後に精霊の片割れも息絶えた…お前たち以外に誰がおろう」
魔女「予言?わらわは主に予言なぞして居らぬ」
巨木の声「たわけた事を…」
シュン グサ
女戦士「はぅ…」グラ
剣士「マズイ!!頭を射抜かれた…」
女戦士「ぁぅぁぅ…」ブシュー ドクドク ドタリ
子供「ママ!!ぁぁ血が…血がぁ!!」
魔女「蘇生魔法!」ボワワ
剣士「未来!!回復魔法を続けて掛けるんだ!!」
子供「ママ!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
剣士「魔女!!女戦士を頼む!!あのエルフは僕が食い止める」
魔女「分かって居る!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー
女戦士「…」グッタリ
ピョン クルクル シュタ
剣士「待て!!」シュタタ シュタタ
-----------------
-----------------
-----------------
『入り江の船』
シュルシュル ズダダ
女海賊「お姉ぇが頭撃たれたってマジ?」ハァハァ
魔女「治療はしたが脳にどのくらい損傷が残って居るか分からぬ」
女海賊「あぁぁだから兜被れって言ってんのに…これヤバイ感じ?」
魔女「死ぬ事は無いじゃろうが…いつ目を覚ますか分からんな」
女海賊「剣士は?」
魔女「エルフを追ってどこぞ行きおった」
女海賊「指揮とるの私がやんないとダメっぽいね」
魔女「うむ…他の言う事はなかなか聞くまい」
女海賊「未来!!飛空艇に行って商人も呼んできて…あとローグも」
子供「わかった!!行って来る」シュタタ
魔女「奥にエリクサーがあるのじゃ…誰かに取りに行かせられんか?」
女海賊「どんくらいあんの?」
魔女「そうじゃな…樽で2杯くらいかのぅ」
女海賊「未来!!ローグの気球をこっちによこして!!」
子供「はーーーーい」シュタタ
---------------
フワフワ ドッスン
ローグ「頭の一大事って聞いて来やした…」
女海賊「お姉ぇの為にエリクサー取りに行って来て…場所は未来が知ってる」
ローグ「こっから樽を担いで行くでやんすか?」
女海賊「他に方法あんの?早く行って来て!!」
ローグ「わかりやした…頭の為ならあっしは何でもやりやす」
子供「こっちだよ」
ローグ「ちっと待って下せぇ…樽を…よっこら」
船乗り「俺も付いて行くでがんす!!よっこら」
航海士「俺がクロスボウで護衛する…」
ローグ「助かるでやんす…未来君行きやしょう」
子供「こっちこっち!!」
---------------
カクカク シカジカ
商人「…分かった…奥の占拠は順調なんだね」
魔女「うむ…だが今晩もここで過ごすのはどうかと思うのぅ」
商人「日が落ちる前に1隻略奪品を乗せてキャンプへ返した方が良いね」
魔女「人駆が減ってしまうが良いんか?」
商人「この入り江にガレー船4隻は多すぎる…1隻戻してスペース開けて船の配置を考えれば後方の警戒にもなれる」
ローテーションはこういう風に組もう
帰るガレー船1隻
戻って来るガレー船1隻
入り江の中に1隻
入り江の外に1隻
これを順番に回せば物資の移送と海賊の休憩も兼ねる
女海賊「人員の配置具合とローテーションの件をガレー船の海賊長に伝えて来れば良いね?」
商人「ちょっと待って…要件は紙に書いて渡そう…その方が確実だ」カキカキ
女海賊「あとこの船もどうする?」
商人「この船はオールの漕ぎ手が居ないと動かないよね…後で船乗りに相談して人の調達をお願いしようか」
女海賊「おけおけ」
商人「この船は宝石が沢山乗ってるから信頼できる人に任せたいよね…キャンプを守備している人にも配らないと」
女海賊「そんなこんなで私等奥の方に行ってる暇出来そうに無いな」
商人「うん…指揮系は切らすとマズイ…女戦士居ないのはかなり痛いよ」
女海賊「もうちょいでエリクサー来るからお姉ぇを樽に漬ける」
商人「ホムンクルス用のエリクサーも無かったから丁度良かった」
女海賊「ほんじゃ指示書を海賊長に届けてくるわ…それ頂戴!」
商人「はい…」パサ
『1時間後』
シュタタ
女海賊「剣士!!良かった無事だったね」
剣士「女戦士の具合は?」
女海賊「今エリクサーの樽に漬けた所…これで良くなってくれれば良いけど」
剣士「魔女は?」
女海賊「船尾で怪我した海賊の治療してる…どうしたの深刻な顔して」
剣士「一緒に来てくれ…」
商人「…なにかあった様だね」
剣士「うん…これを見つけた」
女海賊「黒い壺…それってもしかして」
剣士「魔女に見せないと…」
『船尾』
海賊「あぁ痛え痛ぇ…こっちも痛ぇ…ここも痛ぇ」
魔女「治療は終わりじゃ!!痛いわけが無かろうタワケ!!早う行け!」
海賊「連れない事言うなよ…ここは癒しの場だろう?」
魔女「主に治療の必要は無い!!」ポカ
海賊「あだっ…宝石やるからよぅ…」
剣士「魔女!!壺を見つけた…これで間違いないかい?」
魔女「むむ!!蓋は無かったか?」
剣士「見当たらない…」
魔女「やはり封を空けおったな…それは無くした壺に間違いない…最悪じゃのぅ」
剣士「血痕が北の方に続いて居たよ…随分前に移動したみたいだ」
魔女「追うしかあるまい…」
女海賊「ええ!?この状況で?お姉ぇどうすんのさ」
魔女「女海賊や…良く聞くのじゃぞ?」
女海賊「うん…」
魔女「主はしばらくここに留まり海賊の指揮を継続するのじゃ…わらわはちと行かねばならぬ用事が出来た様じゃ」
女海賊「魔女一人って訳無いよね?やっぱ剣士も行く感じになるの?」
魔女「そうじゃな…主はこの場の安定を見た後にシャ・バクダを目指してアサシンと合流せよ」
女海賊「魔女と剣士は何処に行くのさ?」
魔女「過去じゃ…わらわは死んだ父上に会わねばならぬ…会って真相を聞くのじゃ」
女海賊「もしかして北に移動してるのって剣士と魔女?」
魔女「おそらくそうじゃ…次元が交差しとる」
剣士「もう過去に戻らないと取り返しが付かない…もしも次元の塗り替えが起きたとしてもシャ・バクダで会おう」
女海賊「ちょ…私も連れて行ってよ」
剣士「女戦士が居ればそうしたよ…でも離れても大丈夫だって確信してる」
女海賊「なんでさ?超不安なんだけど」
剣士「次元が少しズレるだけだよ…心配しなくても良い…直ぐに繋がる」
女海賊「あのさ…もう行方不明にならないでくれる?私を置いて行かないで」
”私を置いて行かないで…”
剣士「…」
女海賊「おい!!聞いてんの?」
剣士「あぁゴメン…記憶のずっと奥にあるその言葉が引っかかった」
女海賊「ダメだよ!私も行くから!!」
剣士「必ず戻るから…絶対に…約束する」
女海賊「…」ウットリ
魔女「今指揮官を失うのがマズいのは主にも分かるな?ちぃと辛抱せい」
女海賊「シャ・バクダで合流ね?そこなら貝殻使えるね?」
魔女「そうじゃな…すぐに連絡するでシャ・バクダで待っておれ」
剣士「よし…じゃ魔女…行こうか」
子供「パパ!!僕も行く」
剣士「未来…」
魔女「ふむ…修行の一環と思えば良いが…」
女海賊「未来?遊びに行くんじゃ無いんだよ?あんたはダメ」
子供「ママ…お願い!!パパと空気の会話がしたいんだ」
女海賊「空気の会話…」
子供「空気の会話で沢山お話出来るんだ…パパと沢山話せる」
女海賊「エルフの血か…」
魔女「修行は厳しいぞよ?」
子供「頑張る…」
剣士「準備しろ…行くぞ」シュタタ
子供「…」シュタタ
---ママごめんね---
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ローグ「あぁぁ行っちまいやしたね…」
女海賊「…」
ローグ「未来君は大人になりやしたね」
女海賊「フン!!ローグ!!エリクサーを貨物用気球で飛空艇まで荷上げして」
ローグ「ええ!!?空中で載せ替えっすか?そら厳しいっすよ…落としたらドボンすよ?」
女海賊「言う事聞けないの?」カチャリ
ローグ「ちょちょちょ…デリンジャーは止めて下せぇ…やりやすやりやす…」
女海賊「商人も気球に乗せて飛空艇に連れて行って…ホムちゃんの面倒見させて」
商人「ごめんね…気を使って貰って」
---はぁぁ私が踏ん張らないと---
---ここで歯車狂わす訳に行かない---
『転移門』
魔女「恐らくこの門は5日程過去に戻る為の門じゃ」
剣士「そうだろうね」
魔女「主は最初からそう思って居ったな?」
剣士「まぁね」
魔女「5日程過去に戻って壺がどうなって居るのかは分からんが…わらわの父上と話せる可能性は高い」
そこで事の真相を聞くのじゃ
黒の同胞団の言い分が正しいのか
粛清する必要があるのかはそれを聞いて判断すべきじゃ
転移門をくぐった先ではまだ魔法が使える筈じゃから
戦闘に巻き込まれるような場合は魔法を駆使する事を考えるのじゃ
未来は剣士の傍から離れるで無いぞ?
では潜るぞえ?手を繋いで行くぞ
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------------------
『5日前』
ゴーレムの転移を急げ!!
魔道炉の臨界が上限を超えています
かまわん!!魔石を投入しろ
キマイラ生成の方は間に合わんのか
もう材料が枯渇しています
錬金で材料を生成すれば良かろうサッサとやれ!!
部隊Aがエルフと交戦中
部隊B西に展開して皇子の進路を確保
キマイラ部隊ドラゴン撃破
基地に2名のエルフ侵入
山道区画から南進との事
トラップに掛かりました確保します
3体目ゴーレム転移完了!
よし!!皇子の部隊に投入させろ
魔道砲臨界限界!!爆発するぅぅ!!
皇子の前方に撃て!!
ピカーーー チュドーーーーン
ダークエルフ「エルフが進入してくるという事は秘密をバラした者が居るな」
指揮官「魔王の所在か…知って居るのはわずかじゃな」
ダークエルフ「まぁ良い…ハイエルフは指輪の扱い方も魔王の扱い方も何もかも分かって居ない」
指揮官「主はこれで魔王を封じたつもりなのか?」
ダークエルフ「アダムさえ復活させれば魔王なぞどうでも良いのだ…アダムが解決する」
指揮官「それは本当に精霊の計画なのじゃな?」
ダークエルフ「何度も言わせるな…これで世界は再生する」
指揮官「さて…わしはどうするかのぅ?」
ダークエルフ「これで任を解いても良いが…国へ還るか?」
指揮官「ううむ…そうじゃな…しかしわしが黒の同胞に汲みしておるのは知ってしまった様じゃ…会わせる顔が無いのぅ」
ダークエルフ「大局を動かす仕事がそれほど体が悪いか?補完計画から省いてやった恩は感じてほしい物だ」
指揮官「新世界ではどの道人間は滅ぶ定め…認めたくは無いのじゃが…」
ダークエルフ「今すぐに滅ぶわけでは無い…最後まで生き延びた…そういう風になるだけの事」
指揮官「じゃがわしに感謝する者なぞ居らんじゃろうのぅ…じゃからわしはここで骨を埋めた方が良かろう」
ダークエルフ「フッ勝手にしろ」
指揮官「主はドリアードとなって新世界を監視する役につくのじゃな?」
ダークエルフ「そうなるだろう…お前もドリアードになりたいか?」
指揮官「いや…もう良い…娘と風呂に入って寝たいわい」
魔女「聞いてしもうたぞよ?父上…」
ダークエルフ「何ぃ!!どこから入って来た!!」ズザザ
剣士「動くな…」スチャ
ダークエルフ「誰かと思えば…犬神か!!」タラリ
指揮官「とうとうここまで来てしもうたか…白狼の一党…そして魔女や」
魔女「父上は記憶を害して居らんのじゃな?幻惑されて居らんな?」
ダークエルフ「フッフッフあのモウロクが持って居た杖の事か…確かに杖で黒の同胞に従う任に付いたな」
指揮官「まぁ待て…わしも娘に会いたかった所じゃ…大きゅうなったのぅ」
魔女「感動の再会では無い様じゃ…今は敵じゃ」
指揮官「のぅダークエルフ?わしは娘と共に行く選択もある様じゃ…どうじゃ?任を解くと言うたな?」
魔女「父上…それはどういう事じゃ?」
ダークエルフ「面白い…白狼の一味に加わるか…ハッハッハ」
指揮官「魔女や…話は聞いて居ったのじゃな?」
魔女「うむ…わらわは心が痛い」
指揮官「察しの通り人類の補完は精霊が計画したのじゃ…人間は精霊の記憶の中で永遠に生きる…意味が分かるな?」
魔女「つまり絶滅じゃ…魔王のもくろみ道理じゃな」
ダークエルフ「少し違う…魔王の温床となっている人間を物理的に排除し…魂はオーブの中で永遠に生きる」
魔女「物理的なこの世界は新しい生き物が担う…そういう事なのじゃろう?」
ダークエルフ「理解が早いな…遅かれ早かれ人間はすべて新人種に置き換わるのだ…そして魔王は滅ぶ」
魔女「悲しいのぅ…抗ってはいけないのかえ?」
ダークエルフ「否定はしない…だからお前の父上を解放しよう…自由に抗って構わん」
指揮官「魔女や…わしを理解してくれるか?」
魔女「ぅぅぅぅ…何の為の戦いじゃったのか…何の為に多くの命を犠牲にしたのか…ぅぅぅ」ポロポロ
指揮官「最後まで抗う道をわしはそなたらに残したぞよ?最後まで抗って良い…」
魔女「それでは抗った我らが魔王であるという事になるでは無いかぁぁぁ…ぅぅぅ」ポロポロ
指揮官「…」
ダークエルフ「それが魔王だ…だからすべてを終わらせる必要がある…受け入れろ」
魔女「うわぁぁぁぁん‥‥ぁぅぁぅ…」ポロポロ
指揮官「…」
ダークエルフ「…」
剣士「…」
---今理解した---
---機械が---
---精霊が---
---どうしてすべてを記録するのかを---
---それは人類の魂の保存だ---
---そして精霊が導く勇者は---
---それに抗う人間達の希望だ---
---そういう風にしか魔王と戦えなかった---
---僕は任意の次元を選択する事が出来る---
---最後まで抗う次元を選択する事だって出来る---
---魔王と共に共生する未来だってある---
---その場合世界から争いは無くせない---
---そういう選択をしなければならない---
指揮官「魔女や…泣くでない…信じた道を行って良いのじゃ…行こうぞ」
シュン ストン!
魔女「はっ!!父上!!父上ーーー!!」
ダークエルフ「放せ!!」ババッ
指揮官「魔女…行け…わしはそなたと…共に…居る…」ドタリ
魔女「あわわ…父上…ぅぅぅ父上ーーー!!…そうじゃ蘇生魔法じゃ…蘇生…」
シュン グサ
魔女「はぅぅ…」ヨロ
剣士「魔女!!ここはダメだ…物陰に」グイ
子供「回復魔法!」ボワー
剣士「良かった…急所は外れてる…抜く」ズボォ
魔女「げほっ…げふげふ」ボタボタ
剣士「未来も物陰へ!!」
子供「パパ!!一杯来る匂い…」
剣士「これはドラゴンの匂いだ…未来!!こっちだ!!来い!!」シュタタ
子供「魔女が血を吐いて…」
剣士「今は余裕が無い…耐えて魔女!」シュタタ
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ゴーン パラパラ ゴゴゴゴゴ
剣士「未来…付いて来ているな?」
子供「平気…」
魔女「っぅぅ…」
剣士「回復魔法!」ボワー
魔女「済まんのぅ…げほっ…げふ」
剣士「良かった声は出るね?」
魔女「頭では無く喉に矢が逸れて助かったわい」
子供「死んじゃうかと思ったよ…口の中から矢が貫通したよね…」
剣士「エルフの矢は信じられないくらい精度が良いんだ…未来も急所に金属を当てておくんだ」
子供「うん…骨で良い?」
剣士「急所から反れればとりあえず良い…白狼のフードを深く被って」
子供「…」ファサ
剣士「子ウルフもちゃんと付いて来ているな?」
子供「うん…」
剣士「よし…森を北に抜けて魔王を探す…これから今までより厳しい戦いになる…覚悟は良いな?」
子供「うん」
剣士「魔女は小さく変身して欲しい…背負う邪魔にならない様に」
魔女「変性魔法!」シュゥゥゥ
剣士「魔女は僕が背中に乗せる…未来と子ウルフはしっかり付いて来い」
魔女「主は迷わんのじゃな?精霊に抗う事になってしもうても良いのか?」
剣士「その為に生まれたんだ…抗って未来を導く事を託されたのが勇者さ…」
魔女「考えがあるのじゃな?」
剣士「勿論…僕にしかできない選択で魔王を葬ってあげるよ」
魔女「選択?信じて良いのじゃな?」
剣士「魔女ももう僕の次元に居るんだ…僕の選択に従うしかない」
魔女「ふむ…信じるではなく従うしかないという事か…付き合うてやろう」
剣士「乗って!!」
魔女「ほい」ピョン
剣士「魔法は任せた!行くぞ未来!!」シュタタ シュタタ
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黒の同胞団編
完