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渡辺 美沙④

それぞれの思惑が

交錯した合コンが終了して

1週間が経過した頃


宇都宮の携帯に

男性側の合コン幹事であった

岡村からLINEが入る。


合コンに参加していた

女性から

宇都宮の連絡先を

教えて欲しい、と

連絡が来たが

教えても良いか?

とのモノだった。


仕事中だった彼は

手早く終わらせようと考えて


大丈夫だよ


そう返信して

仕事を再開する。


3人の女性とは

挨拶しかしてない


話したのは残りの2人


90点美人の渡辺は

彼氏アリと言っていたので


該当者はペットショップ店長の

森高であろう?


ハムスターの話で

盛り上がっていたので


おおかた新しい

ハムスターが入荷した

連絡をしたい


そんなところだろう


そう思って深く

考えない宇都宮であった。


その予想が外れたのは

その日の夜の事だった。


宇都宮は大学に通う

女友達のアパートで


裸でベッドに入っている時に

LINEには気付いた。


だが宇都宮は

女子大生の友人を

いじめている最中であり


その確認は後回しに

なって


宇都宮が返信をしたのは

翌日である。


突然、連絡を入れて

失礼致します。


先日、飲み会で

ご一緒させて頂いた

渡辺です。


先日、お話をされていた

心理学の件で

ご相談したい事があって

連絡先を教えて頂きました。


ご負担にならない時に

ご連絡を頂戴出来ると幸いです。


そんな固い

ビジネスメ-ルのような

文面である。


そのLINEを読んだ

宇都宮は微笑んでいた。


そのLINEを送った

90点美人の渡辺は

返信が来ない事に

焦りを感じている。


そもそも彼女は

自分から男性の連絡先を

聞いた事がなかった。


学生の時から

男性に人気があり


よそのクラスの生徒からも

連絡先を聞かれて

断る事には慣れていたが

自分から連絡先を

聞く事が無かったのだ。


そんな彼女が勇気を

振り絞って

宇都宮の連絡先を

聞き出して

連絡をしてみた。


1時間もしないウチに

返信は来るモノだと

思っていたが

返信は来ない。


何度も携帯を確認するが

返信は入っておらず

IDが間違っているのでは?と

思ってしまうほどだ。


文面が失礼だった?

女性から連絡をしたから

キモいと思われた?


悪い予想ばかりして

疑心暗鬼のまま

布団に入り

浅い眠りにつく。


そんな彼女が

勤務先に向かう

朝の地下鉄の中で

LINEが入る。


ご連絡が遅くなり

申し訳ありません。


昨夜は遅くまで

仕事をしており

渡辺さんからの

LINEに気付いたのが

真夜中で


返信して

起こしてしまったら

悪いと思い

今の時間になって

しまいました。


心理学の件で

聞きたい事とは

何でしょうか?


そんな返信が届いた。


良かった


嫌われていなかった。


そんな安堵が彼女を包む


悪い予測ばかりしていた彼女は

宇都宮さんは

そんな人じゃ

なかったじゃないか、と

自分を戒めている。


そこから渡辺美沙は

自分の仕事での悩み事を

彼に質問をしてきた。


先輩を差し置いて

後輩の自分が

現場責任者になった。


先輩達からの

風当たりは強く

イジメに近い毎日で

会社に行くのが辛い。


自分の何が悪いか

分からない


先輩達と仲良くするには

どうしたら、良いのか?

助けて欲しい


そんな内容だった。


くだらねぇ


宇都宮は文面を見て

そう思って

独り言を呟いた。


そのメ-ルを読んだ

宇都宮は

早速返信をする。


それは大変ですね!

一刻も早く解決出来るように

俺も考えてみます。


だから詳細を

メ-ルで知らせてください。


短い文だが

彼女を心配するメ-ルであった。


その返信を見た

渡辺 美沙は

涙が出るほど

嬉しくなっている。


暗闇に、ただ1人で

迷子になっている時に

明かりを持って

助けに来てくれた人が

現れた心境であった。


すぐに彼女は

自分の今の状況を報告した。


彼女は有名アパレル会社の

本社に勤務している。


ショッピングモールに

出店している店舗と

本社のつなぎ役として

店舗を回る担当者であった。


出店している店の

店長に売り上げの確認や

新商品の入荷状況や

店舗での評判を確認して

本社へ報告する事が仕事である。


そのイチ担当の時は

それなりに仕事が

楽しかったが


新しい課長が

先月、配属されると

事あるこどに

渡辺を呼んで

馴れ馴れしく

色々と話し掛ける事が

多くなっていき


それはエスカレートして

ついに先週には

エリアにある10店舗を

総括するチ~フに

彼女を大抜擢してしまったのだ。


今までの慣習では

10店舗の担当で

最年長の人間が

総括チ-フに

就任する事が多かったのだが


若い渡辺が

統括チ-フになるのは

異例中の異例である。


他のスタッフからは

驚きの声だけでなく


嫉みや嫉妬

愚痴や不満が

溢れていた。


ちょっと可愛いから

調子に乗って


課長に色仕掛けで

迫ったからだ。


そんな噂が多くなり

店舗にも本社にも

居場所がなく

眠れない日々が

続いていると

メ-ルには

書かれている。


そのメ-ルを読んだ

宇都宮には


彼女の攻略方法が

頭に浮かび


次のメ-ルを

すぐに打ち始めたのであった。










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