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渡辺 美沙③

突然泣き出してしまった

90点の渡辺は

自分の涙に

ビックリしたようで


『すいません、トイレに

行ってきます』と言って

席を立ち

その場から

走り去って行った。


残された森高は

何が起こったか分からず

キョトンとしているが

刺さった事を実感した

宇都宮は含み笑いをしている。


トイレの鏡で

自分の顔を見ていた

90点渡辺は

急に恥ずかしくなってしまい

顔を赤くしていた。


数分後に戻って来た

渡辺に

『おかえり』と

50点森高が

声を掛けるが

彼女は目を合わせようとしない。


彼女がトイレに行っている間に

宇都宮と森高の話題は

カスタマーハラスメントに

変わっていた。


店側に無理難題を

押し付ける客


何処の現場でも存在しており

ペットショップ店長である

森高も困っている、との事だった。


トイレから戻った渡辺は

2人の会話には参加せずに

黙って聞いている。


『初対面のお客さんでも

性格が分かれば

良いんだけどね?』

諦め顔で呟いた

森高の一言に


『分かりますよ』と

宇都宮が答えると


『えぇ〜?』と

渡辺と森高が

大声で驚いて

宇都宮を見る。


その声に

同じテ-ブルにいるのに

もはや別グループに

なっていた7人も振り返る。


森高が

『ゴメン、気にしないで』と

ごまかし

7人は会話を再開させていく。


すると小さな声で

『宇都宮さん、本当に

分かるんですか?』と

森高が目を見開いて

彼に確認すると


『そうですね

100%じゃないけど』

『結構な確率で

当てれますよ』と

笑いながら

宇都宮が答える。


宇都宮が言うには、こうだ。


人間は大きく分けると

8タイプに分ける事が出来る。


最初の会話のキャッチボ-ルで

この人は、どんなタイプか?

予想したら

その人に合わせて

話していけば良い、との事だ。


『だったら私は

どんなタイプですか?』と

50点の森高が

宇都宮に質問をしてきた。


聞かれた宇都宮は

笑いながら

『外れても怒らないで

下さいね?』と

前置きをしながら


『そうですね、森高さんは

外交的な思考型だと思います』


『社交的に務めようと

しているけど』

『一歩引いて

色々と考えてしまう』


『どうしても周りの人の

顔色を伺ってしまう』


『そう思いましたが

外れていましたか?』

宇都宮が、そう尋ねると

森高だけでなく

渡辺も驚いて固まっている。


そして思い出したように

『すごく当たっています』と

森高は答えていた。


『何で、分かったんですか?』

言い当てられた

森高の興奮は止まらず

更に宇都宮に詰め寄る。


そこで宇都宮は

説明を始めた。


人間は外向的な人と

内向的な人に分かれる。


更に細分化すると

それぞれのタイプで


思考型、感情型

感覚型、直感型がある。


クラスにいる

お調子者などは

外向タイプの感情型で、

ある事が多い。


その話を黙って聞いていた

渡辺は

自分は、どのタイプだろう?と

自己分析を始めている。


すぐに森高は

『私は、どうしたら

良いんですか?』と

宇都宮に解説を求めている。


すると宇都宮は

『森高さんは人の話を

ちゃんと聞いて』

『誰も傷つけない方なので

今のままで良いと思いますよ』


『だから、今日の俺は

そのタイプの人に合わせた』

『会話をしてきた

つもりでした』と

タネ明かしをする。


『すご〜い』と

森高は喜んでいるが

渡辺は黙っているままだ。


私は、どのタイプ?


そう聞きたいが

聞けない自分がいる。


すると宇都宮が

『さっきの旅行の話や

今の心理学を使って』

『後輩の相談とかも

乗っているので』


『仕事でもプライベートでも

相談して下さいね?』と

渡辺の顔色を

伺うように

笑いながら話し掛けた。


それを聞いた森高は

『本当ですか?』

『嬉しい』と

はしゃいでいるのと

対照的に

渡辺は静かなままである。


本当に相談に乗ってくれるの?


この人モテそうだけど

彼女いるのかな?


宇都宮に興味が沸き

色々な感情が

生まれてきている。


『宇都宮さん

コミニケーション能力が

高いのに』


『コッチで飲んでいて

良いんですか?』


そう森高が質問すると


宇都宮は微笑みながら

『なんで?』と

森高に聞き返す。


『だって、向こうの方が

盛り上がっているから』と

答えると


『俺は、お二人と飲めて

楽しかったですけど』と

宇都宮は不思議そうな顔で

森高に答えた。


そして付け加えるように

『俺も人数合わせで

急遽、昨日に呼ばれたんです』


『明日も仕事だから

そろそろ俺は帰らないと

いけないんで』と

笑いながら

説明をする宇都宮を見て


この人も友達を

助ける為に

合コンに来ているんだ。


そう思い親近感が

湧いている。


だから他の男の人みたいに

ガツガツしていないんだ。


お仕事は何をしているの?

歳はいくつ?


私は、どのタイプ?

本当に相談に

乗ってくれるの?


彼女はいるの?


聞きたい事は

たくさんあったが

渡辺は何も

聞き出せないまま

合コンの一次会は

終了して

宇都宮は帰って行ってしまったのだ。





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