表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/22

小比類巻かおり ⑥

全てが終わった部屋には

男性と女性が

愛し合った時の

独特の匂いが

充満している。


汗だくになった宇都宮が

肩で息をしている

小比類巻に向かって

『お前が、こんなに

エッチだって

知らなかったよ』と

言うと


『宇都宮さんだって

会社じゃ大人しいのに』

『こんなにケダモノだなんて

分からなかったですよ』と

笑いながら答えた。


時計を見た宇都宮は

25時を過ぎている事に気付いて

『やばいじゃん?

もう、こんな時間だよ』


『明日も、仕事なのに

マズイな』と言って

慌てて服を着だす。


『シャワーを浴びていったら

どうですか?』

彼女は宇都宮に

提案したが


『そうしたら、その後

一睡も出来ないだろ?』と

笑って答えた宇都宮に


『確かに』と

小比類巻も苦笑している。


『じゃあ、明日』

そう言って宇都宮は

急いで彼女の

アパートを出て行った。


さっきまでの事が

ウソのように

静まりかえった

1人の部屋で

彼女はスマホを見る。


『連絡なんて

入っている訳ないか』


スマホを確認するが

彼氏からの連絡は

入っていなかった。


時間は25時13分

『私も早く寝ないと』


そう言ってシャワーを

浴びた彼女は

彼の匂いを消すように

強めに水圧を上げる。


彼女の中に

彼氏を裏切った罪悪感は

なくなっており


むしろ、宇都宮との

さっきまでの情事を

思い出していた。


今までしてきた

どの男よりも上手で

何より大きかった。


そう思い出した瞬間に

子宮が反応する。


彼女の奥の

更なる奥まで

届いた男はいなかった。


だから、奥を

突つかれた事がなかったが


未到達点は

頭が溶けるくらいに

気持ち良かった。


アルコールが抜けた今

冷静な状態になった彼女は


『宇都宮さん、

彼女いるのかな?』と

考え始めている。


この後、彼女は

更に10分ほど

シャワーを浴びて

床についた。


次の日に彼女が

出社すると

宇都宮は既に出社しており


いつものように

穏やかな表情で

パソコンと向き合っている。


昨日の乱暴な行為は

別人だと思うような

今の彼の姿に


会社の他の誰も

知らない

宇都宮の別の顔を知って

優越感に浸る彼女である。


何って話し掛けよう?


そう思って困っていた

小比類巻に気付いた彼が


『おぅ、おはよう』

『青いキッチンの件で

話しがあるんだ』と

別室へ彼女を誘導する。


なるほど、ここじゃ

みんなの前だし

喋りづらいよね?


そう感じた彼女は

『はい』と

笑顔で答え

宇都宮の後について行く。


彼女の中では

宇都宮が付き合って欲しいと

言ってきたら

彼氏と別れても

いいと思っていた。


打ち合わせ室に入り

ドアを閉めた瞬間

2人きりになる。


『小比類巻、昨日の事だけど』

そう宇都宮が、切り出した。


来た


『はい?』

彼女が大きな声で

返事をすると


『お互いに忘れないか?』と

彼は言ってきた。


『俺も相当、酔っ払っていて

調子に乗っちまって』


『あそこまで、

いっちまったけど』


『お酒を飲み過ぎた

一晩の過ちとして

お互いに忘れないか?』と

彼女に提案している。


そっか


そっちなんだ。


『昨日、何か

ありましたっけ?』


『私、飲み屋で飲んだ後の

記憶が飛んでいて』

『気がついたら

朝になってました』


『酔って私、宇都宮さんに

失礼な事をしませんでした?』と

彼女も笑顔で答えている。


酔っていて

覚えていない


大人が使う

都合の悪い事を

無かった事にする時の方法だ。


これで昨日までの

会社の先輩と先輩に戻り

いつもの日常に

戻っていく。


今まで通り

彼氏と付き合っていく

生活が戻って来た。




世の中には

恐ろしく男性体験の多い

女性がいる。


彼女達に相手は誰?と

聞くと

彼氏以外にも

友達と答える事が多い


コッチは付き合った事だって

無いんだよ


そう考える方も

いると思うが


その女性がエッチした

男友達は

他の女の子とも

楽しい事をしている

可能性がある。


エッチな展開になる可能性は

何処にでもあるが

そのチャンスを見つけて

モノに出来るか?

出来ないか?で

展開や経験人数は

変わっていく。


女性が見せる

わずかなサイン


それを、取りこぼさなければ

イケメンじゃなくても

良い思いは出来る。


エッチが出来る雰囲気に

女性を誘導して

裏でコッソリ

楽しい事をしている


これは、そんな

主人公の物語である。



小比類巻の後日談


宇都宮との一夜から

数日経った後

何事もなかったように

彼氏に会って

エッチをした彼女だが


全てにおいて

赤点ランクの彼氏に

幻滅してしまった。


優しくもない男は

2年付き合っただけで

何の取り柄もない。


エッチは入れて

5分で発射して

ただの排泄行為だ。


宇都宮のように

奥まで入れてきて

ゴリゴリと

根元に擦りつける動きを

30分続ける事もない。


そんな不満は

ケンカの原因となり

やがて、破局となった。


恋人と別れた後に

女性の方が

無性に男性を

欲する時がある。


月に一度のモノ


生き物として

子孫を残す本能として

生理前1週間は

男性が恋しい


その本能に

影響された小比類巻は


『宇都宮さん

ちょっと、いいですか?』と

彼を別室に呼び出す。


あれから3ケ月


会社の先輩と後輩に

戻っていた宇都宮は

仕事の打ち合わせと思い


『分かった』と答え

彼女について行く。


すると彼女は

笑いながら

『明日、ウチで

鍋パ-ティ-をするんで

来てください?』と

言ってきた。


確かに最近は

少し涼しくなってきたな。

『いいけどメンバーは?』

会社の他の人間は

誰が来るんだ?


そんな軽い気持ちで

宇都宮が聞くと


『他の人は来ません』

『私と宇都宮さんだけです』

そう言って下を向く。


『分かった』


宇都宮が、そう答え

小比類巻は

彼の4番目の

パ-トナ-となったのであった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ