小比類巻かおり③
15分かけて
小比類巻のアパートに
宇都宮は着いた。
酔った彼女を
運ぶ途中にオ-トロックを
心配したが
実際は出入り自由の
外階段のアパートであった。
ウチの会社の
安い給料で考えれば
分かりそうなもんだ
アパートを借りられても
学生が住むような
ワンルームが
関の山だ。
誰かに聞かせる訳でもない
独り言を言って
彼女をアパートの
部屋まで連れて行く。
飲み屋を出てから
ココに来るまでに
明らかに
小比類巻に変化が見える。
頬を赤くして
『はぁ、はぁ』と
息が荒くなっていたのであった。
『部屋に着いたぞ』
そう言って
彼女を抱き支えている
宇都宮の右手は
遠慮なく
彼女の右胸を
揉みまくっている。
彼女のカバンから
鍵を出して
部屋の鍵を開けて
部屋に入った。
90cm角の玄関の先に
キッチン兼の廊下があり
その奥に6畳程度の
部屋がある
ワンルームの作りだ。
『どうするかな?』
宇都宮は部屋のアパートの
電気をつけながら呟いた。
彼女自身にアパートまで
送らせた事を
認識させないと
いけない。
彼女をゆっくりと
廊下兼キッチン前に
寝かした後
『小比類巻、着いたぞ』
そう言いながら
彼女の肩を軽く叩く。
熟睡に近い彼女は
なかなか起きない。
このまま一気に
コトを始める事を
一瞬考えたが
それはマズい。
3分ほど、起こすが
彼女は起きない。
最終手段として
宇都宮はアパートに上り
キッチンの上にある
コップを取り水を入れた。
そして寝ている
彼女の頬に数滴の
水を垂らした。
ピクっと、反応した
小比類巻の肩を
ポン、ポンと叩き
『小比類巻、着いたぞ』と
再度、起こす。
すると彼女は
意識朦朧としながらも
気がつき
キョロキョロと見渡し
自分のアパートの
部屋だと認識して
『あれ?わたしの部屋で
何で宇都宮さんが?』
前後の記憶が飛んだように
彼に質問をする。
『お前が俺に
酒をご馳走するって居酒屋に
連れて行ったが』
『散々、愚痴った後
店で酔い潰れて
寝ちまって』
『俺が担いで
お前をアパートまで
連れて来た』
『悪いと思ったけど
家の場所が分からないから
カバンを開けたぞ』
そう説明を聞いた
小比類巻は
ボーっとしながらも
記憶が繋がったようで
『そうでしたか?』と
言いながら
宇都宮の顔を見ている。
『俺は帰るけど
1人で立てるか?』
宇都宮に、そう聞かれた
彼女は
『らいじょうぶ、れすよ』と
言いながら
立ち上がろうとして
フラついて
立ち上がる事が出来ない。
『お前の酒癖が
こんなに悪いなら
飲みに行かない方が
良かったな?』と
宇都宮が笑いながら
彼女に言うと
『それじゃ、お礼が
出来ないじゃ、ないれすか?』と
小比類巻が言って来たので
『お礼なんて
ほっぺにチュ-くらいで
良かったんだよ』と
宇都宮が笑いながら
返すと
『ほっぺにチュ-なんて、
寂しい事を
言わないで下さいよ』と
言って小比類巻は
彼の首に手を回して
至近距離で見つめながら
半目で笑いながら
宇都宮を見ている。
『お前、酔っているよ』
慌てている感じで、
宇都宮が後ずさりをすると
小比類巻かおりは
勝利を確信したように
目をトロンとさせて
笑いながら
彼の唇にキスをした。
酒クサイ息の
彼女から離れるように
宇都宮が
『お前、酔い過ぎだよ』と
言いながら後退りすると
『宇都宮さん、可愛い』
『キスくらいで照れて
いるんですか?』
そう言ってケラケラ
笑っている。
女性は時に
ラッキースケベを見れて
男が喜んでいると
上から目線で
この程度で喜んでいやがると
かぐや様ばりに
『おかわいいこと』と
マウントで考える事がある。
彼女も会社の先輩である
宇都宮の
たじろぐ姿を見て
面白がっていた。
男の人って可愛い
『俺が変な気になったら
どうするんだよ?』
そう宇都宮が言った言葉を
聞いた彼女は
更に悪い笑顔を
浮かばせながら
宇都宮の後頭部を抑えて
彼の唇を奪った。
この時彼女は酔っていて
気が大きくなっていて
自分が失敗している事に
気がつかなかった。
この手の強制キスは
ギャラリーが
他にいる場所で
すべきである事を。
だが普段大人しい人が
酒に酔うと
絡みまくる
あの状態だった
彼女は分かっていない。
そして、もう一つの失敗は
勝手に宇都宮を
草食男子と決めつけていた事だ。
ラッキーすけべを与えている
つもりの
小比類巻かおりの唇に
異変が起きた。
キスをされて困惑していた
宇都宮が彼女の唇を
強引にこじ開けて
彼の舌が
彼女の舌に絡んできている。
小比類巻には
何が起きているか?
認識が出来ない。
ちょっと待って
宇都宮先輩が
アパートまで送ってくれた
ご褒美に
チュ-をしてあげた。
照れる先輩が
面白くて
もう一回チュ-をしてあげた。
先輩が興奮して
私のクチの中に舌を
入れて来たの?
回らない頭で
彼女が
事態の整理が出来た頃には
宇都宮はキスしたまま
彼女を床に寝かせつけて
自分の手を
彼女のTシャツの中に
潜り込ませて
ブラの上から
彼女の左胸を
少し乱暴に
揉みしだき
始めていたのであった。