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第五話 っていうかナツを、見つめてる。エロじじい。

「え?え?どういうこと?」


さすがのナツも状況が上手く把握できていないようだ。

まぁ突然「異世界へようこそ。で、「光の巫女」として救世主になっちゃいなよ!」とか言われたらそりゃテンパるわな。


「候補といっても実際は特にすることは無い。敢えて言うならしばらくの間姿を隠していて欲しい。」


「どういうことだよ、葵?そもそもなんでナツが救世主なんだよ?」


「お前さんが闇なのじゃよ。」


ドアが開き、黒いローブを着た老人が1人入ってきた。なんか仙人っぽいじぃちゃんだな。


「村長」


葵が口を開き、軽く頭を下げる。


「この子たちか。新たに召喚されたというのは。」


「ええ。現世では俺の高校の後輩でした。」


「ほう。お前さんの知り合いはよくこちらに喚ばれるのぉ。」


少し驚いた様子で村長はこっちを見ている。っていうかナツを、見つめてる。エロじじい。


「え?葵さんの知り合いが他にもいるんですか?!もしかして、サクラちゃんもこっちに来てるの?」


村長、もといエロじじいの言葉に反応したナツが葵に問いかける。


「ああ。サクラは俺とともに召喚された。今はこのラ・セゾンの光の巫女だ。」


ん?なんだ?光の巫女って。と俺は少し疑問に思ったけど、ナツはそんなことよりもサクラがここにいるという方が気になるようだ。


「やっぱり!会いたいなぁ。今はどこにいるの?」


「もうすぐ来るはずじゃぞ。」


サクラに会えると聞いてはしゃぐナツの質問に村長が鼻の下をのばしながら答える。なぐったろうか。


サクラは俺たちの同級生。たしか4組だったかな。葵と同様、3日前から行方不明になっていた。2人いっぺんに行方不明になったのだから普通だったら駆け落ちでもしたのかって話になるとこだけど、今回は事情が違った。

2014年。世界中で「新型ロックインシンドローム」と呼ばれる奇病が流行し始める。新型ロックインシンドロームはある日突然発病し、発病者は全くコミュニケーションをとれなくなる。食べ物を口に入れるとちゃんと飲み込むし、排泄も行う。が、自分から自発的に行動することは絶対にない。意思とか精神と呼ばれるものが肉体の奥底に閉じ込められてしまうのだ。自発的な意思はあるがそれを表現することができない元来のロックインシンドロームと外見的には似ているため、新型ロックインシンドロームと名付けられた。また、世界中で行方不明者の数が急増し始める。日本では「現代の神隠し」などと呼ばれ、話題になっていた。

ハル達が通う学校でも話題には時々上がったが、ハル達にとって所詮それは人ごとだった。3日前、葵とサクラの2人が「神隠し」に遭うまでは。葵とサクラと仲の良かったハルとナツは2人を探していたところで交通事故に遭いそうになり、そのまま召喚された。

というか、あの交通事故だって反対側に葵と似ている人を見つけ、思わずナツが飛び出したのがきっかけである。こうしてみると多分に巻き込まれた感のあるハルだった。


「ハル!!ナツも!!」


サクラが入ってきた。こちらは上等な布で作られた綺麗なワンピースっぽい服を着ている。全体的にふわふわした薄布で織られており、サクラにとてもよく似合っている。


「ってこら!どさくさにまぎれて抱きつくな!」


大きく開いた胸元を思わずのぞいてしまうのが悲しき男の性だよな。っていうか、くっついてきてるから感触が!


「だって、3年ぶりなんだもん!会いたかったよ!」


と涙ぐんでいるサクラを見ると、なんだか強く言えなくて結局おとなしく抱きつかれていた。サクラは栗色のふわふわしたロングの髪がよく似合う、可愛い感じの女の子だ。守ってあげたい!ってオーラ全開っていうか。正直、こんな美少女に抱きつかれると悪い気はしない。でも、ナツに誤解されたら困る!って思ってちらっと様子をうかがってみると、ナツはこっちはちらりとも見ずにただ一心に葵を見つめていた。か、完全に恋する乙女の瞳になってる・・・。誤解されるのもそうだけど、これはこれでちょっとショックだった。


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