表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

第十四話 桜が涙声でそうつぶやいたのを聞いた気がした。



「あ、葵・・・・??」


 振るえる声で小さくつぶやく。自分の声なのかわからないくらい、か細くて情けない声だった。

 辺りを明るく照らしていたオーロラが消えたが、鋭い光が俺たちを照らした。

 桜が両手に収束させたマナが強い光を放っている。


 「神雷槍!!」


 ズドォォーーーンッッ!!!!!


 再び爆音とともに地面が振動する。黒騎士の間近にいた俺たちのところにも熱波が吹き付けてきた。葵ごと吹き飛ばされて俺たちは地面を転がった。

 視界がチカチカする。・・・やったのか?


 「きゃあっ!!!」「ナツちゃん!!」


 衝撃とともに俺の身体に何かがぶつかってきた。・・・ナツ!?


 「ナツ、大丈夫か?!」


 「う・・・。」


 肩をつかんでゆさぶるとナツは小さく声をあげて答える。


 「よかった、無事・・・」


 そう言いかけたところで、ナツの着ていた白いシャツが真っ赤に染まっているのが見えた。肩から血が噴きだしている。


 「・・・お前が光の巫女・・・か?」


 暗い、不協和音のような響きを持った声が聞こえてきた。顔をあげると、黒騎士と桜がにらみ合うようにして向かい合っている。桜も傷を負ったのか、苦しそうに息をしながら右手で左肩を抑え、地面に膝をつけていた。桜を見下ろす黒騎士が再び問う。


 「お前が光の巫女か?・・・それとも、さっきの娘か?」


 「ナツちゃんは関係ない!私が光の巫女よ!!」


 桜が声を張り上げる。


 「・・・なら、お前には一緒に来てもらおう。我が主がお前を必要としている。」


 黒騎士がそう呟くと右手を前にかざすと、その手の周りだけ闇が一層色濃くなる。その右手から桜へと闇が伸び、桜を包む。


 「桜!!!」


 桜の身体が闇に包まれ、見えなくなる。そして、黒騎士がこちらを向いた。


 「そこの娘にも光の巫女の素質がある。・・・消させてもらう。」


 そう呟いて、黒騎士がレイピアをかまえ、ゆっくりと歩み寄ってくる。


 ナツを守らなきゃ。ナツを守るのは俺なんだ。そう強く思ったのに、剣をつかもうと手を伸ばしたのに・・・・・


 俺の身体は、動かなかった。


 「マナよ、光に宿りて友を運ぶ船へとその形状を変えよ!光乃方舟ひかりのはこぶね!!」


 桜がそう叫んだのが聞こえた瞬間、俺たちの身体は温かな光に包まれ、俺は、自分の身体が宙へと浮き上がるのを感じた。


 「ハル君、さよなら・・・。」


 桜が涙声でそうつぶやいたのを聞いた気がした。







誤字・脱字、こうした方がよいなどのアドバイスがありましたら

一言どうぞよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ