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第九話 ・・・サイテー。



いや、びっくりしたな。まだ心臓ばくばくいってるよ。・・・それにしても、逃げてきちゃったのはまずかったよなぁ・・・。でも、あの場に残ってたってどうすればいいのか・・・。結局傷つけちゃうことになるもんなぁ・・・。

そんなことを考えながら適当に家の周りをぶらついてたら、すぐそばの芝生に座り込んでるナツと葵の姿が見えた。なんだか気まずくって、思わずそばの茂みに隠れてしまった。

なんで隠れてるんだよ、と自分で自分に突っ込みをいれ、茂みから出ようとしたところで2人の話し声が聞こえてきた。


「え!?そんなに急なの!?」


「・・・これでも遅いくらいだ。お前らが来たからぎりぎりまで延長した。」


「そんな、だって、後3日しか一緒にいられないの?どうして?ずっとこの村で過ごせばいいじゃない!」


「・・・帰る方法を探さなきゃいけない。」


「そんなの、葵さんがやらなくてもいいでしょう?他の誰かに任せておけば・・・」


「他の誰か、なんて存在しない。」


なんだか出るに出られない雰囲気になってしまった。なんていうか、葵がこんなにしゃべるのを聞くと感動してしまうな。俺との会話の時なんて、「ああ。」とか「わかった。」とかの一言でほとんど会話が終了してしまう。

 そんなくだらないことを考えていたら、ナツがとんでもないことを言い出した。


「じゃあ、私を連れて行って。・・・桜ちゃんの代わりに、私が光の巫女になる。」


「・・・それこそ、お前がやる必要は無い。他の誰かに任せておけばいいだろう。」


「・・・葵さんと一緒にいる役目は、他の誰かに、桜ちゃんに任せたくない。私が、葵さんの隣にいたいの。」


衝撃をうけた俺と違って、葵は至極冷静に言葉をつなげる。


「・・・お前は、光の巫女にはなれない。」


「私だって、光属性を持ってる。素質は十分のはずだよ。」


「・・・・・それでも、お前は桜じゃない。」


そう言って、葵はゆっくり立ち上がった。


「俺が守りたい光の巫女は、お前じゃない。光の巫女になって旅に出たいなら、1人で出ろ。」


それだけ言うと、葵は家とは反対方向へと歩を進めていく。


ナツは、しばらくうつむいて座り込んだままだった。もしかしたら、泣いているのかもしれない。慰めたかったけど、なんて言って声をかければいいのかわからなかったし、どうやって姿をあらわせば良いのかもわからなかった。

どうすればいいのか悩んでいたら、ナツが急に立ち上がって、家へと歩き始めた。

やばい!って思ったときにはもう遅かった。ナツの痛々しく潤んだ瞳には、茂みに座り込んで情けなく身を隠していた俺の姿が写ってしまっていた。


「・・・・盗み聞きしてたの?」


「あ、いや、その・・・ち、ちが」


「・・・サイテー。」


それだけ言うと、ナツは足早に家の方へと進んでいった。



たしかに、この世界に来てから「サイテー」の夜かもしれなかった。




翌日、朝からナツは一言も話さなかった。なんだか桜も俺に対してよそよそしくて、昨日までの楽しい雰囲気が嘘のようだった。・・・葵のやつは、全くいつもと変わらなかったけど、それはそれでなんだか腹が立った。


ストレス発散しようと思って、その日は前日習った氣功も使いながら剣術を葵に相手してもらった。一発もいれられなくて、っていうかむしろフルボッコにされて逆にストレスがたまったけどね。とりえず、葵たちが出発する前に絶対1本とってやる。


ナツは桜から魔法を教えてもらったりしながら1日を過ごしたようだ。俺も夜は氣功の練習を積んで過ごした。戦闘のときは、氣功の発動までの時間が短ければ短いほど余裕ができる。葵なんかは一瞬で自分の望んだ部位を硬化させたり強化したりできるんだけど、慣れてない俺はいちいち集中しなきゃ氣を練れないから時間がかかりすぎる。今日も硬化が間に合わなくて、強化した葵の右足で、ガードに使った俺の左腕をぽっきり折られたのだ。あの時はさすがに痛すぎて涙が出た。すぐに桜に治療してもらって事なきを得たけど、それ以来氣功を使っての組み手は厳禁となった。それでも、実践に備えて練習しておく必要は十分にある。・・・と思う。


そんな感じで日々が過ぎていって、ついに葵達と過ごす最後の夜が訪れた。





桜の表記をサクラから桜へと変えました。

いや、本当に気分の問題なんですけど、

もし読みにくくなってしまっていたらすいません。


稚拙な文ですが、読んでくれている皆さまの暇つぶしにでもなったら幸いです。

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