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リックさんに押され部屋を出ると屋敷の外へと連れて行かれ、門の近くまでやってきた。


「結果はまた後日知らせます」

「あの」

「なんですか?」

「他に同じような試験をした人いるんですか?」

「……えぇ」


そう答えつつもリックさんの目線は私よりも門の方へと向かれており…。


「あの門番の人とは仲良く無いんですか?」

「どうしてそう思うんです?」

「だって来た時もお互い避けるようでしたし、それに」


私はもう一度二人の関係を聞こうとしたが、その時門番の人がこちらへとやってきた。


「リック、もういいんだろ?」

「……あぁ」


二人の間に挟まれる形で私は立ち、交互に見ていった。


(似てる…?)


何となくだが、リックさんと門番の人は顔が似ているような気がした。


「あんたももういいですよね?あまり部外者がいるのは気になってしまうんでね」

「あっ、ごめんなさい……」

「そんな言い方ないだろう、カルロス」

「はぁ、お前は優しすぎる。だからエ……」

「黙れっ」


誰かの名前だろうか…急にリックさんは険しい顔を見せカルロスさんを睨み出した。

いまにも喧嘩が始まりそうな雰囲気になり、私はオロオロするばかりだった。


「……もう行きましょう、レナさん」


険しい顔のまま私の左手首を掴むとカルロスさんの横を通り門の外へと私を連れていった。


「すみません」

「あの、大丈夫ですか?あの人、カルロスって」

「あぁ……兄です」

「兄?」

「身寄りの無い私達をアルバート様は助けてくれた。

その恩返しでここで働いています」

「そうでしたか……」

「それより結果は後日伝えに行きます」

「えっ、家に来るんですか?」


私の言葉にリックさんは『あっ』と軽く声を出し考えた後、父に伝えると訂正した。


「その方がありがたいです…」


姉だけには知られたくない。

だからリックさんの提案を拒否し、訂正させてしまった。


「いえ、こちらこそ。では決まり次第その手筈で」


そう言い残すと門の中へとリックさんは入っていき、私はその後ろ姿が見えなくなるまでその場に立っていた。






ーーーーーー






「何処ほっついていたのよ?」


帰るなり姉が目の前に現れた。


「えっ、買い物……」

「買い物、ねぇ」


姉は私の持つバックの中を覗き込もうとしてきた。

咄嗟に私は体の後ろに隠し、距離を取った。


「なんで隠すのよ?どうせいつもの食材でしょ。見たって何も変わり映えしないくせに」

「い、いいでしょ。別に同じなんだし見る必要なんて」

「でも隠すって事は何かあるって事でしょ。見せなさいよ」

「嫌だ」

「……最近あんた反抗的ね」


段々と姉の機嫌が悪くなり、下がる私との距離を詰めてきた。


「来ないで」

「そんなに頑なに拒むって事は何か特別なもの買ってきたんでしょ。見せなさいって」

「特別なものなんて何も買ってない」

「いいえ、その拒み方は何か私に言えない秘密があるに違いない!」


後ろに持ったバックを両手でギュッと握り締めた。


「ほら、見せなさいって」


姉が更に近寄り両手首を掴むと、バックから手を離さそうとしてきた。


「やめて!」

「だったら見せなさいっていってるでしょ!」


取っ組み合うが姉の方が力が強く手首をギュッと押さえつけられ痛みから私はバックから手を離してしまった。

ポトリと落ちたバックの中身は空っぽ。

それを見た姉は掴みながら私の顔を見て『なにも?』と問う。


私は今日は良い物が無かったから買わなかったと嘘をついた。

だけど、掴んだ手の脈が早い事で嘘をついていると姉は確信したようだった。


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