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試験会場

自室に戻った私は時間ばかり気にした。

昼までに屋敷へ…。

食材を買いに街へ行く事はいつものことだが今日だけは違う。

私の人生が変わるかもしれない日にもなるかもしれないのだから…。

だから落ち着かず窓の外を見ては壁にかけられた時計に目を映す行動を繰り返した。


「……」


気が気じゃない私は少し早いが自室を出て屋敷へと向かう事にした。

手にはバレないように紐を編み込んだバックを手に。




いつも歩く街並み。

テントを張り、街を埋め尽くす様子はこのレスター国ではありふれた光景だ。

雲もなく晴れ渡った空の下には多くの人が歩いている。

右に左にと目を送りながら歩く私は少し不審者のようである。


「お、レナじゃないか。今日は要らないのか?」


懇意にしてる魚屋の店主が私に声をかけるが私はそれを無視して歩いた。


「なんだ、具合でも悪いのか??」


心の中ではごめんなさいと謝り、目的の屋敷へと急いだ。





ーーーーーー





「あの、これを」



私はリックさんに言われた通り門番に紙を見せた。

私から受け取るとその紙に目を映す門番の人。

この人もリックさんと同じようにスーツ姿だ。


紙を見ている人をよそに私は屋敷を見上げた。


白い外壁は綺麗でそれが横に長く続いている。

所々見える窓の中では動き回る人影が見え、少しだけ緊張した。


「……ではこちらへ」


門番の人は背を向けると黒い大きな門を開き、私を招き入れた。

屋敷内にはいくつも花があり、その近くでは手入れをする人が見えた。


「綺麗…」


つい私は言葉を漏らした。


「アルバート様が指示してますからね」


門番の人は私の声に反応し、そう答えた。

そういわれ私は植えられた花にもう一度目を向けると赤色が多いことに気付いた。


「本当に好きなんだ」

「……誰から聞いたか知りませんが、よくご存知で」


どうやら私の思った事を察したようだ。


「レナさん」


屋敷の扉に向かう道中でリックさんに会った。


「よく来てくれました、ん?それは」


偽装工作のため持ってきたバックに目を送り少し首を傾げた。


「あ、これは…」


「お知り合いですか?…なら私はコレで」


門番の人はリックさんに気付くとすぐに私達から離れ、また門へと戻っていった。


「逃げるように行かなくても……」

「リックさんの知り合い、ですか?」

「……そんなところです。まぁ、こちらへどうぞ」


どうやら地雷のようで、リックさんはバックの事は不問し、くるりと背を向けると屋敷の扉へと歩き出した。


焦茶の両開きの扉を開け、中へと入る。


「うわぁぁ」


中はより豪華な造りになっていた。

入った正面には階段、しかもそこには赤い絨毯。

見渡す中にも壺や絵画がいくつもあり、いずれも高級そうで触るなんて恐れ多い感じがした。


「赤いですよね」


少し笑いながらリックさんは私に話しかけてくる。

どうやら私の言葉はその絨毯に向けられた物だと思ったらしいが、そこは違った。

別世界にいる感じがして出たのだが…。


「そ、そうですね」


つい愛想笑いをして返してしまった。


「……違ったみたいですね、すみません」

「いえ!こ、こちらこそ!」


ちょっとだけ変な空気になったが、オホンと咳払いをした後、こちらへ、とリックさんはまた歩き出し、付いていった。



入って右手を歩き、その一つで足を止める。

そこは茶色の扉の前。

軽くノックをし、中から声がした後開くとそこには赤髪の男性が座っていた。


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