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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

読み切り版 生き残った幼女と戦闘兵器

作者: 野うさぎ

 世界は、戦争している。

 ここは、狂っている。

 そのことを、なんとも思っていないんだろう?


 俺は、ジェント。

 親切な紳士を目指す16歳の高校生だ。


 戦争で生き残った子供がいた。

 赤ちゃん、1歳の子供、2歳の子供、3歳の子供、5歳の子供、9歳の子供、11歳の子供、12歳の子供、13歳の子供がいた。


「よく、生き延びたな」


 俺はなぐさめの言葉でかけたつもりだったけど、子供たちはなぜか泣いていた。

 辛いのも無理はない話だけど、俺はなんて言葉をかければよかった?


「ええっと、ぬいぐるみとか好きか?

人形とか?

小さい子優先でさ、送るから元気出してくれないか?」


 俺は、事前に子供たちのためにいつか人形を用意していた。

 バンボラちゃん人形、ムネーカちゃん人形、ムネーコ君人形、プッペちゃん人形、プペちゃん人形、イニョンちゃん人形、ワジュンワーワーちゃん人形を渡した。


 赤ちゃんにはバンボラちゃん人形を、1歳の子供にはムーネカちゃん人形、2歳の子供にはムーネコ君人形、3歳の子供にはプッペちゃん人形、5歳の子供にはプペちゃん人形、9歳の子供にはイニョンちゃん人形、10歳の子供にはワジュンワーワーちゃん人形をプレゼントした。


 だけど、11歳の子供と12歳の子供と13歳の子供には、渡す人形が残ってなかった。

 やばい、どうしよう?


 人形を渡された子供たちは、喜んでいた。

 俺は14歳で親を失ったので、その気持ちをわかってあげているつもりでいた。

 つもりでいたけど・・・。


 11歳の子供が、俺のことをにらみつけていた。

 そりゃあ、そうだよな。

 まだ幼いんだし、人形ぐらいほしいよな?


「復讐したいのです・・・」


「え?」


 予想外の言葉に、俺は驚きを隠せなかった。


「復讐したいのですわ。

親を殺した犯人に」


「幼い君には、負担が重すぎる。

それなら、俺がぬいぐるみとか作るから、それで・・・、それだけで・・・」


 これ以上の言葉がでなかった。

 何も言うことが思いつかなったから。


 俺は後ほど、熊のぬいぐるみをプレゼントした。

 雄熊ぬいぐるみのオルソ、雌熊ぬいぐるみのオルサ、小熊ぬいぐるみのオソがあって、小熊のぬいぐるみを11歳の子供に、雌熊のぬいぐるみを12歳の子供に、雄熊のぬいぐるみを13歳の子供に渡すことができた。


 俺は、子供の心を救えたかどうかわからない。

 だけど「復讐したいのですわ」という言葉が、今も頭の中に残っていた。


 人形やぬいぐるみをプレゼントすることしか、何もできなかった。

 もっと、苦しんでいる子供の心に寄り添うことができたんじゃないか?


 玩具なんて、ただの物でしかないんだから、あれで子供の心の傷が癒えるわけがない。

 親を失った痛みの方が、何倍も大きいし、深いはすだ。


 痛みをわかっていながらも、何もできない。


「ありがとうでござるわ」


 振り返ると、そこに13歳の子供がいた。


「いつから、ここに?」


「さっきからいたでござるわよ」


 13歳の赤髪の女の子と、12歳の紫髪の女の子が俺の後に立っていた。


「このぬいぐるみ、ありがとうでござるよ」

 紫髪の女の子が、言った。


「熊のぬいぐるみだ。

アニメに親子で登場する・・・」


「一生懸命、励まそうとしてくれているのは、態度でわかるでござるわ。

戦争なんて許されざることかもしれないけど、君からもらったぬいぐるみと一緒にまた、歩きだそうと思うのでござる」


 こうして、幼女は姿を消した。

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