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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第1章 クサツタカシの戦い
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第8話 旅とダークエルフ

本日2回目の投稿です。お読みいただければ幸いです。

 僕と、フィー、リンダさんは屋敷の前で、父と母たちの見送りを受けていた。

 父はにやにやしながら「必ず見つけてものにして来いよ」と声をかけてきた。

 母たちは、ニコニコしながら「頑張ってきてね、ダメだからって暴力でものにしたり、しつこく付きまとっちゃだめよ」とくぎを刺してきた。


 ファー母さんは、フィーと何やら話をしている。二人とも、傍目ではほぼ同い年にしか見えない。二人の話に聞き耳を立ててみたら「自由にできる男が確保できたら里に送り込むの。姉妹たちの種にするの」

 「了解なの。里に行く時の手土産に何人か確保できるよう努力するの」

 「私たち亜妖精の数を増やし、隠れ里から出て、国を作るのが我々の使命なの」

 「お兄様から早く種を絞りだすよう努力するの。お母様もお父様から絞り出すの」

 「頑張っているの。もっとたくさん亜妖精を産むの」


 聞かなかったことにしておきましょう。


 さて、一番最初の目的地は、冒険者ギルドだ。そこで、僕らの冒険者登録を済ませて、情報収集を行うことにした。

 リンダさんは元冒険者で、銀クラスだったらしい。ちなみに冒険者のクラスは一番上から、オリハルコン、ミスリル、金、銀、銅、鉄、木となっており、最初に登録すると木から始まり、その後実績によりクラスが上がる形式になっていた。

 「私は銀クラスの魔法使い、まあ、冒険者としてはちょっと上クラスかしら」と言っていた。


 僕とフィーは受付窓口に行くと、用紙を渡され、名前、生年月日、職業を記載するよう言われた。

 ちなみにフィーは羽を消して、外見上13.4歳ぐらいの女の子に見えるよう擬態していた。なぜなら亜妖精は一般には恐怖の対象であり、人食いの妖怪と思われていたから、余計な混乱と、面倒を防止するためだ。


 「二人は何の職業で登録するの」リンダさんから聞かれたので、僕は「魔法使いで」と即答した。フィーは「精霊使いで登録するの」と言った。

 リンダさんは少し困惑して、「フィー姉さんはわかるけど、タカシ君は武闘士の方が良くない?大会優勝の実績があれば、すぐに金、場合によってはミスリルになれるわよ」と言った。


 「いいえ、僕は魔法使いを目指しているので、魔法使いでお願いします」と僕は強く主張した。

 リンダさんはあきれたように、「分かったわ。それじゃそれで登録しましょう」と言って、登録を手伝ってくれた。


 リンダさんはその後、ギルドでグレタさんの消息を聞いた。冒険者ギルドでは、冒険者の動向についてある程度ギルド同士で情報交換を行っており、非常のときには呼び出し依頼をかけられるようになっていた。

 グレタさんは、なんと50年間冒険者をしており、オリハルコンクラスの冒険者でリンダさんも驚いていた。

 「えっ、あの子人族じゃないの?この経歴だと間違いなく長命種族ね。びっくりしたわ」

 その後、リンダさんが、冒険者ギルドに掛け合ってくれて、今いるだろう場所を調べてくれた。

 どうもわかっている限りでは隣国のコロン合同国にいるらしい。

 コロン合同国は、人族の王や異人種の長が合議制で治めている国とのこと。

 そのため、小さな争いも絶えず、法も十分に機能していない、ある種の無法地帯となっている場所だそうだ。その分冒険者の仕事も多く、護衛や盗賊討伐、傭兵のような仕事が数多くあり、悪い冒険者になると、強盗や人さらいなどもやっているものもいるとのことだ。

 なお、コロンでは、奴隷売買は合法的に行われており、戦争の捕虜や外国人や異人種をさらって奴隷にする行為が行われており、有力な輸出品の一つとなっている。


 グレタさんが無事だといいんだけどと思いながら、僕らはコロン合同国に向かった。


 コロン合同国の国境は問題なく超えられた。ギルドに登録した際もらった冒険者証を見せたらそのまま素通しだった。

 コロンに入って街道を歩き始めてすぐに、剣を交える音が聞こえた。

行ってみようと声をかけると、リンダさんは「面倒に巻き込まれる可能性が高いからやめた方がいいと思うわよ」と言って、渋い顔をした。

 しかし、何かあったら放っておくことはできないと僕はリンダさんに言うと、「しかないわね、行ってみましょう」と言ってくれた。

 現場に行くと、フードをかぶった1人の剣士に10人ばかりが襲い掛かっていた。

 「何をしている」と僕が声をかけると、リーダーらしい男が一瞬びっくりしたような顔をしたが、やらしい顔をして「次の獲物があっちからやってきたぜ。女と子どもが二人だ。高く売れそうだ。お前たち、やれ」と言ったら、5人ほどが襲い掛かってきた。

 「やっぱりもめ事になった」そうため息をつきながら、リンダさんは防御魔法を張って、敵の襲撃を阻止した。

 僕がそのすきにウインドカッターを飛ばした。だが、3人は首をはねることができたが、二人はうまくよけて、防御魔法を魔道具を使って打ち破ると、僕とフィーに襲い掛かってきた。

 敵のリーダーは「魔法使いは接近戦に弱い。更にガキなら扱いやすい」といって笑った。

 僕は接近戦の方が得意なんだけどな、と思いながら敵の頭を吹っ飛ばした。フィーも亜妖精の姿を現し、負魔法を使って悪霊を呼び起こした。一見ワームのような形状している一メートルほどの黒いひもが複数出現し、敵に襲い掛かった。

 「うあ、やめろ…」黒いワームは敵の身体をくいやぶり、あっという間に食い尽くした。


 僕はそのまま残った敵に近づき、頭を吹っ飛ばしていき、フィーは悪霊を放って、敵を食べて行った。

 ついにはリーダー一人となり、フィーの悪霊に取り囲まれ、いつでも襲い掛かれる状態になっていた。

 「なんだお前ら、魔法使いのくせになんでそんなに接近戦に強いんだ。それになんで亜妖精なんてつれているんだ」といって、ガタガタ震えていた。

 「大丈夫ですか」僕はフードをかぶった剣士の方に向かった。剣士は「ありがとう、助かったよ」と言って、フードを取った。すると顔はエルフのようなのだが、色は黒くエルフのようなスレンダーな体ではなく、メリハリのある体形をしていた。

 「僕はタカシ、亜妖精の子はフィー、あと人族のリンダさんです。あなたは?」

 「私はダークエルフのネスカだ」続けて、「道を歩いていたら、いきなり襲われたんだ。こいつら奴隷狩りをしているらしい」と言った。


 「お兄様、こいつ食べてもいいの」フィーが聞いてきたので、「ちょっと待って、話を聞いてみるからね」と答えた。

 「ひー、助けてくれ。食われるのは嫌だ」男はガタガタ震えて、恐怖のあまり漏らしていた。

 「お前たちは、奴隷狩りかい。奴隷を狩ってどうするのかい」僕が聞くと、「町のイスラブ商会に持って行くと買ってくれるんだ。イスラブ商会はこの辺りで一番でかい商会で、実質的なここの支配者だ。逆らうと、大変なことになるぞ」と言って脅してきた。

 「おまえ、商会に雇われているのか」

 「いいや、持ち込みで売っているだけだ」

 「そうか、他に奴隷狩りをしているグループはいるか」

 「このあたりだと、もう少し町に近いところ1パーティいるだけだ。頼む殺さないでくれ」男は哀願してきた。

 「そうだな、殺さないでおいてやろう」そう言うと、僕は敵の腹を殴って気絶させた。

 「どうするの?」リンダさんが聞いてきた。

 「奴隷売買はこの国では合法らしいけど、普通の人を襲って奴隷にするのは許せないな。とりあえず、奴隷狩りのパーティを狩って、奴隷としてイスラブ商会に売ってみようと思う。イスラブ商会がどう出るかによって、次の対応を決めようと思う」と僕は答えた。


 とりあえず、捕まえた男と残っている死体から衣類持ち物を奪って、死体はフィーの悪霊に食わせた。奪った服は汚れているので、僕とリンダさんで協力して、水魔法で洗って、火魔法と風魔法で乾燥させた。

 男は、裸のままで首輪をし、後ろ手に縛って、更に悪霊を一匹足に絡ませておいた。もし逃げたら食わせるためだ。

 一連の作業が終わって、僕らが出発しようとすると、「ちょっと待ってくれ、すまないがお願いがある」とダークエルフの剣士が言った。

 「私は、行方不明になった仲間のダークエルフを探して旅をしている。ちょっと前にわが村が襲撃を受け、仲間がさらわれた。仲間を助けるために、今、村の戦士が何人か分かれて居場所を探しているのだ。もし、可能なら仲間を探して助けるのを手伝ってほしい」

 僕はリンダさんの方を見た。リンダさんが口火を切った。「私たちも仲間を探して旅をしているの。あなたの依頼を受けることはできないわ」

 「おそらく、村を襲撃したのはイスラブ商会の息のかかったものだと私は考えている。商会はこの辺りいちばんの奴隷商で、攫った奴隷はだいたいあそこに持ち込まれる。どうやって、情報を集めようか悩んでいたのだが、話を聞くと、あなたたちは商会にいって、そいつを奴隷として売るのだろう。その際情報が欲しい。一緒に行かせてくれないか」

 リンダさんは悩んでいたようですが、僕の耳元に近づいて、「旦那様が決めて。私はそれに従うわ」と言ってきた。フィーを見ると、ニコッと笑って「お兄様の好きにするといいの。フィーはなんでも手伝うの」と言った。


 「分かりました。とりあえず、奴隷狩りしている奴らを捕らえて、売り込みに行きましょう。その際、ダークエルフの件とグレタさんの件を聞いてみよう」と言った。

 「ありがたい。仲間がどうなったかわかれば、助けようがある」といって、喜んだ。

 その時、リンダさんが「それで依頼の報酬は何がもらえるのかしら」と聞くと、ネスカさんは「それでは私がこの子の嫁になろう」と胸を張っていった。

 「お前を一目見て気に入った。強いし、かわいらしい。嫁になってやってもいいと思ったよ」ネスカは続けていった。

 「これでも、私は村で一二を争う美人だったんだ。それがお前の嫁となり、何でもしてあげよう。悪い話ではないだろう」と自慢げに言った。


 フィーは「お兄様の正室は私なの。リンダは側室なの。ネスカも妻になりたいの?」と尋ねた。リンダさんも「第二夫人は決まっているから、あなたは第四夫人だけどいい?」と尋ねた。

 ネスカさんは一瞬惚けた表情になり、それから「その少女は妹ではないのか?」と聞いてきたので、「はい妹です」と答えたら、「妹で妻なの。私たち兄妹で結婚しているの」とフィーが言った。

 「タカシは妻が3人いるのか。おまけに妹を手籠めにするとは。顔に似合わず女たらしの外道なのだな。がっかりしたぞ」と怒った表情になった。


 「ちょっと待ってください。二人ともまだ婚約者でしょう。それにフィーは父上の命令で婚約者になったのであって、リンダさんは自分から僕の妻になってくれるって言ったのではないですか」僕は慌てて説明した。

 「それにまだ二人ともそういう関係にはなっていないでしょう。フィーには手を出してないですよ」

 「フィーはすごく残念なの。早く手を出してほしいの」

 ネスカは納得したような顔をして、「ああ、お前が口説いたわけでなく、口説かれたのか。それじゃ仕方ないな。もう一人妻がいるらしいが、どこにいるのか」と聞いてきた。

 僕はこれまでの事情を話した。僕がヤマト王国の伯爵位を持っていることは、言葉を濁して貴族の出身とだけ伝えた。

 「貴族の出身なのか。貴族では、兄弟や親子で結婚すると聞いたことがあるが本当だったのだな。まあ、貴族の習わしだから仕方がないのだろうな」と妙に納得していた。

 「で、私の依頼は受けてもらえるのか。受けてもらえるのだよな」といって、僕に胸の谷間を見せつけながらにじり寄ってきた。

 僕は後ずさりしながら、「分かりました。受けます。とりあえず、奴隷商から情報を得ましょう」と言った。

 「ありがとう、旦那さま」と言って抱きついてきた。ちょうど顔の部分が胸に当たり、息ができなくて、バタバタ足掻いた。

 「ちょっと何やってるのよ」と言って、リンダさんが僕を奪い返してくれたおかげで、何とか窒息はまぬがれた。



お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。



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