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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第1章 クサツタカシの戦い
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第5話 王への謁見と戦場へ

毎日18時に投稿します。お読みいただければ幸いです。

 僕と父は回復後、王に呼ばれ、謁見場へと出向いた。

 そこには、王都側近数名がおり、僕と父は途中まで進むと、跪いて礼を取った。

 「そなたら、よくぞ戦った。先ずは、ジョン・クサツ」

 「は」

 「そなたには、大会準優勝の銀メダルと準男爵の任命権を与える。他に望みはないか」

 「恐れながら息子の望みをかなえていただきたい」

 「ほう、あれだけ派手な殺し合いをしておきながら、そなたは息子がかわいいか」

 「はい、強敵と戦うは私めの夢でございますれば。それが息子で、命のやり取りが思い存分できるなど親としてこれほどうれしきことはございません」にやりと笑いながら言った。

 側近たちがこそこそと「何と恐ろしきこと、人とは思えない」とささやいていた。

 

 「さて、タカシよ。そなたには、優勝の金メダルと一代男爵を与える。他に望みはないか」

 「戦場をお与えいただきたい」僕は王に言った。大会に優勝したし、あとは戦場で手柄を立てれば父のミッションはクリアーだ。

 「そなた、褒賞に戦場を望むか」王はあっけにとられていた。

 「そなたまだ12であろう。まだ実戦は早いのではないか」

 「おっしゃる通りだと思います。ですので、褒賞として、私に戦場を与えてくださいますようお願いしております。どうかお願いいたします」

 王は父に言った。「ジョンよ。お前、息子の望みを認めるか」

 「是非ともお願いいたしたく思います」父は間髪入れずに答えた。

 「クサツの一族の頭には、戦うことしかないのか。よかろう。今、北でルース帝国と小競り合いが起こっておる。これを撃退し、我が国に攻め込もうなどとしばらく思えないよう思い知らせてやれ」そう言って、王はニヤリと笑い、「タカシ、お前には仮伯爵の地位を与え、一個武闘士兵団の指揮権を与える。思い存分やってこい」

 「ありがたき幸せ。必ず手柄を上げてまいります」嬉しくて、弾んだ声で答えた。

 僕は父の方を見ると、父はにやりにとして、ウィンクをしてきた。

 「おまえら狂ってるな」王は少しあきれながらささやいた。


 僕は、北のルース帝国との戦場に走っていった。魔法を使って身体強化を図るとともに、風魔法を使って、身体の前の空気が左右に割れ、それが僕の後ろに回り、僕の体を吹き飛ばすようにした。

 朝出発して、翌朝には国境の砦に到着した。敵兵が攻め込んでいたので、火魔法で、ファイヤーストームを何発かくらわし、更に風魔法を加えて火を燃え広がらせました。

 あっという間に敵兵の半分以上が死傷し、残りも算を乱して逃げていきました。


 「恐れ入ります。私は王都から来たタカシ・クサツと申します。こちらの指揮官とお会いしたい」そう言って、砦の前で声を掛けた。

 門が空き、一人の男が出てきた。

 「私はこの砦の指揮官であるロバート・ミナカミである。第9武闘兵団の団長でもある」

 「私は、タカシ・クサツ。王命により第9武闘兵団の指揮権を任されています」そう言って命令書を渡した。

 ロバート殿は命令書を見て、「了解した。只今より、クサツ殿の指揮下に入る」そう言ってから、「クサツ殿はジョン殿の関係者か」と聞いてきたので「息子です」と答えたところ、「それでは武闘士の決まりは知っているかな」とニヤリとしながら言ってきた。

 「ええ、わかっています。早速殺りますか」そう言って、武闘士たちと手合わせした。

 武闘士の世界では、まず戦い、そして力量を知るとともに上下関係を体に刻み込むことが決まりとなっている。

 僕は団長や幹部連中、希望者と手合わせし、全員をぶっ倒した。砦の中庭は、倒れた武闘士たちでいっぱいになっていた。


 「さすが、クサツ家の方だ。我々はあなたに忠誠を誓うぜ」

 「現状どうなっていますか。情報があればほしい」

 「武闘兵団1個と一般兵の軍団一個がこの方面の守備に当たっている。3つの砦に分かれてこの国境を守っているが、敵は3つの砦に度々攻め込んでいる。現状は様子見のようだが、おそらく最も弱いと思われた城砦に集中して攻め込んでくるつもりなのだろう」

 「敵の城砦はいくつありますか?」

 「5つある。そのうち一番大きいウラジ城砦に兵が集まっているようだ」

 「この地方の地図を見せていただけますか?」と僕が尋ねると、ミナカミ殿は「帝国のアムル州の地図でいいな」と言って、地図を持ってきてくれた。

 地図を見ると、敵の城砦の位置が分かり、そのうちウラジ城砦は5つの砦の中で中央に位置し、最も大きい城砦で、この地方一番の都市でアムル州を治める州知事がいるハバロス市に最も近い場所にあった。

 ミナカミ殿いわく、5万以上の兵がこの城砦に集結しているらしい。


 「それじゃここを破壊しますか。私が先行しますので、ここには100名残して皆さん付いてきてください。武闘士なら走れますよね?」僕はそう言い残すと、ウラジ城砦に向かって走り出した。

 武闘士は基本余裕のある時を除いて走って目的地に向かうことになっている。何せ、下手に馬や馬車を使うよりも早いのが、武闘士の特徴だからだ。

 僕は遮二無二走り、城砦が見えてくると、城門を吹き飛ばすとファイヤーストーム10連発を食らわせた後、ウインドカッターを無数にぶち込み、中に飛び込むと、アースクエイクで、城砦を破壊した。


 敵の司令部を探したところ、つぶれた立派な建物があり、屋根を引っ剥がして生存者がいるかどうか調べると、立派な身なりをした男が一人重傷を負いながらも生きていた。

 とりあえず、手持ちの回復薬を飲ませて、縛って転がしておいた。

 気が付くと、人の呻き声や血を流した敵の兵士が右往左往していたので、ファイヤーウォールで、建物の残骸ごと焼き殺しておいた。

 やっと静かになったと思い、捕虜にした男のそばに座り込んでいたら、ミナカミ殿たちがやってきた。

 「びっくりしましたよ。ウラジ城砦が廃墟になっていて。これ、クサツ殿一人でやられたのか?」「そうです。この男は指揮官ですかね」とミナカミ殿に聞いた。

 ミナカミ殿が調べたところ、服装や身分証明書からどうも軍の司令官らしい。

 「すみません。これは捕虜にするので、護送してください。次はハバロス市を落とします」

 「ちょっと待った。早すぎはしないか」

 「今油断しているところが狙い目です。味方の砦にもこの状況を知らせてください。兵を各砦から3000づつ、ハバロス市に送るよう言って伝令を送ってください。それでは次に行きますよ」そう言って、再び駆け出した。


 ハバロス市に着くと、城砦の壁を越え、たまたまそこにいた兵士を処理して衣服を奪った。かなりぶかぶかで服に着られているようだった。

 街の高台から見ると、どうも兵舎が町の北側にあった。兵たちはそこで何か訓練をしていた。その場所に行くと、ウインドカッターで兵舎ごとずたずたに切り裂き、中にいた兵士たちは皆殺しにした。そのあと城門に取って返し、門番の兵士たちにこっそり近寄って皆殺しにした後、市民に被害が及ばないよう、市民たちを非難させた後、門を破壊した。


 その後、市庁舎にいった。まず、州知事だ。じゃまする奴はぶっ飛ばしながら、州知事の部屋に向かった。部屋のドアを殴り飛ばすと中に一人男が立っていた。「お前誰だ。こんなことをしてただで済むとは思うなよ」と言ってきたので、ぶっ飛ばして手足をへし折り、途中でかっぱらってきた麻袋に放り込んだ。次は市長だ。州知事室のそばだったので、今度はドアを蹴り飛ばし、中の様子を伺ったところ、ドアが机に衝突し、机ごと壁に吹っ飛ばされて市長は気絶していた。

 そいつも麻袋に詰めて、門のあった場所に向かった。襲ってくる奴は片っ端から処分していった。近いものはぶん殴り、遠いものは火か風魔法で処分した。

 城門の跡地に来ると、ミナカミ殿たちが辿り着いていた。

 それで、捕まえた二人を確認させると、州知事と市長で間違いないとのことだった。


 街が陥落したことを味方の城砦に知らせた。しばらくして各城砦から兵が3000づつ送られてきた。


 あまりに急に攻め込んで占領して言ったので、アムル州の敵に、我々の情報は全然伝わっていないようだ。

 これからが最後の仕上げだ。アムル州とルース帝国本土をつなぐクラ地峡にあるクラ要塞を占領する。

 アムル州は山がちの土地で、あまり豊かではない。そして、ルース帝国本土との間には高い山脈が走っており、その中で、人が容易に通れる場所はクラ地峡だけだ。

 帝国はそこに要塞を建設、外敵の侵入を拒むようにした。

 その後、国土が広がり、クラ要塞の重要性は失われましたが、現在でも1000人程度の兵が、その要塞に詰めているそうだ。

 とりあえず、武闘士を各城砦から集め、1000人体制に戻した。

 そして敵兵の軍服を奪い、その服を武闘士たちに着せた。


 われわれ1000名は、ゆっくりと要塞に近づいていった。

 門に近寄ると、「我々アムル州知事からの使いである。極秘の用件であるので、直接要塞司令殿にお伝えしたい」と大声でミナカミ殿に呼ばせた。

 油断していたのでしょう。門はあっさり開きました。我々は、隊列を組んで、中に入っていった。

 一人の兵士が近づいてきて、「司令のところに案内します」と言ってきた。

 僕を含め、数名が彼の後について行った。僕は従兵のような顔をして、一番最後に付いて行った。

 その兵士は僕の方を見て、ちっと舌打ちをしたが、ミナカミ殿の前だからか何も言いませんでした。きっとこんなチビが司令のところに行くなんて、と思ったのでしょう。

 「こちらです」部屋まで案内してくれた兵士は、そのあと僕に「お前はここで待っていろ、ガキが」といったので、お礼にぶん殴って頭を吹っ飛ばしてあげた。

 部屋に一挙に侵入し、要塞司令を拘束した。司令から要塞兵たちに降伏命令を出させて、全員を拘束した。


 その後は事実上の消化試合だ。残りの城砦やこの地に領地をもつ貴族のうち、在地にいた者に降伏勧告を出し、逆らうものは処分した。

 ウラジ城砦が廃墟と化したことを知った他の城砦は皆降伏し、在地の貴族たちも命の保証と引き換えに降伏した。たまたま領地にいなかった貴族の家族も拘束し、アムル州の完全掌握に成功した。


 次は捕虜たちを使い、クラ要塞の強化を行った。クラ要塞は、アムル州側に防衛設備が偏っており、裏側に当たるルース帝国側は施設が貧弱だった。

 僕は、城砦の正面に大きな穴を掘り、土を固めた針を敷き詰めた。穴は台形に掘っており、一度落ちたら這い上がることは難しい構造にした。更に左右の崖の中に射撃や岩を落とすための穴を作り、通路を通した。硬い岩も土魔法を使って、簡単に穴が掘れる。魔法は便利だ。

 捕虜にした魔法使いたちは、一般兵より好待遇で接し、こちらで雇用したいことを伝えると、かなりの数の魔法使いが我々の元に下った。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


現在、「討死したサムライが異世界に転生し、領地を手に入れ腹いっぱい飯を食べるため、いろいろ働いていたら、いつの間にか有力領主となり、天下を狙うことになる話」を連載しています。

もし、ご興味を持たれましたら覗いていただけるとありがたいです。


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