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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第3章 クサツカヨとサヨ、フェーの冒険
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第28話 君に決めた!

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 旅はつづく。迷宮に十分満足した私たちは、次の目標であるパルタ王国に向かった。ダイワ王国外で武闘士の多い国だと聞いている。と言っても、ダイワ流とパルタ流は戦い方や技が少し異なるそうだ。

 さて、街道を進むとしばらく行くと開けた広場に出ました。

 ここでレオと試合をする約束になっていた。

 「さあ、レオ、殺りましょう」私が言うと、「わかりました。約束ですものね」というと、広場で模擬戦の準備を始めた。


 「魔法無しで、武闘士として戦いましょう」

 「わかりました」

 私はそう言うといきなり殴りかかった。レオはそれを軽くよけて、がら空きになった腹に拳を打ち込んできた。

 私は全身に魔力をめぐらし全身硬化した。

 しかしレオのこぶしは、腹の真ん中にあたりかなりきつい衝撃を食らった。


 「あんたのこぶし効くわね」私は青い顔をしていった。

 「拳に魔力を集中させて、さらに強い波動を加えました。直接の打撃が効かなくても、衝撃により内臓が揺さぶられ、ダメージを与えることができます」

 「ダイワ流ではないわね」

 「ええ、パルタ流です。ただ、これだと体の他の場所に魔力を回せないので、一発食らえばかなりのダメージなのですよ」

 「つまりパルタ流のようにちょびちょぴ削っていくか、ダイワ流のように一発で大きく削るかと言うことね」

 「ええ、武闘士同士の戦いではそうですね。普通なら一撃決まった時点で瀕死の重傷となるのですが」

 「こっちだって普通なら武闘士の攻撃を避けるなんて考えられないわ」かなりのスピードで打ち込むので常人ならよけるどころか見ることもできないからだ。


 「パルタ流は相手の動きを見て、行動を予測し、防御するよう鍛えられますからね」

 「その代わり、一発食らったらアウトなんだからこっちもギアを上げて攻撃すればいいだけね。さあ、殺りましょう!」

 私たちはお互いにせめぎあった。レオは強かった。本当に強かった。でも私も負けていない。

 レオの何発目からのヒットを食らいながら、攻撃のくせを見極めた。かなりふらふらになったがまだ戦える。そしてうまく誘いに乗ってきて、レオが予想されたコースで攻撃をかけてきた。すかさず全力でレオの胴体に拳を突き立てた。


 レオのこぶしが私に当たり、すでに限界だった私は倒れてしまった。

 その代わり、レオも私の拳をどてっばらに打ち込まれ、ぶっ倒れた。


 しばらく二人とも気絶していた。気が付くと、私はサヨに水をぶっかけられていた。

 「気が付いた?お姉すごかったよ」とサヨはニコニコしながら言った。

 「レオは?」「メリンダとフェーが見ているわ」とレオの方を見ると、レオの服を脱がしている最中だった。

 「フェー、メリンダ、何やっているのかな~」

 「二人の戦いを見ていたらむらむらしてきたの。丁度、気絶しているから襲おうと思って脱がしているの」と悪びれずにフェーは言った。

 「フェーの姉さんに指示されて、その手伝いだよ。フェー姉さんに逆らえるはずないだろ」マリンダは私の所為ではない、フェーに言われたからだ、と言い訳した。

 

 「あんたら考えているの!」

 「もういいと思うの、婿はレオで決まりなの。カヨもサヨも早く来て一緒にやってしまうの」

 「そうね、やってしまえばレオの性格からいって責任取るっていうわよね」とサヨも乗り気のようだった。

 「ちょっ、サヨも何を考えているのよ」

 「お姉様も嫌いじゃないんでしょ。弱っている今なら4人で抑え込んだらレオも抵抗できないよ」

 「強姦なんて、非道な真似できるはずないじゃない。恥を知りなさい!」

 「男が女に無理やりするのは外道だと思うけど、女が男にするのはいいんじゃないかな。男は気持ちいいだけだし、痛いのはこっちなんだから」

 「そう言う問題じゃないでしょ!」

 そんな押し問答していると、レオが目を覚ました。

 「ああ、呼吸が楽なように服を緩めてくれたのですね。ありがとうございます。もう大丈夫です」と言って、すこし弱弱し気に微笑んだ。

 

 「しかし、カヨさん強いですね。私も結構自身があったのですが。今度は魔法ありでいいですか?」

 「魔法ありでやったら私じゃ勝てないわよ。4対1ならやってもいいわよ」そう言った。


 そんな風に雑談をしていたらサヨに横っ腹をつつかれた。

 「何」

 「婿の話」

 「私が言うの?」

 「お姉様がリーダーでしょ」

 「ちょっと待ってよ。心の準備が」

 「じゃ、私が言うけど」

 「ちょっと待って」

 「お姉様~」

 「わかったわ。今言う」そう言うとレオに向かって、話しかけた。


 「あなたにいい話があるわ」私は震えた声で言った。

 「なんですか」レオはニコニコしながら言った。

 「あなたを私たちの婿にしてあげる」

 「ごめんなさい。謹んでお断りします」

 「ちょっと待ってよ。私たちを妻にできるのよ」

 「カヨさん達は仲間としては好きだけど、恋愛対象として考えてなかったから。それにまだ魔法の勉強を続けたいし……」最後の方はごもごもと口の中で言って聞き取れなかった。

 「結婚しても魔法の勉強できるでしょ」

 「僕なんかよりもっといい男がいるよ。早まらない方がいいと思う」

 「うるさいうるさいうるさい、じゃ実力行使だ」私たち3人はレオに襲い掛かろうとした。レオは抵抗するように、武闘の型を構え、口では魔法を唱え始めた。


 「ちょっと待ちなよ、姉さんたち」マリンダが間に入ってきた。

 「じゃましないで」私が言うと、「姉さんも兄さんも好いた惚れたの話に、どうして戦いになってんだい。もうすこし穏やかに行こうじゃないか」と私たちを説得してきた。

 私たちは戦闘態勢を解除した。

 「姉さんたちは兄さんのことが好きなんだろ」マリンダが訪ねた。

 「フェーは好きなの」

 「サヨも好きよ」

 「わたしは……好きだと思う」

 するとマリンダはレオに尋ねた。

 「兄さん、3人の女に惚れられるなんて果報者だよ。男だったら答えてやったらどうだい。それとも結婚できない理由があるのかい?」

 「……」

 「まあ、冒険者なんて訳アリの奴が多いが、どうしても話せないことなのかい。姉さんたちも納得できないだろ。兄さんだって3人のことは嫌ってなさそうに見えたのだけど、私の目が節穴だったのかい」


 レオは考えているようだった。そしておもむろに口を開いた。

 「僕の本名はレオニダス・ラコニア・パルタ。パルタ王国第2皇子です。目下王子としての修行で冒険者として旅をしています。だが、いずれはパルタに帰る必要があります。そして私には婚約者がいます。これは政略結婚で、恋愛感情はありませんが、王家の人間として国のためにやらなくてはならないことなのです。だからカヨさん達と結婚することができないのです」

 

 レオが王家の人間だったなんて。そして婚約者がいたなんて。私は目の前が真っ暗になった。

 「ごめん、少し考えさせて」と言って、その場を立ち去った。サヨもフェーもついてきた。

 マリンダが後を追いかけてきた。

 「姉さんたち、どうするんだい」マリンダは尋ねた。

 「婚約者がいたなんて知らなかった。そうならばもう同省もないわ」私は項垂れて言った。

 「姉さんたち、それで諦められるならいいけど。本当に大丈夫なのかい」

 「フェーは嫌なの」

 「私も嫌かな、お姉様はどうなの?」

 「私は……いや!」

 「じゃ、もう少し頑張ってみればいいじゃないか」メリンダは言った。

 「でもどうやって?」

 「姉さんたち、腕っぷしはすごく強いけど、恋愛は奥手だね。よし、このメリンダがアイディアを出そうじゃないか」と言って、胸を張った。

 「具体的にはどうするの?」

 「とりあえず今の行先はパルタ王国だ。ならばパルタの王に直接談判すればいい。姉さんたち、実は結構いいところの出だろう?この際だ、親の名前でもなんでも使えるものは使えばいいだろ。そうすれば、姉さんたちとの結婚が国にとってメリットありとわかれば王様もレオの婚約を考え直すのじゃないかい」

「すごいわ、あんた天才じゃない」そう言って、私はふと尋ねた。

「でもどうして私たちがいいところの出身だってわかったの?」

「だって、所作振る舞いを見てれば少なくとも普通の平民じゃないことは一目瞭然だよ。ところどころ浮世離れしたところもあるし。それに姉さんたち武闘士だろ。武闘の型が我流で身に着けたのと違いすごくきれいだしね。これでもだてに冒険者を10年以上やってないよ」

 「ありがとう、よしパルタ王に直接直談判ね。その前にお父様と兄さまたちに名前を借りることを許してもらえるよう手紙を出しておこうかしら」

 「お姉、それがいいよ」

 このことがのちに大変な騒動を巻き起こすことになるとは、この時は誰も考えていなかった。


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