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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第3章 クサツカヨとサヨ、フェーの冒険
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第27話 ボスとの対戦

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 私たちは奥へと進んでいった。

 しばらく進んでいくと、「ギチギチギチ」と言う音が遠くから聞こえてくる。まだはっきりとは聞こえないが確かに聞こえる。

 「ねえ、聞こえるだろ。引き返そうよ」とメリンダは震えながら言った。

 でも私はこの音の正体を確かめたいという欲望にかられていた。

 私たちは先に進んだ。曲がり角まで来たところで、音ははっきりと聞こえるようになった。

 私は曲がり角からそっと、奥を覗いた。

 するとそこには、100体を超えるであろうアントたちと、その中でもひときわ大きく、赤い体をして黒いラインが何本か背中に通っているアントを見た。

 

 「まず僕が水魔法で届く範囲のアントを凍らせます。メリンダ、君は風魔法が得意だったね」

「ええ」

 「凍らせたアントを砕いて、山のようにしてくれ」

 「えっ、そんなことをしたら価値がなくなるよ」

 「防波堤にするのさ。砕いたアント死体をばらして山にすれば後ろのアントが襲ってくるのを阻害できる。まあ、アントはいくらでもいるから問題ないよ」

 「わかったわ。やってみる」

 「カヨさんとサヨさん、魔法でつぶせなかったアントたちを倒してください。フェーさんは悪霊たちを使ってカヨさんとサヨさんを補助してください」

 「わかったわ」

 「うん、わかったよ」

 「わかったの」

 私とサヨは全身に気をめぐらして戦闘に備え、フェーは悪霊を大量に呼び足した。

 レオは、水魔法の応用で氷結魔法を発動した。

 「アイスランサー」そう唱えると氷の槍が多数打ち出され、アントたちに命中、たちまち何十体ものアントが小売り付けになった。

 「ウインドカッター」メリンダが叫ぶと凍らせたアントたちがバラバラになり、その場で山積みになった。

 次のアントたちがその死体を乗り越えてこようとするが、レオの魔法で氷漬けされ、メリンダの魔法でバラバラにされていった。

 死体の山はますます大きくなり、ついには天井に届きそうになっていた。

 レオは、死体の山に氷結魔法をかけ、山をそう簡単に崩れないように強固なものにした。

 アントたちは天井の隙間で閊えて、バタバタしているところを私たちが次々と粉砕していった。ついには、洞窟内部に壁ができてしまった。

 

 壁の向こうからギシギシいう音が聞こえ、フンとの死体の壁が揺れていた。

 そのうち、アントの死体の壁の一部が破壊され、大きなアントの首がそこから覗いた。

 「今です!全員で総攻撃」

 レオは氷結魔法で大アントがあけた穴を狭めて身動き取れなくし、メリンダの風魔法で手足や触覚などを切り飛ばした。

 フェーの悪霊たちは、アントに絡みついて自由を奪い、私とサヨの二人は大アントの頭を吹き飛ばした。


 大物を倒した後、その死体を吹き飛ばして、私とサヨは壁の向こうに飛び込んで、残りのアントたちを片っ端から吹き飛ばした。

 大アントを倒された普通のアントたちは、戸惑っているようで、戦う意欲に乏しくほとんど無抵抗で私たちに倒されていった。

 「やったわね」私が言うと、レオは「まだのようです。ギシギシいう音は鳴りやんでいません。今のうちに防衛線を築いておきましょう」そう言って、アントの死体を使って防衛線の構築を始めた。

 アントの死体を積んで厚みを持った壁を作り、真ん中の大アントが通れるか通れないかぐらいの狭い穴を作った。

 そして、死体の一部と洞窟の床の土を使って塹壕のようなものを建築した。

 塹壕の床には逆茂木のような形で、土槍を設けて敵が攻めてくる方向に槍を向けた。


 縦鼻があらかた整ったので、食事にした。

 死体あさりたちもやってきて、一緒に食べた。

 死体あさりたちはこの防衛線を見てびっくりしていた。

 「旦那たち、すごいですな、これは」

 「ああ、ギシギシいう音が聞こえるだろ。それがだんだん増えているみたいで、このまま突き進んだら強大な敵が待ち構えているような気がするんだ。おそらく、大アントやもしかしたらそれ以上の敵がやってくるのかもしれない。まあ、予想なんだけどね」

 「フェーが悪霊を飛ばして偵察してみたの。すると一キロほど先に大きなアントたちがたくさんいたの。とっても危ないの」そう言ってレオの発言を補足していた。

 

 「アントたち移動を始めたの。食べ物の匂いにつられたみたいなの」

 「死体あさりたちは穴を抜けて後ろに下がっていてください」レオが言うと、死体あさりたちはそそくさと逃げ出した。

 

 しばらくたちとアントたちが襲ってきた。今回は大アントばかり20体は要る。そしてその後ろには、彼らよりさらに大きな全身赤色のアントがいた。

 まず大アントたちに氷結魔法を一斉にかけた。更にメリンダにウインドカッターを氷結したブブに打ち込ませた。

 アントたちは5体づつ4列になり、我々に攻め込んできた。

 レオ達の魔法は一番最初の列のアントたちに当たった。奴らは、手足触覚がもぎ取られ体の部分部分が氷結して、魔法で削り取られていた。それでも前進をやめなかったので、レオとメリンダは魔法打ち続けた。

 一匹が倒れると、後続の一匹が上がってきて前衛になる。そうやって全身を続けてやつらの攻撃の射程に我々が入った時、一斉に攻撃が始まった。

 口から毒液を噴射してきた。我々は塹壕に隠れたが、塹壕の一部が溶かされた。

 「そろそろ潮時ですね、奴らが毒液をはいだら、直ぐにトンネルの向こうに移動しよう」そうレオが言ったので、我々皆それに同意した。

 

 すでに半数近くの大アントたちが倒れるか、損傷を受けていた。

 毒液を吐き出してから、次の攻撃まで若干のインターバルがある。その間に我々はトンネルに飛び込んだ。

 トンネルは上に向かうよう勾配がかけられており、更に入り口より出口が狭く作られていた。

 トンネルをめけたところで、爆発音が聞こえた。

 「アントが串刺しになって、別のアントがその上を通ろうとすると、重さで爆発する爆裂石を仕込んでおきました」とレオは淡々と言った。

 爆裂石は魔石の一種で、ショックや魔法での仕掛けにより爆発を起こすしいで、取り扱いにはかなり注意が必要な代物だった。おそらく次元袋に入れて保管していたのだろう。

 アントの一匹がトンネルに侵入してきた。

 レオは氷結魔法で凍らせた後、メリンダの風魔法で、粉砕していた。

 敵は一体づづしか攻めてこれないので、やっつけるのは簡単だ。

 何体がやっつけると、敵は穴からの侵入をやめた。

 ガリガリガリと音が聞こえ始めた。

 「氷の壁を神崩そうとしているみたいだな」とレオが落ち着いた顔で言った。

 「壁を崩されたらまずくない」と私が聞くと、「敵の親玉はなかなか頭が回るようだね。フェーさん、悪霊を使って偵察することは可能ですか」

 「やってみるの」と言って、何匹かの悪霊を放った。

 その間にドカンと言う音がいくつか聞こえた。

 「壁の中の爆裂石を混ぜておいたのです。奴らがかむとドカンと爆発することになります。死ぬまではいかないけど、顎ぐらいは吹き飛ばせるかなと思って仕込んでおきました」レオが言った。

 悪霊が戻ってきて、フェーはそれらを取り込んで、情報を教えてくれた。

 「アントたちはかなり減ったみたい。今動いているのは、赤いアントを除いて8匹、その8匹が壁をかじっているけど、内2匹は顎を吹き飛ばされてうしろにさがっているの」

 そのうち、またドカンと言う音が聞こえた。

 「一匹顎を吹き飛ばされたな」

 それでもガリガリいう音は消えなかった。

 「穴の出入り口にアントはいた?」

 「いなかったの」

 「じゃ、一ついやがらせをしますか。メリンダ来てくれ」

 「こき使い過ぎだよ。魔力がほとんど残ってないよ」メリンダは嫌そうに言った。

 「何、ほんの数発さ。それが終われば、しばらくお休みできるよ」

 「わかったよ、旦那。いうことをきくよ」渋々とメリンダは立ち上がった。

 私のその光景を見ていて、なんかもやもやしたので「わたしもいくわ」と思わず言ってしまった。

 「カヨさん、危険ですよ。一発魔法をかまして、さっさと逃げてくるだけのつもりだったのですが」とレオは困惑していた。

 「大丈夫、私はリーダーとして様子を見に行くだけ。状況を確認して、隙あらば一発ぐらいは攻撃してもいいけどね」私が胸を張って言うとレオは、少し頭を押さえて、「行っても聞かないでしょうから、仕方ありませんが、くれぐれも危険なことはしないでくださいね」と言った。

 私たち3人は穴の中に入っていった。

 穴の中を通っている最中、またドカンと言う音がした。

 「また引っかかったな」そう言って、穴から外をそっと眺めた。

 4体の顎から顔の半分を吹き飛ばされたアントが後ろの方で倒れていた。息はあるようだが、かなりのショックだったのだろう、倒れてがくがくと震えていた。

 残り4体の大アントたちはがりがりと壁をアントの死体ごと、かみ砕いでいた。

 すでに防壁の厚さの半分ぐらい穴は進んでいた。

 赤いアントはその様子をじっと見ていた。こちらに注意は向けていなかった。

 私は言った。「レオ、おまえが氷結魔法を赤いのに打ち込んで、メリンダはその後風魔法で攻撃してくれ。その間に壁をかじっている大アントたちを何匹かかたずけてやる」

 レオは一瞬躊躇したが、「わかりました。止めても聞かないでしょうしね」といって、少し笑った。

 メリンダは少しあきれたように、「バトルジャンキーは困ったものだね。あたしゃ早く帰りたいよ」とぼやいていた。


 レオが氷結魔法を赤いアントに打ち込み、そこにメリンダは風魔法を打ち込んだ。

 さすがに油断していたのだろう、氷結魔法をまともに受けそこに風魔法を受けたため、頭の左半分と触手のすべて、左上半身の腕や胴体の一部が吹き飛んだ。

 しかし、赤いアントはそれにひるむことなく、攻撃してきたレオ達に襲い掛かった。

 私は、攻撃の隙に大アントたちの後ろから殴り飛ばした。3体ほどの頭を吹き飛ばして、4体目にかかろうとしていた時に、その状況を感じて、大アントを助けようと赤アントが方向転換しようとした瞬間、レオが飛び出して、赤いアントの顔ののこり半分を殴りつけた。

 頭は吹き飛ばなかったが、赤アントはふらふらとして倒れそうになっていた。そこにレオは追い打ちをかけて頭に数発拳を当てて、頭を吹き飛ばした。下半身にも数発打ち込み、足を府は飛ばした。

 その光景を見て安心した私は、残りの大アントも片づけた。

 私たちは勝ったのだ。


 「さて、ギシギシと言う音もしないし、奥に進んでみますか」防壁を収納したりして後片付けをした後、私たちは先に進んだ。普通のアントすら出てこなかった。

 しばらく進むと、大きな部屋に出た。

 そこには、アントたちが住んでいた形跡があった。大きな部屋には小さな小部屋がいくつもついていたが、中をのぞくと蛆のような虫が無数にうごめいていた。

 レオはそれを皆凍らせ、次元袋に収納した。

 さらに奥の方を探索すると、沢山の鉱物が積まれていた。

 それもまるごと収納した。すべての部屋を探索し終わると、その部屋を破壊した。

 「またアントたちの巣になったらまずいですからね」とレオが言っていた。

 その後は、5人で迷宮を抜けた。

 出口の前で、死体あさりたちに「それじゃまたな」といって別れた。彼らには、アントの死体のうち、傷のあるものをかなり与えた。

 最初は捨てようと思っていたが、「これも十分に金になる」と言ったので、防壁に使った死体のうち、原形をとどめていないものをすべてあげた。

 死体あさりたちは泣いて喜んでいた。

 

 私たちは出口の買取所兼納税所で持ってきたアントの死体と鉱物を持ち込んだ。

 「この赤い線の入ったアントはボスクラスのアントで、かなり貴重なものなんだ。魔法媒体にもなるし、通常のアントと比べると非常に頑丈なんだよ。あとは普通のアント……なんだこれは!赤いアントじゃないか。これはめったにお目にかかれないレアものだ。価値も高い。傷はついているがこれは高値で売れるぞ」と買取所の係員が言った。

 鉱石の方は、「こりゃすごい、こんだけレアな鉱石が多量にあるなんて、お前達すごいのを当てたな」とうめいていた。

 かなりのお金をもらい、税を納めると冒険者ギルドの一室を借りた。

 「儲けたお金の分配をしなくちゃね。私たち4人と、メリンダは途中から参加だから私たちの半分ね」

 「私にも分けてくれるのかい?」

 「よく働いてくれたからね」私が言うと「ありがとう!姉御」と喜んでいました。


 さて、迷宮もたっぷり堪能したし、次の冒険に行きますか。

 「ねえ、私も連れて行っておくれよ」メリンダは言った。

 「あんたも一緒に来たいの?」

 「やめましょう、寝首を書かれるかもしれませんよ」レオが冷たく言ったが、「そんなことしないよ、レオの旦那。私も連れて行ってくれるならレオの旦那の欲望解消に使っていいからさ」

 「いらない、すごくいらない、邪魔」と冷たい声でレオが言ったので、私は心の中でほっとした。どうしてほっとしているの?



お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


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