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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第3章 クサツカヨとサヨ、フェーの冒険
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第25話 アントの街にて

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 アントの街はとても栄えていた。宿屋と飲食店、武器や薬の販売店、酒場に風俗店も会った。しかし、かなり目を引いたのは医院が多かったことだ。

 「何でこんなに医者が多いのかしら。確かに迷宮での戦いに怪我は付き物だけど、治癒のポーションもあるし、治癒魔法使いもたくさんいるでしょう。それなのに、この医院の数は普通じゃないわ」と私かが言うと、「この国のもう一つの産業なのです。彼らは手足や臓器などの体の一部を移植することを商売にしているのですよ」と冷たい目でそれらの病院を見ながら言った。

 「ポーションや治癒魔法で治せるのは、外傷がメインで、手足や体の欠損、臓器の病気には対応できません。それで迷宮内の冒険者の死体などからとってきたものを取り付けて治しているのです」

 そして、レオは警告するように言った。

 「迷宮内は無法地帯です。冒険者同士の争いも多い。獲物の横取りも当たり前のように行われている。いわば弱肉強食の世界です。負けた者はすべてを奪われる。特に女は狙われやすい。絶対に単独行動は慎んでくださいね」

 「わかったわ。でも私たちとても強いわよ」というと、「油断してはいけません。どんな手段を取ってくるか分からない。毒もあるし、魔法もある。麻痺させられて、身ぐるみはがされた後、犯されて、体をばらばらにされることになったら大変ですからね」

 そう諭された。「本当はここに入ってほしくないのだけど、カヨさんがどうしてもというから……」とレオはぶつぶつ言っていた。

 でもアントみたいな怪物と戦ってみたいというのは、武闘士の性なんだ、ごめんね、レオ。


 着いたその日は必要なものを商店でそろえると、宿で一泊した後、早朝迷宮へ入るための入り口に行った。すでに結構な数の冒険者が並んでいた。

 列は長く伸びていたが、そんなに待つことなく、中に入ることができた。

 中に入る前に、受付の男が「迷宮の説明を受けられる方はこちらに来てください。銅貨10枚で講習が受けられます」と声をかけていた。

 私はレオに「受けた方がいいかしら?」と尋ねると、「あの講習は通り一遍のことしか教えませんし、余り役には立ちません。一応僕がこの迷宮については知識がありますが、カヨさん達が受けたいのなら止めませんよ」と微笑みながら言われた。

まあ、レオが分かっているならいいかと、講習はスルーすることにした。


 迷宮内は、ところどころに照明が設置されており、そこそこ明るかった。

 入ってすぐに3人のガラの悪い冒険者が絡んできた。

 「よお、姉ちゃんたち、あんたたちだけだと心配だろ。俺たちが一緒について行ってやるよ」と代表格らしい人相の悪い男がにやにやしながら言った。

 「結構よ。さっさとどこかに行って頂戴」とにべもなく答えたが、「いいからついて行ってやるよ」と言って私達に触れようとしてきた。

 「あんたら、最近外から来たね」レオが言った。

 「おい、てめえになんか発言を許した覚えはねえ。さっさと消えろ」

 「周りを見てみな」レオが言った。

 私が周りを見回すと、周りの冒険者たちはにやにやしながらこちらを見ている。外にも黒いフードをかぶった連中が私たちの方を見ながら舌なめずりしている。思わず鳥肌が立った。

 「うっせんだよ。てめえ……」次の瞬間その男が倒れた。

 残された二人は何のことだか分からず茫然としていたが、レオが「ショック」というと、二人とも倒れた。

 「カヨさん、どうする?一応、身ぐるみ剥いでいいことになっているけど」

 「迷宮に入って早々、嫌な思いさせられたのだもの。これ以上ここにいるのも嫌だわ。早くいきましょう」私が言うと、「じゃそうしますか」と言って、皆でその場を立ち去ろうとした。

 「なあ、兄ちゃん、こいつら要らないのかい?」冒険者の一人が聞いてきた。

 「ああ、要らないよ」レオが答えると、「じゃ、俺たちがもらうぞ」と言って、周りにいる冒険者たちが3人組からいろいろ剥ぎ取り始めました。


「何をしているの」と私が聞くと、「見ていれば分かります。この迷宮の決まりです」と無表情に言った。


 「やめろてめえら、何をする。後で覚えてろよ」男たちは叫びますが周りの冒険者たちはにやにやしながら言った。

 「何を覚えているのかな。お前たち、ここで終わりなんだぞ」

 「どういうことだ」

 「冒険者同士で争った場合、負けた方を好きにしていいことになっているのさ。お前たちは負けた。だからすべてを奪われる」

 装備や武具を奪われ、服も下着さえも奪われた後、今度は黒いフードをかぶった連中が集まってきた。

 「両腕、両足を外せ」「目も取れるな」「臓器もいける。いいね、新鮮だから全部使えそうだ」黒いフードをかぶった連中は嬉しそうに話していた。

 「やめてくれ、頼む。手足をもっていかないでくれ」三人組は哀願していたが、そのうち声も聞こえなくなり、黒いフードをかぶった連中が立ち去った後には肉と骨の残骸がわずかに残されていた。


 「カヨさん、サヨさん、フェーさん、これがこの迷宮の掟なのです」とレオが冷静に言った。私たちは思わず顔を見合わせた。「負けたらああなるの」と尋ねると、「そうですね、でもこれから行くアントとの最前線ではもっとひどいものを見ると思います。それでも行きますか?」

私は決心したように「行くわ。みんなもいい?」

 「ええ、構わないわ」「フェーもいいの」

 「そう言うわけだから私たちは行くわよ」そう言うと、少し驚いた表情で私たちを見た後、苦笑いして、「君たちは本当に武闘士なんですね。変なことを聞いて申し訳ありませんでした」と頭を下げた。

 うん、レオは武闘士のことをよくわかっている。戦いに生き、戦いに死ぬ、それが本望、それが武闘士の生きざまなんだ。


 私たち4人は迷宮の奥へ奥へと進んだ。

 しばらく進むと、巨大なありと戦う冒険者たちがいた。しかし、変わったことに1体のアントに対して1パーティが戦い、他のパーティは手を出さず、後ろで並んで待機していた。

 一体のアントが倒れると、そのパーティはアントの解体を始めた。

 そのパーティに犠牲者が出たようだ。怪我をしたものは治癒魔法やポーションで治していたが、一人死んでいるものがいた。

 黒いフードをかぶった連中が近づいて、何やらパーティのリーダーと話を始めたと思うと、いくばくかの金を黒いフードをかぶった連中からパーティのリーダーに支払うとその死体の解体を始めた。

 取れるところを外すと黒いフードをかぶった連中は後ろに下がった。

 「さあ、後ろにならぼうか」レオが言うので、「先に行きたいのだけど」というと「ここからは順番だよ。並ばないと大変なことになるよ」と脅してきたので渋々一番後ろに並んだ。


 別のアントが出てくると最前列に並んでいたパーティが勇んで戦いに出て行った。

 すると、後ろから来た冒険者たちが並んでいる私たちを無視して先に進もうとした。

 何よこいつらと思っていたら、並んでいる冒険者たちが一斉に襲い掛かった。

 不意を打たれたためか、あっという間にずるをしようとした冒険者たちは殺されてしまった。当然のごとく身ぐるみはがされ、死体は売り飛ばされていた。

 もし、先に行こうとしたらこういうことになっていたのかと思うと、少し背筋が寒くなった。

 

 しばらくしたら私たちの順番が来た。アントは2mを超える昆虫型の生き物だった。牙をがちがち言わせながら私たちに襲い掛かってきた。

 「ショック」「フリーズ」レオが魔法を唱えた。

 動き留めたアントに私とサヨが襲い掛かり、フェーは悪霊を飛ばした。

 私のこぶしで頭は吹き飛び、サヨのこぶしで胴体に穴が開き、悪霊たちは手足をもぎ取った。戦いは一瞬で終わった。

 周りを見ると、まだ戦っていないアントはいなかった。

 「レオ、この場合またあそこに並ぶのかしら」と尋ねると、死体を回収しながらレオは言った。「周りに敵はいませんし、前進しましょう。あっ、まだ戦っているパーティのものに手を出してはだめですよ」

 

 私たちは先に進むことにした。


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