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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第3章 クサツカヨとサヨ、フェーの冒険
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第24話 婿探しの旅?もしかして…

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 私たち4人はパーティを組んだのだが、フェーはいつもレオニダスの背中にくっついていた。

 「フェー、離れなさい」

 「いやなの、これ気に入ったの」フェーは背中の小さい羽根を震わせながら抵抗した。

 「べつにかまいませんよ」そう言って、フェーの方を見ると、「フェーさんは亜妖精ですか?」と尋ねた。

 「そうなの。レオは亜妖精が嫌いなの?」

 「いいえ、そんなことはないですよ。尊敬する方がダイワ王国にいるのですが、その方は亜妖精を妻にしていると聞いていますし、今亜妖精を妻にする武闘士の方が増えていると聞いています。私も好きですよ」とにこにこしながら言った。

 「レオ、亜妖精と結婚したら、死後食べられるのよ」と私が言うと、「ええ、知っていますよ。武闘士であれば死は当たり前のことです。死後に死体が汚されるのであれば、愛する人に食べてもらえるのはありがたいことです」と言った。

 「あなた武闘士なの?」サヨが聞いた。

 レオはしまったという顔をして、そのあとあきらめたように「ええ、僕は武闘士として育てられました。わが家は武闘士の家系だったのもので」と言った。

 「レオが尊敬する人ってだれ?」私が聞くと、「ジョン・クサツ様です。数々の武勲と数多くの逸話、お子様たちもみな英雄という恐ろしくも尊い方です。一度お会いしてみたいですね」と憧れるように言った。

私と妹たちは顔を見合わせて苦笑いした。


 さて、今目指している場所はアント王国の地下迷宮だ。

 「アント王国の地下迷宮ってどんな場所なの?」私が聞くと、「アント王国は地下迷宮と、その周辺にある町だけの国です。迷宮にはアント族という亜人種がおり、彼らは人間を捕食します。アント族は地下に住んでおり、地下を掘りながら生活しているのですが、その過程で多くの鉱石を採取しており、それらをため込んでいます。多くの冒険者はその鉱石を目指して、迷宮に潜っています」

「亜人種なんだ。彼らと戦うんだ」

「ええ、彼らは昔は地上にも進出しており、人間を襲って、食料としていました。それを抑え込んで迷宮に押し込んだのです。今でも外に出てこないように定期的に狩らなくてはならないのです。彼らの体は頑丈で、武具等に使用されるので、死体も価値があります」


 「今の王様の先祖がアント族を征伐したの?」私が訪ねると、「少し長くなりますが、この南部地域の国々の歴史から説明する必要がありますが、聞きますか?」とレオが訪ねた。


 「まだ目的地まで時間がかかるし、今居る場所の歴史を知るのは必要なことだわ」

 「じゃ、長くなりますが、説明しますね」そう言って、ごほんと咳払いをしてから話し始めた。

 「昔、この南部地域は混とんとしてまとまりのない状況で人間種と亜人種が混在して住んでいました。その中で人間は捕食される側の存在でした。アント族以外も多くの亜人種たちは人間を捕食し、奴隷として労働力として使い、そして生殖の道具にしてきました。その状況を憂い、人間種の内パルタ族の族長スパルタクスとテナイ族のロムロスが手を組み、周辺の人間族をまとめ上げてペロポネソス同盟という組織を作りました。同盟は敵対する亜人種たちを滅ぼしたり、追放したりしながら南部をまとめて、人間種の国を作りました」

 レオはここで言葉をいったん切った。

 「しかし、共通の敵がなくなると、今度はパルタ族とテナイ族の間で主導権争いがおこりました。その結果として、パルタ族はパルタ王国を建て、支配下に置いた部族や一族の者を各々独立させ、パルタ同盟を作りました。一方テナイ族もテナイ共和国を建国し、同様に支配下にいた部族を独立させて、テナイ同盟を作りました。現在両国は表面上は争っておらず、婚姻による交流も行っていますが、お互い仮想敵とみなして、敵視している状態です」


 「共和国って何?」私は尋ねた。

 「テナイの政治体制です。100家ある有力家系から一人づつ議員を選出し、議員の中で最も支持を集めたものを2人、執政官として選任する制度です。執政官の期間は2年で、2年たつとまた選びなおします」

 「ふ~ん、ずいぶん効率の悪い制度ね。それじゃいざというとき、迅速な対応できずに滅ぼされてしまうのではないかな」妹のサヨが言った。サヨは私より力は劣るけど頭は良いのよね。

 「非常時には独裁官が1年任期で選任され、そのものが全権限をふるうようになっています」

 「うまく考えているわね」私は感心したように言った。平時には権力の分散を図り、人事や政策に偏りが生じないようし、戦時には権力を集中して迅速な決定をおこなえるようにする。本当にうまく考えたものだ。


 「そうですね。それで、今回行くアント王国ですが、パルタ王国の勢力範囲にあり、もともとはパルタ軍により、多くの犠牲を払いながらアント族を打ち払い、彼らの巣穴であった地下迷宮に追いこんだのです。そのあと、アント族の見張と定期的な間引きのため、部隊を駐屯させました。その時の部隊長ドメトス殿は、傭兵を使って迷宮に潜らせ、戦利品の大部分を自分の物にしていい契約を結んで、迷宮にいるアント族の間引きをさせました」

 レオは水を一口口に含んでから、話をつづけました。

 「傭兵たちは巣穴に鉱物がため込まれることを知り、またアント族の死体に商品価値があることを知って、多くの傭兵たちが集まってきました。ドメトス殿は彼らを自由に迷宮に出入りさせるとともに、迷宮からの退出口付近に関所と、鉱物やアント族の死体を買い取る買取所を作り、すべての鉱物と死体をそこで売り払うことを義務付け、更に売り上げの1割の税を課すことにしました。その結果、傭兵たちのほか、冒険者も集まるようになり、彼らを対手にする商売もいろいろ整備され、街が整ってきました。その功績をもって、ドメトス殿は王国の建国を許され、この国を建てました」


 「色々分かったわ、ありがとう」と私が言うと、「レオさんって博識なんですね」とサヨが顔を輝かせて言った。

 レオはニコニコしながら「そんな大したことではないですよ」と謙遜した。

 歴史を学ぶなんて、普通の平民では考えられない。なぜなら生活に必要がないからだ。歴史を学ぶのは、富裕な高位の平民か、貴族である。

 「レオは貴族の出身なの?」私が訪ねると、アッと、しゃべり過ぎたという顔をしながら「確かにそうです。故あって冒険者をしているのですが。カヨさん達、貴族は嫌いですか?」と尋ねた。

 「別にそういう感情はないわ。あなたいい人だし」と言って、私何を言っているのよと顔が赤くなった。

 妹たちはにやにやしながら私を見ていた。

 「兎に角、アントに向かっていくわよ。みんな遅れないで」と言って走り出した。


 お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

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