第23話 婿探しの旅へ
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どうも国内には私たちの婿になりそうな男はいないみたいだ。
それで私は国外に婿探しの旅に出ることにしようと、妹たちに相談した。
「私は賛成、国内にはいい男がいなそうだしね。権力目当てばかりで気持ち悪いし」
「フェーも賛成なの。お婿さん探すの」
姉妹の意見がまとまったので、父に言うと「いいぞ、行って来い。ついでに冒険者になっておくといいぞ。そこでいろいろクエストを受けて経験を積んで、ついでに優秀な奴を見つけて婿にすればいい」とニヤリと笑っいながら言った。
「後そうだ、お前たちは南に行った方がいいだろう。北は敵国だし、西はユウシがいるからな。あいつのことだ、お前たちが行くと知ったら、絶対に王宮に招くだろうし、そしたら南部大公あたりが大騒ぎするのが目に見えている。東はタカシがいるから下手すれば国を挙げて歓迎会を開きそうだ」
そんなことになったら、婿探しどころじゃなくなるし、自由な冒険もできない。
「わかった、南に行くね」
南は小国家がいくつもあり、ダイワ王国とは関係も良好で、人の行き来も盛んにおこなわれている。
さらに南部では我が国で引退した武闘士が学校等でやとわれて、武闘術を教えているから、武闘士にもなじみがある。
そう言う意味では、私たちが冒険者として働くにはもってこいだ。
私たち3人は冒険者登録をして、冒険の旅に出ることにした。
旅立ちの日、父上と母様たちが屋敷の前で見送りをしてくれました。
「とうとう子供たちがみんな出て行ってしまうわ。なんかさみしい」
「仕方ないわ、子供はこうやって巣立っていくものなのよ」
「母様たち………」私はつい、ウルっとなってしまった。
「フェー、早く男を捕らえて子作りするの」「わかったの。母様も頑張るの」
「大丈夫なの。今夜も頑張るの」
「ファー母様、本当にあなたぶれませんね」私の感動を返して欲しい。
そうして、私たちは南方諸国へ旅立った。
家を出て3日目で私たちは、ダイワ王国の隣の国、オート王国に着いた。
以来の貼ってある掲示板を見ながら、良さそうなのを選んで窓口にもっていった。
「冒険者ギルドにようこそ、依頼の受注ですか?」
「うん、これをお願い」と依頼書を渡すと、受付の担当者は依頼の内容を見て私たちに行った。「皆さま、見たところ、お二人は武闘士で、一人は精霊使いのようですが間違いないですか」
「ええ、そうよ」フェーが亜妖精だということはあまり公言できないので、精霊族の精霊使いとして登録していた。羽の形を魔法で変えてあるので、ちょっと見、可愛い精霊少女のように見えるようにしてある。
「この探索依頼は危険なので、治癒魔法の使える者がパーティにいるのが必須条件になっています。残念ながらあなた方のパーティはこの条件にあてはまりません」
町の近くの森に恐ろしい獣が出るということで、それの探査と、可能であれば討伐の依頼で結構おいしい仕事なのだけど、その条件だと受けられない、どうしようと思っていたら、真後ろに並んでいる男が目についた。
腰に剣をはいて、背も高く黒髪黒目の男だったが、見たところ優しそうで誠実そうな感じだった。
「ねえ、あんた治癒魔法使える?」私はにらみつけるようにその男に聞いた。
「ええ、まあ」その男は戸惑うように答えた。
「じゃ決まり、あなた私たちのパーティに入れてあげる」
「えっ」
「「えっ」じゃなくて「はい」でしょ!」少しきつめに言うと、「はい!」と答えた。
「この人が治癒魔法を使えるからこの依頼受けても問題ないわね」
「ええ、まあ」
「じゃ、手続きお願い」
手続きが済んだので「じゃ、行くわよ」と言って、現地に向かおうとした。
窓口で前の依頼の換金手続きをしていた男が「今から行くのですか。現地に着くと夜になってしまいますが」と驚いて言った。
「大丈夫、暗闇でも戦うのに支障がないから」と言って、出発しようとした。
「現地にはどうやっていくのですか」
「走って行くに決まっているでしょ。愚図愚図していると置いていくわよ」と言って走り出した。
「お姉様、あの男ついてこられるかしら」サヨが訪ねてきたので、「ダメでも別に構わないわ。依頼を受けるために名前を借りただけですもの」と私は答えた。
フェーもふらふらと飛んでついてきている。
現場に着くと、男もついてきていた。
「さすが武闘士は足が速いですね。感心しました」と男は息も切らさずにニコニコしながら言った。
「へえ、私たちについてこられるなんて、なかなかやるじゃん」
「私も武闘士としての訓練は積んでいますからね」
「あれ、あなた剣士じゃないの?」私は彼が佩いている剣を見ながら言った。
「これは、ワンドなんです。本業は魔法使いです」と彼は自虐的に言った。
「魔法使いなんだ。すごいじゃない」というと、少し変な顔をして、「武闘士は魔法使いを馬鹿にしていると聞いたのだけど。私もてっきり馬鹿にされると思っていたのですが」と言った。
「いえ、私の兄たちも武闘士兼魔法使いだったから。それに兄嫁たちは魔法使いなのよ」
「そうか、魔法使いに理解があるのですね」とにっこりと笑った。
「さて、それじゃ森に入りますか」と言って、森に飛び込もうとすると、「もう日が落ちますよ。今日はここに泊まって、明日の朝から探索した方がよくないですか?」と彼が言ってきた。
「夜の方が、獣は動き始めるし、私たちは夜でも動けるから大丈夫。あなたはここで休んでいていいわよ」と言って、私達3人は森に飛び込んだ。
その夜私たちは夜中じゅう森の中を走り回った。
狼などの肉食獣には会ったが、どれも小物ばかり。襲ってきたやつはすべてぶっ飛ばしたが、本命には会えなかった。
空もだんだんと明るくなってきたところで、私たちは元居た場所に戻った。そこには焚火が起こされ、スープのようなものが煮えており、とても良い香りを漂わせていた。
「お帰りなさい」そう言ってその男は何か調理していた手を止めて、私たちの方を向いてにこりとした。
「ただいま」と私たちは答えると、「あなた何をやっているの」と尋ねた。
「ああ、朝ごはんを作っています」とにこにこしながら言った。
私とサヨは顔を見合わせて、くーくーなるお腹をさすった。
「私達食べ物を何も持ってきていない……」
「フェーは狩った動物のお肉を食べたから大丈夫なの」
私たちを襲ってきたオオカミなどの肉食獣の肉をフェーはそのままバリバリと食べていた。
「みんなの分もありますよ。よかったら食べませんか」とその男は言いながら、よそったスープを私に渡してきた。
朝食はパンと肉の焼いた物、具沢山のスープだった。
一口スープをすすると、余りのおいしさに感動し、そのままむさぼり食べた。
ちなみにフェーには、生肉とスープがふるまわれており、それを美味しそうに食べていた。
「この肉はどうしたの?」
「森に入ってすぐのところで、鳥を見つけたので何匹か撃ち落として、血抜きした後スープの具材にしたんです。肉は猪がいたので、それを狩って焼いたものです」
「すごくおいしいわ。うん」
「そうだね、お姉様」
私たちは朝ごはんを貪り食った。
満腹になり一息つくと、その男が「さて、仕事に取り掛かりますか」と言って、ワンドを片手にもって立ち上がった。私たちも戦闘態勢をとった。
いい匂いにつられてきたのだろう、巨大な大蜘蛛熊がこちらにやってきた。
蜘蛛熊とは八本足の熊で、肉食であり、その力は馬車を一撃で破壊し、分厚い毛皮と脂肪は剣や槍もはじく恐ろしい獣だ。
男は「ウォーターバレット」と唱えると、すごいスピードで水の銃弾が発射され、獣の脳天に直撃した。
弾は貫通しなかったが、相当なショックがあったのかふらついているところに、私とサヨで何発も拳を打ち込んだ。
フェーは悪霊を呼び出し、クマにとりつき、生気を吸った。
瞬く間に熊は絶命した。
「今回の任務はこれで達成ですね」と男は言うと、「とりあえず収納ボックスに収納しておきますね」と言ってその熊をしまった。
「あれ、怪我をしていませんか?」男が言うので、サヨの方を見たら手に少し怪我をしていた。「大丈夫、かすり傷だから」とサヨは言うが「ダメですよ、少しいいですか」と言って、手を取って治癒魔法を使った。
傷はすぐに治ったが、サヨの顔はなぜか赤くなっていた。
「さあ、帰りましょうか」とその男が言ったので、「そうね、それじゃ帰りましょうか」と言って、またみんなで走って町まで戻った。
ギルドで換金した後、皆でお金を分けながら「あんたなかなかやるじゃん」というと、「ありがとうございます、でもみなさんも強いですね」とにこにこしながら言った。
その顔が、すごく優しそうで少し胸がどきんとした。
「ねえ、良かったら私たちとパーティを組まない」と私は思い切っていった。
男はきょとんとした顔をしたが、直ぐに微笑んで「此方こそ喜んで」と言って、手を差し出して来た。
私はその手を握り返した。
「自己紹介がまだでしたね、僕はレオニダスと言います。レオと呼んでください。よろしくお願いします」
「私はカヨ、この子は妹のサヨとフェー」
「サヨです」
「フェーなの」
私達四人はパーティを組んだ。
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