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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第2章 クサツユウシの闘争
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第19話 西部戦線異常あり

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 僕は500名ほど兵を与えられ、西部との境近くにあるセイアン城砦に入った。

 「諸君、私はダイワ王国クサツ伯爵家のユウシ・クサツである。現在我々は西部大公率いる西部軍と戦闘状態にある。これから激しい戦いが起こるだろう。君たちの中で、西部と縁戚関係にある者もいるだろう。その者はこの城から直ちに立ち去ってくれ。敵として知り合いを殺すのは忍びないだろうし、逆に内通した場合はそのものと家族を処刑しなくてはならない。どちらにしろ、気持ちのいいものではない。今日中にこの城から出て、あちらに付くもよし、どこかに隠れてやり過ごすのもよし、貴公らに任せる。残ったものは王に忠誠を尽くす意志ありとして共に戦おう」そう言うと、一人の男が進み出てきた。

 「私はこの城砦の中隊長を務めるバクラ・フールドルと言います。私の妻は西部貴族の娘です。しかし、私は王に忠誠を尽くす貴族としてこの城砦で戦います。それで一つお願いがあります。もし、この戦で手柄を立てたら、妻の両親の助命をお願いすることができますでしょうか?」

 「功には恩賞をもって返す。たとえそれが敵の助命だとしても」僕は答えた。

 「女王陛下万歳!」「陛下に忠誠を!」兵たちは口々に王家に対する忠誠を口にしました。

 これで城砦の防衛はうまくいくでしょう。僕は城砦の壊れた部分がないかどうか点検させるとともに、食料、飲料、武器、医薬品を運び込みました。

 

 おおむね、城砦の防衛準備が終わると僕はちょっと工作に出かけることにしました。当然フゥーもついてきます。

 「司令官殿、どちらに行かれるのですか」兵に尋ねられたので、「西部軍に対する嫌がらせに行ってくる」と言って西部軍へ向かいました。

 西部軍はやっと動員が終わってゆるゆるとですが、東へ進んでいきます。

 僕は進路にある村の井戸に次々と強力な下剤を入れていきました。一応村人には知らせておきます。

 そして、橋はすべて壊し、その周辺の河原や進路にはブービートラップを仕掛けました。

 そして、僕らは敵の後方に回り、補給隊を襲っていきました。皆殺しにして、物資はすべて焼き捨てました。

 そして最後に敵の野営地に襲撃をかけ、物資に火をかけ、指揮官クラスの高級将校を多数殺しました。また、魔法使いたちも見つけ次第殺していきました。


 これだけやれば十分でしょう。僕はセイアン城砦に戻りました。


領都サポールのヒコ・シーフ

 ヒコ・シーフは絶望していた。弁明の手紙と使者を北部大公に送るも誰も帰ってこない。おそらく殺されているのだろう。全面対決しかなさそうだ、そう思い戦いを決断すると、領内の貴族に兵の動員を命じ、サポールに集結を命じた。

 兵は集まってきたが、彼らの宿営地の準備が整わない。商人たちに命じて、大枚を払って宿営地の用意と食料と水の補給を行わせた。

 傭兵や冒険者たちも動員し、2万の兵力を集めることに成功した。

 これを東に向かって進撃させなくてはならないが、高級将校たちが不足していた。

 とりあえず高位の貴族を上級将校や準将軍クラスに任命し、形を整え進撃を命じた。

 ところがここで問題が生じた。途中の村で井戸の水を飲んだ兵たちが猛烈な下痢に襲われ、中には動けない者も出てきた。橋は破壊され、河を渡ろうとしたら罠が仕掛けられており、多くの兵士が負傷した。

 治療薬や治癒術師によって治癒させたが、余りの数の多さから対応がしきれなくなってきていた。

 更に補給を担わせていた商人たちがつぎつぎと手を引き始めた。

 なぜなら補給のための車両が襲われ、皆殺しにされ、物資が焼かれる事態が多発したからだ。

 物資は高い金を払えばなんとか調達できるが、輸送する人員が殺されてしまい、他の商売に差し支えるようになると、商人たちのほとんどが手を引いてしまった。

 10倍金を出しても引き受けるものがほとんどいなかった。

 引き受けるものは、金だけ持って逃げるような悪質な業者か、ばくちで一攫千金を得ようと仕事を受ける博徒のような商人だけだった。

 当然補給が十分に届けられる状態ではない。

 その状態で突然の襲撃が行われた。物資は焼かれ、治癒術師を含む魔法使いたちは殺され、指揮官クラスの高級将校はほとんどが殺されてしまった。

 

 とにかく、兵たちを東に向かって進ませた。新たに貴族の中から指揮官を任命し、指揮をさせたがすでに使える人材は払底し、素人ばかりになっていた。

 まず、傭兵と冒険者たちが逃げ出した。そのあと、動員した農民兵が逃げだした。貴族たちを動員し、警備させたが、今度は貴族たちが逃げ出し始めた。

 軍は緩やかに崩壊しながら、それでも東に進んでいった。

 セイアン城砦の見えるところまで来た時には、兵力は1万を切っていた。

 すでに食料はなく、水もなく、兵たちは戦うどころか歩くことすらおぼつかないものばかりだった。

 そんな状態でいるとき、セイアン城砦から大規模な襲撃があった。西部軍は文字通り壊滅した。


 その話を聞いて、ヒコ・シーフは最後の手段をとった。家族ともども持てるだけの財産をもって海外に逃亡することだ。それがきっかけで大貴族や金のある貴族は次々と海外に逃亡を始めた。

 西部は完全に崩壊していた。


セイアン城砦にて

 僕は西部軍を粉砕した後、状況偵察に西部に侵入したが、余りの悲惨な状況に頭を抱えました。

 統治機構は崩壊し、治安は最悪の状況となり、民は塗炭の苦しみに置かれていました。

 僕はセイアン城砦の兵を連れ、西部に侵攻、サポールを占領しました。

 西部大公代理を名乗り、治安維持と統治機構の整備に力を尽くした。

 北部大公の兵と官僚を借り、なんとか状況を安定させることに成功しました。

 助かったのは、王妃の実家であるエルメス伯爵とその一派が我々の味方となり、西部の安定に力を貸してくれたことでした。

 彼らは西部大公の縁戚にもかかわらず西部大公の求めに応じて兵を出すことはせず、我々に直接王妃とその娘を救出してくれたお礼を述べるとともに、我らに対する忠誠を誓ってくれました。

 西部大公たちが逃亡後に、我々を受け入れ全権をゆだねると、ひたすら我々に恭順し西部安定のために身を粉にして働いてくれました。

 本当に感謝しかありません。


 西部が安定すると、いろいろ改革を進めました。

 法制度も西部大公の定めた法制から中央の法制に改め、現実に合わない部分は特例法として調整しました。

 従前貴族や商人が持っていた既得権も廃止しました。文句を言ってくるものもいましたが、体制が変わったことを理由に追い返した。それでも既得権の放棄を認めないものは物理的に処理しました。

 これにもエルメス伯爵は協力し、自派の権益をすべて放棄するとともに、商人たちの説得にも協力してくれました。

 他の貴族?グズグズ言ってきたものは皆殺しです。まあ、よっぽどの理由がない限り、財産没収の上、追放か処刑が彼らには待っていますから気を遣う必要はありません。

 このような方法で西部の王家直轄地化を進めました。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。



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