閉話4 東部大公の絶望と最後の希望
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モーツタウンでの戦いは熾烈を極めた。近衛師団は強力であり、東部軍は被害を増やしていった。そして北から北部軍が近づいてきていることが偵察隊からの情報でマイク・シーチに伝えられた。
その情報が他の部隊にも流れたのか、突然第2師団と警備隊が東部軍に襲い掛かってきた。やむなくマイク・シーチは東部軍を東部領に撤退させることにした。
撤退のさなか、追撃は苛烈を極めた。特に第2師団は戦功を焦ったのか、激しく攻め立てた。そのため、東部軍のうち、東部領にたどり着いたのは半数程度だった。
東部領にたどり着いたマイク・シーチほっと一息ついていると、急使が早急な面会を求めてやってきた。嫌な予感を感じながら報告を聞いたマイク・シーチは一瞬意識を手放した。
まず東部国境からクサツ公国軍が進攻してきたこと、たちまちのうちに国境警備隊を皆殺しにし、シーチシティに進んでいるとのこと。進攻途中にいる貴族は抵抗したものは当然、降伏を求める貴族たちも家族諸共皆殺しにし、従っていた兵士は亜妖精の餌にされているとのことだ。
それだけじゃない。進攻路から外れた貴族たちのところにも武闘士とセットで亜妖精が行き、「自決するか残虐に殺されるかどちらかを選べ」と言って、片っ端から皆殺しにしているそうだ。
奴らが進んだ後には死体の山が築かれ、その殺され方も貴族は生きたまま串刺しにされ道の左右に並べられるという残酷極まる方法を使用していた。
さらに南部国境から南部大公率いる軍が進攻してきており、国境はあっという間に突破され、同じくシーチシティへ進撃しているとのことだった。
多くの貴族や騎士たちが領都シーチシティに逃げ込んでいるとのことだ。
唯一明るい話は、西部軍が東部軍に味方して進攻を開始したという情報だった。
マイク・シーチは考えた。シーチシティは守るのに適した街ではない。クサツ軍と南部軍にあっという間に防壁を破られ、町は戦場となり我々も皆殺しにされてしまうだろう。
打って出るのはどうか。無理だ。すでに直卒している兵は半数まで減っており、皆疲れ切っている。近隣の貴族から兵を集めても、クサツ軍どころか南部軍にも対抗できるかどうか。
策として有効なのは西部軍がモーツタウンを攻め落とすまで、堅固な城砦にこもって敵に対抗するしかない。
そして、残余の東部軍を集めるとともに、東部地域の貴族に招集をかけ、シーチタウンの近くにあるシーチ古城に向かった。
この古城はその昔、東部大公の先祖が居城として使用し、東部を統一するまで使用した城であった。
すでに使われなくなって久しく、少数の守備隊が城の一角に駐屯していたのだが、ここを使用することとした。
前王の正妃だった妹とその子二人も古城にこもるよう指示した。また、シーチシティに逃げ込んでいた貴族や騎士たちも古城に逃げ込んできた。
食料、武器の運び込みも行い、古くなって壊れた個所も仮補修し、なんとか形にしたとき、クサツ軍がシーチシティに到達した。
シーチシティを占領したクサツ軍は決死の覚悟で残っていた幾人かの町の有力者に町の管理を預けると、少数の兵を置いてシーチ古城を包囲した。
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