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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第2章 クサツユウシの闘争
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第18話 西と南と父と兄と

毎日18時に投稿します。お読みいただければ幸いです。

 僕はまずは西の大公、ヒコ・シーフに会いに行きました。フゥーと西出身の王妃と王女を同行しています。

 西の大公の領地は南北に長く、北は白海のという湖に面しており、南は太陽に接しています。南北に長いせいで、領内の気候もさまざまであり、そのため多くの特産物を算出している土地です。

 また、西方の国口との交易の拠点になっており、連合大公国の中でも一番豊かな国です。

 亜妖精の隠里を経由して、西の大公領に出ると一路領都であるサポールに向かいました。

 ヒコ・シーフに会うため、王妃に口添いしてもらい、なんとか会うことができました。

 結構年を取っているが、その目は鋭く、貴族というより名うての商人のような感じがしました。

 「お前が、ユウシ・クサツか。とりあえず王妃とその娘を助けてもらったことに感謝する。これはお礼だ受け取れ」会うと開口一番そう言って、金貨の山を僕の目の前に運んできました。

 「ありがとうございます。しかし申し訳ありません、お願いがございます。この謝礼金の代わりに話を一つ聞いていただきたいと思っております」

 「ほう、何かね、私の時間はものすごく高いぞ」

 「では、単刀直入に言います。我々に協力していただきたい」

 「協力とは?」

 「北部大公の元、第一王女が王に即位しました。王への忠誠を誓っていただきたい。更に前王を殺した東部大公を倒すのに協力していただきたい」

 「見返りは?」

 「領地の安堵、大公としての地位の保全」

 「話にならないな。そんなことで私がなびくと思っているのか」

 「何か望みでも?」

 「それを提示するのがお前の役目だろう。そんなこともできずに私と話をしようとしたのか。本当に子供だな。よく北の奴がお前をよこしたな」馬鹿にしたように言います。

 「了解しました。それでは結構です。あなたは敵ということですね」

 「お前はクズだな。交渉の一つも分かっていないではないか。さっさと帰れ」

 僕は微笑むと「あなたこそ我々クサツのことをわかっていない」と言いました。そして、目を見開き、にた~と笑いました。

 次の瞬間、僕はヒコ・シーフののど元に指を突き刺し、首を跳ね飛ばしました。

 フゥーは悪霊を出し、部屋にいた護衛を皆食い殺しました。屋敷に魔法であちこちに火をつけたところ、巨大な火柱が立ち、赤々と燃えています。

 さて、次は軍の始末です。ここに来るまでに軍の駐屯地にめぼしは着けていました。

 まずは火魔法で兵舎に火をつけると僕とフゥーは兵士たち、特に位の高そうな男たちを片っ端から殺していきました。

 更に政庁にはいり、役人たちを皆殺しにしていき、更に書類を焼却しました。

 これでこの西の大公領はしばらく機能しないでしょう。まあ、ことが片付いたら本格的に滅ぼすことにしましょう。

 すっきりとした僕は北の大公のところへ戻りました。


西の大公の隠れ家にて

 失敗した、相手を見誤った、西の大公ヒコ・シーフはひどく反省した。北の大公から、王家に送り出して王妃となった縁戚の娘を送り届けてくれるというので、受け取るついでに交渉して少しでも有利な条件を引き出そうとした。

 とりあえず、相手は12歳の子供だという。少し脅せばこっちの言いなりになるだろうと、影武者に指示をし、私は別の場所で報告を待った。

 

 そうしたら、いきなり屋敷は火に包まれ、軍の中枢部分は破壊、指揮官クラスの軍人は皆殺しにされた。さらに我が国を支える官僚団も壊滅、重要な書類もすべて焼却されてしまった。そしてさらに重要なのは我々は北部大公の敵として認定されてしまったことだ。

 我が国は商売の国だ。すでに国のあちこちから情報が入っている。王都では近衛師団と東部軍が内戦状態にあること、更に北部大公の軍が南下を始めたこと、そして東部国境ではクサツ公国軍が展開しており、いつ攻め込んでくるかわからない。


 状況的に見て、東部大公は詰んでいる。ここで、我が西部軍が東部に味方して参戦したとして、果たして五部五部にもっていけるだろうか、いや、すでにわが軍の中枢は破壊され、補給を担う官僚たちは壊滅している。

 残余の軍をもって参戦したとしても補給なしでどこまで戦えるだろうか。正直、わが軍はこの国で一番弱い。それが、補給も満足になし、指揮官も十分いない状態で、この国で最も強いと言われている北部の兵たちと戦って勝てるのか、いやそれよりもクサツだ。あいつがもし出てくれば、わが軍は全滅しかねない。

 

 そもそもクサツの人間を普通の人間と考えて対応したのが間違いだ。

 あいつらは狂犬だ。殺し殺されることに喜びを感じる生まれながらの狂戦士だ。

 そんな奴らにまともな交渉術など通じるはずがなかった。

 これからどうするか、私は頭を絞った。


南部大公の元にて

 今度は僕らは南の大公カルロス・シーサイドのもとにいきました。南の大公はものすごく歓迎してくれました。

 王妃たちに会うと「よくぞ無事だった。心配したぞ」と言ってわんわん泣いていました。

 聞くと、王妃は王のいとこだそうで、すごく仲が良かったらしいです。

 しばらくして僕に向かい合うと、手を取って「ユウシ・クサツ殿本当に感謝する。ジョン殿に続いて、よくぞ我がいとこを助けてくれた」と感激していいました。

 「いえ、どういたしまして」僕は照れてしまい、気の利いた返しができませんでした。

 「ジョン殿はお元気か」大公は尋ねてきました。聞くと、大公は父がこの国で活躍した時、父と共に戦ったそうです。

 「ジョン殿は強かった。次々と船を沈め、襲ってくる海賊たちを次々と素手で撃ち抜き、剣で襲ってくる奴は剣をたたき折って頭を吹き飛ばし、矢は通らず、魔法すら効かなかった。火魔法を浴びて火だるまになりながら笑い声をあげ、敵に突っ込んでいく姿、今でも夢に見る。兄上のタカシ殿もその武勇もここまで伝わってきている。腕一本で国を作ったとか」

そう言って一息つくと「ユウシ殿、あなたの武勇も素晴らしい。王妃や王女助け、敵を皆殺しにし、北の地まで安全に送ったそうではないか」そう言って、「おい、エミリー」と王妃を読んだ。王妃は王女を連れてこちらにやってきました。

 「エミリーの娘、アメリ王女だが、ユウシ殿の妻にしてはくださらぬか。まだ7歳なので、実際の結婚はしばらく後になるが、身内のひいき目もあるがなかなかの美人だぞ。アメリ王女、ユウシ殿の妻にならないか?」

「はい、アメリはユウシ殿の妻になりたいです」と顔を真っ赤にしながらはにかんで答えました。

 「ええっと、その件は後日お返事をするということで、とりあえず我々の味方になってくれるということでよろしいでしょうか」僕はどきまきしながら訪ねました。

 「クサツに敵対するなんて、素手でドラゴン100匹と同時に戦うようなものだ。ぜひとも味方にしてくれ。我が南部軍は貴公とともにある」カルロス・シーサイドは胸を張って答えました。

 

 妻を押し付けられそうになったけど、とりあえず南部大公を味方にすることができました。


 次はダイワ王国へ向かいます。

 西部国境に展開しているクサツ公国軍へ行きました。

 「兄上、お久しぶりです」

 「ユウシも元気そうだな。フゥーも元気か?」

 「タカシ兄さまお久しぶりなの。フゥーは元気なの」

 するとタカシ兄上のすぐ横にいたフィーがフゥーに抱き着いてきました。

 「久しぶりなの。子づくりしているの?」

 「まだ、1回しか抱いてもらってないの。もっとたくさんして子供をたくさん作るの。フィーはどうなの」

 「たくさんしているの。子供もできたの。この子紹介するの」

 フィーの隣でフィーの陰に隠れていたフィーより一回り小さい亜妖精の子が顔を出しました。

 「ムァーというの。よろしくなの」と言いました。

 亜妖精は成長が早く、3年でだいたい成人年齢になります。

 僕は兄上の方を見ると、ニコッと笑い、「すっかり子だくさんだよ。リンダさんは2人も子供を産んでいるし、グレタとネスカも一人づつ生まれているよ」

 「兄上は頑張っているのですね」感心するように言ったら、黄昏たように「ちょっと隙があると襲われるんだ。ミニナすら「ご主人様、私にもご寵愛を」って言ってベッドに潜り込んでくるんだ。一人がベッドに潜り込むとそれに便乗して何人か入ってきて、あとは搾り取られる運命なんだよ」と言っていました。

 しかし、突然笑顔になって「ここだとね、フィー以外には襲われないからね、毎日よく眠れて幸せだよ。やっぱり戦場は良いね」とすがすがしく言いました。


 そんな風に雑談をしていると「よう、元気か?」と声をかけていた男がいました。

 僕が振り向くと、そこには父上が立っていました。

 僕は驚いて兄上の方を見ると、兄上は頭を抱えていました。

 父上はニコニコしながらファー母さんと一緒にこっちにやってきました。

 「父上いったい何をしているのですか」

 「戦争だろ?俺も参加するぞ。最近戦いが無くてストレスがたまっていてな。参加させてもらうぞ」

 「ファーたちも参加するの」なんとファー母さんの後ろには、亜妖精たちが100人近く現れたのでした。

 「ここに私たちの村を作るの」ファー母さんはニコニコとしながら言いました。

 ふと見ると、亜妖精の周りに武闘士らしき男たちがいました。

 「実はな、武闘士の間で亜妖精を妻にするのが流行していてな」父上が自慢げに言いました。

 「こいつらは第5武闘兵団の武闘士たちで、ここにいる亜妖精たちを妻にしているんだよ。俺も含めて義勇軍ということで、この戦に参加するつもりなのさ」

 思わず、近くにいた武闘士の一人を捕まえて聞いてみました。

 「ねえ、なんで亜妖精を妻にしたうえに、この戦に参加するのだい?」

 するとこの武闘士は答えました。

 「俺たちはこの辺境の城砦で、敵から国を守るために駐屯しているのですが、戦い以外にやることと言ったら、訓練か酒を飲むかしかないんですよ。女っけなんて全くないし、最も近い街に出て風俗に行くのも一日がかりだし金もバカ高い。女も中央から流れてきたような年配の奴ばかり。それに比べてジョン様が紹介してくれた亜妖精の女の子は皆若くてかわいい子ばかり。おまけに戦場にすらついてきてずっと付き添っていてくれる。それなのに全然嫉妬深くない。なんといっても強いから、戦いの最中も心配する必要がない。しかしさすがに城砦に一緒に住むのは無理だから、近くに村を作ってくれれば休みのたびに通っていけるでしょう?だから村づくりに協力しようと思って。上司には、ジョン様から口をきいてもらって、休暇扱いで参加させてもらっています」

僕はさらに聞きました。「確かにぱっと見亜妖精は可愛いけど、その本性はかなり怖くない?さらに死んだら食われてしまうのだよ」

 「ああ、触覚が生えていて、目が複眼、牙もある。それがどうしました?世間には虫のようだと毛嫌いしている奴もいますが、そんなこと大したことありません。それに死んだら食われる?失礼ですがユウシ殿も武闘士でしょう?私たちに降伏はありません。死か勝利かです。戦って死ぬことは我々にとって名誉です。ただ、唯一の心配は死後死体が敵に汚されることぐらいですか。それを解消してくれ、そして愛する女に食べてもらえるのだから、これを幸せと言わずしてなんとします?」

 思わずその武闘士に握手を求めました。「よくわかるよ。本当によくわかるよ」

  

 そのあと、兄上と父上と今後の作戦について相談しました。

 「北部軍が首都モーツタウンを占領すると同時に我々は西進する。国境を突破し東部の領都であるシーチシティへ進攻、これを占領する。なお、貴族とそれに従う騎士、兵士は見せしめに皆殺しになってもらう。例外はない」兄上は壮絶な笑顔とともに言いました。

 父上は「久しぶりの戦だ。楽しみだ」と笑っていました。

 僕も微笑みながら「僕らは一旦北部軍と合流します。西部大公が敵に回った以上、西部への抑えが必要ですからね」と言いました。


 それを見ていた護衛の兵士たちはその三人の顔を一生忘れなかったという。曰く「クサツ家は悪魔の血を引いているのではないかと思ったよ。俺はいろいろ戦いに出て悲惨な光景も見てきたが、あんな恐ろしい笑顔を見たのは初めてだ」

 

 後世、この東部でのクサツ軍の戦いは「ジェノサイド(皆殺し)の戦い」と言われるようになった。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


休日出勤が多く、なかなか書き進められません。仕事上でもいろいろあり、読んでいただいている皆様にはお待ちいただくことが多くなり申し訳ありません。可能な限り投稿していきますので、お読みくださいますようお願いいたします。

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