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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第2章 クサツユウシの闘争
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閉話 3 得意のマイク・シーチ

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 東部大公マイク・シーチはご機嫌だった。演習の名目で近衛師団を王都から引き離し、無事に王弟がクーデターを起こして、王を殺したそうだ。

 首都の警備隊長であるミール警備隊長は当初からの打ち合わせ通り、我が妹で王の正妃であるウインダリアと二人の息子を救い出し、わが陣に逃げてきた。

 「われらが王宮に駆け付けた時にはすでに王は殺されており、他の側室様方も命を取られていました。敵の攻撃をかわしながらなんとか皇太子様とご次男様、正妃様をお助けして、辛うじてここまで逃げてきたのでございます」ミールは涙ながらに我々に訴えてきた。

 

 近衛師団長ボルク・ウッドヘッドは悔し涙を流しながら言った。「こうなったら、至急王都に行き、敵を皆殺しにせん」

 「その通り、しかし各地域の大公にこのことを伝えなくではなりません。援軍を出したいという大公もいるかもしれません。当然いの一番に攻め込むのは我々です。しかし、この反乱はどれだけ鎮圧に時間がかかるかわかりません。また、王弟単独の計画とは限りません。どこかの大公が加担している可能性もあります。やってきた援軍がいきなり襲ってくることも考えられます。十分に注意して事に当たらねばなりません」私はそう言って、周りを見た。

 ボルクは不満がありそうだったが、何も言わなかった。本当に私の謀略は天才的だ。

 とりあえず、我々が王都に攻め込んだら、王弟の配下に送り込んでいる我が部下を使って、王弟を殺す。部下たちはわが軍に紛れ込ませて存在を隠ぺい、王弟の部下たちの冒険者は逃亡したことにして、見せしめに王都にいる冒険者を何人か殺す。当然冒険者ギルドも協力した疑いアリとして軍を差し向けたところ、抵抗したので皆殺しにしたことにする。

 そして間髪入れずに皇太子を即位させ、その正室に娘を入れる。

 あとからやってきた大公たちには、反乱を鎮めた功績をもって黙らせる。

 本来、今度は南の大公が正室を出す番だが、緊急事態であること、あと我が東部大公の多大なる功績をもって黙らせる。

 後は、東征の準備を整えてダイワ王国に全軍で攻め込めば、東部への領土拡大がなしえる。

 いずれは、東の大公家がこの国で一番の実力を身に着け、王の地位に成り代わってやろう。


 私はそう妄想しながら、府賀に各大公にこの事実の連絡を入れるよう命じた。そして、なるべくゆっくりと伝えるよう、ひそかに命じた。これで各大公が知った時には、すべてが終わっているわけだ。地団駄踏んでももう遅いわけだ。


 我々は粛々と王都に進んだ。王都にたどりつつくと、どうも様子がおかしい。城門は破壊され、大きく開いていた。

 どういうことかと思ったのだが、いきなり近衛師団の連中が突っ込んでいった。そして一路王城へと向かって言った。

 なんとか制止しようとするが、勢いのついた奴らは全く止まる気配すらなかった。

 我々も、王都の王城内に入っていくと、そこにはとんでもない光景が存在した。

 王弟に貸したわが軍の騎士たちが根こそぎ殺されており、あちこちに転がっていた。

 王と王弟の死体もなく、王妃たちの死体も存在しなかった。

 宝物庫は空になっており、王家を継ぐための象徴である王冠、指輪、王笏がなくなっていた。どういうことが当惑していると、近衛師団長のボルクが部下を数十人連れてやってきた。

 「シーチ殿に聞きたいことがある。あちこちに倒れている冒険者の格好をした者たち、みな東部公の騎士証を持っているがどういうことだ」

 正直失敗したと思った。王城に突入後、彼らはすぐにわが東部軍に紛れ込ませようと考えていたため、特に騎士証の件について指示をしていなかったのだ。

 「敵の謀略に決まっている」私はそう言い切った。

 「ほう、謀略か、じゃこれはどう説明する」そう言って一人の男を連れてきた。

 頭から水で洗われたようでしたが、糞尿の匂いが漂い、とても臭い男だった。

 少し精神に来ているようで、何やらぶつぶつと話をしていた。

 「おい、話せ」ボルグが促すと、その男は話し始めた。

 「私は東部大公の騎士の一人です。大公の命により、王弟のクーデターに冒険者に身分を偽り参加しました。私とな仲間たちは王城に侵入し、王城を占領しました。私たちは王城に勤める召使たちを慰み物にしていたのですが、私は急に便意を催し仲間に断って便所に向かいました。用を済ませて戻ろうとしたところで、仲間たちの悲鳴や叫び声が聞こえました。仲間たちは悪魔に皆殺しにされていました。私はその光景をこっそり便所のドアから見ていました。その悪魔は私に気が付いたのか、いきなり私の方を向き、ファイアーボールを打ち込んできました。私は、トイレの便槽に飛び込みました。間一髪便所の建物は焼け落ちましたが、私は助かりました。ただ、そこから出ることもできず、発見されるまでその場所に閉じ込められていました。便槽は……」そこで男は悲鳴を上げた。

 何か恐ろしい目にあったのだろう。しかし、そんなことは知ったことではない。

 「何かの謀略だ。というか、ボルクお前敵に寝返ったのではないか。直ちに逮捕する」そう言って部下たちを向かわせた。

 ボルクとボルクの部下達はあっという間に私の部下たちを切り捨てた。

 その間に私はその場を逃亡し、直ぐに全軍に近衛師団が裏切ったこと、直ちに戦闘に入るよう命令した。


 近衛師団と東部軍の戦闘が開始されました。私はミール警備隊長、第2師団に命令を下し、近衛師団と戦うよう命じた。

 しかし、警備隊は「とても近衛師団にはかなわない。無理です」と言って戦闘に参加しないし、第2師団は「同じ王国軍同士で戦う意味が分からない。近衛師団はずっと一緒にいたじゃないか。それを突然裏切ったから戦えと言われても兵たちが納得しない」と言って何もしない。本当に使えない奴らだ。


 そして更なる凶報が入ってきた。第一王女が、三種のあかしをもって王に即位したこと、そして王として前王の葬儀を執り行ったとのこと。

 この国では、王として即位する際、王冠、王の指輪、王笏の三つをもって即位のあかしとする。

 また、前王の葬儀を執り行うことが、王としての最初の仕事であり、そのことで王として諸侯に認められることになる。

 それに合わせて、北部大公軍が首都に向かって進軍を開始したことが伝えられた。

 悪い時には悪いことが重なるようだ。東部国境でクサツ公国軍が国境沿いに展開を始めたらしい。クサツ公国はジョン・クサツの長男が作った国だ。と言ってもダイワ王国を挟ん我が国の反対側にある国だ。どうしてわざわざダイワ王国を横断し、国境に展開しているのだ?

 私の頭は大混乱している。どうしたらいいのか?


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


もうしばらく続きますので、お付き合いいただければありがたいです。

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