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名門出身の武闘士が、魔法使いにあこがれて魔法使いになろうと頑張る話  作者: 信礼智義
第1章 クサツタカシの戦い
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第2話 グレタの心情

一応、ここで終わりです。ブックマークがついたら、継続させていただきます。お読みいただければ幸いです。

 私はグレタ、フルト王国のはずれにある魔法少女族のひとりだ。私の一族は魔法に優れ、多くの優秀な魔法使いを輩出している。ただ、残念な事に、身体の成長が若くして止まってしまう特徴がある。


 研究したものによると、魔力は一定の年齢で最も高くなり、そのあと緩やかに減少していくため、最も魔力の高い17・8歳ぐらいで老化が止まるそうだ。

 御多分に漏れず、私の体も17歳で成長も老化も止まり、いつまでたっても外見は17歳のままだ。ちなみに私たちの寿命は800年から1000年ぐらいある。

 魔法使いとして、魔法の研究に従事したが、もともと飽きっぽい性格なのか30年もすると飽きてきた。


 それで、外の世界に出て、フルト王国にある魔法学校に通ってみた。卒業して、そのまま学校に残り、最後は魔法学校の主任教授まで行ったが、やはり30年ほどで飽きてしまった。

じゃ次は冒険者でもと、あちこち旅をしてみた。単独が基本だが、たまにはチームを組んで仕事をしたり、それはそれで結構刺激的な日々だった。

 それでも50年ほどで飽きてしまった。


 ふとしたきっかけで、ダイワ王国で魔法使いの募集があることを知った。

 ダイワ王国は武闘士の国で、魔法使いの需要は少なく、正直、魔法使いの地位も高くないところだった。逆にそれが募集に応ずるきっかけとなった。

 なぜなら魔法学校に長くいたおかげと、冒険者として長く活動してきたおかげで、かなり私の名前が売れており、どこに行っても敬われるかチヤホヤされる日々だった。正直飽き飽きだった。そういう意味では、ダイワ王国なら私のことを知らない者がほとんどだろうと思い、普通の生活ができると思って応募した。

 私の実力だ。当然のように採用され、魔法小隊に配属された。仲間は30名程度、みな中級以下で外の世界では並扱いされる者達ばかりだった。

 訓練なんかもろくにせず、一日中くっちゃぺっているか、ゴロゴロとしているか、酒を飲んでいるかだった。女ばかりで、誰かが訪ねてくることもなく、本当に腐りきったところだった。だけど、まあ、それがとっても楽なんだがね。


 ある時、暇に飽かせて、ぶらぶらと王宮を散策していたら、一人の少年と出会った。

 黒髪、黒目のこの国の民の特徴を示した顔立ちで、廊下に座り込んでいた。

 この際だ、はっきり言おう。ストライクゾーンど真ん中の容姿と声だった。このままどこかに連れ去って、私の物にしてやろうかという誘惑に一瞬だがかられた。

 理性で欲望を抑えて、話しかけると、どうも迷子らしい。

 出口まで案内するのにどれだけ誘惑と戦わなくてはならなかったか、兎に角、少しでも沈黙が流れると、襲いそうなので、必死にいろいろ話をした。

 その子は楽しそうに話を聞いてくれた。門のところに来て、これでお別れだと思ったら、あちらからまた会いたいと言ってきた。急いで、魔法小隊への地図を描いた。

 それを受け取ると、ものすごくかわいい笑顔で、「またね」と言って去っていった。

 その日はその子のことを思いながら自分を慰めた。一晩中眠れなかった。


 翌日、その子がお礼のお菓子を持ってやってきた。私は心の中で歓喜した。だが外の隊員もその子に興味津々のようだ。中には、舌なめずりして今にも襲ってきそうなやつもいた。

 そりゃそうだ。魔法小隊の宿舎は王宮のはずれにあり、人なんかまったく来ない。

 女ばかりの所帯で、男なんて全くいない。

 そこにかわいらしい美少年が現れだのだ。いわゆる猛獣の檻の中に大好物の生肉が放り込まれたような物だ。普通でも構いたくてしょうがない。そして中には少年好きの奴もいて虎視眈々とすきを狙っている状態だった。

 話の流れの中で、魔法に興味があるというので、魔法を教えてあげた。また、今後も教えて欲しいというので、そのことも了承した。

 ちなみに、みんなから抱きしめられたタカシを助けるとき、私も抱きしめたのは内緒だ。


 タカシが帰ってから、もらったお菓子を開けた。みんなぞろぞろとご相伴にあずかろうとやってきた。

「ねえ、これヤマト堂の特級品よ」お菓子通の仲間の一人が言った。

「ヤマト堂?」私が聞き返すと、「貴族様御用達、というか庶民には店に入ることすらできない贈答用菓子店の特級品よ。値段も普通じゃないわ。この大きさだと…」そう言って、ごくりとつばを飲み込むと「私たちの給与の6か月分ぐらい」

 みんな、びっくりしたようにそのお菓子を見つめた。

 私が一つ取って口に入れると、確かにめちゃくちゃおいしかった。丁寧なつくりとこった装飾、最高の品質のものを使った今まで食べたことのないお菓子だった。

 「みんなもたべてみなよ」そう私が言うと、みんな争うように手を伸ばした。

 みんな至福の顔をして、お菓子を食べていた。


 仲間の一人が言った。「あの子間違いなく貴族、それも上級貴族の子供ね。あの年で王宮に出入りするのは、側室や愛人の子供ではなく、少なくとも正室の子に間違いないわ。ねえ、グレタ玉の輿に乗るチャンスよ」

 「玉の輿?」

 「あの子を篭絡すれば、側室になれるということ。あんなかわいい子の妻になれ、おまけに貴族様の側室なんて、これは一生に一度あるかないかのチャンスよ」

 「そりゃあの子は可愛いけど」

 「あの子まだ女性を知らないわよ。その初めてを手に入れられれば、一生側室としての地位は安泰よ。男って、初めての女は忘れられないというしね。場合によっては、正室も夢ではないかも。そうすれば、もう物語の主人公と同じだわ」その子は一人で興奮していた。


 確かにタカシは可愛いです。使い道のなかった処女をささげてもいいと思う。

 でも、私なんかがあの子の人生を狂わしていいのでしょうか。私はまだ、何百年も行きます。あの子は数十年で死ぬでしょう。あの子にとって、私なんかがそばにいて果たしていいのでしょうか。それに彼は貴族らしいです。私と結婚するといえば、きっと反対も多いでしょう。もしかしたら、彼は家を出て私と一緒になるというかもしれません。私みたいな女のために人生を歪ましてはなりません。そう思い、決して彼のことを好きになるまいと思った。


 あの子は毎日のように通ってくる。魔法もかなり熟達してきた。魔力量が足りないだけで、技術はおおむねできていると思わる。

 魔力量が足りなければ、技術を磨くことが必要だ。私は効率的な魔法の使い方やより少ない魔力でより高い効果を生む魔法を教えた。彼はすぐに吸収していった。

 そうやっていっしょにいるうちに、彼への思いは日々募るばかりだ。

 あの子の一動一挙に目が離せません。好きで好きでたまりません。でも理性で何とか抑えます。そうです。私はあの子の師匠です。弟子に手を出してどうします。我慢我慢です。


 あの子が10歳の時、あの子の父親に私のことを話したそうです。そして、結婚をほのめかしてきた。

 えっえっタカシ君も私のことが好きなの。でもめちゃくちや年上よ。本当のことを言ってないし、でも…

 私はかなり変な顔をしていたと思います。

 その時、タカシ君が謝って来ました。私みたいな美人が自分の相手なんかしてくれるはずないって言った。すごくかわいい顔で、泣きそうな顔で謝ってきた。

 もうだめだ、このままだとこの子と間違いなく深い関係になってしまう。この子を不幸にしてしまう。

 この子と離れるのは、つらいけどこの子のために私はここから消えよう。私は退職届を出し旅に出た。町の門を出てからしばらく涙が止まらなかった。


読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


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