第14話 ユウシの百人掛け
武闘士久しぶりの再会です。お読みいただければ幸いです。
僕の名前はクサツユウシ、12歳です。武闘士としての修業を積み、更に魔法使いとしていっぱしの魔法も使えるようになりました。
さて、今日は父とともに王に謁見です。僕は次男なのですが兄が国を作って独立したため、僕が繰り上がりでクサツ伯爵家の後継者となりました。
今回王に呼ばれたのはクサツ伯爵家の継承に関する件かもと思い、正装して王宮に行きました。
謁見の間で、僕と父はふたり跪いていました。
「面を上げよ」この国の宰相が声を掛けました。顔を上げると王が声をかけてきました。
「お前がユウシ・クサツか」
「はい、初めてお目にかかります。ご尊顔を拝し奉り、この上なき喜びでございます」
王はおかしそうにニヤリとしながら「クサツの家の者にしてはなかなか礼儀をわきまえているの。今回呼び出したのは、そなたに重大な任務を与えようと思ってな」と言いました。
「王よ、恐れながら申し上げます」その時いきなり父が声を発しました。
「無礼であるぞ、控えろ」と宰相は言いますが、父がぎろりとにらむと宰相は口を閉じてしまいました。
あ~父上、王の御前なのだから少しは気を遣おうよ、と僕は思いました。
「まだ、こいつは半人前です。王の命令などとても完遂できません」
「しかし、いろいろ都合があっての~。どうしてもユウシの力が必要なのだ」
「実力不足の子をむざむざ死地に送るなんて私は許しません」
王は困ったように言いました。「どうすればみとめるのだ。武闘大会はまだしばらくないぞ」
父は少し考えるよう首を傾げた後、「武闘兵団で兵士の実力を測るときに行う100人の武闘士と順番に戦っていき、何人まで倒せるか競う百人掛けという訓練があります。ユウシが武闘士100人を倒せたら一人前として認めましょう」と言いました。
武闘士にささやかれている地獄の三大訓練の一つ、百人掛けです。一人づつ戦っていき、相手を倒せば一つクリア。これを百人やります。更に後半になるにつれて小隊長クラス、中隊長クラスとどんどん強くなっていき、百人目は、兵団長である父と戦うことになります。
この百人掛けを達成したものは多くの武闘士の中でも数名しかおりません。
ちなみに父はこれを史上最年少の13歳で達成しています。
僕がこれをクリアできれば最年少記録を塗り替えられます。
「ぜひともやらせていただきたいと思います」僕はにやける顔をこらえながら王に願い出ました。
「兄のタカシもそうだったが、クサツの者はどうしてこうも好戦的なのだ」半分呆れるような顔をしながら許可を出しました。
数日後、百人掛けを実施する日です。朝の6時に始まりました。何せ100人倒すのですから、早くから始めないと終わりません。
応援席には、王と宰相、王のそば付きの者達、そして母たちと婚約者のフゥー、魔法兵団のお姉さんたちが来ていました。
魔法使いの部隊は兄タカシがその有用性を示したことで大幅に増強、改変され、魔法兵団として各地に配置されるようになりました。
元居た魔法使いのお姉さんたちも各地に幹部として派遣されており、小さい時からお世話になっていたお姉さんたちは皆偉くなっています。
それでも僕をかわいがってくれて今日も何人かは応援に来てくれています。
僕は無様な姿は見せられない、勝って、王の任務を達成し、きちんとした身分を手に入れたら魔法使いのお姉さんたちを妻に迎えるんだ、そう決意すると、闘争心が高まりました。
一人目は平の武闘士です。とりあえず瞬殺です。10人、20人と次々倒していきます。まだまだ余裕です。30人、40人、50人となっていくと、だんだん相手も強くなっていきます。
回復魔法を使い、身体強化の魔法を重ね掛けしながら相手を倒していきます。
98人まで倒した時には、体の疲労と体に受けた傷は体力を奪っていきました。
魔力もかなり使い込んでおり、結構ガタガタです。しかしまだ戦えます。
99人目は副兵団長です。
「さすが団長の息子ですな。前にタカシ殿と戦った時も楽しかったのですが、ユウシ殿はどうですかな」というと、獰猛に笑った。
「クサツの名を受けた者として、恥ずかしい戦いはできません。精いっぱい頑張りますので、よろしくお願いします」と言って笑った。
そして殺し合いが始まりました。僕は左に回り込みながら首を撃ち抜こうとしましたが、副団長は後ろによけながら僕の顎に蹴りを放ってきました。
蹴り足の弁慶の泣き所に両肘をたたきつけながら上に飛び上がりました。その瞬間、僕の腹のあったところに手刀が飛んできていました。
くるりと回転するとわき腹に蹴りをくらわせました。
今度はヒット、副団長は体をくの字にしながら吹っ飛んでいきました。
僕はすぐに着地すると、走って副団長に近づくとこぶしで相手の頭を殴りつけました。
副団長はとっさに両腕を縦のようにして受けましたが、身体強化がうまく効いていなかったのでしょう。パリッという音がして両腕が変な方向に曲がってしまいました。
しかし副団長は後ろに飛び下がるとニヤリと笑いました。
「ユウシ殿、やりますな。両腕がだめになってしまいました」
「そろそろ負けていただけないでしょうか」僕が聞くと、「武闘士に降伏はありません、死か勝利か、それだけです。それにこんな面白い戦い、やめるなんてもったいない」と言って獰猛に笑いました。
「さすが副団長です。では、続けましょう♪」僕も笑いながら言いました。
両者ともお互いに走り寄りました。そして副団長は鋭いけりを下から上へとすごい速さでけり上げました。そのすきに僕は副団長の金的にこぶしを振り下ろしました。
僕のこぶしは金的にあたり、グシャと音がしました。その瞬間、僕の左鎖骨に副団長の蹴りがさく裂、骨がバラバラに砕けてしまいました。
副団長はそのまま倒れて動きません。僕の勝ちです。
とりあえず回復魔法で回復しましたが、この戦闘でかなり消耗しました。骨は何とかつなぎましたが左手はしびれ、魔力はほとんど枯渇してしまいました。
最後の相手は近衛武闘兵団団長、ジョン・クサツ、僕の父です。
「よくここまで来た。さすが俺の息子だ」獰猛に笑いながら言いました。
「ありがとうございます。さて父上が最後です。見ている皆さんが退屈しないような死合をしましょう」そういって、笑い返しました。
もう僕の体はボロボロです。魔力もほとんどありません。でも笑いがこみあげてくるのを止められません。なんと楽しい時間なのだろう、そして最後に戦うのは兄タカシと並ぶ史上最強の存在であるジョン・クサツです。これを楽しまなくて、なんとしましょうか。
二人は猛烈な殺気を当てながら対峙していた。
王の側近の中にはあまりの激しい戦いに気絶する者、嘔吐する者が後を絶たなかった。
そして二人の殺気に充てられて、恐怖のあまり叫び声をあげて逃げすものが続出していた。
「いつ見てもクサツ同士の戦いは恐ろしいな」王の顔も真っ青です。王自身逃げだしたい気持ちでいっぱいだった。ただ、王という立場によりそこにとどまっていた。
宰相はあまりの恐怖に震えながら「はい、おっしゃる通りです」となんとか答えた。
その座席の下には水たまりができていた。
僕の魔力はもうほとんどありません。体もガタガタです。正直時間はありません。無様な戦いもできませんし、もうここは正面からかかるしかありません。父の性格から正面から向かえば正面から受けて立とうとしてくることは間違いありません。そこに勝機を見出そうと思います。
僕は正面から突っ込んでいきました。父上も正面から来ます。右のこぶしで殴り掛かりましたが、父上の右のこぶしで受けます。今度は左です。父上はこれも左で受けました。蹴りを連発しましたが、それも同じ足で受けました。
しばらく打ち合った後、僕は飛びのきました。両こぶしは完全に破壊され、両足は複雑骨折していました。残りの魔力を使って治癒しましたが、完全には治りません。魔力もなくなり体がものすごく重いです。
しかし父上は平然した顔で立っています。父上も相当に傷を負ったはずですが、みじんもその影響を見せません。おまけに父上は魔法が使えないので治癒もしていないはずです。
「父上は傷が平気なのですか」と思わず聞いてしまいました。
父上はニヤリと笑って、「両手両足が使えなくなってからが本当の闘いだろう?お前はもう終わりなのか?」と言って挑発してきました。
あはは、こいつ化け物だ、そう思うと僕もニヤリと笑いました。
「父上はやはり強いですね、でも負けません」
「さすがわが息子、それでは殺るか」
「ええ、殺りましょう」
父が向かってきます。僕は魔力切れの体に残るわずかな気力を体の一点に集中しました。
その時、体の中に何かが入りこんできました。ものすごい力です。体中の皮膚が割けて血が噴き出してきます。全身にすごい痛みが走ります。気が狂いそうです。
その時、父のこぶしが僕の体にヒットしました。ものすごい力でしたが僕の体はその腕を吹き飛ばしました。父上の攻撃は続きますが、ことごとく吹き飛ばしています。
気絶寸前の僕は両こぶしを合わせて父上の腹に打ち込みました。父上は口から血を吹き出しながら吹き飛んでいきました。
父上は壁にめり込んで止まりました。どうも気絶しているようです。
僕の勝ちです。その直後大量の血を吐いて僕は倒れ、気を失いました。
次に気づいた時、僕はほぼ全身包帯で巻かれた状態で寝かされていました。
僕の周りには、婚約者のフゥーと魔法兵団のマゼンダさん、ブルーカさん、カラミティさんが心配そうに僕をのぞき込んでいました。
この三人は僕が魔法部隊に初めて訪ねた時からお世話になっているお姉さんたちです。
「気が付いたの、お兄さま心配したの」そう言って抱き着いてきました。
「「「ユウシ君生きていてよかった」」」三人が泣きながら抱き着いてきました。
「すみません、痛いです」と言いながら、その実可愛い女の子に抱き着かれて気持ちがいいです。すると僕の一部が隆起してきました。
ちなみに僕は裸で、包帯だらけの状態です。下着もつけていません。あわてて隠そうとしますが両手は全然動きません。
四人が僕の変化に気づき、その部分を見つめてきます。
「大きい」「形が凶悪」「うわ~」「これはフゥーのなの」
「ごめんなさい、そんなに見つめないで」僕は顔を真っ赤にしながら言いました。
「そういえば父上はどうなりました?」と聞くと、四人は苦笑いしながらカーテンで仕切られた向こう側を指さしました。
三人の女の人の喘ぎ声が聞こえます。どうも聞き覚えがあると思ったら、母たちのようです。思わず「父上何やっているんですか!」と叫んでしまいました。
するとカーテンが少し開き父が顔を出して、「よう、気が付いたか」と笑いながら言いました。
そしてちらりとフゥーとお姉さんたちの方を見ると「そっちも始めればいいだろう、戦いの後はたぎるからな」と言って、顔を引っ込めました。
その間母たちの声は途切れません。
僕はあきれて、「何言っているのでしょうね」とみんなの方を見ると、皆肉食獣の目になっていました。
「これってチャンスかも」
「やっちゃえばユウシ君まじめだから責任取ってくれるわよね」
「ぐふふ」
「これはフゥーのなの、最初はフゥーが使うの」
「フゥー姉さん、私たちも分けてほしいのだけど」
「それは構わないの」
「「「「それじゃいただきま~す」」」」
僕はフゥーを正室に他の三人を側室に迎えることになりました。
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星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。
PTを確認したら結構伸びていたので、一章書いてみました。ご覧いただいて、気に入っていただければ作者としてこれ以上の喜びはありません。よろしくお願いいたします。