第10話 町での活動と情報収集
本日2回目の投稿です。お読みいただければ幸いです。
僕らは、冒険者ギルドからの依頼をこなしていった。盗賊退治から、城壁の修理などの公共工事、貴重な薬草や鉱石の採取と何でもこなしていった。
それに合わせて情報収集も進めていった。ダークエルフを捕らえたのは、どうもここら一帯を支配する王が裏にいて、傭兵たちに行わせたらしい。
ダークエルフだけでなく、近隣の異人種の村を襲っては奴隷を集めているようだ。
その目的は最近発見されたダンジョンにあるらしい。
どういう使い方をするのかはわからないが、奴隷たちをダンジョンに入れて貴重な産物を採取するのか、それとも別の目的があるのか、それは現在調査中だ。
ちなみに、いろいろ依頼をこなしていたら、僕とフィー、ネスカさんは木クラスから銅クラスにリンダさんは金クラスにとんとん拍子に上がっていった。
この町、名前をボーダーというが、冒険者ギルドからとても感謝され、クラスを上げてくれたのだ。
我々が依頼を受けて町の外に出ていた時、いきなり30人以上の男たちに襲われた。
黒い覆面をした男たちで、無言で襲ってきた。
リンダさんは防御魔法をかけ、フィーを守り、僕は敵に殴りかかった。フィーも精霊魔法を使い、悪霊を呼び起こした。ネスカさんも剣で敵を迎撃した。
敵はかなり強く、また統制が取れており、普通の冒険者とは違っていた。
フィーの呼び出した悪霊たちは、襲ってきたやつらを取り囲み襲い掛かった。僕はその中でネスカさんと背中合わせになり、こぶしを振るった。
ネスカさんも剣で必死に戦った。僕とネスカさんは血まみれになりながら、敵を一人づつ殺していった。敵の魔法使いが後方で回復魔法や攻撃魔法を使ってきたので、リンダさんの防御魔法でそれらを防いだ。
リンダさんの防御魔法はすごいことに敵にかけられた回復魔法も跳ね返すことができた。
10人程倒すと、敵の攻撃が緩んできた。そのすきに僕は火魔法を使って敵の魔法使いたちを丸焼けにした。敵の魔法使いも防御魔法を使っていたが、リンダさんの鉄壁の防御魔法との訓練で鍛えられた僕にとって、紙装甲のようなもので、難なく丸焼けにできた。
フィーの悪霊たちが敵を次々と食い殺していった。体の中に入り込み、心臓や脳を食い破った。
10人程に減った敵は逃げようとしたが、逃がすわけもなく、情報を得るために、皆とらえた。
捕らえた敵だが、何もしゃべらない。弱い雷を当てて、ショックを与えても、棒でたたいても何も言わない。皆死を覚悟しているようだ。
手の打ちようがなくなった僕は、仲間に相談した。
するとフィーが「いらないならフィーが欲しいの。里にもっていくの」と言った。
「ここから里に行けるのかい」そう僕が聞くと「ちょうど今の時期ならこのあたりから里へ行く道が開くの。みんなも一緒に行くの」と言った。
僕はフィーの里には一度も行ったことがないので、結構乗り気だったが、リンダさんとネスカさんは少し怖気づいていた。
「亜妖精の里でしょ。一度足を踏み入れたら二度とは帰れないと言われているのよね。大丈夫なんですか、フィー姉さん」「フィー姉、大丈夫だよな。タカシもリンダ姉もあたしも生きて帰れるよな」
「悪いことをしなければ大丈夫なの。特に兄さまはフィーの物だから他には上げないの」と言っていた。
フィーに何やら呪文のような物、言葉が分からないので意味は分からない、を唱えると、空間がひん曲がって、穴が開いた。
僕たち4人と、敵の捕虜10名で中に入った。敵の捕虜は縛って数珠繋ぎにしていた。
歪んだ空間のトンネルを進むと、いきなり開けたところに出た。
「ここが、亜妖精の里なの」とフィーは言った。
「何度かお母様に連れてきてもらったから、間違いないの」とフィーは言っていた。
フィーの姿が変わっていた。目は複眼となり、頭には触手のようなものが伸び、羽が生えていた。そして口には、鋭い牙がのぞいていた。
フィーの姿に慣れていた僕を除いて、リンダさんやネスカさんは初めて見たようでびっくりしていた。
「フィー姉さんその姿は」リンダさんは声を震わせながらフィーに聞いてきた。「これが亜妖精の本来の姿なの。いつもは人間に合わせて姿を変えていたの」
すると、遠くから何十人もの亜妖精たちがやってきた。
何十人もの妖精たちが僕らを取り囲み、羽を震わせて不気味な音を立てていた。そして一人の亜妖精が前に進み出て「お前は、ファーの娘のフィーか」と言った。
「族長様、お久しぶりですの。本日はお土産を持ってまいりましたの」フィーは羽を震わせて音を立てながら言った。
そして、僕の方を見て、言った。「フィーよ。その男はジョンの息子か」
「そうなの。私の兄で、婚約者なの。私は兄さまの正室になるの」フィーが自慢げに言った。
「ジョンの息子だけあるな。亜妖精を妻にするとは。それも正室とは」族長は半分呆れるように言った。
「族長様は父のことを知っているのですか」思わず僕は聞いた。
「あんな化け物のこと忘れられるか。ファーを嫁にくれと言ってきてこの里に乗り込んできた。亜妖精を妻にするなど考えられるものではない。てっきり、だまして売り飛ばすのだろうと思い、村中の亜妖精たちが奴に襲い掛かったのだが、あいつ全員をぶっ倒してわしに土下座してきた。ファーも憎からず思っていたようだったから、村から出て結婚を認めたのだが、その息子も亜妖精を愛するとはな」
「はい、僕はフィーのことが好きです。後、弟もフィーの妹を妻にすることになっています」
「本当に変わり者の一族だな。ところでお土産はどれだ。そこの女たちはいらんぞ」
「この子たちはお兄さまの側室になるの。私の妹分なの」
「亜妖精だけでは足りず、側室も持つのか。まあ、亜妖精は男が生まれぬからな。しかし絶倫だの~。どうだもう2・3人亜妖精を妻にするか」僕の周りを数人の亜妖精たちが牙の生えた口でニタニタ笑いながらぐるぐる回りだした。
「みなさん、可愛い方ばかりですが、僕の妻にしたい女性は決まっています。申し訳ありません」と頭を下げた。
「タカシ君、あの子たちを見て可愛いって」「すごいな。タカシは」
僕は首をかしげていった。「あの子たち、羽がとてもきれいだし、触手も黒光りしてとってもかっこいいし、目もきれいな複眼だ。でも、こういっては何だが、フィーが一番だけど」
「そうなの、フィーが一番なの。兄さまよくわかっているの」フィーが自慢げに言った。僕の周りをまわっていた子たちも照れたように、仲間のところへ戻って言った。
族長もびっくりしたように言った。「おぬしに男の子が生まれたら、亜妖精を妻にやろう。わしが約束する」
「ありがとうございます。もし機会があったらお願いします」
「ところで、あの男たちが土産か」
「はい、お受け取りいただければと思います」
捕虜にした男たちはぶるぶる震えていた。一人が耐えきれずに叫んだ。「死ぬのは覚悟していた。しかし、亜妖精におもちゃにされるのは覚悟していなかったぞ」
亜妖精たちは男たちを村にもっていった。
「殺してくれ。頼む、殺してくれ」「亜妖精なんて虫じゃないか。そんなのに犯されて、食われるのは嫌だ」
「頼む、なんでもしゃべるから殺してくれ」
そこで僕は聞きました。
「なんで僕らを襲った。王の目的は何だ」
「お前たちを襲ったのは、王様の命令だ。何やら嗅ぎまわっている奴らがいるので片付けるように言われた」一人がしゃべった。
「王様は、亜人たちを集めて軍を作り、迷宮を占領するつもりだ。そのあとで、領主様の軍が迷宮を取り戻した形で迷宮を占領し、迷宮の利権を手に入れるつもりだ」
「なんでわざわざ亜人を使って攻め込ませるのだ」
「コロン合同国の協定で、人間同士の国での戦いは禁止されているんだ。しかし、亜人との戦いは制限の対象外だ。だから、亜人たちが、迷宮を持つ隣の国に攻め込んでも問題ない。更に亜人達から迷宮を取り返すために、軍を派遣することは全く問題がない。なんせ、自国のそばで亜人達が暴れているのだから、自国の安全のために兵を出すことは当たり前のことだからな」
このコロン合同国は人間種の国がいくつかと多くの亜人の部族が手を組んでできた連合国家だが、亜人の中には、戦いを生業にしている部族もおり、絶えず近隣と戦っている。
とくに、ここの国王の治める土地は、上下を亜人たちの住む地域、トライバルエリアという、に挟まれており、コロンとダイワ王国との街道を守る役目を追っている。
しかしながら、街道のほかにめぼしい産物がなく、せいぜい奴隷売買ぐらいしか目立った経済活動もなく、現国王の浪費の性もあり、大変財政状況が苦しいそうだ。
それが、隣国で迷宮が発見され、なんとしてでも手に入れたくなったそうだ。それで亜人達の性に見せかけて、利権を手にしようと考えたらしい。使用済みの亜人達は、迷宮に放り込み、死ぬまで迷宮探査に使用するつもりらしい。
その話を聞き、ネスカさんは強く握った手から血が出るぐらい怒っていた。
「話をしたのだから、俺たちを助けてくれ」「せめて殺してくれ」「虫は嫌だ」「搾り取られて食われるのは勘弁してくれ」と捕虜たちは口々に言った。
僕は「族長様、あとはよろしくお願いいたします」と言って、「フィー、行こう」と言って、踵を返した。
何やら叫び声が聞こえるが、無視した。食わず嫌いするものではないと思う。亜妖精はかわいい子が多いし、父曰く、意味はよくわからないが、床上手でおまけに性に貪欲で、父も大満足だそうだ。ちなみに父は一晩に10人を相手に全員を気絶させたことがあると自慢していた。こっちも意味はよくわからない。
まあ、そういうわけで、彼らだって、亜妖精たちの愛情に触れれば、きっと満足して、僕に感謝することでしょう。
亜妖精の里から出ると、「みんな、領主ゲドー・キチクを殺して、亜人達を解放します。そしてこの土地を奪い取ります。そして奴隷の在り方を変えたいと思います」
3人は僕の決意に賛意を示した。
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