春色の星空に咲く、花のように
カーテンの間から
こぼれ出す光が
部屋を春色に染めて
あたたかな窓辺を
吹き抜けていく
風はやわらかに
外ではガーベラの
鮮やかな花びらが
紅くゆららかに
春にそよいで
春色に染まりゆく
街並みを歩いて
春告草の木々は
たくさんの白と紅の
花をふくらませ
時を待つ夢見草は
エメラルド色の蕾を
ふくらませて
新たな季節の
始まりを祝いながら
春色に染まりゆく
空を見つめて
南西の夜空には
紅きベテルギウス
オレンジのアルデバラン
そして
緋き火の星が織りなす
春色の大三角
夜空に咲く紅い花が
希望の光を灯して
東の空では
深い眠りから目覚めた
レグルスが
瞬きを始めて
新たな季節の
始まりを照らしながら
たくさんの光たちが
幾つもの時を超え
同じ空に煌めいて
六百光年のベテルギウスも
六十光年のアルデバランも
八分前の太陽が照らす月も
今という星空を
照らしているのは
今の光だけでは
きっとないから
言葉もきっと
いつかの言葉
忘れられない言葉が
いつも心の空で
星となり煌めいて
そして
今の自分が
出逢う言葉たちが
未来の自分を
いつか照らしてくれる
光となって
春色に染まりゆく
心を想い描いて
今はまだ
蕾の中にある想いも
今はただ
風に吹かれるばかりの
夢や願いも
その蕾と時が
未来という
花になるから
紅い大三角が
輝く星空の下で
その光が照らすのは
今と未来と、春色の街
春告草は梅、夢見草は桜のことです。ガーベラの花言葉は「希望」で、赤のガーベラには「限りなき挑戦」「愛情」という花言葉もあります。
「春の大三角」が見えるのはもう少し後ですが、この3月は、あたたかな色をしたベテルギウス、アルデバラン、火星がつくる、春色の大三角が見られ、紅い花を横から見たような形をしています。
星の光が地球に届くまで、ベテルギウスは約600年、太陽は8分ほどかかるとされます。様々な時を超えた光が集まる星空を、春色に染まりゆく街並みとともに描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。