無能の無自覚無双
Sランク冒険者、ユメル・ハーウェイ――。
さすがは最高峰のランクを授かっているだけあって、その腕前はベルフレドをはるかに上回っていた。
「はぁぁぁぁああああ‼」
腰まで伸びた銀色の髪をたなびかせながら、ユメルは細剣を縦横無尽に振り回す。
対する魔物のほうはカマキロス。
Aランク指定の魔物であり、「緑色の体色」と「刃状の両腕」は虫でいうカマキリを連想させる。もちろん身体の大きさはカマキリとはまるで比較にならず、大の男さえも見下ろすほどの体格を誇っている。
攻撃力、防御力、敏捷度すべてが高水準の魔物であることから、かなりの強敵だと知られているが――。
「ギュァァァァアアアアアア‼」
そんな強敵にさえ反撃の余地を与えず、ユメルは容赦のない剣撃を浴びせていく。
なんというべきだろう、カマキロスの動きをすべて見通しているというべきか。
カマキロスが振り下ろし攻撃をしようとしたときには、ユメルはその行動をすでに察知し、回避の動きを取っている。かつてのベルフレドがパワーで強引に突破していたのだとすれば、ユメルは高いパワーを振るいがらも無駄のない立ち回りで魔物を蹂躙しているわけだ。
そのおかげで、僕としても非常に補助魔法が使いやすい。
なにも考えずに突進していたベルフレドに対し、なるべく敵に攻撃の機会を与えまいと攻撃するユメル。
おかげでカマキロスはユメルに対応するので精一杯であり、僕にはまるで注意を払えていなかった。
「いきます! ユメルさん!」
「っ! は、はい!」
ユメルの攻撃が一段落したのを見計らって、僕はカマキロスに突進する。
彼女のような剣士タイプの冒険者は、《攻撃後の硬直》が最も隙の生まれる瞬間だ。この瞬間をうまくサポートするのが、補助魔法使いとしての役割である。
「ギッ‼」
慌てたようにカマキロスが腕を振り下ろしてくるが、そんな攻撃はとうにお見通し。
補助魔法の《物理防御》を用いて、僕は目の前に透明な障壁を出現させた。
カキン! と。
まんまと障壁に斬撃を浴びせたカマキロスは、その反動で大きく後ろにのけぞった。
――いまだ!
僕は隙だらけのカマキロスに触れ、補助魔法の《麻痺》を発動。
あのデビルキメラをも苦しめた強烈な麻痺が、カマキロスに襲い掛かる。
「グギ……ガガガガガ……‼」
そしてこのカマキロスは、デビルキメラと比べても麻痺耐性がない。
全身を巡る麻痺毒に耐えきれなくなったか、カマキロスはそのまま地面にうつぶせた。身体を動かそうと懸命に藻掻いているようだが、もちろん、そんな簡単に解ける状態異常ではない。
「え……?」
なにを思ったのだろう。
鈍い悲鳴をあげているカマキロスに対し、ユメルが大きく目を見開いた。
「どうして……? カマキロスって、麻痺に強い魔物のはずじゃ……?」
「さあ、早くトドメを! ユメルさん!」
「あっ! は、はいっ!」
僕の大声で我に返ったか、そのまま全身全霊の一撃を叩き込むユメル。
二人の連携が功を奏して、強敵として知られるカマキロスはなすすべなく絶命していった。
――――
調整解除。調整解除。
《環境》に多大なる影響を与えかねないことから調整されてきた「アデオル・ヴィレズン」のレベルが間もなく一時的に解放されます――
――――
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