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オーダーメイドムービー  作者: 車男
2/4

白ソックス①

シーン1

 今日は3連休明けの火曜日。休みでボケてたのもあって朝寝坊してしまった高校2年生の主人公は、急ぎ足で学校の昇降口へたどり着いた。ローファーを脱ぎ、自分の靴箱を開けると、

「あれ、上履きがない!なんで?!」

とつぶやいた。

 少し考えてみると、先週末、上履きがかなり汚れていたので、家に持って帰っていたのを思い出す。

「そうだ、持って帰ってたの忘れてた・・・!どうしよう・・・」

ローファーを右手に持って、白ソックスのまま困ってしまう主人公。しかし、時間はもう残っていない。

「遅刻しちゃうし、このまま行くしかないか・・・」

主人公は上履きをあきらめて、ローファーを靴箱にいれると、白ソックスのままペタペタと廊下を歩き始めた。一歩一歩足を進めるたびに、連休中にたまった砂埃が足の裏について、次第に白ソックスを汚していく。


 「はい、OK!さすが“マキノ”さん!困った仕草とかセリフ、カンペキです!」

「ありがとうございます!」

監督さんの声を、廊下の端で受けた私は、こっそりと足の裏を見てみた。廃校ということもあって、土足禁止を守る必要もないのか、撮影班はみんな土足で上がっている学校を、私1人だけ律儀に靴を脱いでソックスだけで歩いている。そんな環境なので言うまでもなく、ちょっと歩いただけなのに、白ソックスは長らく積もった砂埃で既に足の形が浮かび上がっていた。撮影時にはその場所を掃除をするものだというイメージがあるが、今回の撮影内容だと、それはないのだろう。依頼者からの注文なのか、カメラがローアングルで足の裏を写すようについてきており、自分の足の裏を見られるのは恥ずかしくて、でもこうやって汚れているのをみてドキドキしてしまった。靴下の種類が4種類あるため、同じような撮影を4回することになるのだろう。それぞれ色や素材も違うので、どんな風になるのか、だいぶ楽しみになってきた。

「では次、シーン2、階段からの廊下、そしてシーン3、教室に入る、いきます!」

「はい!」


シーン2

 主人公の教室は最上階の3階。ペタペタとつま先だけをつけながら階段を登る。下から見ると足の裏が丸見えになるのがちょっと恥ずかしい。そのまま廊下を歩き、自分の教室へ入る。


シーン3

 「おはよう〜、ギリギリセーフだよ!」

友人に朝の挨拶をしつつ、改めて上履きのない自分の足元を恥ずかしく思いながら、席に座る。座ってすぐに、足の裏が気になってイスの横から足を出して見てみた。足の裏には既に真っ黒に足の形が浮かび上がっている。

「うわぁ、もうこんなに真っ黒だ・・・」

と小さく恥ずかし気に呟く。

 その後先生が入ってくると、主人公は足を机の棒において、指をくねくねさせながら朝礼の時間を過ごす。


 「はい、OK!順調ですよ!」

机に座ったのは久しぶりで、中学校ということもあってとても机が小さく感じた。階段のシーンや廊下のシーンは相変わらずローアングルで、机に座った時は、足指のくねくねをかなり至近距離で撮られていた。同じシーンを今度は上の方からもう一度撮影し、次のシーンへ。


シーン4

 1限目は教室での数学。きちんと先生の話を聞いて、ノートをとる主人公。でも足指は頻繁にくねくねと動く。教室のクーラーがついていないらしく、みんなはなにも言わないが、かなり暑い。主人公はくるぶしの少し上までのソックスを足で少しずりおろす。汚れた指先を使ってずりおろしたため、ソックスの上の方にも汚れがついてしまった。そのままの状態で、2、3限目の授業

を受ける。


シーン5

 4限目は移動教室だった。友人に誘われて、一緒に特別教室棟へ。ソックスはずりおろした状態のまま。ペタペタとコンクリートのたたきの渡り廊下を通って、理科室へ入る。移動教室で歩いた分、足の裏の汚れはより黒くなっていく。

 理科室に入ると、そこは教室に比べてひんやりとしていた。床もタイル張りになっており、足の裏の冷たさが心地いい。足裏全体でひんやり感を楽しんでいる。


 「はい、ここまでOKです!次は体育館でのシーンなので、体育館へ移動しましょう!体育館へ入るところから、撮影します!」

監督と撮影班と一緒に、理科室から体育館へと移動する。この時間はカメラが回っていないため、私もみんなのように靴を履いてもいいところだけれど、誰も私の靴やスリッパを持ってないし、私も今はソックスのままでいたかったので、結局ソックスのまま体育館へと到着した。校舎を1階まで降りて、体育館へと伸びるコンクリートの通路を歩く。体育館の近くは、校庭からの砂が積もって、ソックス越しにザラザラを感じる。

「はい、では次のシーン、体育館での学年集会をイメージして、お願いします!」

「はい!」


つづく

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