針をぶっ刺そう
9月21日 加筆修正
まずは針を用意する。
裁縫なんかで使う細い針の方が痛くなくていいんだろうけど、僕の部屋にそんな物はない。
そのため、少し太いがコンパスの針を使う。
…これ、突き刺して大丈夫か?あんまり綺麗な物でもないし。
濡らしたティッシュで拭いておくか。
水は、{集水}使ってみよう。たぶんこれ、まわりから水を集める魔法だと思うから、そんなにたくさん水は出ないと思うし。
まあ万一大量に出たときのために、ゴミ箱の上で使うけど。
結果、いい感じにティッシュだけを濡らす程度の水を出すことに成功。
この魔法、使うとゆっくり水が出てきて、自由に止めたり出したりできる。受け皿が無いと水を留めておけないのが難点といえば難点だけど、手で受け止められるくらいの水しか出せないのでそんなに気にならない。
ウェットティッシュが欲しいけどティッシュしかなかったり、めっちゃ手汗をかきたい時なんかに重宝しそうだ。
…後者の例えは微妙だったな。
準備が整ったところで、さっそくやっていこう。
まずは指先から。
けっこう勇気がいったが、なんとかいけた。
思ったより痛くなかったのは良かった。
さて、上手くいくか?
「{応急手当}」
そう唱えると、右手がなんか光りだした。
淡く白い光で、仄かな燐光を生じている。
え、どうすんのこれ?
とりあえず、傷に当ててみるか?
と思いそうしてみた。
すると…
「おぉ」
傷が塞がった!どうやら正解だったらしい。
とりあえず使い方と効果がある程度わかったのは収穫だ。
ステータスを見てみると、やはりMPに変化が。
MP:93/104
全部で11減っている。
これで{応急手当}はMPを11使うのかと思ったけど、そういえば{集水}も使っていたから正確なところはわからない。
{集水}を使った後ちゃんと見ておけば良かった。
まあ、それはこれから調べればいいか。
ということでさらに検証だ。
消費MPはもちろんのこと、どのくらいまでの怪我なら治せるのか。治癒にどれくらいの時間がかかるのか。副作用の類は無いか。しっかり調べなければ。
それじゃあさっそく針をぶっ刺そう!
それから俺は、針を刺しては傷を治し、刺しては治しと繰り返した。
それによってかなり{応急手当}について知ることができた。
まず、消費MPは発動は5、維持は10秒につき1消費するということがわかった。
これは傷を治しても治さなくても、発動や維持をしていれば必ずそれだけMPを消費する。
次に効力だけど、大抵の切り傷擦り傷の類なら10秒とかからずに治せた。治せなかった場合たいへんなことになるので、手首なんかの急所は避けたけれど、掌を貫通した傷も問題なく治せた。
それから、傷に直接触れなくても治癒が可能だということがわかった。傷のすぐ横に手を添えるだけでも十分に効果を発揮した。手を触れなくても、生じた燐光が当たるぐらいの距離までならなんとかなる。まあ、直接触れるのが一番速く治ったけど。
とりあえず、今日はこのぐらいで終わりだ。
本当はもっと色々やりたかったけど、MPが尽きた。残念だが切り上げるしかない。
それに、少し眠くなってきた。また寝不足になって昼間爆睡するのは避けたい。
というわけで今日はもう寝る!
続きはまた明日だ。
で、朝。時間はまた8時ちょっと前。
例の如く姉ちゃんに起こされたわけだ。
少し眠い。まあ、昨日程じゃない。
とりあえずステータスの確認をしてみる。
するとそこには、驚くべき変化が。
++++++
1/2
名称:籠嶺 魅澄
種族:人間
性別:男
年齢:13
状態:普通
クラス:神童
LV.1
HP:99/99
MP:104/104
STR:10
VIT:9
MST:11
MND:11
DEX:102
AGI:10
++++++
++++++
2/2
スキル
SP.10
【天才】
【道具】
【工具】
【武器】
【身体】
【素手】
【素足】
【集中】+
【感覚強化】+
【触覚強化】
【熱感覚強化】
【視覚強化】
【夜目】
【聴覚強化】
【嗅覚強化】
【味覚強化】
【第六感】
【魔力感知】+
【魔力操作】
【生活魔法Ⅰ】▽
【火属性魔法Ⅰ】▽
【水属性魔法Ⅰ】▽
【風属性魔法Ⅰ】▽
【土属性魔法Ⅰ】▽
【光属性魔法Ⅰ】▽
【闇属性魔法Ⅰ】▽
[苦痛耐性]
[刺突耐性]
[自然治癒力強化]
[魔力回復速度上昇]
++++++
取得可能なスキルが増えていた。
「まじか」
原因は明らかだ。昨日の検証のせい(おかげ?)だろう。
詳細な条件なんかは、わからないし調べようがない。
けれど、そのスキルに関わる何かをすれば、そのスキルが取得可能になる。それだけはわかる。おそらく、これも+と同じく熟練度みたいなものがあるんだろう。一定量たまれば取得可能になるとか?まあ、大きく外れてはいまい。
「これは、なんかワクワクしてくるなぁ」
だってそうだろ?僕の予想が正しければそれはつまり、行動次第でいくらでも取得可能スキルを増やせるということだ。
こんなすごいことはないと思わないか?
努力すれば、幼い頃から夢見てきたあんなことやこんなことまで可能となるかもしれない。
素晴らしい!
とはいえまだまだ情報が足りない。
取得可能スキルが解放される条件の詳細や、スキルの取得数に限界はあるのか。知りたいことは上手く整理できていないのも含めて山とある。
つまりやるべきことは一つ。そう、検証だ。
そうと決まればさっそく行動開始だ。
まずは新しく取得可能になったスキルを…
「こら魅澄ー!?また寝てんのー?速くご飯食べちゃいなさい!」
姉ちゃん…。
うん、まあ仕方ない。朝ごはん食べてからにしよう。
全てはそれからだ。
「魅澄ー!?まだー!?」
「今行くー!」
この後、結局また皿を洗わせられたのは言うまでもない。