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生活魔法を使おう

 ++++++

【生活魔法Ⅰ】


 {着火}

 {集水}

 {送風}

 {研磨}

 {蛍光}

 {遮光}


 ++++++


「へぇ。」


 なんというか、アレだね。

 良く言えば便利そう。悪く言えばショボそう。

 まあ、()()魔法って言うぐらいだし、生活を楽にする程度の魔法なんだろう。


 さて、どれから試そうか。{着火}はだめだな。字面から火を着ける魔法だとわかるし、下手したら火事になる。

 {集水}も微妙かな。部屋を水びたしにはしたくない。後で洗面所で試そう。

 {送風}はどうだろうか。おそらくだけど、強くてもせいぜい送風機ぐらいの風だと思う。それぐらいなら、部屋の中が散らかる程度で済む。けれどやっぱり片付けがめんどいので保留。

 {研磨}は、そのまんまだろうな。包丁研いだりできるんだろう。ただ僕の部屋には刃物の類は無いのでこれも保留。

 となると、{蛍光}と{遮光}の二択。この二つはどちらも気軽に試せるだろう。たぶん。


「{蛍光} っおお!」


 目の前に突如、こぶし大の光の玉が現れた。

 恐る恐る触ってみるが、ステータスボードと同じように触った感触がしない。ただ、ステータスボードと違うところが一つ。それは、魔力を感じるということ。まあ魔法だし、それは当たり前か。

 そして、魔力が感じられないステータスボードは、いったいなんなのか?こんな摩訶不思議な物なのに、魔法じゃない?

 実は僕には感じられない程の魔力しか使ってない魔力説や、魔法以外の超技術説など、いくつか仮説は立てられるけど、今はよくわからない。


 まあそんなことは今はいいか。

 今は{蛍光}の検証をしないと。

 まず、これは動かせるのか?…あー、一応動かせるのか。ただしものすごくゆっくりと、だけど。


 次、増やせるか。あっ、これたぶん無理だ。もう一個出そうとした瞬間、元々出してた方が消えた。何回やってもそうなる。

 もしかしたら増やす方法があるのかもしれないけど、少なくとも今はわからないから、ここはできないと仮定して次に行こう。


 次は形を変えられるか。とりあえず念じてみたけど、特に変化がある様子はなし。今のところはできないと仮定していいかな。


 じゃあ最後、明るさの調節はできるのか?

 あー、これも無理っぽい。明るさを強くしようとしてもうんともすんとも言わない。さらに、暗くしようとすると消える。


 なんというか、思ったより不便?まあでも、自由に点けたり消したりできるのは良かったかな。点ける時は一々唱える必要があるけど、それは別にたいへんなことでもなんでもない。移動速度が遅いのも、一旦消してすきなところにまた出せばいいんだから。


 次は{遮光}か。

 発動してみると、黒い霧の箱のような物が出てきた。

 一辺が2メートル弱の立方体。

 触っても感触がしないのには、もう慣れた。

 中に入ってみると、暗い。けれど蛍光灯なんかの強い光は、うっすらと見える。


 なんというか、用途に困る魔法だな。昼間に怪談を楽しむぐらいにしか使えないんじゃ?

 あ、でももしかすると、自由度が高い魔法かもしれない。

 試してみよう。

 ・

 ・

 ・

 というわけで色々試した結果、自由度は{蛍光}と変わらないということがわかった。

 うん、残念。

 まあでも、{蛍光}と{遮光}を同時に使う事ができないということがわかったから良しとしよう。いやどこにも良しとする要素無かったわ。


 たぶん、あまりこの魔法は使わないと思う。

 一定の範囲内を暗くする魔法なんて、使いどころ思い付かないしなぁ。どうにか考えようとしても、眠くてどうにも頭が働かない。


「ふぁ~あ。」


 あくびが出てきた。この{遮光}で囲った中って暗いから眠くなるんだよなぁ。

 しかもちょうど今、ベッドに腰かけてるし。

 いっそのこと寝てしまおうか。いやでも、今寝たら夜眠れなくなりそうだし。うーんでも眠いし。

 よし、仮眠取ろう。

 ほんの二、三十分ぐらいなら寝ても大丈夫でしょう。うん。


 それじゃあ目覚まし時計を──三十分後でいいか──セットして、おやすみ~


「………zzz…」



 ###


 ピピピー

 ピピピー

 カチッ


「んー」


 ああもう三十分か。

 起きたくないけど、起きないと。

 起き、起き…「zzz…」



 ###


「魅澄ー!魅澄ー!起きなさい!」

「んー。」


 うるさいなぁ姉ちゃん。

 て、僕結局寝ちゃってたのか。でもなんで姉ちゃん僕を起こしにきてんの?


「魅澄ー!ごーはーんー!」


 あ、昼ごはん作ってくれたのか。

 いつも昼は一人で適当に済ます姉ちゃんが…珍しいこともあるもんだ。

「ん、はぁ~い。」

「はぁ、やっと起きたか。あんたこんな時間に寝て、夜寝られなくなっても知らないよ?」

「ん、大丈夫大丈夫。2、3時間くらい。」


 確か寝たのが10時くらいだったから、今がお昼時ならそんなもんでしょ。


「あ、そう。まあそれくらいならいいか。とにかく、お母さんもお父さんも待ってるんだから、早くいくよ。」

「はーい。」


 ん?あれ?なんでお母さんとお父さんが待ってるの?二人とも平日の昼はいつも会社で、持っていった弁当食べてるのに。

 というか休日みたいな、全員昼も家にいる時でも昼は全員いつもバラバラに食べてるのに。


 ふと時計を見る。

 18:14

「え。」


 18時って、つまり午後6時のことで…つまり今は、晩ごはんの時間!?

 窓を見ると、まだ明るい。けれど、日はだいぶ傾いて来ているのがわかる。

 今日は晴れだから、もう少ししたら綺麗な夕焼けが見れそうだ。

 ちなみに僕は、太陽が沈みきる瞬間の夕闇が好きです。


「あっ!」


 そうだ。確か寝る前、{遮光}を解除せずに出しっぱにしてた。

 幸い、今はもう消えてる。姉ちゃんに見られてないよな?

 もし、僕が寝た瞬間に解除されたなら良いけど、時間経過で解除されたなら、ちょっとヤバイかもしれない。

 後でそれとなく聞いてみるか?


「魅澄ー!また寝てんのー!」

「ごめん!すぐ行くー!」


 おっと考え事してる場合じゃ無かった。

 早くいかないと。


 この後、母さんと姉ちゃんにどれだけ寝たりないのかとからかわれたり、父さんにやんわりと今日は早く寝るよう注意されたりしながら晩ごはんを食べるはめになった。




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[気になる点] 硬化が研磨に変っている。
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