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1/7

魔力感知を取ろう

 

「うわっ!あぶない!」


 キキィーーガンッ!


「あ…」


 やってしまった。

 ひいてしまった。

 ブレーキの効きが悪くなってたのは、わかっていたのに。

 なぜ、まわりに気を配っていなかったんだろう。


 そっと、たった今自分がひいてしまった()()を見る。

 首はあらぬ方向に曲がり、それが確実に絶命していることを、否応なしに伝えてくる。

 それの体はぴくりとも動くことはなく、熱はどんどん失われてゆき、その瞳はもう何も写すことはない。


 僕が一つの命の喪失に関わってしまったのは、火を見るよりあきらかだ。

 ああ、これでは僕は、僕は…







「動物愛護団体に、怒られてしまう!」


 そこには、自転車に乗った少年と、猫の死骸のみがあった。


『ピコーン』

『レベルが上がりました』


「へ?」





 ###


 中学一年の夏休み。

 自転車のブレーキが効きづらくなっていたため、修理してもらいにその自転車で自転車屋に向かっていたところ、猫をはねてしまった。


 まあ、それはいい。

 いや、よくはないかもしれないけれど。

 人間と猫の命の重さに差があるとは言わない。

 ただ、見たところこの猫は野良猫だろうし、僕が罪に問われることはないだろうというだけ。


 そもそも僕は、車道の左側を法定速度を守って自転車をこいでいた。

 そしたら猫が、藪の中から急に車道に飛び出してきたのだ。つまり僕は悪くない。(ブレーキ?何のことだね?)

 とりあえず猫は、飛び出してきた藪の中に放っておこう。それから手でも合わせておけばいいだろう。

 南無南無~。



 さて、さっき僕は謎の電子音の後に、レベルが上がったことを知らせる無機質な声を聞いた。

 それだけならまだ、僕が幻聴でも聞いたか、近くにゲームをしている子でもいたんだろうですませられる。

 けれど…


 ++++++

 1/2


 名称:籠嶺(かごみね) 魅澄(みすみ)

 種族:人間

 性別:男

 年齢:13

 状態:普通


 クラス:神童


 LV.1


 HP:99/99

 MP:104/104


 STR:10

 VIT:9

 MST:11

 MND:11

 DEX:102

 AGI:10


 ++++++


 目の前には、半透明の板のような物が浮かんでいた。


「ナニコレ?」


 え、これあれだよね?ゲームとかでよく見るステータス。

 名称から年齢までは、確かに僕の個人情報と一致する。

 けれど、


「神童てなに?」


 はっきり言ってこれはよくわからない。僕はこれまで、神童と呼ばれる程何かにおいて優れた成績を残したことはない。そんな僕が神童?意味がわからない。

 後はまあ、DEXだけなんで三桁なんだとか、MP?魔法使えるの?とか突っこみどころはたくさんあるけど、まあいい。

 それよりまずはこのステータスが、いったいぜんたいなんなのか、だ。


 半透明の長方形で、空中に浮いている。

 さわろうとすると、すり抜ける。何かに触っているような感じはせず、ステータスにも特に変化はない。

 けれど、色々確かめる過程で撫でるように手を動かした時、それが現れた。


 ++++++

 2/2


 スキル


 SP.10


 [天才]

 [道具]

 [身体]

 [集中]


 ++++++


「スキルって。」

 ますますゲームじみてきたなぁ。

 けど、なんでページ分けてたんだろう?一緒でいいと思うんだけど。


 さて、さっきのページじゃどこを押しても何もなかったけど…

 ためしに、[天才]を押してみる。


 ++++++

 [天才]

 消費SP=5


 習得しますか?

 yes/no


 ++++++


 いや、習得しますかって。

 これ、使えるスキルじゃなくて、習得可能なスキルのラインナップ?

 つまり、この[天才]を習得すれば、僕は天才になれるのかな?

 じゃあ、yes…と。


 ++++++

 2/2


 スキル


 SP.5


【天才】

 [道具]

 [身体]

 [集中]


 ++++++


 んー、なんか囲いが太くなったけど、特に何もおきないな。

 そのうち実感するようになるのかな?

 次は…


 ++++++

 [道具]

 消費SP=1


 習得しますか?

 yes/no


 ++++++


 お、安い。

 もちろんyes。

 それから、[身体]と[集中]も消費SPが1だったので習得。

 結果…



 ++++++

 2/2


 スキル


 SP.2


【天才】

【道具】

 [工具]

 [武器]

【身体】

 [素手]

 [素足]

【集中】

 [感覚強化]


 ++++++


「なんか増えた。」

 さて、どうしようか。

 はっきり言って今のところ、目立った変化が感じられない。

 その辺に落ちてる棒を振ってみたり、体を動かしてみたりすると何となく、今までより効率よくうごけている気はする。けどはっきり言って微妙な変化だ。

 さらに言えば集中力なんて、どうやって計ればいいのかもわからない。

 だから、次に習得するスキルはできるだけ、変化を実感しやすいものがいい。

 となると…


 ++++++

 [感覚強化]

 消費SP=1


 習得しますか?

 yes/no


 ++++++


 これだろう。

 というわけでyes。

 すると…


「おおっ」

 風の音、その風に揺らされる草葉の音。

 それらのボリュームを、誰かが上げたかのように感じた。

 肌を撫でる風も、太陽の光も、さっきより明確に感じることができる。

 どうやらこれを選んで正解だったよう。


 さて次は


 ++++++

 2/2


 スキル


 SP.1


【天才】

【道具】

 [工具]

 [武器]

【身体】

 [素手]

 [素足]

【集中】

【感覚強化】

 [触覚強化]

 [視覚強化]

 [聴覚強化]

 [嗅覚強化]

 [味覚強化]

 [魔力感知]


 ++++++


「ん?」


 魔力感知?もしかして、魔法が使える?

 ステータスにMPの表記があった時から、まさかとは思っていたけれど…



 ++++++

 [魔力感知]

 消費SP=1


 習得しますか?

 yes/no


 ++++++


 よし取れる!

 これはもちろんyes!


「っ!は、ははは!」


 これは、感覚強化の時以上の変化だ!

 自分の体の中に、何か暖かい物があるのを感じる。


「これが、魔力…」


 そして、


 ++++++

 2/2


 スキル


 SP.0


【天才】

【道具】

 [工具]

 [武器]

【身体】

 [素手]

 [素足]

【集中】

【感覚強化】

 [触覚強化]

 [視覚強化]

 [聴覚強化]

 [嗅覚強化]

 [味覚強化]

【魔力感知】

 [魔力操作]


 ++++++


 魔力操作、必要SPは1か。

 もうSPは無いから、しばらくお預け。

 けれど、

「レベルアップか。」

 たぶんというか、ほぼ間違いなくレベルを上げればSPが増える。

 そして、レベルを上げるには…


「明日から検証しないと。」


 だから今日は…


「自転車を修理に出さないとなぁ。」





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― 新着の感想 ―
[気になる点] 括弧に句点はいらない。 どうやらこれを選んでせいかいだったよう(だ)。
[良い点] テンポが良い [一言] 猫を轢いちゃって初めに思ったのが「愛護団体に怒られる!」っては、なかなかに倫理観が一般人とは異なっていると思った。最後は自転車直さなきゃ!って感じだし……。 他の…
2020/07/08 05:33 退会済み
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