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青春AQUA ZERO  作者: 早坂乙女
1/1

男を取り合うホストの瑠璃色な日常

2019 7/2 pm10:30



自由



平等



博愛



俺が嫌忌み嫌う言葉だ。


ーつ「自由」

 これに関して言おう。現在俺は自由じゃない束縛されてる虐げられている!

 資本主義の根底にあるのは「自由」らしい。そして計画的資本主義は全国民奴隷制と訳される。自由であることはそれと同時に自由でないということらしかった。

 どういうことだろう?これを教科書で見た当初の俺はIQ2程度のガイジ頭脳だったので、いまいち理解に苦しみ、何いってんだ?ガ◯ジ程度にしか思ってなかった。だが、「嫌ならやんなくていいんだぞ❤」と満面の笑みで踝を捻じ曲げてくる来栖先生を見ると、なんとなく東◯書籍のいわんとしていることがわかった気がした。





二つ「平等」


 びようどおおおおおおおおおおおおーーーー〜)笑  ))苦笑


ハハハ


 あ、いやスミマセン(汗)寒かったすよね(^^ゞごめんな、あ、いて石ナゲナイデ


 ま、まあこのように俺が寒いギャグをかましたところでしけるだけだ。

 ところがや!これがイケメンだったらどうなるかや?もしくはクラスに一人はいるリーダー格のうんこ。コイツラが例えば仮にくっっっっっっっっっっっっっそつまらんギャグをぶちかましたとしよう。お前らはこれでしけた例を見たことがあるか?いやない(反語)

 そうだ。重要なのは「何を言ったか」ではなく「誰か言ったか」だ。俺がもし女子更衣室でどんな聖人君子も泣いて小便漏らすような経を詠んだとしよう。どうなると思う?逮捕だ!ありえんだろ 反面、山◯メンバがくっそきしょい中身もなんも欠片もないラブソングを歌って、。jkに世界に一つだけのマイクを握らせて二人で夢のデュエットをしたとしてもR18の法則により免除だぞ!泣いて謝ったら許されるんだぞ ありえんだろ やってることは断然こっちのほうがヤバイ。でも世間はちょっとお茶目なだんしこうこうちぇいよりも、胡散臭いおっさんのほうを優先する。

 ってなわけでこれも嫌いだ。




三つ「博愛」



 これに関しては、さっきから俺の腕にしがみついている陰キャについて言える。

「ムニムニ、昨日のTOKYOTVshowかわいかったよぅ〜」

いちいちキモい嬌声をあげながらベタベタとひくつりまわしくねくね動くから歩きにくいことありゃしない。こいつは営業の途中であることも忘れ早くも現実逃避しているようだ。

「もっふもっふだったよぉ〜 ふっわふわだよぉ〜」クネクネ

しかもこの陰キャ、暑さのためか頭いわしてるのかは分からんがこいつの薄っぺらい胸が腕に当たりさっきから俺はフル勃起だ。おかげでTOKYOFASHIONshowのモデルみたいな歩き方になってしまっている。 

 生理現象なので仕方ないが気づかれないようにちんこを左右に振り子のように動かし、尻を若干突き出したように歩く。



「どうしたの?さっきから歩き方ヘンだけど…………ちょっと休む?」



言いたいことはいろいろとあったがこの暑さのせいかそれも蒸発してしまった。


「おう………」




愛沢ココナ(16)俺と同じホストクライム部に所属している女。今日は忙しい俺とは対照的に暇そうだ。(というかこいつはここ最近いつも暇)そして、俺と同じバイト、ホストをしている。え?と思う人もいるだろうがこれは後でおちおち説明していく。



 兎に角今日は、待ちに待った太客の誕生日と事業成功を祝って派手に一杯やるらしかった。それで祝日にも関わらず急いで、その買い出しを任されたんだなぁ〜

このブラック対応に不満全開の俺だったが、対してココナはいつも以上にハイテンションでどこかピクニックにでも出かけるような風だった。





 ここ最近いろんなことがあった。ココナが急に動画配信したいとか言い出すわ、変な女に付きまとわれるわ、店の人気のキャストが失踪するわそれに客が発狂して、店半壊させるわ、ちょっかいかけてきた同業者にキレたうちのオーナーが喧嘩売るわで語るにはまだまだと言っていいほどカオスだ。睡眠時間はゆうに20時間を切り俺の体力も限界を迎えようとしていた。






目的地とは少し離れるが別に急ぎのようでもないのでそれっぽい路地に入り、それっぽい休憩広間みたいにな総じていい感じの空間があったのでそこに腰掛け空を見る ココナはどっかに行ってしまった。



A「いいか!晴天的薬剤だ。私の今までの努力が便秘中のうんこみたいに詰まりに詰まった最高ケツ作だ。絶対売ってこい(^^)5時には帰ってくる。あと帰りに餃子とラーメンな。あと明後日やる闇鍋材料なテキトーなの選んでくれ。あぁ?当たり前だろお前も参加するんだよ(キレ気味)」(教師)


B「3時にアニメイトだぞ。忘れんなよ。こっちはインターン料金もらってんだぞ。あ、入るときは裏側のゲームショップとクラブの間から入れな」(友達)


C「2時から仕込みお願い。今日客結構くるから適当にパーティーグッズとか買っといてよ」(バイト先) 


D「今日さぁ〜12:00からさぁ〜お食事、どお?あ、そう、仕事?仕込み?仕方ないわねぇ〜でも流石に4時には終わってるでしょ。4:45にぃ〜ヴァイオリンの演奏会すんの。来てくれるよね?」(客)


E「センパイ!夏の発表会のリハリハミニリサイタルの会場押さえてきてください。あと、敵チームの視察!1:45からセントラルビレッジ広場であるらしいです。盗撮とかセンパイの十八番じゃないですか!とにかくできるだけ情報盗んどいてください。」(部活)


F 「今日の午後6時。そう、ビレッジ広場に来て。話したいことがあるの。」(???)



G 「バカ兄7時にシネマ六本木に集合ね。前からヤクソクしてたんだから。遅れたら許さない。」(妹)



H 「へぇー君が那須川君?まあ、売られた喧嘩は買うケド。あ、そっちも仲間連れてきたんでいいよ笑 歯は全部おるから覚悟しといてね。 6:30に河原でね。逃げたら殺すから❤」(同業者)


I 「那須川ーポスターの件私が作ることになったわ。失敗?するわけないでしょ 私をなんだと思っているのよ。実は画期的なデザインを思いついたの。きっとびっくりするわ。てことで10時に部室に戻ってきてね。なんか差し入れとか買っておきなさいよwww」




etc



あーーーーー、脳のキャパが追いつかねぇ、今まで聞いた内容を頭に思い浮かべる。休日のだというのに朝っぱらから気が休まるときがない。今日も6時くらいにココナに叩き起こされ、「来栖センセイから電話だよっ」と言われ早々に学校に呼び出された。昨日は昨日で3時くらいまでココナと眼鏡くんの都津田で泊りがけでゲームのしていたこともあり、体が思うように動かない。



ああ、空は青いなぁ〜  





ふと、遥か上空に映る筋雲の隙間に何か飛び回ってるようなものが見えた。青いキャンバスを自由に駆け回るそれに周りの雲が呼応しているかのよう。小さいので何かわからないが飛行機かなんかだろう。・・・・・・・・いやあんなカオスに動くかよ!じっと目を凝らしてみる。何かうごいたところがこころなしか雲ではない何かに変化しているようだった。なんだろ?お菓子?なんとなくから少しの興味に変わったので目を細めてその映像を脳内に流し込んだ。そこで見たものとは・・・・ 







チベタッ





「にしし〜」


ニヒルな笑みで陰キャ&ガイジが戻ってきた。買ってきたキンキンの清涼飲料水を満足げに握っておりもう一方の手は二本目のジュースが俺の頬にピタッと押し当てている。







………うざ



「ファミリーだよぉ」




意味わかんないことをつぶやきながら、ふいーと言いながら俺の膝に座ってくる。

コイツの髪の臭いがそよそよと漂ってくる。

萎れた息子がまた生を得たように勃ち上がる。小鳥が歌う。風が吹く。今日も世界は平和だ。俺はもう一度空を見上げた。




あれはもうどこかに行ったようだった。






2019 7/2 pm 8:30 




「さあ!できたわよ。ここ最近の一番の出来。名付けてマジカル・アンド・ポスター!」



初夏の風、だんだんと空気にも湿っけが出てきた今日この頃、クーラーの若干かかった木造りの家の一室、普段はミーティング等に使用するこの部屋のドアを軽快に打ち破り、中央の台座に参上。ちっぱいさんはその小さな胸をせいいっぱいにはり、印刷室で永く格闘していた成果をこれでもかと見せびらかしました。  


「じゃ、じゃーーーん。どうよ、私がねりにねって作った来週の大会の告知レジュメ!わーぷろには苦労したんだから」

  

そういって、ちっぱいは自分が持っていた紙束を木製の机の上にどんとおき、また台座へと戻っていきましたとさ。


              THE END




 なんやなんやと、数人が机の上を覗き込むと、黄色い背景に簡素な文字で『2bホストクライム』と書かれたタイトルにメンバーの名前が書かれただけの殺風景なb5用紙が置かれてあった。あまりの情報量の少なさに要件は上半分で終わり、下半分はほとんど白紙だった。それでも流石にこれはまずいと思ったのだろうか、最後、申し訳なさそうにヽ(^。^)ノの絵文字が飾られていた。だが正直何がしたいのかよくわからない上に、全く脈絡もない所にあるポツンとした佇まいは、なんとも言えない不気味さを醸しだしていた。



「ま、まきな、さん……あ、あのひとつお伺いしたいのですが、ひ、一晩かけておつくりになられた告知のポスターというのは、もしかして………これのこと?」


ハハハそんなわけないよねというジョークを込めながら問うたかなのんの声には隠しきれない震えが含まれている。。


「あまりの完成度の高さに声震えてるのかしら?今回はなんと背景を黄色に塗ってみたの。ね?画期的でしょ?」

 


いやいや勘弁してくれよというふうに各々が手で残りの紙束をガサゴソと漁る。そこには大会から配られた事務書類があるだけだった。



「あと、親しみを持ってもらうために様々な工夫をしたの」



あながちヽ(^。^)ノのことだろう。この人は頭がおかしいのではなかろうか。 もう少し、なにか興味をもって貰えるものがあったのではないか?なんのためにわざわざ大会なんかに参加して、ポスターまで作らなければならないのか。 


 メンバーなど大会公式ホームページに掲載されている。b5サイズっているのも意味がわからないし、これではホストクライムの知名度は上がらない一方だ。まあ、それをこの鳥並みの脳みそに要求するのは無理があったのは認める。



「はあ!?なにがヽ(^。^)ノだ!お前の頭がヽ(^。^)ノだろ!」


ほのかがキレたように喚く。


「な、なによ(# ゜Д゜)なんでそこまで言われなきゃいけないのよ。


「うるせぇ、ショボすぎだろなにが工夫だ。なにが親しみだ。こえーよこれヽ(^。^)ノいや、これを平気で完成品として世に提示できるお前の魂胆が一番こえーよ。昨日一晩中印刷室で、ガコンガコン謂わせてなにつくってるのかと思えば!印刷機とSEXでもしてたのか?」


「は、はぁ!なんていいざまよ」


「ほのか、、、いいすぎ ぷふぁー」 


「って、くせーなおい」


「えっちゃんなにしてんの!?」



「ヤマアラシの……ジレンマ」



 この人はこの人で、さっきから那須川君の置き忘れてった靴下に顔近づけたり遠ざけたりして何をしているのだろうか?


「クンカ………クンカ この匂いクセニナル」


「あの、低俗文章やり直してくれまして?」


「さ、さすがに私もこれはないと思います。」


「な、なんでよ!?」


 周りからの不評に薪菜ちゃんはたじろぐ。普段なら味方をしてくれるであろう後輩からの思いもしない追撃にまいっているようだった。


「と、とにかく こうなったからには私達でどうにかしましてよ」


最早穂香以外の聴衆はもう薪菜への攻撃をやめ、どうすればよいかを話し合っていた。


「こうなったのは、薪菜さんにポスターづくりなどという無理難題をふっかけた私達のせいでもありますわ。」


「そうだね、というか話振ったの誰?」


「すみません私です」


おずおずと宮川さんが手を挙げる。


「すみません(*>_<*)ノでも、あんなに目を輝かせてたものですからどうしてもやらせてあげたかったんです」


「確かに、あんなにはしゃいでたら誰だって断れないよねぇ」


「う、うぐ」


「那須川さんに見つかったら来てない全員お仕置きでしてよ」

 

その言葉に私を含めここにいた10人全員が震えはじめる。








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