第三話:俺はひきこもり
俺はひきこもり。
二十五歳から、二階の自分の部屋にこもっている。
就職はしたがブラック企業でうつ病になり、すぐに首になった。
再就職もうまくいかない。
資格は自動車運転免許しかない。
このままではいかんと介護施設で働き始めたら、かえって腰を痛めて辞めざるを得なくなった。
今は、家族の世話になっている。
気がつけば三十歳。
家族の目は冷たい。
髪はボサボサ、無精髭。
着ている服は、上は黒いジャケットに黒いトレーナー。
下は黒いジーンズ。
恥ずかしいから、目立たないように黒い服を着ている。
かえって、目立つようでもあるが。
外出はせいぜい近くのコンビニだけ。
後は、寝るかネットをしている。
最近は食欲も無い。
腹が痛い。
痩せてきたぞ。
胃癌じゃないのか。
人生ヤケクソ気味。
ただ、自分なりの矜持がある。
ネットで、ひきこもりが親を殺したり、通り魔事件を起こしたり、幼女に手を出したりとか犯罪ニュースをたまに見る。
そういうのを見るたびに、自分は絶対に他人に迷惑をかけないと誓っている。
たとえ過失でも、土下座して被害者に謝罪するつもりだ。
ネットの『作家になろうぜ!』というサイトで、無料の小説を読みふけっている。
自分でも書きたくなった。
無料で投稿出来るし。
最近は小説を書くのに熱中している。
自分の妄想を全開しても、誰も文句は言ってこない。
妄想だけなら犯罪にならないからな。