第二十三話:俺は姉の介護に専念する
姉は頸椎を折ってしまった。
痩せすぎなんだよな。
この半年はビクビクしながら過ごした。
いつ警察がやって来るかわからない。
しかし、結局来なかった。
あの女性は警察に行かなかったらしい。
金の力は偉大だ。
俺は姉の介護をすることになった。
ひきこもっているよりはまし。
介護の仕事の経験も役に立った。
腰はまだ痛いけど。
姉は、あの女性を誘拐監禁したこともすっかり忘れているようだ。
あの女性はトラウマになっているかもしれないと言うのに。
警察が来ることについても、全然心配していない。
いつも自分の都合いい方に考える。
こういうのをサイコパスって言うんだろうな。
成功した経営者にはサイコパスが多いって聞いたこともあるが。
まあ、姉も最近は少し大人しくなった。
車椅子生活だしね。
会話中に、ドンと机を叩かれて、「うるせーよ! 人の趣味に文句つけるな、あっち行け!」とか怒鳴られて、部屋から追い出されることもなくなった。
だいぶ回復したが、まだ腕の力が弱いらしい。
当分の間、姉の介護に専念することにした。
とにかく、このいかれた姉貴を監視する必要もあるしね。




