第二十一話:オレは就職するぞ!
『作家になろうぜ!』で女を監禁する小説を読んでたら、もう朝だ。
眠い、眠い。
頭が朦朧。
寝るかと思ったら、家の前に自動車が停まったようだ。
二階の窓からそっと見てみる。
高級外車だ。
よくわからんが、三千万円はするやつだと思う。
見ていたら、背が高く黒い服を着た男が降りてきて、助手席の方へ回り、ドアを開けた。
妹が降りて来た。
オレの妹が朝帰りしてきたぞ!
しかも、高級外車で送られてきた。
男が二階に目を向けたので、あわててカーテンを閉めてしまった。
どういう男かわからなかったが、あんな外車を持っているところ金持ちだろう。
いったい、どういうことなんだ。
考えていたら、寝てしまった。
気がついたら、昼だ。
トイレに行ったら、ばったり妹に会ってしまった。
ひきこもりのオレから見てもださい恰好をしていた妹が、えらい素敵な洋服を着ている。
いつもすっぴんの顔も化粧バッチリ。
眼鏡もかけてない。
こんなに美人だったっけ。
最近、ほとんど目を合わせてないからな。
オレは慌てて、二階に逃げてしまった。
そうか、土曜日にお泊りデート。
日曜日に朝帰り。
妹にも恋人が出来たんだな。
もう年頃だもんな。
しかし、そうすると、ひきこもりの兄がいるなんて結婚の障害になりかねん。
よし!
オレは就職するぞ!
いやバイトでもいい。
ひきこもっているよりはマシだろう。
オレはネットで就職先を探しはじめた。




