第十九話:奥の手を出す俺
日曜日。
早朝に俺は起きた。
まだ腰が痛い。
姉貴は、今日の朝にあの女性を解放すると言っていた。
はっきり言って、俺の姉は頭がおかしい。
競泳水着を着た女性が好きで、その写真を撮影したいって言うのは、まあ変だけど趣味の問題だからいいとして、何で一般女性を誘拐監禁しなくてはいけないんだ。
大金持ちなんだから、大金払えば、そんな事いくらでもさせてくれる女性はいると思うんだが。
仮に世間にばれても株価なんて、それに関係なく上がったり下がったりするもんだ。
しかし、ひきこもりで生活費を姉に頼っている俺は逆らえなかった。
様子を見るため、一階に降りて例の防音室の扉をそっと開けると、姉が倒れていた。
どうやら、監禁した女性に逆襲されたようだ。
アホだ。
やれやれ。
俺はゆっくりと部屋に入った。
必殺技を出す。
土下座。
「姉がこんな事をしでかして、大変申し訳ありません」
女性は呆然としている。
これは奥の手を使うしかないな。
お、すでに例の奥の手とか言っていたスーツケースが置いてあるじゃないか。
スーツケースの中を開いて女性に見せる。
「この一億円でお許しください」
平身低頭する俺。




