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第十一話:獲物の女を撮影する

 土曜の朝。

 私は監禁部屋に入る。


 女は大人しくしている。

 ギャーギャー叫ぶと思っていたんだが。


 まあ、大人しくしてくれるならけっこうなことだ。


 有名美術大学教授監修のデッサン集から、気に入ったポーズを女に見せる。

『このポーズを取れ』と書いた紙を見せる。


 女が戸惑っている。

 イライラする。

 スタンガンをバチバチ鳴らしてみる。


 女は慌てて、ポーズを取る。

 よしよし、それでよい。


 次々といろんなポーズを取らせては写真を撮る。

 あっと言う間に昼だ。

 疲れた。

 休憩。


 部屋を出る。

 パン食べながら、デジカメ写真を見る。

 うーん、いまいちだ。

 この人、猫背だね。

 それに自信のなさそうな顔してる。


 まあ、顔は被写体じゃないからいいんだけど。

 もう少し、体に力を入れてほしいぞ。

 ちょっと、自信をつけてやるか。


 午後になった。

 撮影再開。

 女に紙を見せる。

『胸をはれ!』


 ちょっと、ポカンとした顔をする女。

 またイライラしてきた。

 もっとやる気出さんかい!

 しょうがない。

『お前は美しい!』と紙を見せながら、スタンガンをバチバチと鳴らす。


 女は懸命にポーズを取るようになった。

 よしよし。


 いーよ、いーよ。


 だいぶ、いろんなポーズを撮影した。

 出来具合が楽しみだ。


 そう思っていたら、インターフォンが鳴った。

「警察ですが」

 やばい!

「助けて!」と女が大声で叫んだ。

 

 ヤババババ!

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