幼なじみ1
少し長めになったので2話に分けて書きます。
「いやー、ごめんごめん。一旦ギルドでカードをすぐに作ってきてもらったんだけど、ここに来る途中鍛冶屋さんがあってな、どんな武器があるか覗いていたらいつの間にか時間経ってたよ。」
こいつは幼なじみで腐れ縁の荒山 洋介。このゲームをしようと言い出した張本人でゲーマー。過去、有名どころの大会でベスト5まで入る猛者でもある。あと、リアルでは体格いいのに何故かモテないという残念なところがある。
「はー・・・お前、またいつもの悪い癖が出たな・・・」
そう、待ち合わせの噴水広場はギルドから徒歩数分で着くのにこいつはフラフラと鍛冶屋に行ってしまい、数十分ほどずっとそこにいたのだ。
「いや、ホントにごめんって。次からは気をつけるからさ。」
「その台詞、リアルで一体何十回言ったんだ・・・?」
「うっ・・・」
「まあいい。2学期学校行ったら学食おごれよ。」
「げ・・・まじか~・・・このゲーム買ったから今もうお小遣い無いのに・・・しかも、宗二はこういうのは絶対忘れないしな~・・・」
「まあな。あとこっちでは宗二なくソージって言えよ。」
「って、名前、リアルとあんまし変わってないじゃんか・・・俺はいつものようにレイブンだ。」
「おう。じゃあ、チャット使えるようにフレンド登録するか。」
このゲームではフレンドリストというシステムがあり、登録した人が今ゲームにログインしてるか分かったり、チャット、いわゆる電話みたいなことが出来たり、アイテムをトレードしたり出来る。ただし、これらの機能は直接本人と交換する必要があり、それ以外だと使うことが出来ないのだ。
「ほんと、このチャットがユーザーIDを入れて使えるならチャットを無理矢理繋げてこっちに連れてこれるのに・・・」
「あはは・・・本当に以後気をつけます・・・」
洋介ことレイブンは意気消沈に落ち込んだ。
「しかし、巳波と陽奈はいつになったらここに来るんだ?」
「えっと・・・多分姉さんは早くここに来たけど誰も居なかったからどこかに行ってしまって、陽奈ちゃんは・・・いつものようにナンパに絡まれてアタフタしている光景が見えてきた・・・」
「あー、やっぱお前でも俺と同じように考えたか・・・」
巳波のせっかちさと陽奈の絡まれ癖はいつものように神がかっていたようだ・・・ある意味、俺たちの中でのお約束みたいなものだ。
「一応、巳波はお前の双子の姉でもあるんだからせっかちさを直すように言えよ。」
「嫌だよ!ソージは姉さんのお気に入りだから殴られないですむけど、俺が言ったら空手黒帯の拳が飛んでくるんだよ!?」
レイブンは青い顔しながら俺に怒ってきた。
「いや、そこは弟として我慢するところだろ。というか、なんでお気に入りだから俺は殴られないんだ?」
「・・・それ・・・本気で言ってる・・・?」
「いや、ホントに何のことだ・・・?」
「はぁ~・・・(本当、姉さんといい、陽奈ちゃんといい、あんなに分かりやすいアピールしてるのにこの朴念仁が・・・)」
「???」
なんかレイブンが深いため息ついて何かブツブツと呟いて怖いんだが・・・
「なあ、レイブン。お前大丈夫か?」
「ねえ、それ自分はわかってて聞いてるの?」
「???」
「いや、聞いた俺の方が間違ってたな・・・(本当、姉さんと陽奈ちゃんの努力は報われないな・・・)」
「あー!やっと2人が来てた!!」
次は巳波と陽奈の登場です。前に全員出るという風に書いたのに出せなくてすみません。m(_ _)m