「トイックの街」にて
キャラクタークリエイトを終え、アナウンスが聞こえると視界いっぱいに白い光が光り、思わず腕で目を庇ってしまった。白い光が収まり目が慣れてくるとそこには辺り一面草原が広がる青い空が見えていた。
俺はキョロキョロと周りを見渡すとキャラクターを作り終えたであろう髪が青や赤色、尻尾や耳、角の生えた色黒い人、中には『VRゲームに来たぞー!』と両手を挙げて叫んでいる人が。ここで立ち止まっているのもなんだと思い人の流れに付いて行くと、目の前に石で作られた城壁に囲まれた大きな街が見えてきた。
「おー、あれが始まりの町か。結構大きい町なんだな。」
街の城門に着くと門衛の横に大きな立て看板があり、そこには
『異邦人の皆様始めまして、自分は「FREE OR LIFE」の運営システム管理部長の須合 元晴だ。この世界では人族の国の国王として活動している。この言葉の通り各種族の国の王は運営の人間が行っている。まあ、今のところでは君たちとの係わり合いは少ないと思うが。今、皆がいるのは始まりの町「トイックの街」だ。まず、冒険者ギルドで君たちの身分証明となるギルドカードを作ってほしい。また、ギルドには訓練所などがあり、君たちのサポートとなると思うので利用してくれ。他には異邦人はこの世界の住人として活動することになるがこの世界では我々運営はあまり表立って動かないことを表明する。異邦人がどのように活動するかは君たち自身だ。では、良い「FREE OR LIFE」を。』
なんていうか凄く一方的な内容だったな・・・この世界では運営として顔を出さないから自らの行動は自己責任になるのか・・・気をつけないと・・・とりあえず、ギルドに行く前に皆が集まる噴水広場に行くか。
「すみません。」
「ん?どうかしたのか?坊主。」
道で焼き鳥の露店をしていたおっちゃんに声を掛ける。
「友達と噴水広場で待ち合わせしてるんだがどっちに行けば着くんだ?」
「なんだ、おまえさん今日からこの世界に降りた異邦人なのかい?」
「ああ、そうなんだ。始めてトイックの街に入ったが外から見たように広くってな。」
「確かにな。始めてきた奴は大抵迷う。正面にあるデカイ通りを進んだら教会に着いてな。教会の通りを左に曲がって市場を抜けると噴水が見えるぞ。」
「ありがとう。ついでに、今焼いてる肉は何だ?」
「こいつはコッコの肉だ。この街の東の草原にいるモンスターで冒険者の初心者でも大抵狩れる。脂身あって旨いぞ。」
「コッコか。おっちゃんその肉3つ買うよ。」
「毎度。1つ15ゴールドで45ゴールドだ。」
俺たち異邦人は初期に10000ゴールドを持っている。因みに1ゴールド=1円のイメージで大丈夫だ。
「はいよ。45ゴールド。」
「うっし。ちょっと待っていろよ・・・・はいよ、熱いから気をつけろよ。」
「おっちゃんありがとな。」
「おう、今度はその友達を連れて来いよ。」
俺はおっちゃんから焼き鳥を受け取るとその場から移動した。