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第3章 初めてづくし

私たちが依頼料の分配を終えると、まるで見計らったようにおやじさんが私たちのいるテーブルにやってきた。


「君たちはまだ冒険者になって日が浅いみたいだね。」


チケハン亭のおやじさんは、そう切り出した。


確かに今いる2組の冒険者たちは私たちより経験を積んでいる感じだ。


私でも、彼らの装備が使い込まれているのは、一目でわかる。


「ええ、まだこのパーティで仕事をしたのは2回目ですからね。」


ユーリーさんが答える。


「そうか、実はだね、そろそろこの集落の薪の在庫が欲しいらしくてね、長老会からの依頼で薪を取りに行ってほしいという依頼があるのだけれど……。」


おやじさんは依頼用紙を机に置いた。


薪拾いと言えば、生活必需品。


その薪を取りに行くのは、経験の浅い新米冒険者にその依頼が回ってくる。


樹木のモンスターはその樹齢によりレベルが高くなる。


しかし、ただ燃やすだけの薪であれば、樹齢の低い……つまり、レベルの低い木を伐り倒してこればいいわけなのだ。


経験の浅い新米冒険者が、経験を積むいい訓練にもなるし、依頼料も安く済む。


どちらにとっても、悪い話じゃないのだ。


ただ、丸太を乾燥させるのには3か月ほど乾燥期間が必要なため、それぞれの集落や街には木材を乾燥させる場所が設けてある。


子供たちの遊び場にもなっていることが多い。


私も小さいころは木材置き場でよく遊んだものだ。


「どうだ? 君たち、やってみないか?」


おやじさんが、私たちの顔を見回す。


「やりま~す!」


ユーリーさんが口を開こうとしたとき、金シャチさんが声を上げた。


「そうか、やってくれるか。


それは助かる。


木材を取りに行くのはここから西に2日ほど歩いたところにあるケイバーと言う比較的新しい森だ。


その森が一番近いからね。


なんせこんな集落だからね。


人手が足りなくて。


依頼料は1500c。前金は500c。


木材を運ぶ荷車はこちらで用意しよう。


それから、依頼料とは別に木材の重量に応じて、木材を買い取ってくれるらしい。」


おやじさんの言葉にユーリーさんは。


「らしい?」


何か引っかかったのだろう、おやじさんに聞き返す。


「ああ、今回の依頼はこの集落の長老会からの依頼なのだよ。


だから安心して受けてほしい。


木材の値段は相場通りだ。


どうだい? 引き受けてくれるかな?」


「はい、やります!」


再び金シャチさんが力強く言い放つ。


私たちの意見は聞かないのね?


まぁいいんだけれど。


「薪を集めれば集めただけ、収入が増えるということですね?」


ユーリーさんが確認するように聞き返す。


「そういうこと。」


おやじさんは微笑んだ。


「了解! 行ってきます!」


金シャチさんは席を立つ。


「今日はもう遅いから止めておきなさい。


やるなら明日からでしょ。


じゃ、私たちでよければその仕事させてください。」


ユーリーさんは金シャチさんを諭すとおやじさんに向き合った。


「わかった、ぜひとも頼むよ。


入用のものがあれば揃えるよ。


今、前金を持ってくるからまそれまでに、必要なものを考えておいてくれ。」


そう言うと、チケハン亭のおやじさんはカウンターの奥へと消えていった。


「入用なものかぁ。」


私がつぶやくと、金シャチさんが。


「保存食だな。」


「食料は必須ですが、それだけではないでしょう。


野営をするための薪も必要でしょう。」


ユーリーさんが、金シャチさんに言う。


確かに薪は必要だね。


夜の見張りとかでも、活躍するし何より暖が取れるのが良い。


「ところで何日分必要なんでしょうか?」


片道2日、往復4日。安全を見て5日は必要としても、森の中で何日ぐらい木を伐り倒せばいいのかな?


「そうですね。どのくらい森に滞在するかですね。」


ユーリーさんも考え込む。


「1週間!」


金シャチさんが大声を張り上げる。


「そんなに、いられませんよ。」


ユーリーさんの言う通り、1週間も森で野宿なんてできないよ。


「3日くらいでどうでしょう。


実際初めての薪拾いですし、どの位薪を切り取って来れるかわからないですからね。


森の奥まではいかなくてもいいとしても、危険なことには変わりありません。


長期の滞在は、今の私たちには危険かと思いますよ。」


確かにユーリーさんの言う通りだ。


なんせはじめての森だもんね。


何があるかわからない。


それに、ダイナゴヤから5日間の旅を終えたばかり。


5日間でこれだけ疲労したんだから、木との戦闘も考えるとあまり長居はできないよね。


「私はユーリーさんに賛成です。」


「私も賛成です。」


私とメアリーさんはユーリーさんの案に賛成した。


あとは……。


自然と金シャチさんにみんなの視線が集まる。


「わかったよ。それでいいよ。


足りなかったらまたいけばいいんだから。」


金シャチさんも同意した。


「じゃ決まりですね。」


ユーリーさんがそう言った頃合を見計らったように、おやじさんが、金貨の入った袋を持って私たちのところへやってきた。


「決まりましたか?


入用なものは?」


前金の袋をテーブルに置くと、おやじさんはにっこりほほ笑んだ。


「保存食を8日分、それを4人分と薪を8日分用意してもらいたいのだけれど。」


ユーリーさんが答える。


「いや僕は瓶詰の方が良いな。」


「では、保存食は3人分で、瓶詰を24食分いただけますか?」


ユーリーさんがやんわりと言う。


「いや、瓶詰め22日分買う。」


金シャチさんそんなに買ってどうするんですか?


私は心の中で突っ込みを入れた。


「それだけでいいのかい?」


「はい、旅に必要なものは揃っていますので。」


ユーリーさんは笑顔で答えた。


「わかりました。


明日朝出発なさいますか?」


おやじさんが聞いてくる。


「はい、そのつもりです。」


「では、明日朝までに準備しておきます。


今日はゆっくりと体を休めてくださいね。」


おやじさんはにっこりほほ笑むと背中を向けた。


「あの……、お風呂入りたいんですけど……」


私は声を上げた。


「はい、いつでも入れますよ。


お風呂は、あの奥にあります。」


「ありがとうございます。」


旅の疲れや汚れを落としたいしね。


こうして私たちは前金を、みんなで分けてからいったん部屋へと向かった。



「じゃ、私お風呂行ってきますね。ユーリーさんやメアリーさんはどうします?」


「ああ、私も行こう。」


「私も行きますわ。」


2人ともお風呂の準備をし始めた。


そう言えば洗濯もしたいな。


私は洗濯物もバックパックから取り出した。


「じゃ、僕もお風呂入るかな。」


金シャチさんもお風呂の準備を始める。


まぁ、男女分かれているだろうから良いか。


準備が整った私たちはお風呂場へと向かったのだった。


「何と……。」


まさかの事態。


お風呂は一つしかなかった。


男女でわかれていない。


予想外だ。


こうなったら……。


「金シャチさん。先に私たちが入りますので、出るまで待っていてくれませんか?」


私は金シャチさんに言った。


「みんなで一緒に入れば問題ないでしょ。」


冗談なのか本気なのか。


金シャチさんは笑顔のままそう言い放つ。


「そんなことできません!」


私が頬をプクリとふくらませる。


「まぁ、仕方ないね。金シャチ、部屋に戻って明日の準備を整えておきなさい。」


ユーリーさんが、金シャチさんに部屋に戻るように言った。


「へーい。」


以外にも金シャチさんは素直にその言葉に従った。


残った私たち3人は、服を脱ぎ浴室へと入る。


ミソカツ亭と違って、ここのお風呂は狭かった。


浴槽は2人入るのがやっと、体を洗うスペースは2人分と言ったところだ。


3人ではちょっと狭い。


それでも何とか、湯船につかり体を磨く。


旅の汚れを落とし、私たちは持ってきた着替えに袖を通した。


「私は洗濯をしてから行きますから、お二人は先に部屋に行ってください。


金シャチさんも待ちくたびれているころでしょうし。」


私は、洗濯をするべく桶にお湯を入れると、洗濯物を洗い始めた。


明日の朝までには乾いてくれるといいんだけれど。


そんなことを考えていると、金シャチさんがやってきた。


「おや? トモリ。まだいたの?


ひょっとして覗き?」


「誰かさんと一緒にしないでください。


洗濯しているんです。」


私はツーンと、そっぽを向いた。


「あ、そう。じゃ、遠慮なく。」


金シャチさんは服を脱ぎ始めた。


「え? ちょ、ちょっと待ってください。


今出ますから。」


私は慌てて脱衣所から外に出た。


その後、洗濯物を干しに、共同の洗濯物干し場に向かったのだった。


「なんだかお風呂に入った気がしない。」


私はベットの上で、頬を膨らましていた。


「まぁ、ミソカツ亭が特別なんだと思いますよ。


集落とは規模が違いますから。」


ユーリーさんの言うことももっともだと思う。


「でもでも、せっかくゆっくりできると思ったのに。」


5日ぶりのお風呂。


ゆっくり浸かりたかったな。


「まぁ文句言わないの。


お風呂に入れただけでも、よかったじゃないですか。」


メアリーさんに諭される。


まぁ確かにそれは言えているけど……。


「明日に備えて、早めに寝ておきなさいよ。」


ユーリーさんの言葉に私はベットにもぐりこんだ。


ちなみにまだ金シャチさんは戻ってきていない。


一足先に私は疲れの残る体を横にした。


すると、意識がす~っと、薄れていったのだ。


翌朝私たちは、1階の酒場(?)にいた。


もちろん洗濯物は回収して……、でもまだ湿っていた。


やっぱり一晩では乾かないか。


その後私たちは早めの朝食を済ませて、おやじさんに頼んでおいた食料と薪を受け取りお金を払う。


外に出ると、ホロなしの荷車が置いてあった。


結構年季の入った木製の荷車だ。


荷車に荷物を乗せると、私たちはミドリックを後にした。


目的地はケイバーの森。


ミドリックに来る途中に分かれ道があった、あの道を西に向かうとケイバーの森に行けるそうだ。


久しぶりにベットで眠れて疲れも取れた。


私たちの足取りは軽い。


ミドリックを後にして、2時間ほどが過ぎた。


すると、例の分かれ道が姿を現した。


「ここを西だね。」


私は確認するように、つぶやくと西へと足を踏み出した。


それからさらに2時間ほど歩いたころ、金シャチさんとメアリーさんが怪訝そうな表情を見せる。


「どうかしたんですか?」


お昼ごはんにはまだ早い時間だけど……。


「ケイバーの森の辺り、煙のようなものが見えます。」


翼人の二人は視力もいい。


私には、点にしか見えないケイバーの森。


そこから煙が立ち上っているというのだ。


火事?


まさかね。


「どうやら土煙のようですが、こちらに向かってきている気がします。」


メアリーさんが、まっすぐケイバーの森を見ながらつぶやいた。


竜巻?


でもでも、竜巻が起きるような天気じゃないよ。


至って平穏そのもの。


メアリーさんの見間違い?


いや、でも金シャチさんにも見えるんだよね?


「モンスターの群れなのか……、それとも砂嵐なのか……。」


メアリーさんが呟く。


モンスターの群れ?


まさか……ね。


私はゴクリとのどを鳴らした。


「ちょっと飛んで見てくるよ。」


金シャチさんが行こうとするとユーリーさんがそれを止める。


「飛んでいくって、まだかなりの距離があるでしょ。


森の近くなんでしょ? 


その土煙は。」


そうだよね。森の近くだったら徒歩で2日かかる距離。


飛んで行ってもかなりの時間がかかる。


「双眼鏡とかがあれば、もっと詳しくわかると思うのですが……。」


メアリーさんが言うと。


「双眼鏡ありますよ。」


ユーリーさんが自分のバックパックを漁りだす。


そして中から双眼鏡を取り出した。


ユーリーさんは双眼鏡でケイバーの森の方を見る。


ピントを合わせている。


すると……。


「ネズミの大群ですね。」


ネズミの大群?


「ネズミの大群がこちらに向かって走っていて、そのせいで土煙が上がっている。


と言ったところでしょうか。」


ユーリーさんは双眼鏡を下ろした。


ネズミの大移動?


そう言えば……、私は知識系技能の七つ道具の中から生物図鑑を取り出すと、ネズミに関する記述を探す。


図鑑と言っても、図書館に通って原稿を移したものなんだけどね。


「え~と、巨大ネズミ。全長1mほどの巨大ネズミ。


このネズミは病気を持っていて、噛まれて傷を負ったら病気にかかる可能性がある。」


え~、病気持ち?


それは危険だ。


「稀に集団で何かに取りつかれたように死ぬまで暴走する現象が観測されています。


この時、の移動は直線で障害物は噛み砕いて進んでいきます……。」


同じく自前の生物図鑑を見ていたユーリーさんと視線が合う。


キョトンとしている、金シャチさんとメアリーさんにユーリーさんは図鑑を見せながら説明をし始めた。


確か、あのネズミの大群、こっちに向かっているんだよね?


私の背中に冷たいものが走る。


「このまま真っ直ぐ進んでいくと、ヤバい?」


メアリーさんがつぶやく。


「カチ会う可能性は高いと思う。」


ユーリーさんは図鑑をしまいながら言い放つ。


こっちに向かっているということは、最悪ミドリックを飲み込んでしまうということ?


「巨大ネズミを倒さずに、こっちが隠れてやり過ごしたとしても、ミドリックが襲われる可能性が高いってことね。」


私の不安をユーリーさんが言葉にする。


「それはそれでマズイですね。」


「じゃ、倒すしかない?」


ちょ、ちょっとメアリーさん。


私たちだけじゃ……。


「うん。」


金シャチさんまで……。


私はユーリーさんの手から双眼鏡を奪い取ると、問題のネズミを見た。


どう見ても10匹以上いる。


私たちだけでどうにかできる相手じゃない。


私は瞬時にそう思った。


「こっち、範囲魔法があるからそれで一気に蹴散らす方法もありますけれど……。」


メアリーさんが呟く。


「ああ、それだ!」


金シャチさんが賛同する。


「うん、大分離れているんであればね。」


ユーリーさんまで、みんな戦う気満々だ。


「罠を作りましょうか。


少しでも手負いにしておいた方が良いでしょう。」


ユーリーさん、ちょっと冷静になりましょうよ。


私はもう一度双眼鏡を覗いた。


ネズミの移動速度からすると、今夜……いや、明日の朝にはミドリックに到達するくらいの勢いだ。


「じゃ、今日は午前中移動で、昼からもう休むなり罠設置するなりして迎え撃つ準備をして、夜はなるべく警戒しましょうか。」


ユーリーさん、戦う気満々だ。


「でもでも、あの土煙こっちに向かってきているんですよね? 


私たちだけで大丈夫でしょうか?」


一旦ミドリックに引き返した方が良いと思うんですけど。


「でも、いまさら戻って呼びに行っても時間的に間に合わないんじゃない? 


伝令を飛ばすにしても。」


「一度戻って……確か冒険者の方が滞在していましたよね?」


ユーリーさんの言葉に食い下がる。


「滞在していたわね。」


「一度戻って、状況を説明して滞在中の冒険者たちの助力を得て、迎え撃つ準備をした方が良いのではないですか?」


私は必死に訴えた。


しかし……。


「それって、ミドリックで迎え撃つ準備をするわけ?」


「まぁ、そういうことになりますね。」


ユーリーさんの言葉に、頷く私。


「あんまりミドリックを戦場にしたくないんですよ。


でも、人手は確かに欲しいですし、ミドリックにまでもしモンスターが攻め込んだことを考えると、それはそれで怖いんですよ。


かと言って味方がみんなバラバラになるのも怖いし……。」


ユーリーさんの意見ももっともですけど、私たちだけであのネズミを退治するのは無理ですよ。


「こっちが呼んでくるわ~って、飛んで。」


金シャチさんが、会話に割って入った。


「じゃ、一足先に伝令で翼人のどっちかがミドリックに行く。


で、残りのメンバーはなるべくミドリックに向かうけど、ミドリックまでは戻らない。


ミドリックを戦場にしたくないので、その手前くらいで待ち構えておく。


で、その場所も決めて、伝令を伝え終わったらこの場所に戻ってきてください。


伝える要件はこのモンスターがこの経路で襲ってきていて、このくらいの時間にはミドリックに到達する恐れがあるって言う事。


私たちはミドリックの手前で待ち構えるので、援軍が手配できるなら手配してほしいという事。」


ユーリーさんはきっぱりと言い放った。


もう、戦いは避けられそうもない。


「じゃ、僕が言ってくるよ。」


そう言うと、金シャチさんは東の空へと飛び立っていった。


私たちは、東に向けて出発。


昼食を済ませてから、落とし穴を掘り始めた。


私たちは一心不乱に落とし穴を掘る。


深さが2m位、幅3m位の落とし穴が掘れた頃、お日様は西の山にその姿を隠そうとしていた。


「お~い、戻ったよ。」


金シャチさんも合流した。


私たちは、巨大ネズミを迎え撃つべくかがり火を焚いて、武器を構える。


「援軍をって言う話なんだけど、それはどうなったの? 援軍来るの? 


来ないの?」


ユーリーさんが金シャチさんに尋ねる。


帰ってきた言葉は耳を疑うものだった。


「わからない。」


どうやら金シャチさんは用件を伝えるだけ伝えて、戻ってきたようだ。


ミドリックがどう動くか、聞いては来なかったんだ。


もっとも、もし聞いてこればその分時間がかかる。


ひょっとしたら間に合わないかもしれない。


そうとも考えられる。


ミドリックの動きが分からないまま、私たちは独自で行動することになった。


もう、こうなったら腹をくくるしかない!


半ば破れかぶれになりながら、私たちは落とし穴の東側に横一列に並んで立った。


地の底から聞こえてくるような、重低音は確実に近付いている。


手筈としては、ネズミが見えたらすかさずメアリーさんが冷凍の魔法を放つ。


属性:冷気の魔法だ。


属性冷気の魔法は、相手の動きを鈍くする附帯効果がある。


動きが鈍くなれば、その分前衛の2人の負担は軽くなる。


後は乱戦……どうなるかはその時次第。


作戦と言えるのかどうか怪しいけれど、今私たちにできることはここで少しでもネズミを足止めすることだ。


ふと、隣を見ると金シャチさんは空になった瓶詰の瓶を割って、地面にばらまいていた。


でも、あの勢い。


きっと、無意味だと思う。


瓶の破片をばらまき終わると、空の瓶を足元に並べる金シャチさん。


何するんだろう?


そのうち2本を両手に持って、いつでも投げれるように構えたのだった。


「金シャチさん、瓶じゃなく剣を……。」


私がそう言いかけた時だった。


地鳴りはすぐそこまでやってきたのだ。



















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