第四話ー戦いの狼煙
お待たせしました。
マルコ・フォード区長のフィル公女への質問から、会談は始まった。
フォード区長の質問は要するに、フィル公女達を受け入れる事で、どの様な利益があるのか?そして、公女達が具体的に何を求めているのかを確認するための質問であった。
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この星の代表から発せられた質問に、私たちは彼が何を求めているのかを察した。
彼は、私たちを受け入れることで晒されるであろう脅威に対して、私たちを受け入れることでその脅威に見合うだけの利益があるのか、そして、私たちが求めているのが本当に亡命だけなのかを問うていたのだ。
まず、私はその質問に対して答えようと口を開いた。
「私…たちは……私達の星を…取り戻したい。…………奴らは……私達の星の石を奪いにきた……。」
そうだ、私達の星を侵略した奴らは、コーネリア星系にある特殊な鉱石を何かに使おうとしていた。
今、私達が彼らに提示できる利益は無い、だから、私はあえて、彼らにそれを話した。
「コーネリアは…その石の為に……奪われた……だから、取り戻したい。」
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彼女の話を聞いて、私は彼女達がどの様な思いでここに居るのかを改めて示された様に感じた、私の隣では補佐官のジルやブラウン、そして将軍達も難しい顔をしていた。
「…その石は、一体どの様な物なのですか?、その石が原因で侵略を受けたのならばよほど価値があるのでしょうが…」
「はい、コーネリアの石、我々はコーネリア鉱石と呼んでいますが、簡単に言えば凄まじい程のエネルギーをある特殊な方法で加工する事により発生させることのできる石で、奴ら曰く、銀河を支配するのに必要な物だと…コーネリアでは、王宮にある人間大のコーネリア鉱石1つで其方の単位で約300年程、惑星全体の電力を補ってました。」
私の問いに答えたのは、コーネリアのラム・ドーム大佐だった。
そして、その言葉に我々は驚愕した、人間大の鉱石1つで100年もの間、惑星全体の電力を供給できるなど、現在の地球の技術でも不可能だからだ。
また、彼の話の中に不穏な言葉も混じっていた、銀河を支配する、つまりは地球も狙われる可能性も示されている。
「それは…その様な鉱石が有るとは…宇宙は広いとはよく言ったものだな…」
「貴方方の星にはその様なものは無いのですか?」
「はい、私達の星には300年もの間惑星全体の電力を供給できる鉱石などはありません。我々が使っている動力源は人工太陽を使ってます。太陽と言っても、用途に応じてサイズも異なりますが、300年なんてとても使い続けるなんて事は出来ません。我々の人工太陽は100年に一度は必ず交換しなければなりません。」
その時だった、突然応接室の扉が開かれ、一人の職員が駆け込んできたのは。
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「失礼します!区長、緊急事態です!」
職員が急いで区長に近づき、耳打ちする、そのしらせにフォード区長は一瞬目を見開き、すぐに真剣な表情になると、ゆっくりと口を開いた。
「フィル公女殿下、ラム・ドーム大佐、どうやらゆっくり話している暇も無くなってしまった様です 先ほど、我が方の航宙警備隊がこの惑星に接近する艦隊を補足したとの連絡を最後に通信を絶ちました。
将軍方はすぐに対応出来る様に全軍の準備をお願いします。ラインファルト大将、お願いします。」
ラインファルト大将は不敵に笑うと将軍達に指示を出し始めた。
そんな中、ノムラ中将が立ち上がり、発言した。
「よろしいでしょうか?」
「ノムラ中将、どうしました?」
「はい、私はこれより現場に戻り、隷下の艦隊とともに防衛ライン構築に向かいたいと思いますので、一足先に戻らせていただきたいと思います。」
「分かった、許可する、フォード区長も宜しいか?」
ラインファルトはそう言うと区長を横目で見、区長は頷いた。
それを見て、ノムラ中将は応接室を退出した。
「コーネリアの方々は我々と行動していただく、ライラック大佐は原隊に復帰し指揮をとれ、将軍方は警察や消防、各公共機関と協力し、全力を挙げ市民の避難に努めていただきたい!」
ラインファルト大将の言葉が終わると、応接室の面々は自らの役割を果たすために応接室を出るとすぐに行動を開始した。
それを、コーネリアの面々はみている事しかできなかった。
次回いよいよ地球艦隊と敵との艦隊戦…と言いたいですが、次回は地球軍の宇宙艦隊の艦船紹介を行います。
投稿日は未定です。