第8話ー戦場2
戦闘描写は難しいね
第6臨時航宙機動艦群が敵と交戦を開始してから2時間ほどが過ぎ、機動艦群は敵の予想外に長い射程の主砲の射撃に中々近づけずにいたが、艦載機の活躍に戦況はゆっくりと動き始めていた。
第6臨時航宙機動艦群は、敵艦隊を突破するため、戦艦を艦隊の前面に配置し、敵艦隊へと向かっていき、さらに艦載機隊による攻撃を行い、敵艦隊を撹乱する戦法をとっていたが、敵の予想外の長射程に悩まされ、此方の砲撃でも何隻かは敵を撃沈し、更に艦首砲の射程には入っているものの、敵艦隊よる余りにも苛烈な砲撃に既にアイオワ級だけで8隻が撃沈され、モンタナ級は1隻が中破し、艦首砲を撃つ事中々出来ない状況になっていた。
ただ、敵艦隊の艦載機部隊は幸いにも連邦軍の艦載機隊よりも少なく、対艦装備を持った艦載機を除いても十分以上に対応でき、対艦装備を持った艦載機により敵艦隊は損害を出し少しずつ混乱が見られるようになってきていた。
「司令、艦載機隊より入電!我、攻撃に成功せり、とのこと、また、艦載機により敵戦艦一隻を撃沈、敵の動きに混乱が見られます!」
「そうか、全艦、敵が混乱している今がチャンスだ、艦首砲により敵を殲滅する!エネルギー充填を開ーー」
そして、敵艦隊をいち早く突破するため、切り札である艦首砲を使用するため、艦首砲を撃つ最も効果的な位置に向かって前進しながら、司令が艦首砲へのエネルギー充填の指示を出そうとした時だった。
司令が言い切る前に艦が凄まじい衝撃に襲われ、司令は後頭部に衝撃を感じると同時に意識を失ってしまう…。司令が乗艦している戦艦尾張の左舷側にいたモンタナ級戦艦 ネルソン は尾張に何が起きたかすぐには理解できなかった。
突如としてネルソンから見て右舷前方側にいた尾張の左舷にある補助スラスターと艦橋の後部にある副砲が何か光の筋のような細い閃光に貫かれたのが見えた瞬間に爆発し、しかもレーダーには何も写ってはいなかったのだから無理もなかった。
そして、尾張の状態を見た者は息を飲んだ、そう、連邦軍最強の三隻の戦艦の一隻である尾張がわずが二発の攻撃で中破、ないし大破に近い状態に追い込まれたのだから無理もなかった。
「艦長!旗艦尾張より応答ありません‼︎」
「………っ」
「艦長‼︎」
再度呼ばれ、ネルソンの艦長はハッとなりすぐに指示を飛ばす。
「っ!…通信士、尾張を呼び出し続けろ!尾張の状況をこの機動艦群の次席司令である504艦隊のキャラガン中将に連絡し、臨時の指揮を要請、僚艦へ打電、尾張を中心に輪形陣を展開する!急げ‼︎」
「りょ、了解しました!」
「か、艦長‼︎」
「どうした⁉︎」
「艦隊の左舷斜め上方にきょ、巨大構造物を発見!望遠カメラに捉えました、映像を出します!」
そこにデータリンクで他の艦にも映し出されたそれは彼らの想像を遥かに超えたものであった。
「…な、なんだアレは?」
「せ、戦艦か?」
「……嘘だろ…」
それを見た者たちの反応は様々だったが、その顔は皆同じく、驚愕と恐れに満たされた表情だった…。
そこに映されていたのは、全長3kmはあろうかと言うほどの巨大な戦闘艦であった…。
尾張の艦橋のメインモニターにもデータリンクが無事であったためにそれが映し出されていた…。
しかし、それを見るだけの余裕は彼らにはなかった。
「…ぐ…司令、ご無事ですか?」
「……」
「司令⁉︎」
衝撃で一時気を失っていた艦長が目を覚まし、司令の方を見た時、司令は頭から出血し、意識がない状態であり、周りのオペレーターは、負傷し、意識のない者、意識はあるが、動けない者、破損した部品によりすでに事切れている者もいた。
艦長はすぐに衛生班を呼ぶため艦内通信のスイッチを押した。
「艦長だ!艦橋に負傷者多数!司令も負傷され意識がない!衛生班は急ぎ艦橋へ‼︎」
すぐに衛生班が駆けつけ司令以下艦橋の負傷者は応急処置後に医務室へと急いで連れて行かれ、軽傷だった艦長は艦橋の通信機が破損していることに気づくと、直ぐに僚艦へ状況を伝えるべく副長が指揮をとる火器管制戦闘指揮所 (艦の武装を使用する為の管制室、艦橋が破壊されたりした場合には予備の艦橋としても使用できる。)へと急いで向かうのだった。
艦長は火器管制戦闘指揮所に入るとオペレーターから通信機を受け取り、艦の状態を味方艦に伝え、負傷した操舵手に変わり、副操舵手に艦の操舵を任せ、自身は艦の指揮に専念することにした。
504艦隊旗艦 戦艦 モンタナ級 アドミラル・ハルゼーの艦橋では、臨時にこの機動艦群の指揮を任されたキャラガン少将が、懸命に指令を出し、体制を立て直そうとしていた。
「艦載機はそのまま攻撃を続行!補給が必要な者は順次補給、各艦隊は第3航宙機動打撃艦隊を中心輪形陣で展開!その後は戦艦部隊は艦隊を離脱し集結せよ!各艦隊指揮は空母戦隊指揮官に委譲、戦艦部隊はあのデカ物を片付ける!」
「キャラガン司令!尾張からです、機動艦群司令長官、アルベルト大将が負傷、以降の指揮は全て司令に任せるとのこと、更に尾張は損傷激しく、後方へ退避するとのこと、」
「了解したと伝えろ、全艦、先の命令通り、行動開始。」
「了解しました!」
キャラガン司令の指揮のもと艦隊は動き出す、此処での戦いは未だ終わらず…。
さて、次はどうなるのか、戦艦部隊でキャラガン中将はどのようにデカブツを倒すのか…作者にもわかりません。
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